Bizarre Leidenschaft “Geheimnis”

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Bizarre Leidenschaft (ビツァーレ・ライデンシャフト; 奇妙な情熱)と聞いて、ピーンと来る方は、相当のNDW好きかと思われます。私がこのバンドを知るキッカケになったのは、NDW期の独パンクをちょっと調べていて、その中のRotzKotz (ロッツコッツ)をちょっと深掘りしたからなんです。実は、独パンクバンドRotzKotz(ファースト・アルバムはパンクですが、セカンド・アルバムはニューウェーブっぽくなっています)のギタリストHorst Illing(ホルスト・イリンク)とドラマーMarcus Joseph (マルクス・ヨーゼフ)及び鍵盤奏者Gregor Ludewig (グレゴール・ルーデヴィック)が、RotzKotz解散後、シンセ奏者のMulle (ムーレ)を加えて、1982年に結成したバンドが、このBizarre Leidenschaftなんです。しかも、Bizarre Leidenschaftは、本アルバム1枚だけ出して、解散したようで、Illingはそのずっと後2000年代になって、ポップパンク・バンドDie Ärtzeに参加していたり、JosephはBeatklubや他のバンドに参加しているようですが、MulleやLudewigについてはその後の情報が全くありませんでした(すまん!)。それで、本作”Geheimnis (ゲハイムニス; 秘密)”についてなのですが、RotzKotzとは全くの別バンドのようなシンセ・ポップを演奏しています。ライブ動画等は確認できませんでしたが、ニューウェーブを通り越しているような印象です。A面5曲/B面6曲が収録されており、曲や歌詞はIllingがやっています。そして、参加メンバーはHorst Illing (G, Vo), Gregor Ludewig (Synth, Vo), Mulle (Synth), Marcus Joseph (Drs)となっています。それでは各曲をご紹介していきましょう。

★A1 “Bizarre L.” (3:36)は、シーケンスに生Drs(同期したDrsマシンも)と言うリズム隊にシンセの綺麗なメロディが乗るインスト曲で、中々ドラマチックな展開の曲です。
★A2 “Störung” (3:17)も、Synth-Bのシーケンスと生Drsにシンセのリフと若々しい独逸語歌詞のVoが乗る曲で、Gも加わり、サビでのコーラスワークもキャッチーで心地良いです。
★A3 “Oho” (4:20)は、ディスコティックなリズム隊(打ち込みSynth-B, Drs, Drsマシン)とファンキーなGに、ホーン系シンセとVoが加わる曲で、当時の流行りを反映しているようです。
★A4 “Geheimnis” (4:50)は、可愛いらしいシンセ音から始まり、打ち込みSynth-BとDrsが加わって、優しげな2人のVoがちょっと甘酸っぱいメロディを奏でる曲で、勿論、Gも聴取でき、間奏のシンセもシンプルで良い感じです。
★A5 “Kulissen” (3:57)は、Synth-BとDrsの堅実なリズム隊に、コロコロしたシーケンスとおぼつかないようなVoとセンスの良いシンセのメロディでメロメロになりそうです。途中のブレイクも良い曲構成です。
★B1 “Himbeerschokoladentorte” (4:17)も、着実なリズム隊に、しっかりと歌うVoから成る曲で、中音域のシンセのサブメロディや出過ぎないGも良く、サビのコーラスワークにも痺れますね。ちょっと青春!
★B2 “Plasticpuppen” (3:05)は、直線的シーケンスとシンセで始まり、結構、ミニマルな曲構成の曲で、スネアやダブルVoや重いSynth-Bも効果的です。
★B3 “Tanzbär” (2:52)は、割と軽めのテクノ・ポップ調の曲で、単音切りのようなリズムがプリミティブで、逆に新鮮です。サビのコーラスワークも素晴らしく、ややピッチをずらしたシンセのリフも良い。
★B4 “Mädchen” (3:02)は、テクノ・レゲエな曲で、Gや生Drsが活躍していますが、独語歌詞のVoがキモですね。間奏のオルガン風のシンセも中々良い塩梅です。
★B5 “Frauenbeine” (3:53)は、切迫感のあるシンセ・メロディ、それに連続するGSっぽいシンセのリフと着実なリズム隊に、甘めのVoが乗る曲ですが、サビのコーラスワークには、ちょっと甘酸っぱい感じがします。
★B6 “Rio” (2:25)は、マーチっぽい2ビートのDrsと透明感のある音色のシンセ・メロディに、ダブルVoが乗る曲で、上手いシンセワークや間奏のシンプルなGソロには懐かしさすら感じます。

 彼等の内3人の出自がパンクバンドですが、本作品に収められている曲は、どちらかと言うと若者独特の輝きとか甘酸っぱい思い出とかを連想させる「青春エレ・ポップ」で、それはそれで、個人的には、懐かしくもあり、恥ずかしくもあります。メロディもキャッチーだし、曲構成も良く出来ていると思います。何で、Bizarre Leidenschaftが、このアルバムだけで終わってしまったのか、ちょっと残念には思いますが、テクノ・ポップが持っている「抒情性」を感じることのできるアルバムだと思いますので、もし、気になる方は聴いてみて下さい!意外とお勧めです。

https://youtu.be/hbMx-seot88?si=XLJh_vhG8CXqTVYT

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