非常階段 “蔵六の奇病”

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当時、誰もが恐れた関西のノイズ・バンド、非常階段のフルでのファースト・アルバム”蔵六の奇病 (別名”2nd Damascus!”)を、今回は紹介します。非常階段については、もうバイオグラフィーを私が紹介するまでもなく、本まで出ているので、詳しくはそちらの本等を参照して下さい。でも、ちょっとだけ紹介しておきます。先ず、非常階段の前進は螺旋階段であり、1979年に、JOJO広重と頭士奈生樹の即興デュオで始まり、その後、Idiotこと高山謙一が加わります。後に高山が「これは螺旋階段ではない!非常階段だ!」と言ったとか。このトリオでの非常階段は2回ライブをやって、スタジオでの録音もしていますが、このトリオは「プレ非常階段」とか「オリジナル非常階段」とも呼ばれています。しかしながら、同年末に、頭士が脱退したことで、JOJO広重は当時やっていたバンド(非常階段、螺旋階段、ウルトラ・ビデ)をやめています。それで、1980年春に、広重は腐食のマリィ(Corroded Marie)と言う、Hawkwindみたいな曲を演奏する為のグループを立ち上げます。その時のメンバーは、広重の他に、岡俊行, ZukeことKatsuhiro Nakajima, マコことMasako Shigesugi, 市口章と美川俊治であり、スタジオで音出しすると、即興ノイズになってしまったことから、広重はこのバンドは一度やめようと考えていたらしいです。ただ、岡とZukeと市口は面白いと思っていたようで、バンドは存続します。そして、1980年6月に、新宿ACBホールでライブイベント「天国注射の夜」が開催される時に、工藤冬里が間違って、彼等のバンド名を「非常階段」と紹介してしまったのですが、広重はそれを暖簾に腕押しで、バンド名はそのまま「非常階段」で通すことになります。広重はHawkwindっぽくならない、この非常階段を壊そうと考えながら、その時のライブ音源を聴いていて、これは何らかの形でリリースしても良いんじゃないかと思えるようになります。そして、広重は、同年8月に、丁度、大阪で自主制作レーベルUnbalance Recordsを立ち上げた林直人に会う機会がありました。林は、岡とZukeにコンタクトを取り、ライブを観に行くことに。同年11月3日に、再度編成し直した非常階段は、大阪の創造道場で、Faustの”It’s A Rainy Day, Sunshine Girl”のカバーを演奏し始めてましたが、やはりフリーフォームなノイズになってしまい、また、Zukeがたこ焼きを客席にばら撒く等、パフォーマンス・アート的側面が前面に出始めたライブとなります。そうして、林のUnbalance Recordsから、非常階段、NG、Jurajiumの3組のノイズ・バンドのスプリット・アルバム”終末処理場”が、1980年12月にリリースされ、その中には、新宿ACBホールでの非常階段のライブ音源が、”腐食のマリィ”と言うタイトルで収められることになります。その後、非常階段のパフォーマンスは過激になっていき、ライブの時もメンバーが替わったりして(勿論、コアメンバーは替わりません)、不定形のノイズ・バンドとして活動して行くことになります。ライブで、納豆、ペンキ、放尿、何らかの液体、生魚、ゴカイやミミズ、使用済み生理用品などなどを暴力的に撒き散らすようになります。そして、音の方も、グチャグチャの即興ノイズの塊になっていきます。まあ当然、ライブハウスからは出禁になったりもしましたが、1980年〜1981年のライブ音源を厳選して集めたのが、今回のアルバムとなります。あと、付属のフォトブックや裏ジャケを観てもらえると分かるのですが、ステージ上はグチャグチャのドロドロになっています。それで、写真家の八木康夫が当時、とあるメジャー系の音楽雑誌に連載コーナーを持っていたのですが、ある時、彼が非常階段とほぶらきんとグンジョーガクレヨンの園田游の記事を写真付きで書いた所、いきなり掲載不可!のみならず、その連載コーナー自体も中止になると言う事件が起こり、その掲載予定だった記事と写真の一部が本アルバムの裏ジャケになっています。あともう一つ、慶應大学日吉校舎での非常階段のライブでは、消火器を撒き散らし、ガラスと言うガラス、蛍光灯も全て割ってしまい、それを観た灰野敬二が「これが君たちの表現か‼️」と劇オコだったとか。そんなことは、当時のFridayなんかでも変態バンドとして紹介されたりして、ちょっとだけお茶の間でも知られるようになったかも。そんな中で、音楽指向組とパフォーマンス組に何となく分かれ、後者は一度やったことは2回も3回もやっても意味が無いとして、段々と離れていき、1984年にセカンド・アルバム”Viva Angel”を出す頃には、録音参加メンバーも5人だけグッと少なくなり、ライブもビデオを投影しながらの演奏であったようです。その際に、広重は自身のレーベルAlchemy Recordsを設立して、現在も活動しています、勿論、非常階段も!その後、非常階段はKing of Noiseとして、JOJO広重 (G), Junko (Vo), T.美川 (Electronics), 岡野太 (Drs)から成る基本メンバーで、現在も活動しています。バイオグラフィーはここら辺までとします。
それで、本作品についてご紹介します。このアルバムのジャケの絵は、異形の漫画家 日野日出志が描いており、そのタイトルが「蔵六の奇病」であったことから、このアルバムはそう呼ばれるようになります。また、レコードが入っていたビニール袋には”2nd Damascus!”とも記載がありますが、これには「このアルバムが、セカンド・アルバムであるかのように騙すことはカス野郎である」と言うダブル・ミーニングがあったようで、何だか、Smegmaの”Glamour Girl”みたいですね。また、このアルバムの曲には、曲名は無く、演奏場所と演奏日時が記載されているだけで、A面4曲/B面2曲が収録されています。あと、白黒のライブ写真がブックレット風に付属しているのですが、この写真を見ながら聴くことをお勧めします。では、各曲を紹介していきます。
A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26”では、いきなり「嘔吐」する音だけが収録されています。これは、当時、ちょっとショッキングでしたね。
A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19”では、美川俊治の電子音と市口章のSaxにオルガン(これはセミ丸がオルガンに乗っかってお尻で弾いている)とが中心となり、即興的な音の塊がノイズ化していき、後半にはDrsも入ってきます。因みに、市口はSaxに黒いビニール袋を被せて吹いています。
A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3”では、先述のFaustのカバーが聴けますが、フリーキーなSaxやG等が入ってきて、グチャグチャになっていきます。
A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29”でも塊のような様々な音(=ノイズ)が、圧倒的パワーで放出されています。叫び声とオルガンが狂気の様です。
B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27”では、咆哮とSaxから始まり、更にフィードバック音や何か分からない音も混在して、カオスへと向かいます。後半ではDrsらしき音も入っています。
B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27”でも、フリーに叩くDrsとフィードバック音や咆哮、Saxが入り乱れていきますが、途中でDrsとSaxだけになり、再び、Gなどの音も入ってきます。また、途中で観客が「怖いわ、これ、怖いぃ!」と言っている声が入っているので、何が起きているかが分かりそうですね。
 ドキュメント的性格が濃厚なアルバムですが、当時の非常階段の「暴れっぷり」を知るには最適な作品ですね。しかしながら、そう言ったパフォーマンス的な面を想像するだけではなく、音自体も集団即興による「ノイズ化」も感受できる作品だと思います❗️何度もリマスターや再発されていますが、是非とも爆音で聴きたい1枚ですね❗️

A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26”
A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19”
A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3”
A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29”
B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27”
B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27”

[full album]
https://youtu.be/JPgGcMDt5lQ?si=oVMed9rRc4bNVtE5

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    オマハルゲ

    2023/11/08 - 編集済み

    80年代前半のインディーズ・シーンでは欠かせないバンドですよね。グループの歴史については知らなかったので大変ためになりました。ありがとうございます。当然このアルバム、自分も所有してます。因みにビデオで初めて「動く」非常階段が見れて感激でした。

    ※その非常階段のビデオを登録したハズですが手違いで削除したようです。後日改めて展示しようと思います。

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      Dr K2

      2023/11/09

      実は、この時期の非常階段を私は実際には観ていないのです。なんか怖くて観に行けなかったですw そう言えば、先日、久々に岡俊行さん参加の非常階段がアースダムでスターリンとのコラボ「スター階段」でライブをやったみたいですね。これは観たかったです❗️

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      オマハルゲ

      2023/11/09

      久々のスター階段ですね。ミチロウ亡き後もスター階段が見れるとは。

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