062 水流

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私が学生の頃、紋様を描きたいと思った理由の一つに加山又造氏の春秋波濤を見た時の衝撃があった。
春秋波濤の画面は大きな山が3つあり、その右側には満月が浮かぶ。
その山には桜や紅葉。その描写から春と秋の季節が感じられる。
その山々の間には激しくうねる波のような線が表現されている。
画面構成の美しさ、モチーフの扱い方、色合い。そのどれもが私の心を揺さぶる物だった。
はじめて見たのは確か画集かポスターか…実物ではない物を見ただけなのにこの力、恐ろしい。
私自身、この作品を見てモチーフの描き方をみて非常に大きな衝撃を受けたがその波、水のうねりだ。
一本一本の線がその透明な水の流れや動きを表していると感じたからだ。ただの線でありながらそれを体感させることが出来るその力に。
そこで次の紋様を描くのを迷ったときにこの水のラインを描きたいと思い始めた。
この紋様はその考えから出来上がったものだが…描き終わった後に気づいた事がある。
それは他人の、春秋波濤のラインを真似して描いたところで得る物は少ないという事だ。
もし私が人に体感させられるほどの水流を描く力を得たいと思うのであれば、実物を観察しその物の動きを捉えなければいつまでたっても上達しないということだった。

あぁ、道は険しく永いのだった…。

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    ace

    2019/01/29

    これですか?😳
    独特のタッチで迫力ありますね!

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    • そうです、これです…
      何度見ても素晴らしいですねぇ…実物を見たらどんな感動を得られるのか…非常に気になります。
      サイズは169.5cm×363cmと非常に大きな物です。
      A4サイズの作品を作るだけでも息があがってしまう人間からするとこのサイズは正直未知の領域…。

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      ace

      2019/01/30

      なるほど、うねりの強い水流だと思いましたがここから採取したんですね😆
      水墨画も面白いですね😄画力がすごいです!画風が変わっても"推し"の強さは変わらないですね。表現が難しいですが、単純に前に出てくるのではなく一度引き込んどいてから迫ってくる感じがします。

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    • 水流と感じるのであれば、それは採取元の力が強いからでしょうね、恐るべし加山又造氏。
      これ以外にも加山又造氏は裸婦等も描いています、非常に妖艶な女性を描きあげていて、作品の幅が本当に広い人なのだと驚いたのも覚えています。裸婦以外にも多少抽象的な具象画なども描いていますので見ていただければそのすごさがお分かりになるかと。
      そうですね、その絵の中に引き込まれて離さない魅力があると思います。真に巨人なのであります…。

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