-
The B-52’s “Mesopotamia”
この前、The B-52’sのファースト・アルバムをご紹介しましたが、いつものように通販サイトを眺めていたら、The B-52’sのアルバムがありましたので、その後、どう言う風に変わっていったかを知りたくて、思わずポチりました。それが、3枚目のスタジオ・ミニ・アルバム”Mesopotamia”です。このミニ・アルバムでの特徴は、プロデュースがTalking HeadsのDavid Byrneがやっていることなんですね。当時と言えば、Talking Headsもアフリカン・リズムを大々的に取り入れて、ビッグバンド化していた時期でしたので、その傾向があるのかなあ、ホーン類やPercを多量に導入し、多重録音しているのかなとも思ってました。ただ、David Byrne自身は、このプロデュースをやる上で、レーベル側との衝突があったらしく、その結果、6曲入りのミニアルバムになったとのことです。それと、それまではDrsに専念していたKeith Stricklandが、KbdやB, Marimba等の楽器の演奏にシフトして、代わりにゲストのYogi HortonがDrsを演奏している点も大きいのではないでしようか?また、The B-52’sにとっても、セルフタイトルのファーストやセカンドアルバム”Wild Planet”に収録されている曲は、デビュー前からライブで良く演奏していたもので、今回はゼロから曲作りをすると言う意味でも大変だったらしいです。と言う訳で、本作品の参加者と担当楽器は、Cindy Wilson (Vo), Fred Schneider (Vo), Kate Pierson (Vo, Kbd, B, Organ, Bird Calls), Ricky Wilson (G, Kbd, B, Organ), Keith Strickland (Kbd, B, Drs, Organ, Piano, Marimba, G)の他に、ゲストとしてDavid Byrne (Fretless-B, Synth, G, Perc), Yogi Horton (Drs), Ralph Carney (Sax), Roberto Arron (Sax), David Buck (Trumpet), Charles Rocket (Accordion), Steve Scales (Perc)も参加しています。録音は、1981年9月にNYCのBlank Tape Studioで行われています。それでは、David Byrneプロデュースの3枚目のスタジオ・ミニアルバム”Mesopotamia”の各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Loveland” (5:00)は、タイトなリズム隊に、Cindyの元気一杯のVoが弾けている曲で、Gの刻みやシンセ音も心地良く、音も全体に厚くなっていますね。 ★A2 “Deep Sleep” (3:29)は、リズムマシンと生Drsに生ピアノやシンセ/Gが交互に絡み、囁くような2人の女性Voが入ってくる曲で、落ち着いた感じですね。 ★A3 “Mesopotamia” (3:49)では、タイトなリズム隊(DrsとSynth-B)に、単音弾きのGと男女Voが入ってきて、如何にもB-52’sらしいです。 ★B1 “Cake” (5:48)でも、リズムは強烈で、低音シーケンスとオルガンに、女性2人のVoが弾けています。隠し味のマリンバもですが、ホーンやGのコード弾きは新境地ですね。 ★B2 “Throw That Beat In The Garbage Can” (4:30)でも、打ち込みSynth-Bと生Drsのリズム隊に、FredのVoがメインで、女性コーラスがサブな曲ですが、シンセの音色とかフレーズが何故かDevoっぽい。 ★B3 “Nip It In The Bud” (3:32)は、最初のG一髪、カッコ良いビート感のある曲で、CindyのVoやGのフレーズもイカしています。しかし、こんなにG弾きまくっている曲はB-52’sには珍しい。 こうして聴いてみると、ファースト辺りの曲と印象がかなり違います。唯一、今までのキッチュさを感じたのは、タイトル曲のA3ですね。かと言って、Talking Heads色/アフリカン色もそんなに感じませんでした。リズム隊はタイトでしっかりしており、ダンス・ミュージックとしては成立していますので、ご安心を!大雑把に言ってしまうと、友達のパーティ・バンドが大ホールのダンス・バンドになった?と。そこら辺の楽器の音色とかアレンジの妙は流石、David Byrneプロデュースと言うところでしよう。ただ、個人的には、あの紛い物っぽいアメリカンなキッチュさが好きだったので、少々残念な気もしました。まあ好き嫌いは分かれるとは思います! https://youtu.be/A_wg-4A05mc?si=Po_9PxGf7n-aEuXt [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLkeXnBQNUnE25PsQ68wCiaRGM1RWKnJDe&si=nSzhMhGLTNS-mqt2 #TheB-52’s #Mesopotamia #WarnerBrosRecords #ThirdAlbum #Mini-Album #NewWave #SynthPop #CindyWilson #FredSchneider #KatePierson #RickyWilson #KeithStrickland #Producer #DavidByrne #Guests #YogiHorton #RalphCarney #RobertoArron #DavidBuck #CharlesRocket #SteveScales
New Wave / Rhythmic Music Warner Bros. Records 1400円Dr K2
-
Devo “Oh, No! It's Devo”
またまた、ヤフオクで競り落としました。Devoの5枚目のスタジオ・アルバム”Oh, No! It’s Devo”です。ここら辺のDevoには当時、関心が薄れていたこともあって、買っていませんでしたので、まあ、Devoが私(達)にとって何者だったのか?も知りたくて、今更ながら聴くことにした訳です。前回、次のアルバム”Shout”を聴いていた訳ですが、その時に思ったのは、「漸く、時代がDevoに追い付いた」でした。これはDevoの歩みが遅くなったのか?それとも我々の歩みが早くなったのか?は分かりませんが、漸く、普段見聞きするポップスのレベルが、1980年代前半のDevoを理解可能なレベルまでになったのではないかと思いました。では、今回はどうでしようか?楽しみですね。後、1990年代に聞いた噂ですが、ある方が「Devoを日本に呼んでくれませんか?」と、あるプロモーターに尋ねた所、「Devoねぇ、、、う〜ん」と渋ったとか。この逸話もDevoの立ち位置らしいなぁと、その時は思いました。まあ、それは別として、2023年暮れには、Super Dommuneで、Devoの特集も組まれていましたので、Devoって、時代によって、その評価が変わり易いバンドなんだと思います。 本作品の参加メンバーは、変わらず、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Synth-B, Kbd), Bob Mothersbaugh (Lead-G, Vo), Bob Casale (Rhythm-G, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)の5人で、その他にAnnerose Bücklers (Back-Vo [B6])がゲスト参加しています。内容的には、A面5曲/B面6曲となっており、前作からシンセを大々的に導入していますね。それでは、本作品収録の各曲について紹介していきます。 ★A1 “Time Out For Fun” (2:48)では、シーケンスと生Drsに合わせて、Devo流のシンセのリフとVoが乗ってきますが、コーラス部分はグーです。 ★A2 “Peek-a-boo!” (3:01)のタイトルは「いないいないばあ」は意味ですけど、そこら辺も含めて、Devoっぽいですね。やはり、シーケンスと生Drsに、ちょい変なアレンジのシンセとVoから成る曲です。 ★A3 “Out Of Sync” (3:34)でも、Bはシーケンスに取って代わられ、それに生Drsで、曲の殆どでシンセが使われていますが、コード進行がDevoっぽいですね。 ★A4 “Explosions” (3:01)では、アレンジがDevo的で、中々楽しめる曲です。GeraldはBを弾いているみたいですし、コーラスワークなんかも楽しいです。 ★A5 “That's Good” (3:23)は、如何にもDevo的なリズム隊と、簡素なシンセのリフと恐らくMarkの独特のVoで、前作との連続性を感じます。 ★B1 “Patterns” (2:57)は、曲の骨格とアレンジが中々Devo的なんですが、曲調はやや悲しげかな?ここで漸く、Gのリフを聴くこと出来て、嬉しい限りです。 ★B2 “Big Mess” (2:42)も、出だしからモロDevoの曲調で、往年のDevoの未発表曲と言っても通用しそうです。個人的には、こう言う曲を待っていた! ★B3 “Speed Racer” (2:38)でも、Voと濁声のコーラスの掛け合いは、往年のDevoを想起させる曲で、チープなシンセのリフも味わい深いです。 ★B4 “What I Must Do” (2:34)も、Devo的なアレンジをビンビンに感じる曲で、Drsとシーケンスによる同期演奏やシンセの音色及びVoのメロディラインが懐かしさすら感じます。 ★B5 “I Desire” (3:13)は、ちょっと正攻法で攻めているシンセポップのようですが、やっぱり一筋縄では行かないのがDevoで、間奏のGソロやコーラスワークなんかもそれっぽいんですよ。 ★B6 “Deep Sleep” (3:24)では、独特のシーケンスと曲調で押し切るDevo流のロックを聴かせてくれます。この曲は、このアルバム前後のMarkの不睡眠症用音楽(“Musik For Insomniaks”等)のアイデアから生まれたのかな?と深読みしてしまいます。 やはり、Devoのここら辺の曲は慣れ親しんでいないことや初期のようにロックのフォーマットでは無く、シンセバンド化している為、リスナーの方が、何だか不完全燃焼な気分になりますねぇ(私だけかもしれませんが)。やはり、初期の破天荒なシンセの使い方や曲の変態性からすると、物足りない感じは残ります。しかし、Devoらしさは、アレンジの細かい所なんかには発見出来ますので、ちょっとは安心します(特にB面)。しかし、どんどんマトモになっていくDevoにちょっと残念さを感じざるを得ません(或いは今回のユニフォームがイマイチだったのかな?)。でも、単にヒット曲が無いと言うだけで、この作品を聴かないのも勿体無いので、気になる方は一度は聴いてみてちょ❗️あと、私が「Devo的」とか言っているのは、一種の変態的アレンジなんかのことですが、ずっとDevoを聴いてきたリスナーさんには何となくわかるかな? B6 “Deep Sleep” [live version] https://youtu.be/rs1KZpFeOSs?si=pmiCKMNstYUf0kEy [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lLguIf2b4kjbqNgUZBX0rlaH6AITRZAxU&si=0XXtxSTqmcImb8Kv #Devo #OhNo!It’sDevo #WarnerBrothRecords #5ThStudioAlbum #ElectroPop #NewWave #SynthRock #Synthesizers #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #Bob1号 #BobCasale #Bob2号 #AlanMyers #AnneroseBücklers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth Records 1000円Dr K2
-
The No Comments “Psychedelic ‘C’”
私は、このバンドの名前は聞いたことはあるんですが、どう言うバンドかは、全然知らなかったので、「まあ、一度、聴いてみよう」と思い、本作品”Psychedelic ‘C’”を買ってみました。(敬称略).The No Commentsは、関西のバンドで、元々はAunt Sallyの丸山孝 (Drs)と中岡義雄 (B)が、1979年に結成したバンドで、その時は、明石昌人(G)達を加えた4人編成で活動しています。INU、のいずんずり、ウルトラ・ビデ等と対バンして、日本語のオリジナル曲を演奏しています。リーダーの佐原一哉 (Kbd)は、「京都黒人会」と言う黒人に憧れている京都在住の若手音楽家の寄り合いサークルの発起人でもあり、その影響で、バンドはスカ・ニューウェーブへと傾倒していったようです。それで、1979年秋に中岡が脱退し(恐らく、丸山も脱退し、Drsは西岡潤一郎に)、野田達哉がVoからBにパート・チェンジし、佐原と野杁秀二が再加入、それを機に、Voとして山崎憲、川嶋晃教、中島律子も加入し、8人編成のバンドとなり、音楽性が変わります。そして、彼等は、日本初のスカ・ニューウェーブ・バンドとして名を馳せ、同年大晦日の京大西部講堂でのイベント”REVO ‘80”に出演、Friction、不正療法、グンジョーガクレヨン、突然段ボール等と対バンしています。1980年4月29日から5月2日の間、法政大学学館ホールにて行われたイベント”Imaging kids garage”に、ジグザグ、INU、だててんりゅう等の関西勢とともに出演し、S-KEN、ハルメンズ、イヤミ、CHACHA'82等とも対バンしています。同年6月には、来日したThe Specialsの前座も務めており、また同年、来日したMadnessの日比谷野外音楽堂ライヴでのオープニング・アクトも務めています。そうして、同年12月に、ビクター音楽産業傘下のInvitationより、ファースト・アルバム”No Comments”をリリースし、メジャー・デビューしています。このアルバムでは、”ひょっこりひょうたん島”のカバーをスカでやっています。1981年4月5日には、日比谷野外音楽堂でのイベント”100円コンサート”に出演し、ARB、アナーキー、ロッカーズ、ルースターズ、シルバースターズ等とも対バンしています。同年9月、大村憲司がプロデュースしたセカンド・アルバム”東京ガール”をリリースし、表題曲”東京ガール”はシングルカットされ、早過ぎたスカコア歌謡として再評価の声も高いらしいです。しかしながら、音楽性の違いにより、野田、山崎、明石、野杁が脱退してしまい、野田と山崎は、玉城宏志、安藤”アンディ”文雄、神田ヒデヒロ、望月ジュンコの4人と共に、アーバン・ニューウェイブ・ファンクをコンセプトとするノンカテリアンズを結成しています。1982年には、ノンカテリアンズが本格的に活動を始めますが、残ったThe No Commentsは、同年1月21日に、本作品でもあるサード・アルバム”Psychedelic ‘C’”をビクター傘下のInvitationからリリースしていますが、このアルバム制作時には、川嶋、西岡、野田、山崎、明石、野杁、山崎、会長、りつこがまだ在籍中でした。The No Commentsは、同年12月には大阪バラードでのイベント”千年王国の夜”に出演し、ゲルニカ、Spoil、佐藤薫(EP-4)、Animal-Z等と対バンしています。なお、The No Commentsにもノーカテリアンズにも入っていなかったメンバーは、ノカメ[NO, KA, ME]を結成し、後にコンフントココアーズと改称しています。1983年には、The No Commentsのリーダー佐原が河内家菊水丸と交流を深め、その内、河内音頭に傾倒し、菊水丸のバックバンドとして、1984年に結成した河内家菊水丸&エスノ・リズム・オールスターズでの活動に重点を置くうちに、The No Commentsは自然消滅しています。 以上が、The No Commentsのバイオグラフィーになります。先述のように、本作品は、分裂後にリリースされたものですが、アルバム制作時のメンバーは、Ken Yamazaki (山崎憲: Vo, Sax), Ritsuko Nakajima (中島律子: Vo, Sax), Atsunori Kawashima (川嶋晃教: Vo), Kazuya Sahara (佐原一哉: Kbd, Cho), Tatsuya Noda (野田達哉: B), Masato Akashi (明石昌人: G), Junichiro Nishioka (西岡潤一郎: Drs)で、ゲストとして、Shuji Noiri (野杁秀二: G), Hiroshi Muraji (Alto Sax, Tenor Sax), Kenji Sato (Tenor Sax, Bass Sax), Hideki Mitsumori (Kbd)も参加しています。内容はA面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Psychedelic Boogie (サイケデリック・ブギ)”は、ちょっとだけスカっぽいリズムに、何となく惚けた歌詞を女性Voが歌い、男性のコーラスが絡む曲です。 ★A2 “Pink Flamingos (ピンク・フラミンゴ)”は、ファンク調のドコドコしたDrsがダンス・ミュージックで、そこにスラップ奏法も魅せるBや多重化されたSaxが絡む曲で、やはりやや惚けた歌詞の女性Voを聴くことができます。 ★A3 “Radio Atlantis (ラジオ・アトランティス)”は、ダンサブルなリズム隊に、マンドリンらしき哀愁のメロディ及び感情たっぷりな男性VoとラジオDJのような女性Voの掛け合いが効果的な曲です。 ★A4 “Jungle Night (ジャングル・ナイト)”は、SaxやGやオルガンのイントロから、強力なリズムとコケティッシュな女性Voが続くスカっぽい歌謡曲です。 ★A5 “Oikimuchi March (オイキムチ・マーチ)”も、ダンサブルなスカっぽい歌謡曲で、焼肉応援な歌詞を男性Voが歌っています。リズムは基本的にスカなんですが、余りその影響を感じさせないですね。Saxも良い塩梅です。 ★B1 “Mezurashi (珍)”は、一転、スローでジャジーな曲かと思うと、いきなりアップテンポなスカっぽいリズムになります。「軽快な」とは、この曲の為の言葉ですね。 ★B2 “Dance Market”は、強力なリズム隊とSax隊から成るダンサブルな曲で、男性Voが割と真面目な(?)歌詞を歌っています。ノリノリですが、いきなり終わります。 ★B3 “Uwakina Sailor (浮気なセイラー)”も、スカっぽいリズムの上で、女性Voがニューウェーブな歌詞を歌っている曲です。アレンジもニューウェーブですね。 ★B4 “Seikimatsu Mania (世紀末マニア)”も、強力なリズム隊と男女のVoが活躍するダンサブルな曲ですが、所謂、ニューウェーブ歌謡曲的なノリですね。終わり方にピアノを使ったギミックが差し込まれています。 総じて、スカのリズムを日本語歌詞向けに上手くアレンジしたニューウェーブ歌謡曲と言った印象なのですが、当時はこう言うバンドあったよなぁ!と納得してしまいますね。まあ、サイケデリックではないですが、アレンジ力が卓越していて、英国Two Tonesの様な、もろスカと感じさせずに、ダンサブルなリズムを繰り出すのには驚きました。そんな1980年代のダンサブルなThe No Comments、如何ですか? A3 “Radio Atlantis” https://youtu.be/AVJ6ufgp5HE?si=RspbGf7YF167G1FD [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lO63Tit6kLAn0NgsfY8YZtVWoDL_Qjff0&si=45YX6nuID8-ctPxw #TheNoComments #PsychedelicC #Invitation #3RdAlbum #JapaneseBand #NewWave #Ska #DanceMusic #KenYamazaki #山崎憲 #KazuyaSahara #佐原一哉 #TatsuyaNoda #野田達哉 #RitsukoNakajima #中島律子 #AtsunoriKawashima #川嶋晃教 #MasatoAkashi #明石昌人 #JunichiroNishioka #西岡潤一郎 #Guest #ShujiNoiri #野杁秀二 #HiroshiMuraji #KenjiSato #HidekiMitsumori
New Wave / Pop Music Invitation 782円Dr K2
-
Bill Nelson “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“
今回は、Be-Bop Deluxe〜Red Noiseと良質なポップ・ミュージックを作り続けてきたBill Nelsonのソロ作品として4作目”The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“をご紹介します。どうも調べてみると、前者単体1枚だけのものと、2枚組み仕様のものがあるようです。今回は、後者の2枚組みの方をご紹介します。その前に、Bill Nelsonのソロ・アーティストとしてのバイオグラフィーについて、ご紹介しておきます。Bill Nelsonは、英国YorkshireのWakefield出身で、弟Ian Nelsonとは、Be-Bop Deluxeの名曲”Ships In The Night”を共作し、Flat Lux成るバンドも結成しており、1979年には、Ian Nelsonは、Red Noiseの”Sound On Sound”にも参加して、更に、2004年のBill Nelson & The Lost Satellitesのツアーにも参加しています。話しを戻しますと、Bill Nelsonは、地元のWakefield College of Artに通っていましたが、その時には、詩人で映像作家でもあるJean Cocteauに興味を持っており、同時に、ミュージシャンとしては、ギタリストDuane Eddyに影響を受けていました。Nelsonの最初のレコードは、Brian Calvert, Chris Coombs, Ted Hepworth, Mike Levon and Brian Wilsonと制作したアルバム”A-Austr: Musics from Holyground”です。その後、1971年にAstral Navigations のアルバム”Lightyears Away”にも参加、このアルバムで、アシッド・ロック・スタイルでの演奏で、重要な役割を果たします。Nelsonは、1973年に、ファースト・ソロ・アルバム”Northern Dream”を自身のレーベルSmileからリリースし、BBCラジオのDJ John Peelの気を引いたこともあって、彼のバンドBe-Bop Deluxeは、EMIの傘下Harvest Recordsと契約し、1974年に、Be-Bop Deluxeのアルバム”Axe Victim”をリリースしています。翌年には、オリジナル・メンバーを入れ替えて、セカンド・アルバム”Futurama”をリリースします。この時のメンバーBill Nelson (G), Andrew Clark (Kbd), Charlie Tumahai (B), Simon Fox (Drs)で、1976年にアルバム”Sunburst Finish”と”Modern Music”の2枚を、1977年には、ライブ・アルバム”Live! In The Air Age”をリリースし、1978年には、このメンバーでの最後のアルバム”Drastic Plastic”を出しています。Nelsonは、固定メンバーでの演奏や録音に困難さを覚え、アルバム”Drastic Plastic”のインスト曲では、Foxの叩いたDrsをループさせて、Nelson (A-G)とClark (Kbd)だけが演奏すると言う実験的な録音も行っています。また、以降のソロ作品ではアンビエント調になっていきます。1983年のInvisibility Exhibitionツアーでは、こうやって作ったバックトラックに合わせて、Bill Nelson (G)とIan Nelson (Sax)が演奏する形態で行っており、後にアルバム”The Chamber of Dreams”としてもリリースしています。この方法は、2003年作と2015年作のソロアルバム”Painting With Guitars”シリーズや2007年作”And We Fell into A Dream”でも使われています。そうして、1978年秋には、TumahaiとFoxを解雇し、Be-Bop Deluxeを解散します。そして、新バンドRed Noiseを結成し、1979年2月にアルバム”Sound On Sound”をリリースします。ただ、Harvest側は、Red Noiseのセカンド・アルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”のリリースには難色を示し、お蔵入りしてしまいます。その頃、Nelsonは、プロデューサーのJohn Leckieと知り合い、またパンクバンドThe SkidsのStuart Adamson (G)とRichard Jonson (Vo)とも親交を深めています。マネージャーのMark Ryeは、Harvestと話合い、Nelsonの未発表曲を一部を、RyeとNelson自身のレーベルCocteau Recordsからリリース出来るようにしており、シングル”Do You Dream in Colour?"をリリース、BBC1ラジオもこれを掛けまくって、英国シングル・チャートで52位まで行きます。それで、大手のPhonogramが版権を買い取り、1981年にアルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”をMercury Recordsから出しています。このアルバムは宅録された実験的アンビエントのインスト曲”Sounding The Ritual Echo (Atmospheres for Dreaming)”もボートラで収録されています。そして、次のアルバム”The Love That Whirls”を出しますが、このアルバムには、Jean Cocteauの1946年作映画”La Belle et la Bête/Beauty and the Beast”のサントラ盤も付いています(これが、本作品となります)。同時に、Cocteauの”Das Kabinet”のサントラや、Robert Wieneの映画”The Cabinet of Dr. Caligari”のサントラも制作しています。その後、Nelsonは、この時期に膨大な数のシングルやアルバムをCocteau Recordsより出しています。そうして、Nelsonは、実験的エレクトロ・ミュージックから成る4枚組みLPsボックス”Trial by Intimacy (The Book of Splendours)”やアンビエントの2枚組みアルバム”Chance Encounters in the Garden of Lights”を、更には、1989年にも4枚組みCDボックス”Demonstrations of Affection”も出しています。この頃には、英国ニューウェーブにも、彼の名が知られ、Gary Numanは好きなギタリストとして、Nelsonを名を挙げており、また、David Sylvianの1986年作アルバム”Gone to Earth”にもゲスト参加したり、1987年放映のTVドラマ”Brond”にも曲を提供しています。また、1980年代には、CBS Records傘下のPortrait Recordsは契約上のミスから、アルバム”Getting the Holy Ghost Across” (米国題名 “On a Blue Wing”)を出し損ねたりした為か、Nelsonは、1980年代後半は、Enigma Recordsと契約していますが、1980年代には、彼は、離婚や印税問題、マネージャーとのシビアな著作権問題、またはマネージャーが勝手に未発表アルバムをメールオーダーで売っていた問題等で、精神的にも参ってました。しかし、1992年になると、4本のギターと2台のドラムで作ったデモ音源からアルバム”Blue Moons”と”Laughing Guitars”をVirgin Recordsからリリースしています。そうして、宅録ワークから4CDs+2CDs作品”My Secret Studio”と6CDs “Noise Candy”をリリース、同時に、彼は、Rodger EnoとプロデューサーのKate St Johnとで、アルバム”The Familiar”を制作。これがキッカケで、アンビエントのスーパー・グループChannel Light Vesselを結成しています。1995年に、Nelsonは、2枚の趣向の異なるアルバムを出します。一つは、インスタレーションに使うようなアルバム”Crimsworth (Flowers, Stones, Fountains And Flames)”を、もう一つは、ギターでのインスト・アルバム”Practically Wired, or How I Became... Guitarboy! ”です。そして、翌年には、NelsonはBとDrsと共に、David Bowieから影響を受けたアルバム”After The Satellite Sings”を制作しています。翌年1996年までに、先述のマネージャーとのトラブルは解決し、晴れて、アルバム”Simplex”を2001年と2012年にリリースすることができました。また、1990年代後半に、Nelsonは、レーベルPopuluxeを立ち上げ、Robert FrippのDiscipline Global Mobileと配給を協力しますが、次第に低迷していきます。それで、1998年に、彼の新レーベルでは最後になったアルバム”Atom Shop”をリリースしています。まだまだ、2000年以降も活動しているのですが、長くなり過ぎるましたので、この位で辞めておきます。 それで、本作品なのですが、LP1 “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart)”では、ほぼ全ての楽器をBill Nelsonが演奏しています(Casio MT 30, Synth [Casio VL-1, Mini-Moog, ARP Omni String Machine], Marimba, Autoharp, Drum Machine [Roland TR808], Effects [Fostex 3050 Digital Delay, Eventide 910 Harmonizer, Marshall Time Modulator, MXR Phase 100])。そうして、両面とも6曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 LP1: The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) ★A1 “Empire Of The Senses”は、リズムマシン(通称「ヤオヤ」)を用いたノリの良い曲で、ファルセットも混じえたVoが程良いスパイスになっています。マリンバのフレーズも小気味良い! ★A2 “Hope For The Heartbeat”は、やや中華風のメロディの曲で、正直、YMOなんかよりも良い感じに仕上がっています。ベースラインはミニマルです。 ★A3 “Waiting For Voices”は、ゆったりしたシンセの波から成るインストの小曲です。 ★A4 “A Private View”も、良質なポップ・ミュージックで、シンセやドラムマシンのアレンジが秀逸です。間奏のギターソロも伸び伸びしていて良い感じです。 ★A5 “Eros Arriving”は、疾走感あるドラムマシンで始まる曲ですが、途中で中華風のサビやファルセットVoも挟んで、飽きさせないですね。 ★A6 “The Bride Of Christ In Autumn”は、目一杯シンセとかエレピなどを使った豪華なインストの小曲で、リズムに逆回転のパルスを用いてます。 ★B1 “When Your Dream Of Perfect Beauty Comes True”は、カッコ良いリズムマシンとシーケンスに、軽やかなマリンバが踊るインスト曲で、それに絡むシンセもまた良いです。意外とミニマル。 ★B2 “Flaming Desire”は、重めで強力なリズムマシンを中心に、NelsonのVoも良くマッチしており、また脇を固めるシンセも捨て難いリフで、カッコ良いです。 ★B3 “Portrait Of Jan With Flowers”では、如何にもなリズムマシンの音と、2台分のピアノの絡みが美しいインストの小曲に仕上がっています。 ★B4 “The Crystal Escalator In The Palace Of God Department Store”も、独特のパターンのリズム隊に、ギターとシンセが乗って、バックを固め、そこに乗る落ち着いたVoも効いています。 ★B5 “Echo In Her Eyes (The Lamps Of Oblivion)”も、ゆったりしたシンセによる小曲で、これはアンビエントと言ってもよいのでは? ★B6 “The October Man”は、スケールのデカい曲で、テンポ、ギター、打ち込み、シンセ、Vo、どれを取っても完璧で、心地よいポップ・ミュージックです。 この1枚を聴くだけで、如何にBill Nelsonが音楽好きかがよく分かります❗️そして、それを具現化するだけのテクとセンスと機材を持っていたと言うのも重要な点です。それと、音が結構詰まっているようにも思えるのですが、聴いている時は、そんなゴチャゴチャな感じは無く、スッキリと聴くことが出来るので、彼のアレンジ力も侮れないなと思いました。と言う訳で、この1枚だけでも、是非聴いてみて下さい‼️ では次に、本作品の付録的な2枚目よサントラ・アルバム”La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast/ 美女と野獣)”を紹介していきましょう。こちらは、C面9曲/D面18曲が収録されていますので、1曲ずつの紹介ではなくて、全体の紹介をしていきたいと思います。The Residentsの”The Commercial Album”の如く、短いけれどもメロディやハーモニーのある曲や小鳥の鳴き声や馬の足音等がバックで聞こえる曲が詰まっています。メロディのあるものが多いですが、中には一瞬で終わるSE的な曲(?)もあります。ここら辺のコンパクトでもちゃんと聴かせるセンスが流石としか言いようがありませんね。音楽の方もそうですが、これがサントラとして使われた映像作品の方も観たくなりますね。 LP2: La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast) C1 “Overture” C2 “The Family” C3 “Sisters And Sedan Chairs” C4 “In The Forest Of Storms” “The Castle” C5-A “The Gates” C5-B “The Corridor” C5-C “The Great Hall” C5-D “Dreams (The Merchant Sleeps)” C5-E “Fear (The Merchant Wakes)“ C6 “The Rose And The Beast” C7 “Magnificent (The White Horse)” “Beauty Enters The Castle” C8-A “The Door” C8-B “The Mirror” C8-C “Candelabra And Gargoyles” C9 “Beauty And The Beast” D1 “Transition No. 1” D2 “Transition No. 2” D3 “The Hunt” D4 “The Gift” D5 “The Garden” D6 “Transition No. 3” D7 “Transition No. 4” D8 “The Tragedy” D9 “Transition No. 5” D10 “The Enchanted Glove” D11 “Tears As Diamonds (The Gift Reverses)” D12 “The Beast In Solitude” D13 “The Return Of Magnificent” D14 “Transition No. 6 (The Journey)” D15 “The Pavilion Of Diana” D16 “Transformation No. 1” D17 “Transformation No. 2” D18 “The Final Curtain” と言う訳で、音楽に取り憑かれた天才Bill Nelsonの4作目のアルバム”The Love That Whirls”と、映画「美女と野獣」のサントラを聴き直してみましたが、やはり彼の才能には当てられてしまいました❗️Be-Bop DeluxeやRed Noiseも良いですが、ソロ作品も彼独自の「美学」があって良いです。なので、皆さんも是非とも聴いてみて下さい❗️ [LP1: full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l45KW5UxyIppGrMRu-G06X_orG7qFl2RE&si=wZjLsLnySJQRiRBK C5 “The Castle” https://youtu.be/Xi8nfST_cDY?si=wuvz8lR8xTckC3Fj D17 “Transformation No. 2” https://youtu.be/fNx0iz-UBb4?si=iSXotIBXHI7UtxZJ D18 “The Final Curtain” https://youtu.be/ts9WcfN9Jpo?si=uO57Nxjblbq0Qztd #BillNelson #TheLoveThatWhirls #DiaryOfAThinkingHeart #LaBelleEtLaBête #BeautyAndTheBeast #MercuryRecords #SoloAlbum #4ThAlbum #CompleteSolo #Multi-Instrumentalist #PopMusic #Electro #Soundtrack #Guitar #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #Instrumental
Electro Pop MERCURY Records 不明Dr K2
-
細野晴臣 (Haruomi Hosono) “フィルハーモニー (Philharmony”
やっと入手しました!細野晴臣氏のソロアルバム”フィルハーモニー (Philharmony)”で、純粋なソロアルバムとしては5作目になります。このアルバムはヤフオクでも高値で取引されていて、中々、入手困難でしたが、やっと落札出来ました。私は、YMOはそれ程好きではないですが、唯一好きなアルバム”BGM”の中でも、細野晴臣氏の曲(“Rap Phenomenon [ラップ現象]”と”マス [Mass]”)が大好きだったので、多分、私の中で細野晴臣氏は別格化されたのかも知れませんね。それで、今回は、ゲストに、Hajime Tachibana (立花ハジメ), Kazuhiko Katoh (加藤和彦), Keiko Shinozaki, Koji Ueno (上野耕路), Masayoshi Sukita, Moro, Namu, Ume, Yukihiro Takahashi (高橋幸宏), Yukimasa Okumuraを迎えて制作されていますが、誰がどの曲で何を担当していたのか詳細は不明です。 と言う訳で、本作品の内容について紹介していきます。 ★A1 “Picnic (ピクニック)”は、不明瞭なシンセの調べから始まるワルツのリズムの曲で、サンプリングした声をリズムに乗せたり、シンセと重ねたりと色々試しています。 ★A2 “Funiculi Funicula (フニクリ, フニクラ)”は、童謡をテクノでやったと言う曲ですが、歌詞は日本語で、結構、シーケンスが1980年代的で懐かしい感じです。 ★A3 “Luminescent / Hotaru (ホタル)”は、ガムランっぽい打楽器音をシンセで作って、簡素なシンセとヴォイスが色を付けると言った曲で、ミニマルですね。 ★A4 “Platonic (プラトニック)”は、ドラムが入って、多層的なシーケンスとサンプリングVoから成るミニマルな曲ですが、ガヤガヤした人の声がVo代わりに使われています。 ★A5 “In Limbo (リンボ)”では、多層的シーケンスによるミニマルな曲で、ドラムは使われていません。若干、ワールド・ミュージックっぽい雰囲気を感受出来ます。 ★B1 “Living-Dining-Kitchen (L.D.K.)”は、YMO的なドラムとシーケンスと英語Voの入った曲ですが、まあ可もなく不可もなくと言った印象です。 ★B2 “Birthday Party (お誕生会)”は、金属製の打楽器らしき音と合成音から作られた不思議なリズムの曲で、女性Vo/語りが薄ら乗った実験性を感じられます。 ★B3 “Sports Men (スポーツマン)”では、ドラムとベース・シーケンスと英語Voから成る曲で、ややハツラツとしていますが、何となく陰キャな(?)曲です。 ★B4 “Philharmony (フィルハーモニー)”は、多層的なシンセの小気味良いリズミックなシーケンスから成る曲ですね。ある種の実験性を感じます。 ★B5 “Air-Condition (エア・コン)”では、シンセによる波状の音を中心に、不明瞭なメロディが壮厳に鳴り響きます。バックには微かなパルス音も! と言う訳で、聴いてみて、如何にもYMO的な曲も多少混ざってはいますが、殆どの曲にマテリアリズムとミニマリズムなどの先見性/実験性を受け取ることが出来て、充分に楽しめました。 この頃に、既にミニマルなコード進行を持って、ポップミュージックの範囲内で曲を構築することを実践していたのは凄いですね。それと、シンセとコンピュータの可能性を追求していたのも先見の明があると思います。なので、ポップ・ミュージックの辺境まで行ってしまった細野晴臣氏の心意気を感じ取って下さい❗️ A2 “Funiculi Funicula (フニクリ, フニクラ)” https://youtu.be/d-Huc4cXz-E?si=dz3VEy93ENwluu9q [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL4NXUZspQ7Bx_wqpSolNJhigWew9f4icA&si=YcazPPHsHC11oSk8 #細野晴臣 #HaruomiHosono #フィルハーモニー #Philharmony #YenRecords #AlfaRecords #SoloAlbum #5ThAlbum #ElectroPop #Experimental #YellowMagicOrchestra #HajimeTachibana #KazuhikoKatoh #KeikoShinozaki #KojiUeno #MasayoshiSukita #Moro #Namu #Ume #YukihiroTakahashi #YukimasaOkumura
Electro Pop / Experimental Yen Records (Alfa Records) 5775円Dr K2
-
Ryuichi Sakamoto & Robin Scott “The Arrangement”
このミニアルバムは、特に意味も無く、Yellow Magic Orchestra (以下、YMO)関係の作品が聴きたくなって、思わずヤフオクでポチった作品なんです。しかしなが、現在(2023年11月)、ご存命なのは細野晴臣氏だけと言う、何とも悲しい事態になっていますが、取り敢えず、聴いてみようと思いました。今回は、YMOの坂本龍一氏と1980年頃にM名義で世界的に大ヒットした曲”Pop Muzik”を飛ばしていたRobin Scott氏のコラボ・ミニアルバムとなっています。まあ、この頃は2人ともイケイケでしたね。バイオグラフィーについては、私が書くまでも無く、詳しい方もいらっしゃると思いますし、以前にも書いたと思いますので、ここでは、省略させて頂きます。本作品は、1981年7〜8月と1982年4月に東京のAlfa Studio “A”と、1981年10月にロンドンのRoundhouse Studioとで録音されており、その際には、3M D.M.S. Digital Recording Systemが用いられたとのことです。それでは、本作品の各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “The Left Bank”は、多分、Robin Scottの人間臭いVoと坂本龍一氏のミニマルなピアノとから成るビートの効いた曲ですが、2人のイメージとは違った結果になっています。 ★A2 “The Arrangement”は、重いビートと分厚いシンセから構成された曲ですが、途中でいきなりScottの語りとシンセだけのブレイクになってビックリしますが、相変わらず、ScottのVoはUKポップスのそれですね。 ★B1 “Just About Enough”も、ScottのVoとゴージャスなコーラス及び弾むリズム隊が際立つダンス・チューンになっており、確かに坂本氏のシンセも聴取できるのですが、うん〜どうも存在感が薄いです。 ★B2 “Once In A Lifetime”は、一転して、民族音楽調のリズムと、合っているか外しているか分からない男女のVoで構成された曲ですが、途中からリズムマシンが入ってきて、マニアックなギターやシンセのソロも聴取できます。 個人的な印象から言うと、全体にRobin Scott色が強く、坂本龍一氏の良い所が余り出ていないように感じました。やはり、世界のMは凄いのかな? この頃なら、坂本龍一氏ももっと前面に出て良かったのではと思ってしまいます。そんなミニアルバムですが、ポップ・ミュージックとしては良く出来ているので、気になる方は是非一聴してみて下さい❗️ [Lexington Queen] https://youtu.be/1SeiHhsC1ds?si=C-hVXczNKBoAs9LL [full album] https://youtu.be/FxENrTAq52E?si=YL0GvF_xmwsFVDiF #RyuichiSakamoto #RobinScott #TheArrangement #AlfaRecords #Mini-Album #Collaboration #PopMusic #Electronic #坂本龍一 #M #Synthesizers
Electro Pop Alfa records 1500円Dr K2
-
Hermine “The World On My Plates”
今回は、ベルギーの歌姫Hermine (「エルミーネ」或いは「エルミン」と発音?)のファースト・ミニアルバム”The World On My Plates”をご紹介しましょう。これも発掘ものです。先ずは、彼女のバイオグラフィーから書いてみたいと思います。Hermineの本名はHermine Demorianeで、仏語シンガー/作家で、その前には綱渡り師でもあります。もう少し詳しく書きます。1960年代には、彼女は、ヒッピー・マガジンInternational Timesに記事を投稿しており、1970年代初頭には、サーカスとかで綱渡りをする仕事をしており、COUM Transmissionsとかとも共演していたり、演劇Copi作の演劇”Goodbye Mister Freud”では、Chaosの役で、出演し、歌ったりしています。彼女が公で初めて歌ったのは、1974年で、綱渡り中に歌ったNick Loweの"I Won't Make It Without You"らしいです。また、1978-1980年には、彼女は、3作の演劇の台本を書いています(“Lou Andréas Salomé”と“He Who Is Your Lord Is Your Child Too”及び”The Knives Beside the Plates”)。1976年には、彼女はThe Subterraneans (Nick KentとプレThe Damnedメンバー)と共に2回程、コンサートで競演して、更にNick KentとPeter Perrett (The Only Ones)と一緒に録音までして、その音源はシングル盤としてもリリースされています。このシングルに興味を持ったのが、David Cunningham (Flying Lizards)で、それが縁で、彼女のファースト・シングル”Torture”を出しています。また、1980年10月〜1981年まで、Sohoでの老舗カフェシアターThe Comic Stripで幕間の音楽を担当したりもしており、それに加えて、彼女は、パフォーミング・アートを企画したり、出演したりしています。1982年には、John Maybury作”Court of Miracles (奇跡の宮殿)”に出演、また1986年にもLondonの映像作家Anna Thew作”Hilda Was a Goodlooker”にも出演しています。その一方で、ベルギーのレーベルCrammed Discsが、彼女の6曲入りミニアルバムで本作品でもある”The World On My Plates”をリリースしていますが、ジャケには、Richard Rayner-Canhamによる有名な写真が使われています。その後2年間は、彼女はツアーをしており、1984年7月に、セカンド・アルバム”Lonely at the Top”を自身のレーベルSalomé Recordsよりリリース。これと対になるアルバム”Who'll Come Walking”は、スイスで録音をし直して、2008年にリリースされています。1984年以来、彼女は殆ど録音の時間が取れませんでしたが、TV番組French & SaundersとAbsolutely Fabulousの視聴者は、彼女が仏語アクセントで語るのを聞いたり、観たりしていたとのこと。また、2008年5月の仏のl'Oiseでの自転車レースの時や同年6月のLondonのGlassHouseでのAndrew Loganのサマーセールの時に、彼女が歌ったとのことです。 Hermineの活動歴は以上ですが、調べてみると、意外とアクティブで自由奔放な方でしたね。それでは、彼女のファースト・ミニアルバム”World On The Plates”の収録曲を紹介したいと思います。なお、この作品は、同時に日本盤もリリースされており、また、2006年に英国のLTM RecordingsによってCDとして再発された際には、大幅に未発表曲が追加されています(下記のcomplete full albumはそう言う意味です)。この作品には、Hermine (Vo)の他に、Graham Painting (Cello, B, Perc [A2,A3,B1]), Simon Brint (Piano, Organ [A2, B1]), Ian Kane (Piano, Organ, G, Perc [A1, A3]), Ellie Ling (Cello [A1]), Rod Melvin (Piano [B1, B2]), Dave Brooks (Sax [A2]), Max Paddison (Piano [B3])が参加しています。 ★A1 “Happy Holidays”は、ややエスノチックなパーカッションと繊細なピアノの調べに、Hermineの生の仏語訛りのVoが乗る心地良い曲です。 ★A2 “The Thrill Is Gone”は、シャレ乙な雰囲気のSaxとピアノから成る「大人」な曲で、シャンソン風にHermineが歌い上げています。 ★A3 “Waiting”では、教会音楽風のオルガンをバックに、Hermineがシアトリカルに歌っています。後半はピアノやチェロのバックになります。 ★B1 “I Won't Make It Without You”でも、リリカルなピアノとチェロをバックに、不安定なHermineが歌う歌が返って沁みますね。ベルギーのNico? ★B2 “Too Many Men In My Life”も、遊び心のある、やや陽気なピアノとHermineのシアトリカルな歌が堪能できます。 ★B3 “Blue Angel”は、ピアノとHermineの歌から成りますが、敢えてホワイトノイズを入れて不鮮明に録音している為、終戦直後のラジオを聴いているようです。 Hermine自身は、決して歌が上手いと言う訳ではなく、何か聴き入ってしまうようなマジックが彼女にはあるように思えます。多分、それまでに、彼女が経験したことが影響しているのでは?と思います。それと、彼女の声質がややハスキーなのも魅力だと思います。なので、偶には、こう言ったラウンジっぽい音楽も良いのではないでしようか❗️ A1 “Happy Holidays” A2 “The Thrill Is Gone” A3 “Waiting” B1 “I Won't Make It Without You” B2 “Too Many Men In My Life” B3 “Blue Angel” B2 “Too Many Men In My Life” https://youtu.be/5pRoABoA3e8?si=Bl8f_KWhlDszwC0L [complete full album from reissued CD] https://youtube.com/playlist?list=PLMc2YZl8J2147Cwei9ykF4odq4ks6L0iq&si=vCPpuU1iULBtiDpl #Hermine #TheWorldOnMyPlates #CrammedDiscs #FirstAlbum #Mini-Album #Belgium #Lounge #NewWave #FemaleVocal #Singer #Actress #Writer #TightropeWalker #LondonBohemian #GrahamPainting #SimonBrint #IanKane #EllieLing #DaveBrooks #RobMelvin #MaxPaddison #HermineDemoriane
Lounge / New Wave Crammed Discs 不明Dr K2
-
The Danse Society “Seduction”
掘り返していたら、こんなのも出てきました。英国のポスト・パンク・バンドThe Danse Societyのファースト・アルバム”Seduction”です。何で購入したのか?は忘れてしまいました。多分、勉強しようと思って、安かったので購入したのではないかと思われます。それで、彼等のバイオグラフィーを書いてみたいと思います。The Danse Societyは、1980年に英国Barnsleyで結成されたポスト・パンク/ゴス・ロック・バンドで、本作品でもあるファースト・アルバム”Seduction”は彼等自身のレーベルDanse Recordsからリリースされています。このアルバムは英国インディー・チャートで高評価だったこともあり、彼等はArista と契約を結びます。この時のオリジナル・メンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)です。セカンド・アルバム”Heaven Is Waiting”をリリースした 1983年以降に、Scarfeが脱退し、代わって元Music For PleasureのDavid Whitaker (Kbd)が加入し、Aristaの元で、2枚のシングル”Say It Again"と"Hold On"をリリースしています。そうして、彼等は古い曲をよりダンサブルでラジオでかかり易い曲にアレンジして再度、録音して、アルバムを制作するとアナウンスしますが、これは作製されませんでした。そして、彼等はAristaを去って、1986年には、Arista最後のアルバム”Looking Through”のリリースの為に、新曲を書いていますが、このアルバムは再び、自身のレーベルSociety Recordsから出しています。その時に、Steve Victor Rawlings (Vo)は、新バンドSocietyを始めますが、他のメンバーは、Johnny In The Cloudsとして活動を続けますが、レコード・リリース等には至っていません。そうして、長い間、The Danse Societyは活動休止していましたが、2009年末に、Paul Gilmartin (Drs), Paul Nash (G), David Whitaker (Kbd)は24年振り会って、The Danse Societyの再結成を約束し、Steve Victor Rawlings (Vo)も賛同しています。その後、9ヶ月以上も掛けて、楽器パートの録音を行なっていますが、2010年10月に、Rawlingは1曲だけヴォーカル・パートを入れただけで、米国に戻ってしまいます。そんなこともあって、残ったメンバーは、2011年1月に、元Blooding MaskのMaethelyiah (Vo)が誘い、全13曲に歌入れを行い、正式にメンバーとして彼女が加入して、アルバム”Change Of Skin”を2011年5月にリリースしています。その後、Martin Roberts (B)が加入して、2013年2月には、アルバム”Scarey Tales”をリリースしています。その1年後に、Gilmartin (Drs)とRoberts (B)が突如、脱退した為、ツアーをキャンセルしています。残ったメンバーは、Iain Hunter (Drs)とJack Cooper (B)を誘い、6枚目のアルバム”IV”を2015年9月にリリースします。その後、Hunterの代わりに、Josh Rylance (Drs)が加入し、EP “FUTUR1ST”を2018年にリリース。その後、Rylanceが脱退したので、代わりにTom Davenport (Drs)が加入、7枚目のアルバム”Sailing Mirrors”を2020年9月にリリース、同年11月には、過去の曲のライブ音源を集めたA-Zアンソロジー・アルバム”40 Years of Danse”もリリースして、2021年には英国ツアーも敢行し、現在も活動しているようです。 それで、今回のアルバム”Seduction”を紹介したいと思いますが、先述のように、このアルバムは彼等のファースト・アルバムで、A面4曲/B面2曲という内容になっています。一応、この時期のメンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)というオリジナル・メンバーです。では、各曲について紹介していきます。 A1 “Godsend”は、ゆっくりとフェイドインしてくるシンセから、Joy Divisionのような16ビートの曲が始まり、曲調もややダークで、モノクロな音楽です。 A2 “My Heart”では、印象的なシンセとエレピに導かれて、サビのドコドコなDrsを含んで、Voは切々と歌い上げています。サビの急かされる感じは良いです。 A3 “Falling Apart”もまた、静謐なイントロから始まり、呪詛のようなVoが聴こえてきて、割とアップテンポな曲が始まります。ディレイを掛けたGやドコドコなDrsが特徴的な曲になっています。 A4 “Danse/Move”は、シンプルなビートに低音シンセが乗ってくる、ダーク・テイストな曲となっています。やはり、DrsとGは印象的です。特にDrsの存在感は凄いです。 B1 “Ambition”は、イントロからしてダークなシンセで始まり、ここだけ聴いたら、ダーク・ウェーブみたいだと思ってしまいます。そうして、タムを多用するドコドコなDrsが始まり、朗々と歌うVoが雰囲気を盛り上げます。 B2 “In Heaven (Everything Is Fine)”も、ピアノの弾き語り調でしっとり始まり、やがて、ディレイを掛けたGをバックに呟くようなVoが入ってきますが、単調なスネアが続いた後で、フェイドアウトして、曲も終わります。 全体を通して感じたのは、タムを多用するDrsと16ビートを刻むハイハットで、これはJoy DivisionのDrsに似ているなと言う点と、Kbdがメンバーになっていますので、その部分についてはやはり強みだと言う点ですね。あと、Voにもう少し個性があったら、良かったかも?と思ってしまうのは、贅沢でしようか? まあ、曲調もダークなので、ゴスの元になったバンドと言われるのも納得です❗️それと、後にVoは、Steven Victor Rawlings (男性)からMaethelyiah (女性)に替わりますが、そこら辺の違いも聴いてみたいですね。Joy Divisionの”Closer”辺りが好きなリスナーさんにはお勧めします❗️ [John Peel Session 1982] https://youtu.be/SaesbzSZqLc?si=DI0A5O4jSyHk69Ta [BandcampのURLも貼っておきます] https://dansesociety.bandcamp.com/album/seduction [full album (complete)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nlSVDVfhroArrYhY0c8QdG3SM7nIzKOJc&si=o9CzisEF4s_O1A69 #TheDanseSociety #Seduction #SocietyRecords #FirstAlbum #PostPunk #GothRock #1982年 #JoyDivision #SocietyRecords #StevenVictorRawlings #PaulNash #LyndonScarfe #TimWright #PaulGilmartin
Post punk / Goth Rock Society Records 不明Dr K2
-
Ric Ocasek “Beatitude”
皆さん、Ric Ocasekについてどんなイメージがありますか? The Carsのメンバー?それともSuicideのプロデューサー? まあ、どちらもありだとは思うのですが、個人的には、やっぱりSuicideのセカンド・アルバムのプロデュースの方が大きいですね。そんなRic Ocasekのファースト・ソロ・アルバムが、この”Beatitute”です。それで、先ず、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Richard Theodore Ocasekのチェコ系米国人で、父親はNASAで働いていました。彼はAntioch College and Bowling Green State Universityに入学しますが、音楽にのめり込んで、ドロップアウトしてしまいます。Ocasekは、1965年に、The CarsのBenjamin Orr (B)のバンドThe Grasshoppersのライブをテレビ番組Big 5 Showで観て、OrrとClevelandで出会います。その2〜3年後、Ocasekは、Ohio州ColumbusでOrrを再会し、2人は、1968年に、ID Nirvanaと言うパンドを結成し、大学とかで演奏しています。その後、2人は色々な場所に移りますが、1970年代初頭にBostonにやってきて、Crosby, Stills & Nash調のフォーク・ロック・バンドMilkwoodを結成し、1973年初頭にアルバムを出しますが、全然売れませんでした。このアルバムに参加していたGreg Hawkes (Kbd)は後のThe Carsのメンバーになります。Ocasekは、OrrとHawkesらと共に、Richard and the Rabbitsと言うバンドを結成していますが、一方でOcasekとOrrはアコースティック・デュオとしても演奏しています。この時に作った曲が、後のThe Carsの曲の原型になっているようです。その後、2人は、Elliot Easton (G)と共に、Cap’n Swingなるバンドを結成。このバンドはWBCNラジオのDJが直ぐに興味を示し、デモテープをラジオで掛けますが、レーベルは見向きもしませんでした。それで、Ocasekは、ベースとドラムを交代させ、The Modern LoversのDavid Robinson (Drs)を加入させ、更にHawkes (Kbd)を呼び戻し、1976年末にThe Carsを結成します。この時のメンバーは、Ric Ocasek (Vo, Rhythm-G), Benjamin Orr (Vo, B), Elliot Easton (Lead-G), Greg Hawkes (Kbd), David Robinson (Drs)でした。The Carsは、1978年〜1988年に、沢山のヒット曲を出し、Ocasekは大部分のVoを担当しています。その後、2010年に、OcasekはThe Carsをオリジナル・メンバーで再結成し、アルバム”Move Like This”を2011年5月にリリースしますが、長続きせず、解散。また、2018年にも一度だけ再結成して、ライブを行い、それでロックの殿堂入りを果たします。それで、Ocasekは、The Cars時代には、様々なジャンルのバンドをプロデュースしており、Suicideは元より、Bad Brains, The Weezer, Romeo Void, Black 47, Bad Religion, Johnny Bravo, D Generation, Martin Rev, Jonathan Richman等々に関わっています。その一方で、Ocasekは、1982年に、最初のソロ・アルバムである本作品をリリースしています。内容的には、The Carsよりも幾分実験的なニュー・ウェーブ・サウンドになっており、Greg Hawkes (Kbd)は勿論、Richard and The RabbitsのFuzzbee Morse (G, Kbd)も参加しています。その後、1986年には、よりシンセに比重を置いたソロ・アルバム”This Side of Paradise”をリリース。The Carsが1988年に解散後、Ocasekは公の場からは消えましたが、1990年にソロ・アルバム”Fireball Zone”を出して、再び姿を現します。その後、1993年に”Quick Change World”を、1996年にはAlan Vegaとカナダの詩人Gillian McCainとのコラボ”Getchertiktz”を、1997年には”Troublizing”を、2005年には”Nexterday”を出していますが、余りファンには人気がありませんでした(ただし、評論家には良い評価を受けていました)。そんなOcasekは、2017年に妻Paulina Porizkovaと別居していましたが、元々、高血圧と冠不全があったこともあって、2019年9月15日にNYCの自宅で亡くなっているのを、彼女に発見されています。 大体、これが、Ric Ocasekの流れになります。私は、個人的にはThe Carsはそんなに好きではなかったのですが、唯一良く聴いていたのが、セカンド・アルバム収録の”Candy-O”と”Shoo Be Doo"の2曲だけでした。また、Suicideのセカンドのプロデュースは秀逸だと思っています。そんなこともあって、このソロ・アルバムを購入したのだと思います。それでは、本作品(両面5曲ずつ)を紹介したいきます。その前に、本作品に参加したメンバーは、Ric Ocasek (G, Kbd, Vo)の他に、Roger Greenawalt (G [A3, B3, B4]), Fuzzbee Morse (G, Kbd [A2, A3, B5]), Casey Lindstrom (G [A2]), Greg Hawkes (Kbd [A4, A5, B2]), Stephen Hague (Kbd [A1-B1]), Darryl Jenifer (B [A2-A4, B4, B5]), Miss Linn (Drs [A1, B1-B3]), Stephen George (Drs [A2-A5, B4, B5]), Akio Akashi (B [B1]), Deric Dyer (Sax [A3]), Steve Cataldo (Back-Vo [A3]), Jules Shear (Back-Vo [A3]), Antonia De Portago (Back-Vo [A1])となっています。 A1 “Jimmy Jimmy”は、やっぱりThe CarsっぽいUS産ニュー・ウェーブかつダンサブルな曲ですね。ただしギターよりシンセの比重が大きいです。ヴォコーダーも使用。 A2 “Something To Grab For”では、ゴリゴリのベースが使われていますが、もしかしてMiss LinnってLinn Drumのことかな? この曲ではギターが結構効いています。 A3 “Prove”は、これまたスラッピーなベースも聴けるファンキーな曲ですが、サビがしっとりしていたり、間奏でSaxソロが入ったりと表情豊かです。 A4 “I Can't Wait”は、シンセとギターのコード進行がソフトな曲で、Ocasekの声質に合っていますね。 A5 “Connect Up To Me”では、A1と同様にベース・シーケンスが走る曲で、シンセのアレンジがニュー・ウェーブっぽいです。 B1 “A Quick One”は、1980年初頭のニュー・ウェーブなラブソングです。Ocasekが、シンセのバックで、ちょい切々と歌い上げます。 B2 “Out Of Control”のイントロのシンセは面白いです。そこから、やや重めのテンポとシンセ・ベースが良い塩梅で流れていきます。ギターのアルペジオもグー! B3 “Take A Walk”は、細いシンセのリフと太いベース・シンセがカッコ良い曲で、変調Voもピッタリです。 B4 “Sneak Attack”は、幾何学的なシーケンスに、直角的ビートが混じり合う、これまた1980年初頭のニュー・ウェーブ調の曲で、かつミニマルです。 B5 “Time Bomb”は、B4から連続して、テクノなシンセから成る曲ですが、ドラムとかが入って来ると、US産のソフト・ロックっぽくなります。Ocasekは切々と歌い上げ、最後はギター弾きまくりです。 色んな所に顔を突っ込んでいるRic Ocasekが、1982年当時に吸収した音楽が見事にこなれて、血肉になっていると思います。彼のイメージは、器用貧乏なんですが、まあ、そう言われても仕方ないかもしれませんね。しかしながら、彼の嗅覚とソング・ライティング能は非常に高いので、このアルバムが生まれたのだと思います。なので、好き嫌いは別にして、一聴の価値はあるかと思いますよ‼️ B1. “A Quick One” https://youtu.be/WDi6yzrY6Ug?si=UsvouyeS18HfzDJ0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mdQAitA8qEqd5odPr3AoJIY-KBmYpfPO8&si=Bxgr_982PwWYwrwV #RicOcasek #Beatitude #GeffenRecords #FirstSoloAlbum #NewWave #SynthPop #TheCars #AmericanBand #Vocal #Guitar #Synthesizers #Keyboards #RogerGreenawalt #FuzzbeeMorse #CaseyLindstrom #GregHawkes #StephenHague #DarrylJenifer #MissLinn #StephenGeorge #AkioAkashi #DericDyer #SteveCataldo #JulesShear #AntoniaDePortago
New Wave / Synth Pop Geffen Records 不明Dr K2
-
非常階段 “蔵六の奇病”
当時、誰もが恐れた関西のノイズ・バンド、非常階段のフルでのファースト・アルバム”蔵六の奇病 (別名”2nd Damascus!”)を、今回は紹介します。非常階段については、もうバイオグラフィーを私が紹介するまでもなく、本まで出ているので、詳しくはそちらの本等を参照して下さい。でも、ちょっとだけ紹介しておきます。先ず、非常階段の前進は螺旋階段であり、1979年に、JOJO広重と頭士奈生樹の即興デュオで始まり、その後、Idiotこと高山謙一が加わります。後に高山が「これは螺旋階段ではない!非常階段だ!」と言ったとか。このトリオでの非常階段は2回ライブをやって、スタジオでの録音もしていますが、このトリオは「プレ非常階段」とか「オリジナル非常階段」とも呼ばれています。しかしながら、同年末に、頭士が脱退したことで、JOJO広重は当時やっていたバンド(非常階段、螺旋階段、ウルトラ・ビデ)をやめています。それで、1980年春に、広重は腐食のマリィ(Corroded Marie)と言う、Hawkwindみたいな曲を演奏する為のグループを立ち上げます。その時のメンバーは、広重の他に、岡俊行, ZukeことKatsuhiro Nakajima, マコことMasako Shigesugi, 市口章と美川俊治であり、スタジオで音出しすると、即興ノイズになってしまったことから、広重はこのバンドは一度やめようと考えていたらしいです。ただ、岡とZukeと市口は面白いと思っていたようで、バンドは存続します。そして、1980年6月に、新宿ACBホールでライブイベント「天国注射の夜」が開催される時に、工藤冬里が間違って、彼等のバンド名を「非常階段」と紹介してしまったのですが、広重はそれを暖簾に腕押しで、バンド名はそのまま「非常階段」で通すことになります。広重はHawkwindっぽくならない、この非常階段を壊そうと考えながら、その時のライブ音源を聴いていて、これは何らかの形でリリースしても良いんじゃないかと思えるようになります。そして、広重は、同年8月に、丁度、大阪で自主制作レーベルUnbalance Recordsを立ち上げた林直人に会う機会がありました。林は、岡とZukeにコンタクトを取り、ライブを観に行くことに。同年11月3日に、再度編成し直した非常階段は、大阪の創造道場で、Faustの”It’s A Rainy Day, Sunshine Girl”のカバーを演奏し始めてましたが、やはりフリーフォームなノイズになってしまい、また、Zukeがたこ焼きを客席にばら撒く等、パフォーマンス・アート的側面が前面に出始めたライブとなります。そうして、林のUnbalance Recordsから、非常階段、NG、Jurajiumの3組のノイズ・バンドのスプリット・アルバム”終末処理場”が、1980年12月にリリースされ、その中には、新宿ACBホールでの非常階段のライブ音源が、”腐食のマリィ”と言うタイトルで収められることになります。その後、非常階段のパフォーマンスは過激になっていき、ライブの時もメンバーが替わったりして(勿論、コアメンバーは替わりません)、不定形のノイズ・バンドとして活動して行くことになります。ライブで、納豆、ペンキ、放尿、何らかの液体、生魚、ゴカイやミミズ、使用済み生理用品などなどを暴力的に撒き散らすようになります。そして、音の方も、グチャグチャの即興ノイズの塊になっていきます。まあ当然、ライブハウスからは出禁になったりもしましたが、1980年〜1981年のライブ音源を厳選して集めたのが、今回のアルバムとなります。あと、付属のフォトブックや裏ジャケを観てもらえると分かるのですが、ステージ上はグチャグチャのドロドロになっています。それで、写真家の八木康夫が当時、とあるメジャー系の音楽雑誌に連載コーナーを持っていたのですが、ある時、彼が非常階段とほぶらきんとグンジョーガクレヨンの園田游の記事を写真付きで書いた所、いきなり掲載不可!のみならず、その連載コーナー自体も中止になると言う事件が起こり、その掲載予定だった記事と写真の一部が本アルバムの裏ジャケになっています。あともう一つ、慶應大学日吉校舎での非常階段のライブでは、消火器を撒き散らし、ガラスと言うガラス、蛍光灯も全て割ってしまい、それを観た灰野敬二が「これが君たちの表現か‼️」と劇オコだったとか。そんなことは、当時のFridayなんかでも変態バンドとして紹介されたりして、ちょっとだけお茶の間でも知られるようになったかも。そんな中で、音楽指向組とパフォーマンス組に何となく分かれ、後者は一度やったことは2回も3回もやっても意味が無いとして、段々と離れていき、1984年にセカンド・アルバム”Viva Angel”を出す頃には、録音参加メンバーも5人だけグッと少なくなり、ライブもビデオを投影しながらの演奏であったようです。その際に、広重は自身のレーベルAlchemy Recordsを設立して、現在も活動しています、勿論、非常階段も!その後、非常階段はKing of Noiseとして、JOJO広重 (G), Junko (Vo), T.美川 (Electronics), 岡野太 (Drs)から成る基本メンバーで、現在も活動しています。バイオグラフィーはここら辺までとします。 それで、本作品についてご紹介します。このアルバムのジャケの絵は、異形の漫画家 日野日出志が描いており、そのタイトルが「蔵六の奇病」であったことから、このアルバムはそう呼ばれるようになります。また、レコードが入っていたビニール袋には”2nd Damascus!”とも記載がありますが、これには「このアルバムが、セカンド・アルバムであるかのように騙すことはカス野郎である」と言うダブル・ミーニングがあったようで、何だか、Smegmaの”Glamour Girl”みたいですね。また、このアルバムの曲には、曲名は無く、演奏場所と演奏日時が記載されているだけで、A面4曲/B面2曲が収録されています。あと、白黒のライブ写真がブックレット風に付属しているのですが、この写真を見ながら聴くことをお勧めします。では、各曲を紹介していきます。 A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26”では、いきなり「嘔吐」する音だけが収録されています。これは、当時、ちょっとショッキングでしたね。 A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19”では、美川俊治の電子音と市口章のSaxにオルガン(これはセミ丸がオルガンに乗っかってお尻で弾いている)とが中心となり、即興的な音の塊がノイズ化していき、後半にはDrsも入ってきます。因みに、市口はSaxに黒いビニール袋を被せて吹いています。 A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3”では、先述のFaustのカバーが聴けますが、フリーキーなSaxやG等が入ってきて、グチャグチャになっていきます。 A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29”でも塊のような様々な音(=ノイズ)が、圧倒的パワーで放出されています。叫び声とオルガンが狂気の様です。 B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27”では、咆哮とSaxから始まり、更にフィードバック音や何か分からない音も混在して、カオスへと向かいます。後半ではDrsらしき音も入っています。 B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27”でも、フリーに叩くDrsとフィードバック音や咆哮、Saxが入り乱れていきますが、途中でDrsとSaxだけになり、再び、Gなどの音も入ってきます。また、途中で観客が「怖いわ、これ、怖いぃ!」と言っている声が入っているので、何が起きているかが分かりそうですね。 ドキュメント的性格が濃厚なアルバムですが、当時の非常階段の「暴れっぷり」を知るには最適な作品ですね。しかしながら、そう言ったパフォーマンス的な面を想像するだけではなく、音自体も集団即興による「ノイズ化」も感受できる作品だと思います❗️何度もリマスターや再発されていますが、是非とも爆音で聴きたい1枚ですね❗️ A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26” A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19” A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3” A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29” B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27” B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27” [full album] https://youtu.be/JPgGcMDt5lQ?si=oVMed9rRc4bNVtE5 #非常階段 #HijoKaidan #蔵六の奇病 #Zouroku-No-Kibyo #2ndDamascus! #UnbalanceRecords #FirstAlbum #Noise #Improvisation #LivePerformance #LivePhotoBooklet #凶悪 #Osaka #JOJO広重 #JojoHiroshige #谷口守 #岡俊行 #美川俊治 #ToshijiMikawa #Zuke #セミ丸 #Woo #上幸一郎 #市口章 #夕刊五郎 #すみれまん #林直人 #狩野由可子 #野生の驚異 #向井千恵 #山崎正太郎 #Geso #八木康夫 #日野日出志 #白石民夫 #古賀正恭 #早川光 #あらいりょうすけ #桑本正士 #西川義昌 #EU #守部立人 #みちろう #しんたろう #じゅん #たむ #堀井津矢子 #坂口倫靖 #武藤むねひろ #赤坂博 #広田ルーメン #石橋正二郎 #科伏 #Dr坂中 #中島・北島(マントヒヒ) #かがわ(キャリー・リー) #Bide #一生非常階段 #頭士奈生樹 #高山謙一 #螺旋階段
Noise / Improvisation / Performance Art Unbalance Records 2000円Dr K2
-
James Blood Ulmer “Black Rock”
ちょっと意外なモノも投下。何で買ったか?よく覚えていないJames Blood Ulmerの日本盤で、彼の4枚目のアルバム”Black Rock”を紹介してみます。「みます。」と言うのも、私自身はブラックなものはてんで駄目なんで、これを聴き直して、さて、どうしたもんか?と思う可能性もありますので、そのような表現になってしまいました。なので、これも買ってから、40年位聴いていないんですよ。それなので、先ずは簡単に彼のバイオグラフィーを紹介したいと思います。James Blood Ulmer、本名Damu Mustafa Abdul Musawwir。米国サウス・カロライナ出身のブルース、ジャズ、フリー・ファンクのギタリストでありヴォーカリストです。彼のキャリアは、1959年〜1964年にビッツパークでのソウル・ジャズ・アンサンブルで始まり、1964年〜1967年はOhio州Columbusに移り、1964年にオルガン奏者Hank Martとの録音を行い、その後、1971年にNYCでArt Blakey’s Jazz Messengersに加入しています。1970年代には、UlmerはOrnette Colemanと一緒に演奏するようになり、Colemanにとって、初めてのエレキ奏者となり、フュージョン志向だったColemanの信頼を勝ち取っています。Ulmerは、また、Arthur Blytheの2枚のアルバム、1979年作”Lenox Avenue Breakdown”と1980年作”Illusions”に参加、同時にColumbiaレコードと契約を結びます。その勢いで、彼は、3枚のアルバム”Free Lancing”, “Black Rock”, “Odyssey”をOdyssey The BandのドラマーWarren Benbowとヴァイオリン奏者Charles Burnhamと共に作り上げます。このトリオは評論家に"avant-gutbucket"と呼ばれ、「Skip JamesとAlbert AylerがMississippi Deltaでジャム・セッションをしているようだ」と評されています。また、1980年代になると、彼は、David Murrayと共にUlmer formed Music Revelation Ensembleを結成し、このアンサンブルは、後にはArthur Blythe, Sam Rivers, Pharoah Sanders, John Zornを加えて、1990年代まで続きます。また1980年代には、Ulmerは、Sax奏者George AdamsとPhalanxカルテットも結成し、よりブルース志向のアルバム”Memphis Blood”, “No Escape from the Blues”, “Bad Blood in the City”, “Birthright”をリリースしています。Ulmerは、2005年に、ある雑誌のインタビューで、「ギター・テクニックはJimi Hendrixの死後、発展していない」と発言し、更に、「もしかしたら、ピアノのようにギターも終わりかもしれない」とも発言しています。その後、2009年に、Ulmerは、レーベルAmerican Revolutionを設立。そして、2011年春には、James Carterのオルガン・トリオにゲスト出演し、Blue Note New Yorkで6晩連続で演奏しています。大体の彼の流れはこんな感じですが、私には今一ピーンとはきませんでした。 それで、本作品を聴いてみて、紹介していきたいと思います。内容はA面4曲/B面5曲で、Damu Mustafa Abdul Musawwir & James Blood Ulmer (G, Vo)の他、Amin Ali (B), Ronald Drayton (Rhythm G [A1-A4, B2, B3]), Grant Calvin Weston (Drs), Cornell Rochester (2nd Drs [A1, A3, B1-B3]), Sam Sanders (Sax [A3, B3]), Irene Datcher (Vo [A4, B2])と言う布陣で録音をしています。 A1 “Open House”は、ゴリゴリしたベースと複雑かつノリの良いビートを叩き出すドラムが自由自在に演奏され、その間を、Ulmerのフリーキーなギターが駆け巡る熱いインスト曲です。 A2 “Black Rock”では、複雑かつバネのある演奏に黒人独特のソウルフルなヴォーカルも聴くことが出来ます。結構、ギターが即興的に弾きまくられてますね。 A3 “Moon Beam”も、スラップ奏法も交えたファンキーなベースとドラムの強力なリズム隊と要所要所を押さえたギターに加え、フルートやサックスも入ってくるインスト曲です。 A4 “Family Affair”では、しっとりと始まり、女性ヴォーカルとUlmerのデュエット/掛け合いで、結構、落ち着き気味ですがソウルフルに仕上がっています。しかしながら、盛り上がる所は盛り上がる緩急のついた曲です。 B1 “More Blood”は、トリオによる完全即興演奏で始まりますが、その内、グルーヴが生まれていくのてすが、あくまでもフリーな演奏に始終する、カッコ良いインスト曲です。こう言うのは好きですよ、私も! B2 “Love Have Two Faces”は、今までと一転して、落ち着いたブルース調の曲で、Ulmerのヴォーカルも沁みますね。しかしながら、サビではニューウェーブみたいな曲調に変わり、彼のキャパの広さを感じます。 B3 “Overnight”では、再び、トリオにサックスを交えた強力なバネのあるフリーキーなファンク・サウンドをぶちかましてくれます。途中のドラムソロもカッコ良し!なお、これもインスト曲です。 B4 “Fun House”は、怪し気で完全フリーな即興演奏から始まりますが、アイコンタクトなのか、ブレイクが決まるので、垂れ流しにならないです。また、この曲はヴォーカルも入っているのですが、ソフトな印象で、それ程「黒く」はないです。因みにヴォーカルはベースのAliみたいです。因みにThe Stoogesの曲とは同名異曲です。 B5 “We Bop”は、やはり、基本に戻って、ファンクな曲なんですが、単に踊らせるだけではなく、複雑なリズム構造や流れを持っており、正しくフリー・ファンクとも言うべきインスト曲になっています。 それで、40年振りに聴いてみたのですが、単にファンクとかソウルと言う訳ではなく、かなりフリー・インプロヴイゼーションの要素が強く、それがあって、このアルバムを買ったのだなと一人納得しました。ただ、如何にもソウルフルなヴォーカル曲はやはり苦手ですね。インスト曲は単純に強力な演奏に感服しました❗️また、これからは「黒い」音楽も聴いていこうとおもいました。 A1 “Open House” A2 “Black Rock” A3 “Moon Beam” A4 “Family Affair” B1 “More Blood” B2 “Love Have Two Faces” B3 “Overnight” B4 “Fun House” B5 “We Bop” https://youtu.be/OKUrb0Rw-4Q?si=qbNfss8HgGga3Ssx #JamesBloodUlmer #BlackRock #CBS/Sony #4ThAlbum #FreeFunk #Soul #Blues #Improvisation #DamuMustafaAbdulMusawwir #GrantCalvinWeston #CornellRochester #AminAli #RonaldDrayton #SamSanders
Free Funk / Soul CBS/Sony 2500円?Dr K2
-
Lunapark “Gefangene Vögel”
これは初めて聞きました。Lunaparkってバンドは全然知りませんでした。また、Neue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)のバンドってことで競り落としました。なので、先ず、彼等のバイオグラフィーについて調べてみました。1981年に、独Wuppertalにて、Burkhard Ballein, Klaus “Schlips” Gebauer, Reinhard “Zoppen” Benischによって、Lunaparkは結成されています。Sigi Domkeと言うメンバーもいたようですが、脱退しています。彼等は、当時のNDWに乗った形でしたが、Sex Pistols, Ian Dury & The Blockheads, Blondie等だけでなく、The Beatles, Colloseum, Roxy Music, Frank Zappa等にも影響を受けていました。それで、1982年に、彼等のデビュー・アルバム”Gefangene Vögel’ (Prisoner Birds)”をStuttgartの極小レーベルIntakt-Recordsからリリースしていますが、これが唯一の彼等のアルバムとなりました。彼等は、ギター、ベース、ドラム、ドラムマシン、シンセKorg MS-20を使って録音しています。彼等の音楽は、当然、独逸語で歌っていますが、ちょっと変わったNDWとベルギー等のCold Waveの音楽との間のミッシング・リンクのような立ち位置であったとのことです。また、ジャケには、同じデザインで、黄色、青色、赤色、青緑色の4種類がありました。彼等の歌詞は、冷戦時代の楽観的考え方に関する内容だったとか。このアルバム以外に、シングル”Lederhosen”を1枚出して、バンドは消滅していますが、BalleinやGebauerはその後も音楽活動をしています。なお、このアルバムは、2016年に米Dark Entries Recordsがリマスターして再発していますので、こちらの方が入手し易いかもです。この位しか分かりませんでした(すまん!) それでは、内容について紹介していきます。両面とも5曲ずつ収録されています。 A1 “So Verliebt”では、ポストパンクなリズム隊と流れるようなギターに抑制されたヴォーカルが心地良いですね。途中サビのユニゾンはちょっとだけDevoっぽいかな? A2 “Komm Her”は、四つ打ちキックと重めのベースに細かく刻むギター、それに風のような効果音とサビのリフのシンセ及びハッキリした独逸語ヴォーカルから成り、割とポストポスト〜ニューウェーブな音作りです。 A3 “Gefangene Vögel”では、いきなりドラムマシンにファンキーなベースと言う展開で始まり、そこにギターなオモチャのようなシンセ音が入り込み、やや抑制的ないヴォーカルも。ギターはGang of Fourっぽいかな? A4 “Dieser Tag”はやや忙しないテンポですが、ベースはシンセ・ベースですね。ここではヴォーカルは朗々と歌っています。 A5 “Worte”は、またもやマシンリズムとシーケンスですが、やや暗い曲調で、ベースがリードっぽいです。ヴォーカルの危機迫る感もグーです。 B1 “Lederhosen”では、マシンリズムとシーケンスに導かれて、何と女性(少女?)ヴォーカルが乗ってきます。サビでは男性コーラスとハモっており、如何にもNDWっぽい曲ですね。 B2 “Eine Frage - Keine Antwort”は、ベースシンセにドラムと言うリズム隊ですが、ギターのアレンジはどちらかと言うとポストパンクな感じです。ヴォーカルの掛け合いも良きかな。またシンセソロもNDWっぽい。 B3 “John Lennon”は、タイトルからして凄いんですが、ガクガクのドラムにゴリゴリのベース及びシンセで曲を作っており、何が”John Lennon”がは不明です。 B4 “Renn, Wenn Du Kannst”は、ミディアムテンポの落ち着いた曲で、男性合唱でのヴォーカルが特徴的です。 B5 “Der Tunnel”では、マシンリズムとシンセによる効果音の絡みから始まり、段々と曲っぽくなっていく、不穏な雰囲気の曲です。 全体の印象としては、ちょっと全体像が掴みにくいのですが、多分の色んな所から影響を受けているように思えます。例えば、NDW、英国ポストパンク、所謂オールドウェーブなんかですね。上手く消化している曲もあるのですが、全体の印象はや」散漫なのは否めません。ただ、こう言う多方向性も含めて、Lunaparkの魅力だと思いますので、ここら辺に興味のある方は是非とも聴いてみて下さい‼️ B1 “Lederhosen” (7 inch single version) https://youtu.be/GfQ5V5SNfE0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k4IpLR-1_PzFTUGkF5L-N75Eabd-SH_sw&si=16A4YBJPCaga1EZk #Lunapark #GefangeneVögel #Intakt #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ColdWave #Minimal #FirstAlbum #Guitar #Bass #Drums #DrumMachine #Synthesizers #BurkhardBallein #Klaus“Schlips”Gebauer #Reinhard“Zoppen”Benisch
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Intakt 3900円Dr K2
-
Rip Rig + Panic “You’re My Kind Of Climate”
T畑さんに教えてもらって、ヤフオクで速攻ポチりました。Rip Rig + Panicの12㌅EP”You’re My Kind Of Climate”です。Rip Rig + Panicについては、既に紹介したありますので、バイオグラフィーはそちらをご参照ください。このEPは彼等の3枚目のEPになります。一応、この時のメンバーだけ書いておきます。先ず、バンドのメンバーとしては、Neneh Cherry (Lead-Vo), Sean Oliver (B), Gareth Sager (G, Piano), Bruce Smith (Drs, Perc), Mark Springer (Piano)の5名で、ゲストとして、David Defries (Trumpet), Giles Leaman (additional Drs/ Perc), Jez Parfitt (Baritone Sax), Steve Noble (additional Drs/Perc), Sarah Sarahandi (Viola), Alf Waite (Trombone), Dave "Flash" Wright (Tenor Sax)も参加しています。両面1曲ずつ収録されていますが、A面は、弾けるような、それでいて、ファンクともジャズともましてやロックともカテゴライズ不可能で、しかもダンサブルでフリーな曲が収録されています。しかもドラム3人も叩いているので、リズムも重いです。一方、B面はピアノの弾き語りと言えば、聞こえはいいですが、Gareth Sagerかな?Mark Springerかな?もうリリカルなメロディからフリーキーなトーンまで、あらゆる奏法を駆使して、そこに時々、合いの手のように男性の声が入ると言う、A面とはまた違った素晴らしい出来栄えになっています。何度でも聴きたくなりますね。多分、アルバム”I Am Cold”の後に出たタイミングだとは思いますが、とにかく凄まじい内容ですので、爆音で聴いてみて下さい‼️ これが1982年の曲ですからね、ビックリですよ❗️ A面 “You’re My Kind Of Climate” https://youtu.be/W4VXo4gu2Vk?si=MywzGzzBGE1TEVRN B面 “She Gets So Hungry At Night She Eats Her Jewellery” https://youtu.be/a1kPf_65yvQ?si=IR9q5YURWI2dveA- #RipRig+Panic #You’reMyKindOfClimate #SheGetsSoHungryAtNightSheEatsHerJewellery #VirginRecords #12inchEP #3rdEP #Funk #Jazz #Avant-Garde #FreeMusic #Piano弾き語り #NenehCherry #SeanOliver #GarethSager #BruceSmith #MarkSpringer
Post Punk / Funk / Avant-Garde Virgin Records 1300円Dr K2
-
Cabaret Voltaire “Hai !”
発掘しました!CabsことCabaret Voltaireの初来日の模様を収めたライブ盤”Hai !(唯)”です。実は、私は、当時、Cabsか来日するのを楽しみにしていたのですが、Chris Watsonか脱退して、代わりにドラマーが加入したと聞いて、なんだか拍子抜けして、観に行きませんでしたし、その時のライブ盤である本作品もリアルタイムでは買ってないです。それで、随分後になってから、まあライブ盤も聴いてみようかなと思い直して、購入したと言う経緯があります。Cabsのバイオグラフィーは余りちゃんと書いていませんでしたので、少し詳細に書いておきます。Cabsは、1973年に、英国Sheffieldにて、Stephen Mallinder, Richard H. Kirk, Chris Watsonによって結成された実験的音楽バンドてす。バンド名は、チューリッヒにあった初期ダダイストの集まっていたサロンから取られています。それで、元々は、1970年代初期に、Watsonが、楽器以外の物で音楽が作れないか?と言うBrian Enoに触発されて、電子機器を用いて音の実験をやっていました。その頃、彼は電信電話技師として働いており、テープ・ループを使ったり、カスタム・メイドのオシレーターを購入したりしていました。その時に、Enoの信奉者であったKirkと知り合いになります。その内、Watsonはテクノロジーと音楽を結びつけるのに、サウンド・コラージュやその他の音素材を使ったテープ・ループを作り出すようになります。一方、Kirkはクラリネットやギターと言う古典的楽器を始めます。1973年末に、彼等はKirkの友人のMallinderをヴォーカルとベースで誘い、一緒にセッションと言う実験を行っています。これらの音源は、Industrial Recordsのカセット”1974-1976”(1980年作)や後になってMuteの3枚組CD”Methodology '74/'78: The Attic Tapes”(2002年作)として世に出ています。その内、Cabsは、ライブもやり始め、Joy Divisionと料金を折半したりしていますが、兎に角、普通の演奏は全然やっていませんし、寧ろ挑発的でした。彼等はSheffieldの色んな場所で、そこの環境音を録音し、それらを電子変調させて、それを公衆トイレや街の雑踏に向けて、車の上に詰んだスピーカーから流したりしており、ステージでもパンクスよりパンク的な態度でしたので、1975年5月のライブでは、観客とバンドの間で乱闘が起きて、Mallinderは背骨に大怪我をして入院する羽目にもなっています。しかし、その後、SheffieldのファンジンGunrubberで評価されるまでになります。その後、1977年に、Watsonは、バンド自身の録音スタジオWestern WorksをPortobello通りのビルの2階に設置します。ここは単にスタジオと言うだけでなく、Shieffieldのシーンの重要なスポットとしても使われています(Clock DVA, The Human League, New Orderもここを使っています)。1978年になると、CabsはRough Tradeと契約を結びます。Factory RecordsやIndustrial Recordsからのオファーもありましたが、アフターケアを考慮して、Rough Tradeと契約します。それで、Cabsは、実験的なEP“Extended Play”や名曲シングル”"Nag Nag Nag"を作製、1980年には名作”Three Mantras”とアルバム”The Voice of America”を、1981年にもアルバム”Red Mecca”をリリースしています。これらのレコードは音楽誌でも高評価を受けています。しかしながら、1981年に、Watsonは、Tyne Tees TVでサウンド・エンジニアとして働く為に、バンドを脱退します。その後、彼はAndrew M. McKenzieとHafler Trioを結成し、その後はソロで活動しています。Cabsの方は、1981年6月25日に、以前に録音した曲が、BBCのJohn Peel Sessionで放送されています。そして、この頃、Cabsは、メジャーレーベルのサポート無しで、欧州、日本、米国へのツアーを行なっており、日本でのライブを収録したライブアルバムで、本作品でもある”Hai!”を1982年にリリースしています。この後、Cabsはよりコマーシャルな方向に行き、米国ダンス音楽のプロデューサーJohn Robieに、彼等の曲”Yasher”のリミックスを依頼したり、1983年にはFactory Recordsより12㌅EPをリリースしたりしており、その後は、Cabs (これ以降はMallinderとKirkのデュオとなります)はVirgin Recordsと契約しており、それで得た資金で、Western Worksを改良して、1983年8月にアルバム”The Crackdown”をリリースしています。その後は、エレクトロ・ファンクとも言われるダンス・ミュージックのやハウスの方向性で活動していきますが、2人は別々の場所(始めはLondonとSheffield)に居を構え、それぞれがソロ活動を始め、その内、KirkだけがCabsの名前を使うようになっていきます。そのKirkも、2枚のアルバム”Dekadrone”と “BN9Drone”を出した後に、2021年9月に65歳の若さで他界しており、これを持ってCabsは消滅したことになります。 以上がCabaret Voltaireの大体の流れになります。 それで、本作品”Hai!”ですが、来日直前に、音楽的な頭脳でもあったChris Watsonが抜け、その代わりにドラムのAlan Fischが加入したことで、多分それまでのCabsとは違うんだろうなと言うのが、買う前の感想でした。一応、メンバーは、Stephan Mallinder (B, Vo), Richard H. Kirk (G, Clarinet, Synth, Tapes), Alan Fisch (Drs, Perc)で、先述のようにLyn Clarkがスライド・プロジェクターでサポートしています。録音は、1982年3月23日に東京のツバキハウスでのセカンド・ステージのもので、両面とも3曲ずつ収録されています。A1 “Walls Of Kyoto”はいきなり、リズムマシンのビートとシンセから始まり、ノリが良くてびっくりして覚えがあります。投げやりなVoも含めて、インダストリアルと言うよりも、ある種の「ロック・バンド」っぽさを感じますが、時折、挿入されるテープ音が異化作用を醸し出します。A2 “3 Days Monk”は生ドラムとファンキーなベースに、フリーキーなクラリネットとギター・ノイズから成るエレクトロ・ファンクへの萌芽を感じられる曲です。A3 “Yashar (Version)”はドコドコとしたタムを多用するドラムとシンセのリフから成る曲で、ベースとVoは記号のような点描になっています。 B面に行きます。B1 “Over & Over”もエレクトロ・ファンクを予感させる音楽ですね。B2 “Diskono”は、シーケンサーも使っているのかな?抑制されたVoと独特の奏法でエフェクトを掛けたギターとが、Cabsのポップネスを現出させていると思います。B3 “Taxi Music (Version)”はボンゴの音とディレイ処理されたクラリネットやギター、それにパーカッシヴな電子音から、ドラムやファンク調のベースも入ってきて、ラテン系要素も垣間見られます。これは踊れる曲ですね。 総じて、Cabsがインダストリアルからエレクトロ・ファンクに移行しようとしたいる過渡期的作品で、今聴くと、最初、思っていた以上にポップですね。また、”Nag Nag Nag”など、それ以前の作品で聴かれるようなエフェクトを掛けたVoではなく、素の肉声も意外でしたねー。それまでのCabsを知らない方が楽しめるかも⁉️ https://youtu.be/zlETL9wNBAY #CabaretVoltaire #Hai! #唯 #RoughTrade #JapanRecords #LiveAlbum #LiveInJapan #国内盤 #industrial #DanceMusic #TsubakiHouse #Drums #Bass #Guitar #Synthesizers #Voice #Electro-Funk #PopMusic #SlideProjector #StephanMallinder #RichardH.Kirk #Alan’Raw’Fisch #LynClark
Industrial / Dance Music Japan Records (Rough Trade) 不明Dr K2
-
B.E F. “Music Of Quality And Distinction (Volume One)”
前回、紹介しましたB.E.F. (British Electric Foundation)のヤドカリ・カバー・・シリーズ第一弾”Music Of Quality And Distinctions (Volume One)”を紹介します。「ヤドカリ・カバー」と言ったのは、バックはMartyn Ware(とIan Craig Marsh)がほぼ全曲関係しているのですが、ヴォーカルが全曲違うと言うことで、全曲、ポップミュージックのクラシックのカバーを収めているからです。B.E.F.のバイオグラフィーについては前回、書いてありますので、そちらをご覧下さい。これは、B.E.F.のアルバムですが、レーベル側のVirgin RecordsではVarious Artists扱いになっており、その為、ヒットはしましたが、儲けたのは、Virgin Recordsだけでした。両面5曲ずつ収録されていますので、それぞれ紹介していきたいと思います。A1は、Tina Turnerを迎えての“Ball Of Confusion”で、Turnerの強烈にソウルフルな歌とバックのB.E.F.の2人のシンセ音とシーケンスに加えて、Nevil 'Breeze' McKreith (G), John McGeoch (G), Paul Jones (Harmonica), David 'Baps' Baptiste (Sax), Nathaniel 'Nat' Augustin (Trombone), Canute 'Kenny' Wellington (Trumpet)から成る、管楽器隊がこれまたゴージャスな雰囲気に仕上がっています。A2はBilly MacKenzieが歌う”The Secret Life Of Arabia”で、The AssociatesのMcKenzieの割と中性的なヴォーカルとJo Dworniak (B), Martyn Ware (Drum Machine [Linn Drum], Vocoder), Nevil 'Breeze' McKreith (G)によるむせかえるようなソウルがピッタリです。リズムも重く、ファンキーなベースも聴取できます。A3は、Paul Jonesを迎えての”There's A Ghost In My House”で、Martyn Ware (Linn Drum, Synth, Vocoder)1人でバックを担当しており、軽快なリズムに乗って、Manfred MannのヴォーカルJonesが活き活きと歌っています。正に、ポップの王道です。A4はPaula Yatesが歌う”These Boots Are Made For Walking”で、バックをThe Nancy Boys (Back-Vo), Jo Dworniak (ダブルB), Martyn Ware (Linn Drum, Synth). Ian Craig Marsh (Synth), Nevil 'Breeze' McKreith (G), David 'Baps' Baptiste (Sax). Jake (Trombone), Canute 'Kenny' Wellington (Trumpet)で固めて、The Boomtown RatsのBob Geldofの妻であるYatesが、ロリータ・ヴォーカルで可愛らしく歌っており、少しだけジャジーテイストがあるポップスに仕上がっています。A5はGary Glitterの”Suspicious Minds”で、バックをJohn Springate (B), Tony Leonard (Drs), Gerry Shepherd (G), Brian Jones (Sax)及びGerry Shepherd, John Springate, Martyn Wareの3人がBack-Voを努め、1970年代グラムロック・シンガーのGlitterがやや陽キャな雰囲気で歌っていますが、これはB.E.F.とは殆ど関係ないですね。それでB面に行きます。B1はBernie Nolanの”You Keep Me Hanging On”では、バックをJohn Wilson (B), Martyn Ware (Linn Drum, Synth), Nick Plytas (Piano)で、The NolansのBernie Nolanがコケティツシュな歌声で歌う、この曲はキャッチーです。B2はHeaven 17のVoでもあるGlenn Gregoryの”Wichita Lineman”で、バックはやはり、Ian Craig Marsh (Linn Drum, Synth, Sequencer, Sax), Martyn Ware (Linn Drum, Synth)に加えてDavid Lockwood (A-G)とGlenn Gregory自身もSaxで参加しており、実質、Heaven 17なんですが、より落ち着いた雰囲気のラウンジ・ミュージックになっています。Saxとアコギの絡みが良いです。B3はSandie Shawを迎えての”Anyone Who Had A Heart”で、バックは、David 'Baps' Baptiste (Sax), Camelle Hinds (B), Martyn Ware (Linn Drum, Bass-Piano, Vocoder, Synth), Nick Plytas (Piano), Hank Marvin (G)で、有名英国歌手のSandie Shawが歌い上げ、生ピやSaxにはメジャーなアレンジがなされています。一方、Linn Drumのプログラミングも秀逸です。B4もまたGlenn Gregoryで、Lou Reedの曲”Perfect Day”を歌い、バックはNick Plytas (Piano), Martyn Ware (Synth, Simmons Drum Machine)となっており、Gregoryはスローバラードをしっとりと歌っています。生ベースのようなシンセ音が凄いです。B5も再びBilly MacKenzieで、”It's Over”を、John Foxx (A-G), John Barker (Arrange), Jo Dworniak (B), Glyn Perrin (Cello), Martyn Ware (Linn Drum), Jonathan Williams (French Horn), Hank Marvin (G), Helen Tunstall (Harp), Simon Limbrick (Trumpet, Castanets)及びA.W. Thorpe, Steve Jones, Vicky Aspinallの3人のVlnから成る豪華なオーケストラで歌っています。MacKnzieは中性的な朗々とした力強い歌声をバックの弦楽器と共に聴かせてくれます。 それで、思ったのは、始め、B.E.F.つまり、WareとMarshの2人だけがバックを務めていたのかと思っていたんですが、各曲にそれぞれのミュージシャンを集めて、かつWareだけが関わっていれば良いと言う暗黙の了解となっているのかなと思って、ちょっと意外でした。個人的には、普段、余りこの手の曲を聴かないので、その分楽しめました。皆さんも楽しんで下さい❗️ B.E.F. W/ Glen Matlock “Pretty Vacant” (live) https://youtu.be/MjkwLNbKJd8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLkQw-xtcHMYQ4fqUOhgBpqKZnaZvaDST4 #B.E.F. #BritishElectricFoundation #MusicOfQualityAndDistinction(VolumeOne) #VirginRecords #PopMusic #BritishPops #GuestVocals #MartynWare #IanCraigMarsh #TinaTurner #BillyMacKenzie #PaulJones #PaulaYates #GaryGlitter #BernieNolan #GlennGregory #SandieShaw
Electronic Pop Virgin Records 不明Dr K2