Holger Hiller “As Is”

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やっと入手しました。Holger Hillerのソロとしてのサード・アルバム”As Is”です!クリア盤で、透明ビニールに直接プリントされたバックに盤が収められていると言う、ちょっと凝った装丁になっています。Hillerのバイオグラフィーについては既に書いてありますので、そちらをご参照して下さい。今回は、Holger Hiller (Sampler, Edit, Produce)の他、Russell Haswell (Edit), Stefan Van Campenhout (Drs, Perc), Mimi Izumi Kobayashi (Programming), Karl Bonnie (Arrangement)がゲスト参加しています。内容的には、A面7曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。

★A1 “Königinnen” (3:50)では、Van Campenhoutのダイナミックなリズムに、チェンバロ音や電子音、何かを叩く音等のサンプリング音が同期されており、そこに呟くようなHillerのVoが乗ります。前作のような明確なメロディの断片も無いです。最後は持続音で終わります
★A2 “Sing Songs” (2:13)は、竹を叩く音や男性合奏や部族の歓声等、様々なサンプリング音を見事に同期させ、ダイナミックなDrsが入ってくる曲で、かなり抽象的な感触です。
★A3 “Bacillus Culture” (4:34)は、何処かのBのフレーズをサンプリングして反復させ、Drsと同期させたさせた曲で、Hillerが囁くVoでメロディアスに歌います。この曲が最もポップと言うか「音楽的」ですね。間奏では自身の声もサンプリングしてコラージュしている?
★A4 “Sur La Tête” (1:08)は、男女其々の声や合唱、キャッシャー等の様々な音をサンプリングして、同期させている小曲です。
★A5 “Neighbours” (3:21)も、ベル音や何かの具体音をサンプリングして、リズミックにプログラミングして一定のパタンを作ることで「音楽」として成立させ、そこにHillerのVoを乗せています。
★A6 “Abacus” (3:08)は、木製の摩擦音、女性の声や会話のサンプリングをリズミックに同期させて、歌でも楽器でも無い音として曲を作っており、プログラミングの妙で聴かせています。
★A7 “Gut Und Böse” (4:28)では、キックやPercを使っており、電子音や具体音(水を注ぐ音等)をサンプリングして同期させ、「音楽」として再構築しています。また、Hillerは消え入るようなVoも披露しています。
★B1 “You” (4:13)は、ピアノやダブルB或いはバックの電子持続音(これらもサンプリング?)、そして途中でのヴァイオリンの音もサンプリングし、とてもジャズVoには思えない無調Voから成る似非ジャズな曲です。。
★B2 “Mosaik” (3:12)は、カエルの鳴き声?やヴァイオリンやバネの音、その他の正体不明な具体音をサンプリングしまくって、題名通りまるでモザイクのように、一定のリズムのパズルにはめ込んだ曲で、HillerのVoも入っていますが、スパッと切った音片がシャープです。
★B3 “Egg” (3:15)は、四つ打ちキックとハイハットのリズムに、他の歌やら何らかのメロディやら机/金物を叩いた音等もサンプリングしたインスト曲で、シャープなプログラミングが冴えていますね。
★B4 “Trojan Ponies” (1:46)も、それこそ色んな具体音のサンプリングを同期させて、更に割とハッキリしたVoを乗せることで、メタ・ソングとして成立させています。
★B5 “Cuts Both Ways” (4:02)は、ノリの良いBラインとDrsに、何かを叩いた音やドアの軋み音、キャッシャーの音等々、様々な具体音で上物を構成していますが、ビートがあるとかろうじてポップの範疇に留まりますね。最後はクチャクチャした音のコラージュで締めています。

 前作”Oben Im Eck”では、交響楽の大胆なサンプリングを多用して、既にメロディがあるものを使っての曲が目立ったのですが、今回は、寧ろ、何かを叩いたり、鳴き声や生活音等の具体音を使った、極めて抽象的な曲作りを行っており、これを「現代音楽」の世界ではなくて、ポップミュージックのジャンルに落とし込んでいる所が、Hillerの凄いところですね。嘗て、ピンク・フロイドがやろうとして断念した方法論を、サンプラーを使って見事にやり遂げています。かなり抽象的な音楽ですが、ピンク・フロイドのファンの方にも聴いて欲しいです!勿論、Holger Hillerファンにも!!後、Izumi Kobayashiとコンビを組んだことで、サンプリングした音をプログラミングさせて、同期させることで、一定のパタンをリズムに転換しているところも、Holger Hillerの特徴だと思います。

A5 “Neighbours” (3:21
https://youtu.be/1BK80l1akSw?si=3WcPEqfu1gKlgYuS

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mtWZYHZELKarQpR7CbHejnMkkzOem0Z6I&si=q-H27TqjY9xM7BGB

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