020 手
私の手は母似で手はかなり大きいほうだ。指もながく、わきわき動かすと変態チックな動きが出来る。
ちなみに手の形は祖母、母、私と非常に良く似ている。年をとったらこういう手になるのだろうな、という未来予想図がすぐ傍にあるようなものだ。
ところで、老人ホームにいる祖母に会いに行くと決まって手の話をする。何度も何度も同じ話になってしまうが別に嫌じゃない。祖母の大きな手のひらに私の手を合わせ、暖かいねーとか綺麗な手だねぇなんて言われたりするのは何故か心が安まる。多少、気恥ずかしいが。
祖母は自分の手をシワだらけ美しくなく嫌だわというが、その時に私は心からそんなことはないと返している。
しかしそれが適当ではないこともわかっている。私は外見的な所だけではなくその手の内面も褒め、祖母は恐らくその外見から美しくないと言っているからだ。
祖母には伝わらないだろうが本当に美しく思うのだ。戦争のあった時代から、様々な事があった過去を生き抜いたその手を私は本当に美しく素晴らしい手だと思う。恐らくずっと伝わらない、それが少し残念だ。