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Ric Ocasek “Beatitude”
皆さん、Ric Ocasekについてどんなイメージがありますか? The Carsのメンバー?それともSuicideのプロデューサー? まあ、どちらもありだとは思うのですが、個人的には、やっぱりSuicideのセカンド・アルバムのプロデュースの方が大きいですね。そんなRic Ocasekのファースト・ソロ・アルバムが、この”Beatitute”です。それで、先ず、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Richard Theodore Ocasekのチェコ系米国人で、父親はNASAで働いていました。彼はAntioch College and Bowling Green State Universityに入学しますが、音楽にのめり込んで、ドロップアウトしてしまいます。Ocasekは、1965年に、The CarsのBenjamin Orr (B)のバンドThe Grasshoppersのライブをテレビ番組Big 5 Showで観て、OrrとClevelandで出会います。その2〜3年後、Ocasekは、Ohio州ColumbusでOrrを再会し、2人は、1968年に、ID Nirvanaと言うパンドを結成し、大学とかで演奏しています。その後、2人は色々な場所に移りますが、1970年代初頭にBostonにやってきて、Crosby, Stills & Nash調のフォーク・ロック・バンドMilkwoodを結成し、1973年初頭にアルバムを出しますが、全然売れませんでした。このアルバムに参加していたGreg Hawkes (Kbd)は後のThe Carsのメンバーになります。Ocasekは、OrrとHawkesらと共に、Richard and the Rabbitsと言うバンドを結成していますが、一方でOcasekとOrrはアコースティック・デュオとしても演奏しています。この時に作った曲が、後のThe Carsの曲の原型になっているようです。その後、2人は、Elliot Easton (G)と共に、Cap’n Swingなるバンドを結成。このバンドはWBCNラジオのDJが直ぐに興味を示し、デモテープをラジオで掛けますが、レーベルは見向きもしませんでした。それで、Ocasekは、ベースとドラムを交代させ、The Modern LoversのDavid Robinson (Drs)を加入させ、更にHawkes (Kbd)を呼び戻し、1976年末にThe Carsを結成します。この時のメンバーは、Ric Ocasek (Vo, Rhythm-G), Benjamin Orr (Vo, B), Elliot Easton (Lead-G), Greg Hawkes (Kbd), David Robinson (Drs)でした。The Carsは、1978年〜1988年に、沢山のヒット曲を出し、Ocasekは大部分のVoを担当しています。その後、2010年に、OcasekはThe Carsをオリジナル・メンバーで再結成し、アルバム”Move Like This”を2011年5月にリリースしますが、長続きせず、解散。また、2018年にも一度だけ再結成して、ライブを行い、それでロックの殿堂入りを果たします。それで、Ocasekは、The Cars時代には、様々なジャンルのバンドをプロデュースしており、Suicideは元より、Bad Brains, The Weezer, Romeo Void, Black 47, Bad Religion, Johnny Bravo, D Generation, Martin Rev, Jonathan Richman等々に関わっています。その一方で、Ocasekは、1982年に、最初のソロ・アルバムである本作品をリリースしています。内容的には、The Carsよりも幾分実験的なニュー・ウェーブ・サウンドになっており、Greg Hawkes (Kbd)は勿論、Richard and The RabbitsのFuzzbee Morse (G, Kbd)も参加しています。その後、1986年には、よりシンセに比重を置いたソロ・アルバム”This Side of Paradise”をリリース。The Carsが1988年に解散後、Ocasekは公の場からは消えましたが、1990年にソロ・アルバム”Fireball Zone”を出して、再び姿を現します。その後、1993年に”Quick Change World”を、1996年にはAlan Vegaとカナダの詩人Gillian McCainとのコラボ”Getchertiktz”を、1997年には”Troublizing”を、2005年には”Nexterday”を出していますが、余りファンには人気がありませんでした(ただし、評論家には良い評価を受けていました)。そんなOcasekは、2017年に妻Paulina Porizkovaと別居していましたが、元々、高血圧と冠不全があったこともあって、2019年9月15日にNYCの自宅で亡くなっているのを、彼女に発見されています。
大体、これが、Ric Ocasekの流れになります。私は、個人的にはThe Carsはそんなに好きではなかったのですが、唯一良く聴いていたのが、セカンド・アルバム収録の”Candy-O”と”Shoo Be Doo"の2曲だけでした。また、Suicideのセカンドのプロデュースは秀逸だと思っています。そんなこともあって、このソロ・アルバムを購入したのだと思います。それでは、本作品(両面5曲ずつ)を紹介したいきます。その前に、本作品に参加したメンバーは、Ric Ocasek (G, Kbd, Vo)の他に、Roger Greenawalt (G [A3, B3, B4]), Fuzzbee Morse (G, Kbd [A2, A3, B5]), Casey Lindstrom (G [A2]), Greg Hawkes (Kbd [A4, A5, B2]), Stephen Hague (Kbd [A1-B1]), Darryl Jenifer (B [A2-A4, B4, B5]), Miss Linn (Drs [A1, B1-B3]), Stephen George (Drs [A2-A5, B4, B5]), Akio Akashi (B [B1]), Deric Dyer (Sax [A3]), Steve Cataldo (Back-Vo [A3]), Jules Shear (Back-Vo [A3]), Antonia De Portago (Back-Vo [A1])となっています。
A1 “Jimmy Jimmy”は、やっぱりThe CarsっぽいUS産ニュー・ウェーブかつダンサブルな曲ですね。ただしギターよりシンセの比重が大きいです。ヴォコーダーも使用。
A2 “Something To Grab For”では、ゴリゴリのベースが使われていますが、もしかしてMiss LinnってLinn Drumのことかな? この曲ではギターが結構効いています。
A3 “Prove”は、これまたスラッピーなベースも聴けるファンキーな曲ですが、サビがしっとりしていたり、間奏でSaxソロが入ったりと表情豊かです。
A4 “I Can't Wait”は、シンセとギターのコード進行がソフトな曲で、Ocasekの声質に合っていますね。
A5 “Connect Up To Me”では、A1と同様にベース・シーケンスが走る曲で、シンセのアレンジがニュー・ウェーブっぽいです。
B1 “A Quick One”は、1980年初頭のニュー・ウェーブなラブソングです。Ocasekが、シンセのバックで、ちょい切々と歌い上げます。
B2 “Out Of Control”のイントロのシンセは面白いです。そこから、やや重めのテンポとシンセ・ベースが良い塩梅で流れていきます。ギターのアルペジオもグー!
B3 “Take A Walk”は、細いシンセのリフと太いベース・シンセがカッコ良い曲で、変調Voもピッタリです。
B4 “Sneak Attack”は、幾何学的なシーケンスに、直角的ビートが混じり合う、これまた1980年初頭のニュー・ウェーブ調の曲で、かつミニマルです。
B5 “Time Bomb”は、B4から連続して、テクノなシンセから成る曲ですが、ドラムとかが入って来ると、US産のソフト・ロックっぽくなります。Ocasekは切々と歌い上げ、最後はギター弾きまくりです。
色んな所に顔を突っ込んでいるRic Ocasekが、1982年当時に吸収した音楽が見事にこなれて、血肉になっていると思います。彼のイメージは、器用貧乏なんですが、まあ、そう言われても仕方ないかもしれませんね。しかしながら、彼の嗅覚とソング・ライティング能は非常に高いので、このアルバムが生まれたのだと思います。なので、好き嫌いは別にして、一聴の価値はあるかと思いますよ‼️
B1. “A Quick One”
https://youtu.be/WDi6yzrY6Ug?si=UsvouyeS18HfzDJ0
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mdQAitA8qEqd5odPr3AoJIY-KBmYpfPO8&si=Bxgr_982PwWYwrwV
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