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POP. 1280 “Way Station”
またまた、謎物件です。POP. 1280と言うバンドをご紹介します。米国NYCで2008年に結成されたバンドで、この風変わりなバンド名は、1964年発刊のJim Thompsonの犯罪小説の表題から取られています。まぁ、なんだか良く分からなかったので、ちょっと調べてみました。元々は、2008年に、Chris Bugが、高校卒業後2年間、中国「そうじょういん」での勉強が終わったタイミングで、長年の友人Ivan Lipに説得されて、米国NYCに移住してきたことから始まりました。最初は、Greenpointで、Bugがヴォーカル、Lipがギターと言うデュオで始まりましたが、その内、楽器を弾いたことの無いメンバーを誘うようになりました。その結果、最初、John Skultraneがベース、Andrew Smithがドラムと言うバンド形態となり、Bugが曲を書き始めます。しかしながら、それを演奏してみると、ダウナーなパンク・サウンドのようになってしまいましたが、彼等は自分達のサウンドを直ぐに自己分析しています。その結果、彼等の音楽は、No WaveとNew Wave、PunkとIndustrial、NoiseとTribal、ElectroとPost-Hardcoreと言った異なるジャンルの音楽をミックスしたものだと結論付け、まるで、The Velvet Underground, Suicide, Joy Division, The Birthday Party, Sonic Youth, Liarsみたいじゃないかと思って、そのまま活動を続けることになります。BugとLipは不動のメンバーですが、その後、関わったメンバーはJohn Skultrane, Andrew Smith, Zach Ziemann, Pascal Ludet, Allegra Sauvage, Andy Chuggらがいます。本作品では、Matthew Hordが正式メンバーとなっています。彼は、シカゴ在住でしたが、アナログ・シンセ等のハードウェアに詳しいことから、正式メンバーになったようで、アルバム作製1年前にNYCに引っ越してきています。また、Andy Chuggは演奏ではなく、エンジニアとプロデュースとして関わっています。2021年には、5作目のアルバム”Museum On The Horizon”をカナダのレーベルProfound Lore Recordsからリリースしており、現在も活動しています。 以上がPOP. 1280の略歴となりますが、彼等は3枚目のアルバムまでは、自身のレーベルSacred Bones Recordsからアルバムを出してきましたが、この4作目のアルバム”Way Station”に関しては、ベルギーのレーベルWeyrd Son Recordsからのリリースとなっています。前作”Paradise”を出してから、彼等は、音楽的モデルを考え直すことにして、毎晩、セッションを繰り返しては、サンプリングしていたそうで、そこで気付いたのは、BugとLipと言うシンプルなデュオ形態では、寧ろ、ミニマル・ミュージックの美学を導き出せることで、それを後にライブでも演奏できるように形作るにはどうしたら良いかも考えるようになったらしいです。因みに、彼等は、2013年にライブ・カセット作品” Live In Hell”を出していますので、ライブもそこそこやっているようです。また、歌詞も、心の一番奥底にまで潜り込み、それらを取り出す時の痛みや恐れをテーマにしているとのことです(私にはよく分かりませんが)。本作品のメンバーは、Ivan Drip [Ivan Lipの別名] (G, Synth, Drum Machine, Piano), Chris Bug (Vo, Sampler, Synth), Matthew Hord (Synth)で、Scott Kiernan (G, Artwork)がゲストで参加しています。本作品では、A面6曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Boom Operator” (3:08)は、重めのドラムマシンと荒いシーケンス・ベースに、呻くような狂的Voが挿入される曲で、フリーキーなGもバックに入っていますが、所謂インダストリアル・ロックのようです。 ★A2 “Under Duress” (4:08)は、繊細なピアノと持続電子音で始まる、割と落ち着いた曲ですが、Voには明らかに「ロック」を感じます。また、曲構成も秀逸です。 ★A3 “The Convoy” (1:38)は、物音系サンプル音をリズムにリリカルで不穏なピアノが曲を牽引する小曲です。 ★A4 “Doves” (2:55)は、疾走するマシンリズムに狂騒的なGと荒っぽいVoから成る曲で、Gの音色は1980年代の日本のニューウェーブっぽいです。 ★A5 “Hospice” (4:34)は、ミドルテンポの粘着度の高い曲で、Voは今までの人とは違うように感じますが、歌い方とか録音方法が違うのかな? また、曲構成も絶妙で、Gもカッコ良くて聴かせてくれます。 ★A6 “Monument” (4:19)は、引き摺るようなダウンテンポの曲で、重々しい雰囲気と単調なリズム隊に恨めしいVoから成り、初期のSwansを想起させる位の重圧感があります。 ★B1 “Empathetics” (3:30)も、重いマシンリズムと重厚なシンセ音に、Michel Gilaを想起させる、苦悶に満ちたVoが乗る曲ですが、間奏でのメタパーを思わせる打楽器の挿入もカッコ良いです。 ★B2 “Leading The Spider On” (3:38)は、珍しくGのリフと吐き捨てるようなVoから成る曲ですが、やがて重苦しいリズム隊が入ってきます。 ★B3 “The Deserter” (2:17)は、意外にもアコギとピアノの繊細な調べから成る悲しげな曲で、薄っら電子音も流れています。 ★B4 “Home Sweet Hole” (4:01)では、キックとBの単調なリズムに粗暴なVoが乗り、やがてシンセによるコードやメロディも入ってきます。歌詞はヤバそうです。 ★B5 “Secret Rendezvous” (5:11)では、宇宙音と共に諦念したVoが語るように歌っていますが、やがて奥ばったキックやSynth-Bも挿入され、リリカルなピアノも入ってきます。アルバム最後に相応しい”The End”な曲です。 まあ、バンド名から予想していたようなポップネスは無く、NYCのエキセントリックなロックバンド、MinistryやSwans等からの濃い影響を感じさせるインダストリアル・ロックで、かなり息苦しい程の重いサウンドを彼等は持っていると思います。世界的には、まだまだ無名ですが、NYCの狂気を伝承する直系バンドとしてのポテンシャルはありますので、日本のリスナーの方にももっと聴いて欲しいですね。ドラムマシンを使っていますが、サウンドのヘビネスや曲の構成はピカイチですので、そこら辺のNYCバンドが気になるリスナーさんには激お勧めします❗️ A6 “Monument” (4:19) https://youtu.be/kRj-2vEe5y0?si=5dLcITGtOtH_lK5z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mo598wDV-hZ7qXtL182rEIkDjFkppPzPM&si=hO-Uc3ZfpYbaIBhY [BandcampのURLも貼っておきます] https://weyrdsonrecords.bandcamp.com/album/way-station #POP.1280 #WayStation #WeyrdSonRecords #4TheAlbum #USUnderground #NYC #NYInsanity #IndustrialRock #Cyberpunk #Swans #Ministry #JimThompson’sNovel #ChrisBug #IvanDrip #MatthewHord #Synthesizers #Guest #ScottKiernan
Industrial Rock / Cyberpunk Weyrd Son Records 1100円Dr K2
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Group Rhoda “Wilderless”
Group Rhodaとは、米国CA州Oakland在住のMara Barenbaumのソロ電子音楽プロジェクトのことで、2009年頃から活動を開始しています。そうして、2012年に、ファーストアルバム”Out of Time, Out of Touch”をNight School Recordsから出し、その翌年にはセカンド・アルバム”12th House”をNot Not Funから出しています。同年には、Max + Maraと言うデュオで、Dark Entriesより、唯一のアルバムLP “Less Ness”を出しています。因みに、Max + Maraは、Mara Barenbaum (Synth, Vo)とMax Brotman (Synth, Vocoder)から成るデュオで、Barenbaumはその半分、即ち、シンセとドラムマシンを担当しています。このデュオについては、もしアルバムを入手しましたら、その機会にでも 詳細を紹介したいと思います。そうして、2017年には本作品でもあるサード・アルバム”Wilderless”を、2020年に、(今の時点で最新の)4枚目のアルバム”Passing Shade”をDark Entriesから出して、Group Rhodaとしての活動も、順調に進んでいます。その為、彼女は、Oaklandのエレクトロ・ミュージック・シーンの統合メンバーとしても重要視されており、執筆やライブ・パフォーマンスにも力を入れているそうです。 と言うのが、Group Rhodaの略歴で、割と最近のアーティストであることが分かりました。このソロプロジェクトの3作目”Wilderless”は、San FranciscoのRoom 5にて、Mark Pistelによってミックスされており、BerkeleyのFantasy Studiosにて、George Hornによってマスタリングされています。A面4曲/B面3曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Trespass” (5:32)は、アシッドなベースラインとマシンリズムに、空虚さを滲ませるVoとシンプルなシンセのリフで淡々とした曲となっています。余り余計な音が無いのが特徴かと感じましたが、後半は豊かな電子音が花開いています。 ★A2 “Ice House” (5:06)も、同じくシンプルで柔らかなシンセとマシンリズムに、淡々としたVoから成る曲ですが、Synth-Bの音色がA1と同じですね。曲自体は、打ち込みなのに、意外に複雑だと思います。 ★A3 “June” (4:27)は、やや切羽詰まった曲調ですが、決して叫んだりすることはなく、あくまでも柔らかい声のVoを聴かせてくれます。ポリ・シンセの使い方が絶妙に上手いですね。曲も打ち込みにしては複雑で、楽しめます。 ★A4 “Mexi Meri” (3:28)は、ドリーミーな曲調で、マシンリズムとSynth-Bと優しく浮遊感のあるVoで、シンプルに聴かせてくれます。ドラムマシンのオカズの入れ方なんかも秀逸です。 ★B1 “Agua De Florida” (5:32)は、怪しげと言うかアラビックな曲調で、ディレイを掛けたVoが素晴らしいです。特に、後半のベースラインはカッコ良く盛り上がりますね。 ★B2 “Sea Or Be Sea” (5:08)も、アラビックなメロディが紡がれる曲で、ふわふわの抱き枕を抱いているような心地良さが感じられる打ち込みによる曲で、これがマシンリズムとシーケンサーとシンセで作られているのに驚きますね。 ★B3 “Scia” (5:50)は、ややアップテンポな曲ですが、攻撃的な印象等は無く、あくまでも彼女の優しさの範囲は越えてはいません。ただ、ブリブリしたSynth-Bの音色や複雑なシンセのリフやドラムマシンの打ち込みなんかも聴取できて、興味深いです。 天は二物を与えず、とは言うものの、Mara Barenbaumには、緻密な曲作りと天使のような柔らかい声質のVoと言う二物が与えられ、本作品は、それらを遺憾無く発揮している傑作だと思います。あくまでもソフトで優しいシンセ・ウェーブとしてですが。それと、ちょっとだけ気になったのは、Synth-Bの音色が、どの曲も殆ど変化が無かったことで、そこら辺は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私的にはちょっと残念でした。ただ、打ち込みながらも、曲構成は、1980年代のシンセ・ウェーブのミニマルさはなく、かなり複雑な譜面でプログラミングしているので、こう言うところが、1980年代のシンセ・ウェーブとは大きく違うところなんだなと感心しました。個人的には、こう言う曲構成も好きですね。なので、女性Voもののシンセ・ウェーブでの「新」ジャンルに興味のある方は是非体験してみて下さい❗️ A4 “Mexi Meri” https://youtu.be/__4AInDTwWY?si=QluGuiGhySOylTW_ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_legTbDusVwECJvHBAtyhKb-J7pIGEAU48&si=RcKaW6AlCoD542wo [BandcampのURLも貼っておきます] https://grouprhoda.bandcamp.com/album/wilderless #GroupRhoda #Wilderless #DarkEntries #USUnderground #OaklandElectroMusicScene #LivePerformance #Writing #SoloProject #宅録 #ThirdAlbum #SynthWave #ElectroPop #Synthesizers #DrumMachine #MaraBarenbaum #Max+Mara
Synth Wave / Electro Pop Dark Entries 1100円Dr K2
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Vintage Crop “Serve To Serve Again”
Vintage Cropって知ってますか? これまた、謎物件です。取り敢えず、届いたものは聴いてみます。その前に、このバンドのことを調べてみました。Vintage Cropは、豪州Geelongの「バンド」で、元々はJack Cherryの宅録ソロユニットとして始まっており、その時は、主にSoundCloudに曲をアップしたりしていたようです。その後2016年に、Tyson Harper (G)及びTylerとLuke O’Brien兄弟が加入して、通常のバンド形態となり、同年11月に、Cherry自身のレーベルWeather Vane RecordsよりリリースしたEP “Coming Up”でデビューします。このEPは、メルボルンのポストパンク・バンドTotal ControlのMikey Youngがマスタリングしているのですが、その後もYoungが協力していくことになります。あと、Jack Masseyと言う人物もメンバーであったようですが、詳細は不明です。その後、2017年4月14日に、バンドは、ファースト・アルバム”TV Orange”をリリースしていますが、このアルバムは、2018年に、仏のPolska Recordsがリイシューしています。また、2018年には、豪州GeelongのAnti Fade Recordsから、セカンド・アルバム”New Age”をリリースし、欧州ツアーを敢行しています。この後、2020年には、本作品でもあるサード・アルバム”Serve To Serve Again”を豪州のAnti Fade Recordsと英国Upset! The Rhythmとの共同でリリースしています。2022年3月に、NME Australiaは、Vintage Cropが、ニュー・シングル”Double Slants”をリリースしたと発表、更に、2022年に6月24日には、彼等の4枚目のアルバム”Kibitzer”もリリースするとアナウンスしていますが、このアルバムは、1日で録音を終わり、Mikey Youngがマスタリングを担当しています。因みに、バンド名は、英国の競走馬の名前から取ったらしいです。 以上が、Vintage Cropの略歴ですが、バンドメンバーは、Jack Cherry (Vo, G) Tyler O'Brien (Drs), Tyson Harper (G, Vo), Luke O'Brien (B, Vo)となっています。それで、本作品”Serve To Serve Again”ですが、内容的にも、両面6曲ずつ収められています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “First In Line” (3:19)は、一聴、変拍子のようなリズムとフレーズで突き進む曲で、その風変わりなアレンジが如何にもポスト・パンクらしく捻くれています。 ★A2 “The Ladder” (3:14)は、スローでダルなイントロから次第に力強いビートの曲調に変わり、力強いVo 共に、GとDrsで中々イカした曲になります。 ★A3 “The North” (2:49)では、不思議なGのリフで始まり、シンセも加えてはいますが、あくまでもGを中心としたクールな曲をキープしています。 ★A4 “No Praise” (0:57)は、ややアップテンポな曲なんですが、なんか脚がもつれたまま走っているようなリズムのアレンジが秀逸です。 ★A5 “Jack's Casino” (1:52)も、更にアップテンポでハードコアらしくなりますが、途中で、Gと共に重めのBが効いて、落ち着きさを一時的に取り戻しますが! ★A6 “Streetview” (6:29)は、一癖も二癖もある変わったフレーズを弾くアンサンブルで、Voもやや変です。また、不協和音の使い方も秀逸です。 ★B1 “Serve To Serve Again” (2:19)は、初期Wireっぽい飾り気の無いで、懐かしいと言うかカッコ良いタイトル曲で、間奏のシンセもシンプルかつ絶妙です。 ★B2 “Gridlock” (2:53)は、パンキッシュな演奏ですが、不協和音を挟み、焼けっぱちに飛ばしています。 ★B3 “Life and Times” (3:41)は、ゾクゾクするようカッコ良い曲で、アレンジ自体はシンプルですが、コード進行の妙なのでしょう。私的にはNo.1曲です。 ★B4 “Just My Luck” (2:10)は、またもやアップテンポでロック魂を感じさせる曲です。初期Wireの香りを感じますが、もう少しユーモアもあり、最後のGソロにも痺れます。 ★B5 “Tension” (2:42)も、シンコペーションの効いたGを中心に急かされるように進む、ドカドカした曲ですが、曲全体には哀愁すら感じられます。 ★B6 “Everyday Heroes” (3:05)では、シンプルなアンサンブルなんですが、何故か味があり、更に不安定なGのリフや合唱も加わり、不思議な落下感があります。 総じて、凄く突出するような派手さは無いのですが、シンプルな構造の中に、色んなアイデアやアレンジ、不協和音などが散りばめられており、聴けは聴く程、味が出ると言う「うまみ」成分のある音楽を奏でています。前述のように、初期Wireにちょっとガレージっぽさを加えたと言えば一番近いかな?。でも決してモノマネで終わっていない所に、このバンドの良さがありますし、音もポストパンクなので、好きな方はハマると思いますね。なので、そんなリスナーさんは一度体験してみて下さい❗️ A3 “The North” (2:49) https://youtu.be/bF71bqtOEXU?si=Lttt9vt4zOoYANX3 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLwNPma6jY99rHIZbbs1isKTjpawzvq4xQ&si=GHnmkuL4ZeArTPmc [BandcampのURLも貼っておきます] https://vintagecrop.bandcamp.com/album/serve-to-serve-again #VintageCrop #ServeToServeAgain #Upset!TheRhythm #ThirdAlbum #Australia #PostPunk #GarageRock #JackCherry #TylerO'Brien #TysonHarper #LukeO'Brien #Wire
Post Punk / Garage Upset! The Rhythm 1100円Dr K2
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Contrepoison “Discography 2010 - 2012”
Contrepoison。このバンド名を聞いても、よく分かんないですよね?実は、この前紹介しましたカナダのパワー・エレクトロニクス・ユニットÂmes SanglantesのPierre-Marc Tremblayの別名義なのです。このContrepoisonはTremblayがダーク・ウェーブをやる時の名義らしく、Cold CaveやAttritionにも匹敵する暗澹たるエレクトロ・ビート・ミュージックをやっています。この名義でのアルバムはまだ無く、カセット作品やシングルしかリリースはしていません。それが、いきなりのLP2枚組で、ドーンっと、米国Hospital Productionsから出たので、ビックリしました(Hospital ProductionsのDominick FernowもVatican Shadow名義でテクノもやっていますからね)。多分、今までの曲を全部ぶち込んでいるようで、かつ2曲だけ未発売曲も収録されています。あと、Vatican Shadowとのスプリット・カセットって言う作品もあるようで、多分気が合うんでしようね。この名義Contrepoisonについては、余り情報が無く、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。と言う訳で、内容について、紹介していきたいと思いますが、A1-A4が、2010年作” ...Until Next Morning”の全曲で、元々はTremblay自身がセルフ・リリースした作品収録曲です。B2, C1-3は、Hospital ProductionsとHeartworm Pressの共同リリースによるデジタル・ミニアルバム”I Keep On Searching”収録曲からとなっています。因みに、上記2作品は、伊レーベルAvant!がシングルとしてそれぞれリリースしています。B1は、Vatican Shadowとのスプリット・カセット・シングル” The Serpent Carries Him Back Into Paradise”収録曲と思われます。D1-D3は、米国(?)レーベル Sans Issueから出た片面のみのカセット作品” The Thunders Which Collide”収録曲です。B2-B4については、Discogsではその出自は確認出来ませんでした。そして、C4とD4が未発売曲と言う訳で、これらの作品を全てコンパイルしたのが、本作品となります。最初、各曲について紹介しようと思ったのですが、寧ろ、作品毎に紹介した方がベターと考えましたので、今回は元の作品毎に、紹介していきますね。 LP1: ★A1 “Until Next Morning” ★A2 “The Snake Has Bitten Its Tail” ★A3 “Heartbeat” ★A4 “To Never, Forever” 2010年作“ ...Until Next Morning”より。割とキックの効いた曲で、シンセもかなりメロディアスですが、Vo(Tremblay自身がVoだと思います!)が何か虚ろなトーンで、不安な気分にさせられます。また、ベースラインが余りハッキリしていないところも、そう言う気分にさせるのかも知れませんね。A3 “Heatbeat”はJoy Divisionっぽい曲で、VoもIan Curtis風です(Wireとは同名異曲です)。またA4はメロディアスなシンセは無く、ミニマルなベースラインで構成されています。 ★B1 “A Deserted Story” 元曲のタイトルは、”A Deserted Story Adam's Endless Fidelity To The Iblis”となっていますが、多分同一曲でしょう。重厚なシンセと適度なビートに乗って、Voが朗々と歌うスタイルで、宅録系ゴスとも言える曲です。 ★B2 “I Keep On Searching” これは、リズムもハッキリしており、かつシンセも分厚く、中々カッコ良い曲です。 ★B3 “Poisonous Desires” ★B4 “In Love With Mars, At War With Love ★B5 “A Soviet Ordeal” 一瞬、シューゲイザーかとも思えるような持続的な歪んだシンセ音とミドルテンポのマシンリズムから成りますが、B3なんかはインスト曲です。B4ではまたまた良く動くシンセのメロディとダルなVoが出てきます。B5はやや実験的なゴスなインスト曲です。 LP2: ★C1 “Every Dream I Have Is About You” ★C2 “No Need To Dream” ★C3 “Nectar Of Destiny” この作品収録曲は、技術的側面も音楽的側面も格段に向上しており、聴いていて引き込まれますね。ただC2なんかは、Voの処理の含めて、やや実験色が強いですが。なお、C1はインスト曲です。 ★C4 “The Moon Has Made The Eclipse”(未発表曲) この曲もゴスい曲ですが、ほぼほぼリズムとベースラインから成り、余り出しゃ張らないシンセのメロディが程良い佳作です。 ★D1 “Braving Through The Storm” ★D2 “The Thunders Which Collide” ★D3 “Of Greenery And Quietness” この作品も、リズムに凝ってはいますが、今までのゴス系と言うかシューゲイザー系(本当はギターも使っているのかも?)の打ち込みミニマル・ロックの進化形ですね。D2では、四つ打ちリズムとシーケンスの絶妙なズレが隠し味ですし、D3のダウンテンポとエレピ(?)の組合せも味があります。なお、D1とD3はインスト曲です。 ★D4 “As The Blazing Sun Enters Scorpio”(未発表曲) まるでカシオトーンのリズムと重低音ベース・シンセがアンバランスでカッコ良いし、その後のシンセ・メロディも良いですね。 総じて、全部ぶち込んで2枚組にしたのは、ちょっと似たような音色の曲も多く、飽食気味で、お腹一杯になります。やっぱり腹八部目位が良かったのではないでしようか? しかしながら、Âmes Sanglantesでパワ・エレやっているPierre-Marc Tremblayが、こんなちゃんとした楽曲をやっていたとは、ちょっとビックリしました❗️しかも、曲自体の完成度は高いです。もう少し、良い曲に絞っての再発なら、飽きずに聴き通せたと思うと、ちょっと残念です。しかしながら、余り打ち込み感のない、ヒューマンな曲調は捨て難い魅力を持っていますので、パワ・エレ・ファンにこそ聴いて欲しいです❗️ A3 “Heartbeat” https://youtu.be/5IiBAxwfK78?si=pHeF-Eh5wsvYmsw7 B2 “I Keep On Searching” https://youtu.be/kWxYN_iZyyQ?si=PvE6rbvkDb_xJy4S D2 “The Thunders Which Collide” https://youtu.be/u-ZxNGct110?si=z1qaleukfEy5V0Cl [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lfxYmvngaq7GhdmGEjHpqQPoybD8jcHkU&si=vPL4_QDaIXvrP4Mv #Contrepoison #Pierre-MarcTremble #Discography2010-2012 #HospitalProductions #DarkWave #ColdWave #Electro #Goth #Shoegazer #Synthesizers #Canada #ÂmesSanglantes
Dark Wave / Ritual Industrial Hospital Productions 1100円Dr K2
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Cold Beat “War Garden”
これも謎物件です!Cold Beatって誰?ってところからして不明です。どうも、通販の説明文をちょっと読んで、思わずポチったものかと。なので、ちょっと調べてみます。Cold Beatとは、米国CAのSan Franciscoで結成された男女4人組だとか。そうして、2013年に、彼等の最初のレコードである12㌅EP ”Worms” c/w “Year 5772”をメンバー(Hannah Lew)が運営するレーベルCrime On The Moonから出していますので、結成は恐らくその前辺りと思われます。翌年には、ファースト・アルバム”Over Me”をやはり同じレーベルからリリースしていますが、この時は、LP, CD, カセットと言う3種類のフォーマットでリリースされています。その後、2018年には、Eurythmicsの曲のカバーを含むミニ・アルバム”A Simple Reflection”もリリースして、界隈では話題になっていたとか。その後も順調にアルバムなどをリリースしており、本作品”War Garden”は6枚目のアルバムになります。メンバーの変遷について明記している資料は無かったのですが、アルバム”War Garden”に関しては、Hannah Lew (Vo, B), Kyle King (G, Kbd), Sean Monaghan (G), Luciano Talpini Aita (Synth)が参加しています。その他には、Jackson Blumgart (G)やSusie Leni (Drs)も一時期、在籍していたようです。また、今回、彼等が影響を受けたバンド/事柄として、YMO (特にアルバム”BGM”), 仏のAir, A.C. Mariasやベルリンの壁の崩壊などを挙げています。以上が調べた範囲でのCold Beatの流れになります(もっと知っている方がいましたら、ご連絡下さい!)。 それで、本作品”War Garden”を紹介していこうと思います。内容は、A面5曲/B面6曲から成ります。その前に、このアルバム・タイトルについて紹介します。このタイトルは、第2次世界大戦中に国民が自分で野菜や果物を植え、自給自足を奨励した「勝利の庭園」にちなんだものとのことで、それはパンデミック間でも共通するものと彼等は考え、メンバー同士でネットを介して遠隔操作で本作品を作製した経緯によって付けられたものであるとのことです。このネット利用のやり方で、先行シングル”See You Again”を作り上げ、そこに希望を見出したとのことです。正にデジタル・ネイチャーらしい発想ですね。それと、映像作家でもあるVoのLewは、自宅の庭を使って、示唆的なミュージック・ビデオを作製し、庭の手入れが制作に直結する程、重要であったとの逸話もあり、本作品だは「庭」がキーワードとなっているようです。それで、本作品の全体の印象は、一言で言ってしまえば、ドリーミーなシンセ・ポップなんですが、単にシロップ漬けのポップ・ミュージックではなく、そのからはみ出すようなアイデアやコンセプトが感じられ、また、それが彼等の魅力にもなっています。思ったのは、BlondieやMy Bloody Valentine (MBV)なんかの影響もあるのかなぁと言うヴォーカル・スタイルですね。所謂、ウィスパー・ヴォイスなんですが、メロディなんかにもちょっと影響を感じますね。それと、シンセ・ベースの音色の選び方やギターなんかもキチンと要所要所で使っているのも印象的でした。 それでは各曲を紹介していきます。 A1 “Mandelbrot Fall”は小気味良いシーケンスと甘い女性ヴォーカルとコーラスが心地良い曲で、それにシンセ・ソロも良い感じです。 A2 “SOS”は疾走感のあるストレートなマシンビートとシーケンスにウィスパー・ヴォイスが気持ち良い曲で、何となくMBVを思い出しました。 A3 “Tumescent Decoy”のシーケンスやヴォーカルには、何となくチャイナ的メロディを感じます。 A4 “Weeds”はメリーゴーランドのようなシーケンスに乗って、控え目なギターも入ってきて、多重録音されたウィスパー・ヴォーカルが気持ち良いです。 A5 “See You Again”はややダウンテンポの電子バラードで、ギターとシンセとヴォーカルがトロトロに混ぜ合わさっていきます。 B1 “Arms Reach”では、やや強めのビートとシーケンスに乗って、ウィスパー・ヴォイスが流れていきます。 B2 “Year Without A Shadow”は、雰囲気は変わって、四つ打ちキックとイタロ・ディスコなシーケンスを背景に、LewがDebbie Harryのように歌っています。 B3 “Rubble Ren”では、変則的なシーケンスで始まり、そこにヴォーカルが乗る、ちょい実験的な曲です。 B4 “Part The Sea”は、疾走感のあるビートと叙情的なシンセの上で、ふんわりとLewが歌っています。 B5 “Leaves And Branches”は、正にドリーム・ポップの王道な曲ですね。シナ・ロケの”You May Dream”のようで、パーフェクト! B6 “New World”も四つ打ちで、キュートなシンセのリフとメロディアスなヴォーカルが印象的な曲です。 とまあ、こんな風に極上のシンセ・ポップなアルバムなんですが、これが、ネット利用だけで作られたとは思えない位、完成度が高いです。また、重いテーマを扱っているようですが、それを上手くオブラートに包んで提示している点も高評価です❗️ただし、ヴォーカルはシューゲイザー風なので、歌詞は聴き取り辛いです。でも、これからも伸びると思いますので、皆さん、要チェックですよ‼️ A5 “See You Again” https://youtu.be/EGQVoqsA8rw?si=kuQJNp4Apq-Z4h8f [full album] https://youtu.be/uwNfDtYvik0?si=b7qJeIfFU19P3tRy [BandcampのURLも貼っておきます] https://coldbeatsf.bandcamp.com/album/war-garden #ColdBeat #WarGarden #LikeLTDRecords #USUnderground #SynthWave #MinimalWave #Electronic #SynthPop #6thAlbum #Synthesizers #Vocal #HannahLew #KyleKing #SeanMonaghan #LucianoTalpiniAita #DigitalComposition
Synth Wave / Minimal Wave Like LTD Records 1100円Dr K2
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Flash Zero “Tour De La Tierra - Live”
これも、謎物件です。多分、良く分からないで、購入したアルバムだと思うのですが、「何故、これ?」って言うのも分からないです。Flash Zeroも全然知らないです。なので、少し調べてみました。先ず、Flash Zero (Flash Ceroとも表記される)は、噂では「スペインのDAF」とも言われているらしい、エレクトロ・ダンス・ミュージックを演奏するバンドです。もう少し調べてました。Flash Zeroは、1986年にMadridで、Santiago Cruz (Synth)とGuaridoことManuel A. Gonzalez Guarido (Vo, Synth)によって結成されました。その頃、彼等の持っていた機材は、Roland Juno 60を1台, Casio 5000を1台, Simmons Drum Machineを1台と数個のエフェクターに基本機材だけでした。なので、結成した2〜3週間後には、Fran Null (Kbd)とJavier Cruz (Perc)が加入しています。それで、1987年に、Flash Zeroは6トラック入りのデモテープを録音し、ショーで掛けてもらったり、レコード会社廻りをしたりして、数ヶ月後に、気に入ってくれたスペインのレーベルLa Generalとコンタクトを取り、ファースト・アルバム”1988”をそのレーベルからリリースすることができました。その時のメンバーは、Guarido (Vo: 別名 Fan Dl Kaox), Santiago Cruz (Drum Machine, Perc: 別名 Logytself), Javier Cruz (Synth), Fran Díaz (Synth, Back-Vo: 別名 Fraz Null)で、サウンド・エンジニアとしてLuis Postigoも参加しています。そこに収められていた曲“Doble Personalidad”は、DAFの名曲”Der Mussolini”に匹敵するマシーン・グルーヴとまで言われた名曲だったそうです。そして、翌年1989年には、セカンド・アルバム”Conspiracy”も同レーベルよりリリースしていますが、その辺りで作品のリリースは途絶えていますので、活動休止か解散したものと思われます。しかしながら、約27年後になって、ファースト・アルバムの影響とテクノ・ポップとしての再評価から、再び、脚光を浴び、オリジナルのマスターテープから全てのトラックをリマスターして、アートワークもバンドのプライベート写真などを使って一新し、同国レーベルMechanicaから、2015年に再発しています。それで、Flash Zeroが、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパの3大陸で2016年〜2018年に行ったツアーでの音源を纏めて、Big ToxicことJosé Tomás Martínez Blazquezがミックスして出来たのが、本作品でもあるライブ・アルバム“Tour De La Tierra - Live”で、このアルバムは2019年にスペインのレーベルFantaxtik Recordsからリリースされた訳です。今、現在、活動しているかどうかは不明ですが、流れとしてはこんな感じです。 それでは、各曲を紹介していきましょう。とその前に、先ず、このツアーのメンバーですが、Myxluydy (Kbd, Vocoder), Kamerox (Electro-Drs), Fan Dl Kaox (Vo), Big Toxic (Production & Machines)となっています(本名以外のステージ・ネームも複数持っていたりするので、ちょっとややこしいです)。 A1 “Intro”は、重厚なシンセと男性のナレーション・テープから成る序章的曲です。A2 “Conspiracy”は、強力な電子ドラムのビートに、深いディレイを掛けられた押し殺したようなヴォーカルとサビのシンセの衝突がカッコ良いダンサブルな曲です。A3 “Central Life”も、重たいキックの電子ドラムに心地良いシーケンスと呪文のようなヴォーカルが乗る曲で、サビでのシンセが何とも優しい。ちょっとデジタル臭いかな?A4 “Doble Personalidad”は完全にディスコティックでダンサブルなノリの良い曲で、欧州でヒットしたのも納得のカッコ良さです。バックに流れるシンセの音色にも痺れますね。A5 “Ciudad Estelar”は一転して、ドリーミーなシンセ・ポップ路線で、甘〜いシンセのメロディに夢想してしまいます。 B1 “Sensaciones”は、またまたマッチョなダンス・ミュージックで、重いキックの電子ドラムと重厚なシンセに、やや優しめのヴォーカルが乗っています。B2 “Madrid”はかつてのYMOのようなシーケンスで始まり、プレイク・ビーツに乗って、抑圧したヴォーカルが歌う曲ですが、バックのシンセは重厚で、メロディアスです。B3 “Alien” は、どちらかと言うと、シンセ・ウェーブっぽいアレンジがされている曲で、相変わらず、電子ドラムのビートは強烈ですが、後半はメドレーになっており、複数のシーケンスが絡み合う展開になっていきます。B4 “Raya España 21”は、如何にもEBM (Electronic Body Music)的なダンサブルな曲で、ギターの様に聴こえるのは、歪ませたデジタル・シンセかな? ヴォーカルはやや焦燥感を出しています。 とまあ、先ず、Flash Zeroは基本的にダンス・バンド、それもEBM系の激しいヤツであると分かりました。なので、このバンドの評価は、リスナーが陰キャか陽キャで受け取り方が違うかも。「スペインのDAF」とのことですが、セクシーさは、やはりGabiの方が上かな?と言うか、それ程、似てるとは思わないですねぇ。まあ、偶には、こんな音楽もポジティブで良いんじゃないかな‼️クラブ系の音楽です! A4 “Doble Personalidad” https://youtu.be/20rrNtqrPPk?si=RJDuzWXDHxAmBpFZ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k-8Oka44HXpB5MgSi1ja3jivcvGMevT5Q&si=51sgfIAp084oKaBi #FlashZero #FlashCero #TourDeLaTierra-Live #FantaxtikRecords #Spain #EBM #Industrial #Experimental #SynthWave #Synthesizers #ElectronicDrums #Vocal #Keyboards #LiveAlbum #FanDlKaox(Guarido) #Myxluydy #PakoKamerox #BigToxic(JoséTomásMartínezBlazquez #SantiagoCruz(Logytself) #JavierCruz #FranDíaz(FrazNull)
EBM / Experimental Fantaxtik Records 1100円Dr K2
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Adam and the Ants “Kings of the Wild Frontier”
まあまあまあ、このバンドは一面、産業ロックでもあった訳ですが、ダブル・ドラムと海賊ファッションで1980年頃、絶大なる人気を誇った訳です。その名はAdam and the Antsです。結成当初は単なるパンクバンドとの認識で、私は無視してましたが、その内、人気が出て、来日し、オマケに「夜のヒットスタジオ」にまで出てましたね。それでは、彼等のバイオグラフィーをちょっと。Adam Antは元々、パブロック・バンドBazooka Joeでベースを弾いていましたが、Sex Pistolsの前座をやって直ぐに解散しています。それで、彼は新バンドを作ろうとしていた時に、Malcolm McLarenとVivian Westwoodのお店SEXの従業員Jordanと仲良くなり、ロンドンのパンク・シーンに魅せられていきます。1977年初頭にThe Antsを結成します。その時のメンツは、Lester Square (G), Andy Warren (B), Paul Flannagan (Drs)でしたが、最初のギグが終わった時に、Lester Squareが脱退します(因みに彼はその後、The Monochrome Setを結成しています)。その代わりにMark Ryan (G)が加入し、コンスタントにライブをやっていきます。しかし、6月にPaul Flannsganが脱退し、代わりにDave 'Barbe' Barbarossaがドラムで加入。このメンツで 、"Plastic Surgery"と"Beat My Guest"を録音。またAdamは有名なパンクロック映画”Jubilee”にKid役で出演。この年の終わり頃、Markが辞めて、代わりにJohnny Bivouac (G)で加入し、バンド名もAdam and the Antとします。バンドは何度も全英ツアーをやっていきますが、一部のAntPeopleと言うファン以外には余り人気が無かったようで、中々芽が出ませんでした。1978年にDeccaと契約します。1978年1月23日にJohn PeelのRadio 1でラジオ・デビューをしています。そこではJordanがリードVoをとっている曲もあります。1978年5月15日に、Jordanの最後のライブをやりますが、Johnny Bivouacが脱退、代わりにMatthew Ashman (G)で直ぐに加入します。その年の7月末に2枚のシングルを出すと、今度はDeccaと契約します。その時のメンツは、Adam Ant (Vo, G), Matthew Ashman (G), Andy Warren (B), Dave Barbe (Drs)でした。欧州ツアーを行い、戻ってきて、直ぐにレコーディングに入り、1979年1月にDeccaから”Young Parisians”をリリースしますが、経済的に成功とは言えなかったようです。その後、今度は、バンドはDo It Recordsと言うインディー・レーベルと契約。セカンド・シングル”Zerox”を録音し直し、1979年7月にリリースします。全英ツアーを行い、8月のLondon Lyceumでのチケットは完売しています。それで、Adamは、Matthew AshmanとAndy Warrenをクビにしますが、Lee Gorman (B)が新加入、Matthewも直ぐに戻ります。そうやって録音作業を続けて、彼等のファースト・アルバム”Dirk Wears White Sox”が1979年にDo It Recordsからリリースされます。これが意外にもウケて、1980年1月初めの英国インディー・チャートのトップにも躍り出ます。しかしながら、マネージャーをやっていたMalcolm McLarenがBow Wow Wowに力を入れる為に、1980年1月終わりに、バンドからAdam以外のメンバー3人を引き抜きます。しかしながら、Adamは、数ヶ月で、新メンバーを集めてきます。 Marco Pirroni (G), Kevin Mooney (B), Terry Lee Miall (Drs), Chris 'Merrick' Hughes (Drs)となります。マネージャーも替えて、Falcon Stuartがマネージャーとなります。最初、AdamとMarcoはファースト・アルバムの曲”Cartrouble Pt.2”をDo It Recordsの為に録音し直します。その時には、後にCulture Clubに入るドラムのJon Mossが参加しています。その後、1980年7月には、バンドはCBSと契約し、シングル"Kings of the Wild Frontier"をリリース、これが当たり、英国チャートの48位になります。次のシングル”Dog Eat Dog”はトップ10になり、英国の音楽番組Top of the Popsにも出演しています。そして、1980年11月にアルバム”Kings of the Wild Frontier”をリリース、英国ではヒットします。これが本作品になります。この時代にはニューロマンティックスが流行っており、それに乗っかった感じで、1981年1月には英国では1位になります!1981年2月には、Royal Variety Showで演奏していますが、ベースのKevin Mooneyがちょっとしたミスを犯した為、クビになり、代わっGary Tibbsがベースで加入します。バンドは昔の曲をアレンジし直して、シングルなどをその後もリリースして、チャートインしています。そして1982年初頭に本作品がベストアルバムとしてBRIT賞を受賞。更にはグラミー賞の最高新人賞にノミネートされています。しかしながら、Adamは、あるメンバーに最早熱意が無くなっていると感じて、1982年3月にバンドを解散させます。加えて、相棒のMarcoがツアーで疲労困憊しており、ライブもやめていたこともあって、解散後は、Adamはソロ活動に開始し、Marcoがそれを裏で支えていたみたいです。ザッとまあ、Adam and the Antsの歴史はこんな感じです。 それで本作品(彼等のセカンド・アルバムにして、最も評価された作品)ですが、流石に良く出来ています。シングルカットされた”Dog Eat Dog”や”Antmusic” “Kings of the Wild Frontier”では、ドコドコしたダブルドラムの強みが充分に出ており、なおかつ曲自体も良く出来ています。またそれ以外にも”Feed Me To The Lions”, “Jolly Roger”なんかも良い曲ですね。普通の8ビートでもなく、ファンキーだけどもファンクではないリズム・セッションが秀逸です。それとVoのAdamこの声質が、ちょっと高目で、それでも煽る様な歌唱ではなく、どちらかと言うと、クリーントーンで歌い上げる感じなのても特徴的ですね。なので、彼はパンクバンドにいるよりは、ニューウェーブとかにいた方がウケがいいでしょう。そんな売れっ子だったAdam and the Antsも、一回は聴いてみた方がいいでしょう。 https://youtu.be/vIfQQ4YPTXA #AdamAndTheAnts #KingsOfTheWildFrontiers #Epic #DoubleDrums #PiratesFashion #AntMusic #AdamAnt #MarcoPirroni #BRITWard #Punk #NewWave #PostPunk
Punk / New Wave Epic (CBS) 1100円Dr K2
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Theater of Hate “Revolution”
ちょっと変わったモノも。と言う訳で英国のTheater of Hate (以下TOHと表記する)の登場です。1980年にThe Packと言うパンク・バンドにいたVo/SongwriterのKirk Brandonを中心に、The StrapsとかThe EpilepticsにいたStan Stammers (B), John “Boy” Lennard (Sax), Steve Guthrie (G)及びCrisisやThe StrapsにいたLuke Rendle (Dr)によってロンドンでTOHは結成されました。バンド名はAntonin Artaud著の”Theatre and its Double”から着想を得たのですが、この本のコンセプトが、「残酷劇場(Theater of Cruelty)」であったことで、VoのBrandonが文字って付けたそうです。1980年に”Original Sin”と ”Legion”両A面ファースト・シングルをリリース。煥発入れずに、その翌年に2枚のシングル”Rebel Withog A Brain”と”Nero”を出します。そして、その年、待望のファースト・アルバム”He Who Dares Wins (Live at the Warehouse Leeds)”をBurning Rome Recordsよりリリースします。その後、Guthrieが脱退しますが、TOHの方は間髪入れずにライブ・アルバムをリリース。この年8月にはThe ClashのMick Jonesのプロデュースで、初のスタジオ・アルバム”Westworld”をリリースします。その直後に、The NosebleedsのBilly Duffyが、ギターで加入し、ドラムはRendleの代わってNigel Prestonが加入します。その後、このアルバムもBurning Rome Recordsから1982年2月にリリースされ、UKインディ・チャートにも食い込みます。その後、1981年のBerlinでのライブを収めたアルバム”He Who Dares Wins”やシングルを出していきますが、これまでの2年間にリリースしたシングルをまとめ上げたセルフ・コンピ”Revolution”を1984年にBurning Rome Recordsよりリリースします。それが本作品になりますが、UKアルバム・チャートで67位までいきました。しかしバンドはその前の1983年に解散しています。その後、1991年に、Brandon, StammersとLennardにSpare of DistinyのメンバーであったMark Thwaite (G), Pete Barbacle (Dr), Volker Janssen (Kbd)を加えて、TOHを一時的にリユニオンし、8か所でツアーします。また、1993年には、1982年に録音されていた未発表セカンド・スタジオ・アルバムを”Ten Years After”としてリリースしています。1994年には、Brandon, Stammers, John McNutt (G), Art Smith (Dr)と言うラインナップで、New JerseyのMix-O-Lydian Studioにてニューアルバムを作成する為に行き、その時の録音は1995年に”Stone In The Rain”としてAnagram Recordsよりリリースされます。1995年にはそのアルバムは米国でリリースされますが、アルバム名は”Retribution”と変えられています。翌年まではライブをやったり、ライブ・アルバムを出したりしていますが、一旦、活動休止になります。しかしその間にも昔(1982年録音)の未発表スタジオ音源を”Aria of the Devil”と言うタイトルで、1998年に出したりしています。また”Westworld 25周年記念”と称して、2007年にリユニオンし、現在まで活動しています。まあ、こんな感じですね。 それで、本作品についてですが、前述のように、TOHとしてリリースしたシングルを集めた、初期TOHのヒット曲集なんですが、B面最後の曲は録音されながらもリリースされなった、オリジナルメンバーでの最後の曲”Americanos”がちゃんと収められています。この時期のTOHって、聴く前に持っていた私のイメージだと、もっとパンクな感じかなぁ?でした。また、この時期、saxを入れていると言えば、X-Ray SpexやEssential Logicがありましたが、それらとも違うように思えます。ただ、初期のシングルはX-Ray Spexに似ているかも。割と当時のパンクバンドにありがちなギターの刻み方やリズムの作り方なんですが、その後の曲は、どんどんリズムがポスト・パンクになってきて、ドコドコしたファンキーなドラムやベースが特徴的です。また、saxの効果的な使い方もあって、ちょっとフリーキーなところも時代を感じさせられてしまいます。あと、朗々と歌うBrandonのVoなんですが、それも含めて、どの曲も同じ様に聴こえてしまい、それが難ですかね。しかしながら、saxを通してパンクからポスト・パンクへと橋渡ししたTOHを聴いてみて下さい。 A1 “Legion” A2 “Original Sin” A3 “Rebel Without A Brain” A4 “My Own Invention” A5 “Nero” B1 “Do You Believe In The Westworld?” B2 “Propaganda” B3 “The Hop” B4 “Incinerator” B5 “Eastworld” B6 “Americanos” A1 “Legion” https://youtu.be/yAC4QRK6b5Q?si=9bkn5E_7SUwUyvWm A2 “Original Sin” https://youtu.be/znswMR7AID0?si=zN7yKsOlOj9cLuAw A3 “Rebel Without A Brain” https://youtu.be/To85EGdI6CE?si=8DTAd4U6ER6GlkDx A4 “My Own Invention” https://youtu.be/18Ex0phrkQM?si=nbSuRQ2RifgLNKNJ A5 “Nero” https://youtu.be/35Qh8NelS5w?si=9wt8PshIP2Itsov6 B1 “Do You Believe In The Westworld?” https://youtu.be/jHtaKXXqksM?si=-uqPNhEeyvIxOrZP B2 “Propaganda” https://youtu.be/Fb8GCOuFSH8?si=aNDx0Yz_CfQwxx12 B3 “The Hop” https://youtu.be/LVFlyZETvpU?si=kNp-ZdUF_cJGktRL B4 “Incinerator” https://youtu.be/F6Ozatkq6kU?si=C5EFCerDg4Hge7Ky B5 “Eastworld” https://youtu.be/1GzYqmOoO0A?si=muIdt51FcGUPbz6u B6 “Americanos” https://youtu.be/GzdPM9nbvqU?si=y-aKM6Q8O-A0bslh #TheaterOfHate #Revolution #BurningRomeRecords #SelfCompilation #Sax #PostPunk #UK #Punk #KirkBrandon #StanStammers #JohnMcNutt #ArtSmith #SteveGuthrie #BillyDuffy #LukeRendle #NigelPreston #John“Boy”Lennard #MarkThwaite #PeteBarbacle #VolkerJanssen
Post Punk Burning Rome Records 1100円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Michael Otto “Micon In Itaia”
毎度、お馴染み、Conrad Schnitzler先生❗️今度は独逸のバスーン奏者のMichael Ottoと共作です。まあ、Conradの方は既に何回も書いているので。前述のバイオグラフィーを参考にしてください。そのMichael Ottoは全く謎な人で、Discogsで調べても、このアルバムしか、オフィシャルな録音物は無いですね。しかし、本来はバスーン奏者でありながら、Violin, G, Glockenspiel(要するに鉄琴です)も演奏できるというマルチ・インストルメンタリストみたいです。まあこのくらいしか分かりませんでした。 それで、本作品ですが、割と短い曲が多いです。ただそれぞれの曲は、Conradの不思議な電子音とMichaelのマルチな演奏によって、それぞれの音楽のアイデアで、違った輝きを放つ結晶のように散りばめられてます。しかし、Conradのアイデアとそれを実現するテク、凄いです。また、それに呼応できるMichaelの演奏能力も大したものですね。Conradは主に彼のお気に入りのシンセYamaha CX5を使ってますが!コロコロした音作りが何とも不思議の風景を想起させます。それを元にMichaelがプッシュしていくと言う作り方ですかね。B-8(最後)は手拍子とホワイト・ノイズの曲で締めています。兎に角、音作りのアイデアが豊富で、難解なことはなく、常にユーモアを伴っているかのようです。決して普通の意味で「ポップ」な音楽ではありませんが、聴いてて飽きないですね。隠れた名作と言えましょう。皆さんも、この2人のユーモアな小曲集を是非体験してみて下さい。 因みに伊のADNは1980年代にメール・ミュージック/アート関係で有名になり、故に重要レーベルの一つと言えましょう。 https://youtu.be/dpr36Yaqfsk #ConradSchnitzler #MichaelOtto #MiconInItalia #ADN #YamahaCX5 #Guitar #Violin #Glockenspiel #Collaboration #Electronic #Acoustic #Gernan
Electronic, Experimental Auf Dem Nil (ADN) 1100円Dr K2
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Tuxedomoon “No Tears”
米国SFの徒花Tuxedomoon‼️その最初のフィジカルにして名曲”No Tears”が収められているのが、本作品です。その前に、彼等のバイオグラフィーをちょっと。1970年代後半のパンクと電子音楽によって影響されたとSteven BrownとBlaine L. Reininger(2人ともサン・フランシスコ市立大学の電子音楽科の生徒)によって米国SFで1977年に結成されました。その頃は、実験的電子音楽とも言われ、ReiningerがKbdとViolin、BrownがKbdとSaxなどのその他の楽器を担当しており、彼等の音楽は”cabaret no-wave”と称されました。Brownのコネで地元の劇場とかに出ていたらしいです。その時にはVoとしてGregory CruikshankとVictoria Loweが、パフォーマンス・アーティストとしてWinston Tongが加わったりしてます。また、SFのポストパンクシーンで話題となり、1978年にDevoのツアーで前座を務めています。同じ頃、彼等は初のシングル"Pinheads on the Move”をリリースしますが、その前にLoweはバンドを脱退しています。そして、 Peter Principle (B: 本名Peter Dachert)とMichael Belfer (G)が正式メンバーとして、またPaul Zahl (Dr)もメンバーとして加入しますが、BelferとTongは直ぐに離脱してしまいます。1979年にマキシ・シングル”No Tears”をリリース、後にポストパンクのカルト的名曲と言われます(これが本作品です)。その年に、彼等はThe ResidentsのレーベルRalf Recordsと契約し、ファースト・アルバム”Half-Mute”をリリース。その時に、Reiningerが脱退しますが、Tongが、映像作家兼ヴィジュアル・アート担当のBruce Geduldigと共に再度加入します。一方、1981年にアルバム”Desire”を出した後、バンドの活動の拠点も、先ずは、オランダのRotterdamに、一年後にはベルギーのBrusselsに移します。その後、Reiningerはソロ活動を、またバンドの方も 1982年にアルバム”Divine”が評価されて、Maurice Bejartバレエに曲を提供します、しかし1983年にソロ活動に集中する為、ReiningerはTuxedomoonを去ります。その代わりとして、Frankie Lievaartが、更にホーン担当のLuk Van Lieshoutが加入します。このようにバンドはバラバラになりましたが、Crammed Discsと契約して、1985年にアルバム”Holy War”をリリースします。このアルバムは世界的なヒットを記録しました。しかし、同年、Tongはまた脱退し、SFの時のメンバーは BrownとPrincipleだけになってしまいます。そこで、マルチ奏者のIvan Georgierを加えて、1986年にアルバム”Ship of Fools”をリリースして、ツアーにでます。ヨーロッパに移ってから、約8年間も集まることはありませんでしたが、Tel Avivで行われてたNext Fastivalで久々にバンドとして演奏します。現時点では、TuxedomoonのメンバーはReininger, Brown, Principle及びLieshoutになっています。ザックリとこんな感じですかね。 それで本作品ですが、名盤なので、何度も再発されています。この時のメンバーは、Steve Brown (Vo, Synth, E-Perc), Blaine Reininger (Violin, G, back-Vo), Mikel Belfer (G, E-Bow), Paul Zahl (modified Dr, E-Perc, Knobs)及びWinston Tong (Vo)となっていますが、Victoria Loweか写真で参加してます。何と言ってもB-2”No Tears”でしょう。独特のオルガンとギターのリフの絡みがクセになりますね。それとリズムボックスと生ドラムを一緒に使ってるのも特徴です。ベースはシンセで作っているみたいです。全体の印象はポップなんですが、細かいところに、ギター・ノイズを入れたり、ちょい踏み外したところもあります。またViolinとシンセ絡みも面白いです。なので、ちょいノスタルジックと言うかヨーロッパ調なテイストも楽しめます。B-1”Nite & Day”はCole Poterのオールディーズのカバーで、かなり原曲からかけ離れたアレンジで、実験的です。実験的なポップ・ミュージックを欲していたら、このマキシ・シングルはお薦めですよ。是非❗️ https://youtu.be/Xk0RARdFhMY #Tuxedomoon #NoTears #MusicaExMachina #12”MixSingle #PostPunk #ExpernentalPop #SanFrancisco
Alternative, Post Punk Musica Ex Machina 1100円Dr K2