POP. 1280 “Way Station”

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またまた、謎物件です。POP. 1280と言うバンドをご紹介します。米国NYCで2008年に結成されたバンドで、この風変わりなバンド名は、1964年発刊のJim Thompsonの犯罪小説の表題から取られています。まぁ、なんだか良く分からなかったので、ちょっと調べてみました。元々は、2008年に、Chris Bugが、高校卒業後2年間、中国「そうじょういん」での勉強が終わったタイミングで、長年の友人Ivan Lipに説得されて、米国NYCに移住してきたことから始まりました。最初は、Greenpointで、Bugがヴォーカル、Lipがギターと言うデュオで始まりましたが、その内、楽器を弾いたことの無いメンバーを誘うようになりました。その結果、最初、John Skultraneがベース、Andrew Smithがドラムと言うバンド形態となり、Bugが曲を書き始めます。しかしながら、それを演奏してみると、ダウナーなパンク・サウンドのようになってしまいましたが、彼等は自分達のサウンドを直ぐに自己分析しています。その結果、彼等の音楽は、No WaveとNew Wave、PunkとIndustrial、NoiseとTribal、ElectroとPost-Hardcoreと言った異なるジャンルの音楽をミックスしたものだと結論付け、まるで、The Velvet Underground, Suicide, Joy Division, The Birthday Party, Sonic Youth, Liarsみたいじゃないかと思って、そのまま活動を続けることになります。BugとLipは不動のメンバーですが、その後、関わったメンバーはJohn Skultrane, Andrew Smith, Zach Ziemann, Pascal Ludet, Allegra Sauvage, Andy Chuggらがいます。本作品では、Matthew Hordが正式メンバーとなっています。彼は、シカゴ在住でしたが、アナログ・シンセ等のハードウェアに詳しいことから、正式メンバーになったようで、アルバム作製1年前にNYCに引っ越してきています。また、Andy Chuggは演奏ではなく、エンジニアとプロデュースとして関わっています。2021年には、5作目のアルバム”Museum On The Horizon”をカナダのレーベルProfound Lore Recordsからリリースしており、現在も活動しています。

 以上がPOP. 1280の略歴となりますが、彼等は3枚目のアルバムまでは、自身のレーベルSacred Bones Recordsからアルバムを出してきましたが、この4作目のアルバム”Way Station”に関しては、ベルギーのレーベルWeyrd Son Recordsからのリリースとなっています。前作”Paradise”を出してから、彼等は、音楽的モデルを考え直すことにして、毎晩、セッションを繰り返しては、サンプリングしていたそうで、そこで気付いたのは、BugとLipと言うシンプルなデュオ形態では、寧ろ、ミニマル・ミュージックの美学を導き出せることで、それを後にライブでも演奏できるように形作るにはどうしたら良いかも考えるようになったらしいです。因みに、彼等は、2013年にライブ・カセット作品” Live In Hell”を出していますので、ライブもそこそこやっているようです。また、歌詞も、心の一番奥底にまで潜り込み、それらを取り出す時の痛みや恐れをテーマにしているとのことです(私にはよく分かりませんが)。本作品のメンバーは、Ivan Drip [Ivan Lipの別名] (G, Synth, Drum Machine, Piano), Chris Bug (Vo, Sampler, Synth), Matthew Hord (Synth)で、Scott Kiernan (G, Artwork)がゲストで参加しています。本作品では、A面6曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。
★A1 “Boom Operator” (3:08)は、重めのドラムマシンと荒いシーケンス・ベースに、呻くような狂的Voが挿入される曲で、フリーキーなGもバックに入っていますが、所謂インダストリアル・ロックのようです。
★A2 “Under Duress” (4:08)は、繊細なピアノと持続電子音で始まる、割と落ち着いた曲ですが、Voには明らかに「ロック」を感じます。また、曲構成も秀逸です。
★A3 “The Convoy” (1:38)は、物音系サンプル音をリズムにリリカルで不穏なピアノが曲を牽引する小曲です。
★A4 “Doves” (2:55)は、疾走するマシンリズムに狂騒的なGと荒っぽいVoから成る曲で、Gの音色は1980年代の日本のニューウェーブっぽいです。
★A5 “Hospice” (4:34)は、ミドルテンポの粘着度の高い曲で、Voは今までの人とは違うように感じますが、歌い方とか録音方法が違うのかな? また、曲構成も絶妙で、Gもカッコ良くて聴かせてくれます。
★A6 “Monument” (4:19)は、引き摺るようなダウンテンポの曲で、重々しい雰囲気と単調なリズム隊に恨めしいVoから成り、初期のSwansを想起させる位の重圧感があります。
★B1 “Empathetics” (3:30)も、重いマシンリズムと重厚なシンセ音に、Michel Gilaを想起させる、苦悶に満ちたVoが乗る曲ですが、間奏でのメタパーを思わせる打楽器の挿入もカッコ良いです。
★B2 “Leading The Spider On” (3:38)は、珍しくGのリフと吐き捨てるようなVoから成る曲ですが、やがて重苦しいリズム隊が入ってきます。
★B3 “The Deserter” (2:17)は、意外にもアコギとピアノの繊細な調べから成る悲しげな曲で、薄っら電子音も流れています。
★B4 “Home Sweet Hole” (4:01)では、キックとBの単調なリズムに粗暴なVoが乗り、やがてシンセによるコードやメロディも入ってきます。歌詞はヤバそうです。
★B5 “Secret Rendezvous” (5:11)では、宇宙音と共に諦念したVoが語るように歌っていますが、やがて奥ばったキックやSynth-Bも挿入され、リリカルなピアノも入ってきます。アルバム最後に相応しい”The End”な曲です。

 まあ、バンド名から予想していたようなポップネスは無く、NYCのエキセントリックなロックバンド、MinistryやSwans等からの濃い影響を感じさせるインダストリアル・ロックで、かなり息苦しい程の重いサウンドを彼等は持っていると思います。世界的には、まだまだ無名ですが、NYCの狂気を伝承する直系バンドとしてのポテンシャルはありますので、日本のリスナーの方にももっと聴いて欲しいですね。ドラムマシンを使っていますが、サウンドのヘビネスや曲の構成はピカイチですので、そこら辺のNYCバンドが気になるリスナーさんには激お勧めします❗️

A6 “Monument” (4:19)
https://youtu.be/kRj-2vEe5y0?si=5dLcITGtOtH_lK5z

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mo598wDV-hZ7qXtL182rEIkDjFkppPzPM&si=hO-Uc3ZfpYbaIBhY

[BandcampのURLも貼っておきます]
https://weyrdsonrecords.bandcamp.com/album/way-station

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