Die Gesunden “s/t”

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Die Gesunden(ディー・ゲズンデン; 健康人の意). 私は全然知らなかったんですが、他のアイテムを注文している時に、思わず、ジャケ買い/試聴買いしてしまいました。なので、少し調べてみました。
 元々は、Eschi Rehm (エシィ・レーム)とMabel Aschenneller (マーベル・アシェンネラー)のデュオとしてベルリンで結成されていますが、その前に、Rehmは、Reiner BorchertとBent Jacobsenと共にクラウトロック・バンドWarmer Südwind (ヴァルマー・ズュドヴィンド)を結成しており、その時にリリースしたアルバム”Schwul”で、堂々とメンバーの同性愛とゲイとしての自己イメージについて公然と語っており、この前身のバンドが、独逸初のゲイ・ロック・バンドと看做されている理由でもあります。そうこうしている間に、Die Gesungenは結成され、その後、ドラムのThomas Wylder (トーマス・ヴィルダー)が加入してトリオになりますが、Wylderは後に、Nick Cave And The Bad Seedsにドラマーとして加入することになります。因みに、Rehmは、Die Gesundenと同時にGeile Tiere (ガイレ・ティーレ)というデュオも平行して始めているようです。それで、彼等は、Die Gesundenを始まるに当たり、Kraftwerk, Roxy Music, Eno及びDavid Bowieからの影響を受けており、それはこの時期に、偶々、Bowieがベルリン3部作の”Low”の録音でベルリンに滞在していたことも考えられるようです。Die Gesundenは、当時のNDWの流れに乗れるような音楽性に変化し、1982年にKraus Schulzeが1978年から運営していたレーベルInnovative Communication (実はSchulzeは、この初期のNDWの動きに早くから反応して、興味を持っていたらしいです)からファースト・アルバムであり、唯一のアルバムのセルフタイトルのアルバムをリリースしています。それで、Mabel Aschennellerは、ベルリンのNDWシーンを盛り上げる為に、この地区での、初期のEinstürzende Neubautenのライブをプロモートしたり、初期のThe CureがショーをやっていたExecess Clubでもショーをブッキングしたりしており、そのことが、Die Gesundenの結成に大きく関わってとされています。Die Gesundenは、1981年には、DAFの独国内ツアーも一緒にやっており、かなり好評であったらしいです。なお、1981年には、同年8月12日にベルリンのTempodromで行われた企画"Rock Against Junk"フェスでのライブ・カセット作品”Live At Rock Against Junk"も出していますが、公式にはこの2つだけしか残していません。
 以上が、Die Gesundenの略歴なのですが、クラウトロックからNDW、そしてニューウェーブ/ポストパンクへのジョイントとなった重要なバンドだと思います。本作品は、トリオになってからの作品で、Eschi Rehm (Electronics, Vo, Mechanics), Mabel Aschenneller (Electronics, Vo, Mechanics), Tommi Wydler (Drs)がメンバーとして参加しています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。

★A1 “Instru-Mental” (2:10)は、不明瞭なホワイトノイズ混じりのシンセによるリズムに、不思議なメロディと譜割のリフとシーケンスから成る曲で、ミニマルですが、結構、凝ったインスト曲です。
★A2 “Die Gesunden Kommen” (3:25)は、低音シンセドローンから始まり、シンセで作ったリズムが乗り、シーケンスとシンセのリフ&最低限のVoから成る曲で、電子音が心地良いです。
★A3 “Der Weg Zum Erfolg” (3:20)も、陽性のシンセポップな曲で、シンセで作ったリズムに手弾きのリフやVoから成る曲で、途中にブレイクが数回入ります。
★A4 “Krieg Und Frieden” (3:19)は、空中戦のSEとリムショットのドラムマシンから始まり、ややミドルテンポの曲へと移行し、やや不明瞭なVoとSynth-Bと生Drsから成る曲で、最後のレトロなシンセの音色が心地良いです。
★A5 “Sometimes/Manchmal” (3:37)は、パルス的なリズムとシンセによる打撃的低音、それにエフェクトVoから始まる曲で、やがてバックにSE的電子音やコード弾きのシンセが挿入されてきます。Voは悲し気で叙情的な雰囲気です。
★B1 “Baby Love” (3:15)は、ウニョウニョしたシンセと不明瞭なリズムとVoから成る曲で、コード弾きのG?っぽい音も挿入され、盛り上がってきます。
★B2 “Leutnant Miller” (3:50)では、ディレイを掛けせたSynth-Bが中心になって、そのリズムにVoが乗っています。6/8拍子の生Drsが途中から入ってきて、結構ノリが良いです。
★B3 “Galaxy” (3:28)は、シンセ・リズムに、裏拍子のオルガン?と緩やかなシンセが対比して流れる曲で、Voもよく歌っています。
★B4 “Atmen” (2:40)は、まるで機械の内部にあるかのような複雑だか単調なシンセ・リズムが中心になる曲で、息遣いやVoが挿入されます。
★B5 “Film Musik” (2:10)は、ドラムマシンと直線的シークエンスとSE的電子音から成るインスト曲で、コード弾きのシンセ音も被ってきます。

 個人的には、英国The Future〜初期Human Leagueのようなシンセによる実験ポップ的音作りに対する真摯な態度に感銘を受けました。非常に面白かったです。後、生Drsが余りフィーチャーされていなかったのも惜しい感じがしましたが、シンセを使って、リズム楽器の代わりにしたりする試みとは、非常に興味深く、シーケンサーに頼らず、手弾きで対応していたのも良かったです。お恥ずかしい話しなのですが、私は始め、このレコードを33 1/3回転で聴いていて、なんかVoがエフェクト掛かったみたいに不明瞭だなあと思っていたのですが、実は、このアルバムは45回転でした。そうしたら、全然印象が変わりました。いやーお恥ずかしい。なので、シンセ・ポップのリスナーさんには受けると思いますよ!

“I’m Waiting For The Man”(cover)
https://youtu.be/d5u8RNaQIF8?si=4VNvc1KiYSnlfUYT

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_liL-ABWBX-4JI1e4bgy-5xVz0C5dFM--A&si=OLzsjn6IeZcjlo7V

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