天保15年(1845年)製作 野弁当

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箱書が消されて分かりづらいのですが、わずかながら「保」と「十五年」という数字が見えます。江戸期に「保」のつく年号は正保、享保、天保しかなく、また15年続いた元号は天保のみですので、天保十五年製作と判断しています。
黒漆と檜葉と思われるもので変り塗を施し、金箔の美しさを実に効果的に見せている素晴らしい作品です。木地は極めて薄いのですが、180年ほど経過して捻じれ、隙間などの狂いは全くありません。驚異的な木地拵えです。
重箱のサイズは14.6✕15.3㎝、高さ23.5㎝です(いわゆる五寸重。)共箱裏に放射線マークの様な家紋?が書かれていますが、何という紋か調べても分かりませんでした。
今の若狭塗しか知らない方なら、これが若狭塗だということは分からないと思います。職人さんの複雑な工夫がいっぱい詰まった見事な作品です。

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    T. S

    2022/07/04 - 編集済み

    年号の推測方法に感服いたします…。
    そういうアプローチはとても興味深いです👍 なるほどーと思いました。

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      グリーン参る

      2022/07/05

      T.Sさん
      コメントありがとうございます。
      私は変り塗の変遷を調べているので、どうしても製作年代の同定に力が入ってしまいます😅。
      箱書はこれ以上ない貴重な情報が書かれていることも多いのですが、途中で入手した方がそれを消してしまうことがあります。嘉永4年の弁当箱も製作年以外の文字が消されていました😢。

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