Monitor “s/t”

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Monitor、知ってる人ってどの位いるのかなあ。と言う訳で、今回は、米国地下音楽の初期の方から活動していたMonitorを紹介します。しかしながら、Monitorは本作品であるアルバムともう1枚シングル、別名義でもう1枚シングルを出しているだけなので、情報を収集するのに苦労しました。先ず、メンバーなのですが、Keith Mitchell (Drs, Perc, Effects), Laurie O'Connell (Vo, B) Michael Uhlenkott (G, Vo), Steve Thomsen (Synth [Micromoog], Organ, Kbd [RMI])の4人です。極初期には、Jeff Rankin (Drs)が在籍していましたが、シングルを出した後に、Mitchellと交代しています。それで、元々は言うと、Thomsenを中心に、1970年代後期に、米国CAのLos Angelesで、コピー・アートやメール・アート或いは音楽の集合体としてWorld Imitation Productions (WImP)が設立され、そこで、Monitorも結成されました。MonitorはWImPの音楽部門だったんですよ。WImPは1982年まで活動していますが、その間(1981年初頭)に、Monitorの変名サーフロック・バンドThe Tikisのシングルも1枚出しています。なお、中心人物のThomsenは、WImP解散後も、コラージュ・アートによるジンを作り続けており、また、後に、Joseph HammerとRick Pottsと一緒にSolid Eyeを結成しています。あと、インダストリアル・バンドNONのJeffrey VallanceとBoyd Riceとも協力関係にあったそうです。それで、Monitorの解説の前に、WImPについて少々。Mitchell以外は元々、同じ地区で、同じ高校に通っていました。そして、Uhlenkott, Thomsen, O'Connellは、Californi州立大学Northridge校に進学し、RankinとConnorはUCLAに、Keith MitchellはLong Beach市立大学へと進学していました。その中で、Uhlenkott, O'Connell,, Thomsenは1970年代初頭よりバンドを組んでいました。この頃は、大掛かりなインスタレーションやパフォーマンスをグループでやることが流行っていましたが、多くの参加者は音楽をBGMとしてしか使ってはいませんでした。1977年秋に、集まった仲間達は、より手作業で、細かい絵やドローイング、ペインティングやプリントを集めたジン”Science Holiday”を発行し、コピーアートやメールアートの世界に入っていきます。そうして、発行元となったのが、WImPです。彼等は、様々なジンを扱っていましたが、自分達のジンは基本、手売りで売ってましたし、メールアート界に参入して、Mark Mothersbaugh (Devo)やGenesis P-Orridge (Throbbing Gristle), Daniel Millerなどと繋がっていきます。そして、1978年10月には、WImPは先進的なアートを集めたより大きな個展を開きます。その一方で、活動を音楽にも広げる為、World Imitationレーベルを設立し、第一弾として、1981年に、Meat Puppetsのシングル”In A Car”をリリース。それで、ちょっと時代が前後しますが、1978年2月に、初期のDevoのエンジニアでプロデューサーでもあったEd Bargerとのメールアートの交流があったこともあり、実際に会って、プロデュースをしてもらいます。その時は、Michael Uhlenkott (G, Vo)とSteve Thomsen (Organ, Piano)がメンバーで、それにThomsenのガールフレンドAllison Andersを加えてCañon名義でフォーク・ロックをやっていました。その頃から、Monitorが先述のメンバーて結成されることになり、最初はハリウッドのパンク・シーンで活動していましたが、より大きなLAのパンク・シーンにも参入し、よりうるさい音楽シーンにおいて、Monitorの音楽はリズムも複雑で、音量もそんなに上げないで演奏していたこともあって、過小評価されていたようです。その当時、バンドは、アフリカや東欧の音楽のリズムとマイナーコードでのメロディを上手く取り入れて、余りにもユニークな音楽をやっていた為、アート・ロックとか言われていましたが、彼等はそう言われるのを嫌ってました。そんな中で、本作品てある唯一のアルバムが作製されています。なお、このアルバムには典型的パンクバンドMeat Puppetsの演奏が1曲”Hair”だけ収録されています(何故、入っているのかは謎)。彼等は、合計3枚のレコードを出して、1982年4月10日にラスト・ライブを行い、解散します。
ちょっと長くなりましたが、Monitorの足取りは以上となります。
それで、内容なんですが、先ず、ジャケのアートワークが素晴らしいです。それと私の持っているのは独のATA TAKプレス盤なのですが、恐らくこれはメールアート繋がりによるものでしょう。それから、メンバーは先述の4人ですが、Allison & Tiffany Anders (Vo [A2,B1]), Mary Jones (Vo [B1])もゲスト参加しています。重厚なシンセの低音から始めるこのアルバムは、確かに風変わりなヴォーカルの旋律と既にポストパンク的なリズムへの萌芽が聴けます。A2 “Mokele-Mbembe”なんかは正にアフリカンです。また、グダグダのコーラスやビートを刻まないドラムなんかはLAFMSの音楽を想起させますね。また、曲の中に立ち上がるThomsenのシンセがいい味わいを出しています。またA5 “Amphibious”なんかはHenry Cowっぽいです。B1 “Pavillon”ではシーケンサーまで使っており、メロディはアフリカとか東欧ではなく、和風と言うか演歌風です。B面の方がKbdやシンセの目立つ曲が多いです。それにしても、不思議な展開の曲が多いのですが、ここからSolid Eyeのメンバーが生まれたと考えると、なんか納得してしまいます。
と言う訳で、今まで断片的にしか認識していなかったMonitorの全貌を点と点を結んで、明らかにできたのは、個人的に収穫でした。アフリカや東欧の音楽との関係はそれ程感じませんでしたが、もし、LAFMSやSolid Eyeを深掘りしたいリスナーさんにはお勧めします‼️

*全曲のYouTube動画を貼っておきます。
A1 “We Get Messages”
https://youtu.be/6l7EWATfm4A

A2 “Mokele-Mbembe”
https://youtu.be/S9GXI0_c-Ts

A3 “In Terrae Interium” https://youtu.be/zzEA9b5huPU

A4 “Herb Lane Theme” https://youtu.be/U5aMJ_sfxqw

A5 “Amphibious”
https://youtu.be/lVgvF-H784g

B1 “Pavilion”
https://youtu.be/JKDHSTPqMcw

B2 “Phosphorea”
https://youtu.be/JNtvYqfvoNw

B3 Meat Puppets “Hair” https://youtu.be/rL86Ur7fhMs

B4 “I Saw Dead Jim's Shade”
https://youtu.be/zfZxQAbRH10

The Tikis single “Junie” c/w “Surfadelic”
https://youtu.be/r6GHUvoMoAc

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