Östro 430 “Keine Krise Kann Mich Schocken (Die Kompletten Studioaufnahmen 1981 - 1983)“

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とうとう、究極のÖstro 430 (エストロ430)のセルフ・コンピ・アルバムを入手しました。最近、新譜を出して、NDW好き界隈で話題となった(と思う)Östro 430のファーストとセカンド・アルバムに、シングルやコンピへの収録曲をコンパイルした2枚組LPをやっと入手しました。この偉業は、音源を管理し、リマスタリングを施し、実際に配譜した、元Die ZinnförsterのTom Morgensternによるものです(現在は、音源管理とマスタリングの会社TMProductionsを運営しています)。ギターレスの女性パンクバンドÖstro 430のバイオグラフィーについては、前回書きましたので、そちらをご参照下さい。それで、本作品の内容ですが、LP1のA1-B6は、1983年のセカンド・アルバム“Weiber Wie Wir (ヴァイパー・ヴィ・ヴィル)”を丸っと全曲、LP2のC1-C2は、1982年リリースの唯一のシングル“Vampir (ファムピール)”の両面2曲とLP2のC3-D4は、1981年リリースのファースト・アルバム”Durch Dick & Dünn (デュルヒ・ディック・ウント・デューン)”を丸っと全曲、更に、LP2のD5-D7は、1980年リリースのコンピレーション・アルバム“Schallmauer Sampler”の収録曲を全曲をコンパイルした、彼女達の1980年代初頭のリリースを全て収録しています。それで、メンバーについては、コアメンバーのMartina Weith (Vo, Sax), Bettina Flörchinger(Kbd)以外にGisela Hottenroth (B [A1-C2]), Birgit Köster (Drs [A1-C2])とOlivia Casali (B [C3-D7]), Marita Welling (Drs [C3-D7])とがそれぞれ参加しています。それでLP1にはA面5曲/B面6曲が、LP2にはC面6曲/D面7曲が収録されています。では、各曲についてご紹介していきましよう。
◼️LP1: “Weiber Wie Wir”
★A1 “Dallas” (3:02)は、強靭なビートといきなりのシンセのリフで始まり、Weithの力強いVoから成る曲で、結構キャッチーです。
★A2 “Vampir” (3:15)も、アップテンポの曲ですが、程良いSaxと吐き捨てるようなVoから成り、また、Bのリフも効いてます。
★A3 “Sei Lieb” (2:57)は、ややコミカルさも感じられる陽性のパンキッシュな曲ですが、Voは強力です。Saxも良い塩梅です。
★A4 “Triebtäter” (3:03)は、一転、スローな曲で、アコーディオンらしき音が中心となっていますが、Voには力が籠っています。やがてテンポアップになったりしますが、ブレイクを挟んで元に戻ります。
★A5 “Normal” (3:06)は、やはりシンセのリフで始まるアップテンポな曲で、野太いVoと掛け声のようなコーラスの掛け合いが絶妙です。Bのリフも良きかな。
★B1 “Sonntag” (4:55)は、重めのゴーゴーのリズムにポリシンセとSaxが乗る曲で、Voはやや捨て鉢っぽくて、それがまた魅力的です。
★B2 “Keine Krise Kann Mich Schocken” (3:40)は、表題曲で、エレピとSaxとリズム隊でいきなり始まりますが、Voはやはり力強いので、恐らく歌詞に思い入れがあるのでは?
★B3 “Mabel” (2:21)は、ロッケンローなBのリフと速めのテンポのDrsで始まり、KbdとSaxとVoにコーラスと言うノリの良い曲です。
★B4 “Meerschweinchen” (2:35)は、直線的なビートとシンセに、やはり力強いVoが被り、サビではコーラスも加わります。Bの音色がゴリゴリでカッコ良いです。
★B5 “Randale Und Bier” (1:39)も、アップテンポな曲で、Saxも入りますが、Voとコーラスが絶妙で、シンガロング・パートもあります。
★B6 “In The Mood” (1:36)は、シンセによる既知の曲の演奏に、Saxが斬り込んできますが、やがて、一丸となってのロッケンローなアンサンブルになります。

◼️LP2: Single & “Durch Dick & Dünn” & Compilation “Schallmauer Sampler (D5-D7)”
★C1 “Vampir (single version)” (3:13)は、別バージョンですが、こちらの方が全体的にシャープな感じがします。Bのゴリゴリ具合もVoの力強さは勿論、ポリシンセも絶妙です。
★C2 “Meerschweinchen (single version)” (3:17)は、スローなビートで始まり、Vo一声、アップテンポのパンキッシュな曲になります。シンセの音が結構効いていますが、全体的の印象は軽めな仕上がりです。
★C3 “Das Quietschende Bett” (2:42)は、ポストパンクのようなビートとエレピに、パンキッシュなVoが加わる曲で、彼女らの元々の音楽を聴くことが出来ます。
★C4 “Sechzehn” (2:50)も、代表的な曲で、エレピにパンクなビートと言う組合せですが、Voは相変わらず力強く、Saxも荒いです。
★C5 “Sexueller Notstand” (2:47)では、忙しそうなDrsとビートをキープするBとエレピのリフに、強靭なVoが加わり、間奏にはSaxも!
★C6 “Plastikwelt” (2:54)は、ロータムを多用した重めのビートで、メインVoは力強いですが、コーラスは呟きのようで、その対比が面白いです。
★D1 “S-Bahn” (2:47)は、手数の多いDrsとドライブするBとガナり散らすVo、それからやや引っ込んだエレピから成る曲で、結構荒削りです。
★D2 “Ich Halt' Mich Raus” (2:19)は、Saxとエレピをメインにしたビート感のある曲で、Voは相変わらずドスが効いてます。
★D3 “Idi Otto” (2:44)は、ブリブリのBで始まり、エレピとDrsに合わせて、ちょっとロッケンローな曲となっており、Voの存在感はやはり凄いです。
★D4 “Zu Cool” (2:44)でも、ブリブリのBと器用なエレピとDrsをバックに、Voはガナるように歌います。
★D5 “Sexueller Notstand (version 1)” (3:03)は、バージョン違いですが、こちらの方がややスローで、エレピの音が前に出ていますね。Voは相変わらずです。
★D6 “Triebtäter (version 1)” (2:16)も、バージョン違いですが、エレピを使っているだけで、かなり印象が異なります。アレンジも変えているようで、よりプリミティブです。
★D7 “Too Cool” (2:59)は、恐らくD4の元曲だと思いますが、全員で歌っている所が一番の違いですかね。まだ、この曲ではそれ程パンキッシュではないです。まろやか⁈

 LP1では、シンセも多用されていることもありますが、パンキッシュなニューウェーブ色の濃い出来になっており、個人的にはかなり楽しめました。一方、LP2のC3-D4(ファースト・アルバム)は、個人的には、思い入れのあるサウンドで、確かに拙い演奏なんですが、エレピの使い方が流石と言うか特徴的で、パンクと言うよりもポストパンクな感じが強いんですよね。LP2のC1-C2のシングル・バージョンは、より荒削りでパンクっぽいのですが、LP1のセカンド・アルバムの音と比べるとやや音が薄い感じがします。しかし、パンクを意識しているのはビンビンに伝わってきます!LP2のD5-D7は、多分ちゃんとしたエンジニアも付かずに録音したのではないかな?と感じますね。皆んな、最初はそうだもの。しかしながら、ギターレスで、代わりにエレピとかシンセと言う「異形のパンク」を今まで続けてきたÖstro 430は本当に凄いと思います❗️なので是非この盤で彼女らのパンクを体験してみて下さい!新譜も宜しく!

[live “Sexueller Notstand” in Hönhie Fes. 2023]
https://youtu.be/hx5_4WnuEy8?si=Ou2w_PnACfdpBLGf

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mgRo9-5mjnahmApmbWgPzCkOOpPkIUdBU&si=plPR9iwF2nr798F2

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