046 奥行き

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大学へ向かうために私が利用していた交通手段の一つは地下鉄だ。
地下鉄を皆様はどう捉えているだろうか?(質問がかなり大雑把)
私は身近にある異世界に身を浸すアトラクションだと思っている。人が少ない時間帯は特にそうだ。
私はその日、大学へ向かうため(帰るためだったかもしれない)にいつも通り地下鉄の先頭車両に乗り運転席の向こうの景色を見ていた。
ふと、背後を振り返った(なぜあの瞬間に振り返ったのだろう…)
その瞬間、驚きで身が固まった。

綺麗に一直線に並んだ車両。
そして、車両と車両をつなぐ扉の小窓から見えるのは、まるで合わせ鏡のように続く後ろの車内の風景だ。
小窓に嵌め込まれたガラスの影響で奥にいけばいくほど薄暗くなっていく車内に人は一人も見えない。
自分が奇妙な時間と空間に入り込んでしまった…と興奮していた。
しかしその奇妙な時間は本当に僅かだった。
駅と駅をつなぐ時間はたったの3分程度、異界にいられるのは本当に少し。
すぐに人が待つホームへ電車は入り、車両には人が乗り込んでくる。
あの体験は大学に在学している間に一度しかなかったが、あの衝撃は忘れられない。

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    TWIN−MILL

    2018/10/01 - 編集済み

    地下鉄は暗闇で景色も無いので状態を得るヒントが無く、感覚が鈍りますが実際はコーナーも多く、アップダウンも激しいですよね。
    それが車両の連結によって伝わった時の時間差のせいか、なんか「おお!」と心が弾みます😁。

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    • コメントありがとうございます!
      確かに乗車している時に自分の状態を把握するのは難しいですね。こういう感覚は私生活では通常味わえないものです。
      車両の連結から自分の状態を把握するのも面白いですね。
      結構、皆さん普通に地下鉄に慣れてしまって感動もないかもしれませんがそういう「感覚」に対して心を向けてみると発見があって面白いと思いますね。
      やはり、地下鉄は日常に溶け込んだアトラクションだと思います!

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