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Asmus Tietchens & Liquidsky “Monoposto (1981-1991)”
またまた、Asmus Tietchens関係の作品をご紹介します。今回は、TietchensとLiquidskyのコラボ作品”Monoposto (1981-1991)”を取り上げます。それで、Tietchensの方は今までにも紹介してきましたので、今回のコラボ相手のLiquidskyについて略歴を記しておきます。本名は、独ハンブルクのAndreas Hoffmannで、アーティスト、作家、ミュージシャン兼グラフィック・デザイナーで、元々は、1979年頃〜1980年代中盤まで、Klaus Höppnerと共にCinéma Véritéと言う実験的エレクトロ・ポップ・デュオとして活動、その後は、LiquidskyとかC.V. Liquidsky等と名義で音楽活動を行っており、1990年代初頭には、デザイン・チームとして、Peter Bayerと共にBeyerLiquidsky, Hamburg を名乗り、多くのCDジャケ等を手掛けていますが、その後、Ronald Behrendも加えて、BeyerLiquidskyBehrens名義で2枚程のCDも出しています。しかしながら、Hoffmann自身は、1998年9月6日に若くして他界しています。
それで、本作品ですが、表題に記されているように、1981年〜1991年に掛けて、TietchensとC.V. Liquidskyの間で行われてきた共同作業の結果で、A4以外は、2人の共同作曲となっています(因みに、A4は、Neil Young作曲の”My My, Hey Hey/Out Of The Blue”ですが、1995年〜1999年に放送されていた同名の独のコメディ番組と関係があるのでしょうか?)。それで、2人の担当は、Guitar & Treatmentsとクレジットされています。それでは、本作品の各曲についてご紹介していきましょう。
★A1 “Schlotzen” (3:12)は、確かにGのループを中心に、Gノイズ(?)やリフ的なGの音が色んな方向から絡んでくる曲で、本作の幕開けに相応しいです。
★A2 “Vergessene Jungens (忘れられた少年達)” (3:37)は、初期The Residentsのような不安を煽るような打楽器的Gループを中心に、やはりGが自在に絡んで来る曲で、Gのメロディらしき音程は割と美しく、またドラマチックです。
★A3 “Mit Dem Zombiebus Ins Totenreich Der Killermimen (ゾンビ・バスでキラーマイムの死の世界へ)” (9:52)では、微かなGを掻きむしる音が段々と大きくなるにつれて、エコー音にも覆われて不明瞭化していき、やがてリズムを刻む打楽器的(多分)ループ音に置き換わっていき、そして再びエコー塗れのG音に加えて、フィードバック音や物音ノイズ等も挿入されてきまふ。淡々としていますが、曲自体は非常に多彩に感じます。
★A4 “Aus Heiterem Himmel (My My, Hey Hey/Out of the Blue)” (2:06)では、Gのカッティングをループ化したリズムに合わせて、別のGで皆さんの良く知っているメロディを弾いています。そのバックにはGノイズが断片的に入り込んできます。
★B1 “Drangsal Am Hauptbahnhof (主要駅でのトラブル)” (3:07)は、Gループ音に、結構、腹に来る打楽器的なGの音をアクセントにした曲で、それらの間にGノイズ(?)がスルスルと挿入されてきます。
★B2 “Junge Hoden (若い睾丸)” (2:59)は、カントリー調に聴こえる、Gループ音のミニマルな曲で、時々、音程が変わって行く様は面白いです。またループ音を上手くリズミカルに使用しており、メロディも美しいです。
★B3 “Fraueninnenhygiene (女体内の衛生)” (3:09)も、淡々としたループ音をリズムに、メロディアスなGが非常に美しく絡む曲で、メロディ自体は結構、綺麗です。また、時々、雑踏の音や声等のテープ音も挿入されます。
★B4 “Der Appelbeker Kreis (アッペルベーカー地区)” (2:40)も、単音Gのループを3拍子リズムとして、その奥でまたまたGノイズらしき音も入り込んできます。途中で中断する部分もあります。
★B5 “DDR (東独逸)” (3:57)は、遠くで鳴っているGのフリー演奏の奥から、段々と大きくなって迫り来るパルス状のGループ音がやけにインダストリアルな郷愁を感じさせます。後半では様々なノイズが彩りを添えています。
★B6 “Einfach Helden (単なるヒーロー)” (3:03)は、Vln協奏曲のようなGループ音を中心に、コード進行も劇伴っぽい為、全体としては、クラシックのように聴こえ、途中を遮る音/ノイズもドラスティックで、最後はまるで、オペラの最終章みたいに終わります。
まさか、Asmus Tietchensがシンセ等の電子楽器を使わないことがあるのか?とちょっとビックリしました。それも、殆ど音源としてはGだけですから!そりゃあ、ビックリしますよ。多分、Liquidsky側がGオンリーでと指定したのかな? こう言うループ化した音を使って録音してみると言うやり方は直ぐに思いつくのですが、それで1枚アルバムを作ろうとは思わないですねぇ。しかも、ループのテンポは、全曲ほぼ同じなので、B面後半に来ると、かなり催眠作用が強くなってきます。また、Neil Youngのカバー(実はDevoも演っています)を演るとは!これもビックリです!米国の泥臭いR&Rを、幾らLiquidskyとのコラボとは言え、Tietchensが演るとは意外でしたが、一種のミニマリズムが共通しているのでしよう。それで、そんなに大層な機材(ディレイ、リバーブ、EQなんか?)は使っていなさそうで、そこが、またTietchensの凄い所でもあると確信しました! 後、ループ以外のGの響きが非常に美しく、多分、使っているのは、12弦Gじゃないかな?と思いました。それでも、その美しさは、インダストリアルな雰囲気を漂わせており、それを感じると、「嗚呼、この作品のミックスダウンは、Tietchensがやっているな」と納得してしまいます。なんて言うか、独逸的と無機質さと機械性(インダストリアル)が、Asmus Tietchensの音楽の特徴なのかもしれません。一度、聴いたら、ここら辺は感じられると思いますよ!
A2 “Vergessene Jungens” (3:37)
https://youtu.be/914B0Isy46A?si=YEOtau1i8dxIzlLQ
A4 “Aus Heiterem Himmel” (2:06)
https://youtu.be/b4jGEPmB64g?si=nDccNoi2nZlksxqV
B3 “Fraueninnenhygiene” (3:09)
https://youtu.be/4Sbxm4e2KZk?si=uVLpAWPFCPPu03tK
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