Test Dept. “The Unacceptable Face Of Freedom”

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とうとう、インダストリアルの最終兵器Test Dept.の7作目(カセット作品を含む)のアルバム“The Unacceptable Face Of Freedom”を紹介したいと思います。英国を代表するメタパー(メタル・パーカッション)軍団で、政治色も強いTest Dept.ですが、このバージョンは特殊変形ジャケットに包まれてリリースされています(広げると、やたらデカい十字架になる)。因みに、Ministry of Powerと言うレーベルは彼等自身のレーベルです。この作品は彼等のトライバルな音楽として最高潮に達したアルバムで、The New York Timesの音楽評でも、「サウンド・コラージュを上手く使っており、同時に繰り返すリズムの『ヘルタースケルター』的な勢いも兼ね備えている点で優れた音楽である」とベタ褒めされています。国内盤も出ており、邦題は「自由の仮面」でした。それで、内容を曲順に紹介していきます。ただ、参加メンバーの詳細は不明ですが、Ken ThomasとTest Dept. (Graham Cunningtonはコアメンバーであったが、他のメンバーについては不明)が音楽作製に関わっており、Alan SutcliffeとKent NUM (Voice [B1]), Max (Organ [B4]), Phill Erb (Programming [A4]), Alistair Adams (Bagpipes [A1, B3])もゲスト参加しているようです。なお、録音はPaddingtonのBishops橋の維持用倉庫で行われたとのこと。それでは各曲を紹介していきましょう。
A1 “Fuckhead”は、いきなりノリの良いメタパーによるトライバル・ビートで幕を開け、そこにコラージュ的にサンプリングした音やループ音などが挿入されています。この曲では、Alistair Adamsによるバグパイプは使われていますが、これは「我々は英国人である」との表明なのでしょうか?しかしながら、全体のイメージとしてはヒップポップ的な感じがします。A2 “51st State Of America”もリズミックな曲で、オーケストラの音などがサンプリングされています。このタイトル「アメリカの51番目の州」とは、正に今の「日本」のことかもしれませんね。A3 “Comrade Enver Hoxha”は全てが破壊された大地に、聞く人も居ないラジオから流れてくるような緩やかな音楽です。A4 “Fist”では再び、重いキックと何と!シーケンスとの同期演奏で始まり、そこに、嗄れたアジテーション・ヴォイスが乗ってきます。非常にリズミックな曲ですが、唐突に曲は終わります。そしてB面にいきます。B1 “Statement”は、いきなりアジテーションから始まり、メタパーのキックや効果音的な使い方で絡んできます。B2 “The Crusher”は非常にノリの良いビート、にコラージュ的にアジるヴォイスやノイズ音が挿入されてきて、メチャクチャカッコ良いです。B3 “Victory” は、バグパイプやハーモニカ、マーチング演奏などの断片が継ぎ貼りされて、実際の演奏とミキサーにかけたかのようです。この曲でもバグパイプが使用されています。B4 “Corridor Of Cells”も、女性のハーモニーの上に、アジると言うよりも搾り出すようなヴォイスでの朗読とか重いメタパーの音などが被ってきて、不穏な空気を醸し出して、この作品を締めています。
それで、全体的に感じたのは、1986年と言う時代のテクノロジーと自分達のリズムやビートを交雑することで、独自の路線を突き進もうとしたのでは?と言うことで、ここら辺は、意識的にEinstürzende Neubautenとの差異化を図ったのではないかと想像します。また、初期のように、残響が活かせる録音環境で、アルバムを作製しているのだなと確信しました。それにしても、完成度の高いアルバムですので、一度は聴いた方が良いですよ‼️

https://youtu.be/HxFFqHrUdzQ

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