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非常階段 “蔵六の奇病”
当時、誰もが恐れた関西のノイズ・バンド、非常階段のフルでのファースト・アルバム”蔵六の奇病 (別名”2nd Damascus!”)を、今回は紹介します。非常階段については、もうバイオグラフィーを私が紹介するまでもなく、本まで出ているので、詳しくはそちらの本等を参照して下さい。でも、ちょっとだけ紹介しておきます。先ず、非常階段の前進は螺旋階段であり、1979年に、JOJO広重と頭士奈生樹の即興デュオで始まり、その後、Idiotこと高山謙一が加わります。後に高山が「これは螺旋階段ではない!非常階段だ!」と言ったとか。このトリオでの非常階段は2回ライブをやって、スタジオでの録音もしていますが、このトリオは「プレ非常階段」とか「オリジナル非常階段」とも呼ばれています。しかしながら、同年末に、頭士が脱退したことで、JOJO広重は当時やっていたバンド(非常階段、螺旋階段、ウルトラ・ビデ)をやめています。それで、1980年春に、広重は腐食のマリィ(Corroded Marie)と言う、Hawkwindみたいな曲を演奏する為のグループを立ち上げます。その時のメンバーは、広重の他に、岡俊行, ZukeことKatsuhiro Nakajima, マコことMasako Shigesugi, 市口章と美川俊治であり、スタジオで音出しすると、即興ノイズになってしまったことから、広重はこのバンドは一度やめようと考えていたらしいです。ただ、岡とZukeと市口は面白いと思っていたようで、バンドは存続します。そして、1980年6月に、新宿ACBホールでライブイベント「天国注射の夜」が開催される時に、工藤冬里が間違って、彼等のバンド名を「非常階段」と紹介してしまったのですが、広重はそれを暖簾に腕押しで、バンド名はそのまま「非常階段」で通すことになります。広重はHawkwindっぽくならない、この非常階段を壊そうと考えながら、その時のライブ音源を聴いていて、これは何らかの形でリリースしても良いんじゃないかと思えるようになります。そして、広重は、同年8月に、丁度、大阪で自主制作レーベルUnbalance Recordsを立ち上げた林直人に会う機会がありました。林は、岡とZukeにコンタクトを取り、ライブを観に行くことに。同年11月3日に、再度編成し直した非常階段は、大阪の創造道場で、Faustの”It’s A Rainy Day, Sunshine Girl”のカバーを演奏し始めてましたが、やはりフリーフォームなノイズになってしまい、また、Zukeがたこ焼きを客席にばら撒く等、パフォーマンス・アート的側面が前面に出始めたライブとなります。そうして、林のUnbalance Recordsから、非常階段、NG、Jurajiumの3組のノイズ・バンドのスプリット・アルバム”終末処理場”が、1980年12月にリリースされ、その中には、新宿ACBホールでの非常階段のライブ音源が、”腐食のマリィ”と言うタイトルで収められることになります。その後、非常階段のパフォーマンスは過激になっていき、ライブの時もメンバーが替わったりして(勿論、コアメンバーは替わりません)、不定形のノイズ・バンドとして活動して行くことになります。ライブで、納豆、ペンキ、放尿、何らかの液体、生魚、ゴカイやミミズ、使用済み生理用品などなどを暴力的に撒き散らすようになります。そして、音の方も、グチャグチャの即興ノイズの塊になっていきます。まあ当然、ライブハウスからは出禁になったりもしましたが、1980年〜1981年のライブ音源を厳選して集めたのが、今回のアルバムとなります。あと、付属のフォトブックや裏ジャケを観てもらえると分かるのですが、ステージ上はグチャグチャのドロドロになっています。それで、写真家の八木康夫が当時、とあるメジャー系の音楽雑誌に連載コーナーを持っていたのですが、ある時、彼が非常階段とほぶらきんとグンジョーガクレヨンの園田游の記事を写真付きで書いた所、いきなり掲載不可!のみならず、その連載コーナー自体も中止になると言う事件が起こり、その掲載予定だった記事と写真の一部が本アルバムの裏ジャケになっています。あともう一つ、慶應大学日吉校舎での非常階段のライブでは、消火器を撒き散らし、ガラスと言うガラス、蛍光灯も全て割ってしまい、それを観た灰野敬二が「これが君たちの表現か‼️」と劇オコだったとか。そんなことは、当時のFridayなんかでも変態バンドとして紹介されたりして、ちょっとだけお茶の間でも知られるようになったかも。そんな中で、音楽指向組とパフォーマンス組に何となく分かれ、後者は一度やったことは2回も3回もやっても意味が無いとして、段々と離れていき、1984年にセカンド・アルバム”Viva Angel”を出す頃には、録音参加メンバーも5人だけグッと少なくなり、ライブもビデオを投影しながらの演奏であったようです。その際に、広重は自身のレーベルAlchemy Recordsを設立して、現在も活動しています、勿論、非常階段も!その後、非常階段はKing of Noiseとして、JOJO広重 (G), Junko (Vo), T.美川 (Electronics), 岡野太 (Drs)から成る基本メンバーで、現在も活動しています。バイオグラフィーはここら辺までとします。 それで、本作品についてご紹介します。このアルバムのジャケの絵は、異形の漫画家 日野日出志が描いており、そのタイトルが「蔵六の奇病」であったことから、このアルバムはそう呼ばれるようになります。また、レコードが入っていたビニール袋には”2nd Damascus!”とも記載がありますが、これには「このアルバムが、セカンド・アルバムであるかのように騙すことはカス野郎である」と言うダブル・ミーニングがあったようで、何だか、Smegmaの”Glamour Girl”みたいですね。また、このアルバムの曲には、曲名は無く、演奏場所と演奏日時が記載されているだけで、A面4曲/B面2曲が収録されています。あと、白黒のライブ写真がブックレット風に付属しているのですが、この写真を見ながら聴くことをお勧めします。では、各曲を紹介していきます。 A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26”では、いきなり「嘔吐」する音だけが収録されています。これは、当時、ちょっとショッキングでしたね。 A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19”では、美川俊治の電子音と市口章のSaxにオルガン(これはセミ丸がオルガンに乗っかってお尻で弾いている)とが中心となり、即興的な音の塊がノイズ化していき、後半にはDrsも入ってきます。因みに、市口はSaxに黒いビニール袋を被せて吹いています。 A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3”では、先述のFaustのカバーが聴けますが、フリーキーなSaxやG等が入ってきて、グチャグチャになっていきます。 A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29”でも塊のような様々な音(=ノイズ)が、圧倒的パワーで放出されています。叫び声とオルガンが狂気の様です。 B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27”では、咆哮とSaxから始まり、更にフィードバック音や何か分からない音も混在して、カオスへと向かいます。後半ではDrsらしき音も入っています。 B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27”でも、フリーに叩くDrsとフィードバック音や咆哮、Saxが入り乱れていきますが、途中でDrsとSaxだけになり、再び、Gなどの音も入ってきます。また、途中で観客が「怖いわ、これ、怖いぃ!」と言っている声が入っているので、何が起きているかが分かりそうですね。 ドキュメント的性格が濃厚なアルバムですが、当時の非常階段の「暴れっぷり」を知るには最適な作品ですね。しかしながら、そう言ったパフォーマンス的な面を想像するだけではなく、音自体も集団即興による「ノイズ化」も感受できる作品だと思います❗️何度もリマスターや再発されていますが、是非とも爆音で聴きたい1枚ですね❗️ A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26” A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19” A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3” A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29” B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27” B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27” [full album] https://youtu.be/JPgGcMDt5lQ?si=oVMed9rRc4bNVtE5 #非常階段 #HijoKaidan #蔵六の奇病 #Zouroku-No-Kibyo #2ndDamascus! #UnbalanceRecords #FirstAlbum #Noise #Improvisation #LivePerformance #LivePhotoBooklet #凶悪 #Osaka #JOJO広重 #JojoHiroshige #谷口守 #岡俊行 #美川俊治 #ToshijiMikawa #Zuke #セミ丸 #Woo #上幸一郎 #市口章 #夕刊五郎 #すみれまん #林直人 #狩野由可子 #野生の驚異 #向井千恵 #山崎正太郎 #Geso #八木康夫 #日野日出志 #白石民夫 #古賀正恭 #早川光 #あらいりょうすけ #桑本正士 #西川義昌 #EU #守部立人 #みちろう #しんたろう #じゅん #たむ #堀井津矢子 #坂口倫靖 #武藤むねひろ #赤坂博 #広田ルーメン #石橋正二郎 #科伏 #Dr坂中 #中島・北島(マントヒヒ) #かがわ(キャリー・リー) #Bide #一生非常階段 #頭士奈生樹 #高山謙一 #螺旋階段
Noise / Improvisation / Performance Art Unbalance Records 2000円Dr K2
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V.A. “Rough Trade Shops: Post Punk 01” ist
Rough Tradeと聞いて、ナツいと思う方は多分45歳代より上かと思います(苦笑)。そんな熱い1980年前後に思いを馳せたような、懐かしい音源をジャンル別に紹介していくのが、Mute Recordsの”Rough Trade Shops”シリーズです。その中で、この”Post Punk 01”は、元々、2枚組CDとしてリリースされていますが、本アルバムはその2枚組CDのサンプラー的立ち位置にある訳です。なので、収録されているのは厳選された4組で、Gang Of Four, The Futureheads, World Domination Enterprises (以下WDEと表記), Bush Tetrasです。Gang Of FourやBush Tetrasは既に紹介していますので、The FutureheadsとWDEについて少し紹介しておきます。 それで、The Futureheadsですが、2000年に英国Sunderlandで結成されたポスト・パンク・バンドで、メンバーは、Ross Millard (Vo, G), David "Jaff" Craig (Vo, B), Barry Hyde (Vo, G), Dave Hyde (Drs)で後者の2人は兄弟です。彼等は、2002年にEP”Nul Book Standard”を、2003年にEP”1-2-3-Nul!”をその後にファースト・シングル"First Day"をリリースしています。そして、2004年9月にセルフ・タイトルのファースト・アルバムを679 Recordingsからリリースしていますが、その内、5曲をGang Of FourのAndy Gillがプロデュースしています。彼等は順調に活動していましたが、2013年に活動中止。その後、2019年に再結成して、現在も活動しています。 次に、WDEですが、1980年代後期に、ロンドンのLadbrokeで結成されたノイズ・ロック・トリオで、メンバーはDigger Metters (Drs), Keith Dobson (G), Steve Jameson (B ?)ですが、Donsonは、元々、Kif Kif Le Batteurと言う偽名を名乗って、スペース・サイケ・バンドHere & Nowでドラマーとして活動をしていましたし、Jamesonも、1976年には、Charmdale Recordsで音楽ビジネスに関わっており、後にRough Tradeの店員になり、更にはAlternative TVやThe Fallのライブ要員にもなっていましたが、2019初頭に他界しています。 それでは各曲の紹介をしていきたいと思います。 A1 Gang Of Four “I Found That Essence Rare”は、彼等のファースト・アルバム”Entertainment!”のB1にも収録されている名曲で、Andy Gillのギターのカッティングがシャープかつソリッドで、ダンサブルな曲です。因みにメンバーは、Jon King (Vo), Andy Gill (G), Dave Allen (B), Hugo Burnham (Drs)で、ファンクとパンクとダブが融合した音楽をやっていました。 A2 The Futureheads “Robot”は、彼等のセルフ・タイトルのファースト・アルバム及び彼等のファーストEPにも収録されている曲で、ドラムに焦点を当てているところは今風ですが、コーラスワークがイカした曲です。Kraftwerkの”Robots”とは全然違いますね。 B1 Bush Tetras “Too Many Creeps”は、彼等のファースト・シングルの曲で、元The Contortionsのスライド・ギターだったPat Placeを中心に出来たバンドで、この中では唯一の米国のバンドです。ファンキーて歪なダンス・ミュージックで、この曲も代表曲です。メンバーは、Cynthia Sley (Vo), Pat Place (G), Laura Kennedy (B), Dee Pop (Drs)です。 B2 World Domination Enterprises “Asbestos Lead Asbestos”は、地を這うようなベースと重いドラムに、かなりフリーキーなギターが暴れると言うドゥームな曲で、この中ではやや異質です。ヴォーカルも韻を踏んでいるようで、グーです。 まあ、CD2枚分の中から、たった4曲を選ぶと言うのは無理クリだとは思いますが、中々の選曲だったのではないでしょうか?まあ、CDを聴いた方が良いと言えば良いのですが、、、。入門編としては、この作品も良いと思われますので、未体験の方は是非、体験してみて下さい❗️ A1 Gang Of Four “I Found That Essence Rare” https://youtu.be/vTcVkpa2Z0c A2 The Futureheads “Robot” https://youtu.be/OV70MTvvXc4 B1 Bush Tetras “Too Many Creeps” https://youtu.be/PERvoP9YuM4?si=AuD0Ef6V-UoVxz9u B2 World Domination Enterprises “Asbestos Lead Asbestos” https://youtu.be/OlhiSIArIkU?si=1zt4m_UQZoyZIvQJ #VariousArtists #RoughTradeShops:PostPunk01 #MuteRecords #PostPunk #GangOfFour #TheFutureheads #BushTetras #WorldDominationEnterprises
Post Punk Mute Records 2000円Dr K2
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My Dad Is Dead “….And He's Not Gonna Take It Anymore”
これは何で買ったのかな?聞いた事もない名前です。My Dad Is Deadとは、バンドとかではなく、ソロ・アーティストMark Edwardsのことです。今回、ご紹介するのは、彼の実質ファースト・アルバム”...And He's Not Gonna Take It Anymore”(その前にカセット・アルバムが出ています)。それで、Edwardsと言うかMy Dad Is Deadについて調べてみました。My Dad Is DeadはMark Edwardsの録音プロジェクトとして、1984年にOhio州Clevelandで始まりました。2011年までに、12枚のフル・レングス・アルバムを出しているベテランです。その後、彼は北カリフォルニアで、Chapel Hillと言うバンドを結成しています。もう少し詳しく言いますね。彼は元々、1980年代初頭まで、Thermos of HappinessやRiot Architectureでドラムを担当していましたが、1984年に両バンドは解散。同年8月から、彼はギターを練習し、My Dad Is Dead名義で活動を始めます。最初の頃は、ドラムマシンにギター&ヴォーカルと言うスタイルでライブをやっていました。因みに、彼が24歳の時に両親は他界しており、それにちなんでのネーミングだとのことです。My Dad Is Deadは、最初にカセット・アルバム”My Dad Is Dead”を1985年に出した後、1986年に、正式なファースト・アルバムとして、本作品でもある”...and He's Not Gonna Take It Anymore”をSt. Valentine Recordsからリリースしています。その後、セカンド・アルバム”Peace, Love and Murder”をBirth Recordsからリリースした後に、1988年初頭に、Homestead Recordsと契約し、”The Best Defense”, “Let's Skip The Details”, “The Taller You Are, the Shorter You Get”と3枚のアルバムを出しています。因みに、アルバム”Let's Skip The Details”では、初めて、Edwards以外のミュージシャン(Chris Burgess, Doug Gillard, Jeff Curtis, John McEntire, Matt Swanson, Scott Pickering, Shayne Ivy)と一緒に作製し、それで、フルのバンドとしてツアーを敢行しています。1990年に欧州や英国ツアーをやっており、それが縁で、英国ツアーの時に、BBC Radio 1のJohn Peel Sessionにも参加しています。同年末にはMy Dad Is Deadは、ダブル7㌅”Shine”をリリース。これは後に、Scat Recordsが再発しています。1991年には、アルバム”The Chopping Down the Family Tree”を、1993年にもアルバム”Out of Sight, Out of Mind”をリリース。1995年には、Emperor Jones/Trance Syndicateとのスプリット”For Richer, for Poorer”を出していますが、その後、Edwardsは、短いツアーを終えた1997年末に、Web上で、バンドの解散をアナウンスしています。2002年には、Vital Congからアルバム”The Engine of Commerce”を出しており、また、2005年には、Edwards自身のレーベルUnhingedから、アルバム”A Divided House”を、2009年にもアルバム”A New Clear Route”を出していますが、結局、2011年にMy Dad Is Deadは正式に解散しています。大体の流れはこのようになります。 それで、本作品なのですが、先ず、LP1は、My Dad Is Deadのファースト・アルバム”...And He's Not Gonna Take It Anymore”の再発で、1985年10月〜1986年1月に録音されたもので、LP2は、そのアルバムの前にカセットで出していたセルフ・タイトルの作品(1985年3〜6月にEdwardsとTim Gilibrideによって、Fostex 4 Track recorderで録音)をリマスタリングしての再発となっています。それでは内容を紹介していきましょう。先ずはLP1ですが、G, B, Drs, Voは全てEdwardsが一人で演っているとのことです。初っ端のA1 “Talk To The Weatherman”のギターのドライなリフからして米国独特の砂っぽい感じで良いです。この曲では生ドラムを使っているのでしようか? まあ、そんな技巧が上手いと言う訳では無く、シンプルな曲が多いのですが、米国臭さが沁みます。A2 “The Quiet Man”やA3 “Mary Jane”はドラムマシンを使っていますが、一人でやっているからか、垢抜けてないところが、また良いです。A4 “Black Cloud”は、生ドラムの使用もあって、コード進行やアレンジが凄くカッコ良いです。A5 “Say Goodbye”も生ドラムで、ヘビーなインスト曲で、少しだけSonic Youthっぽいかな? A6 “40 Hours”は一転、ガレージっぽくて、ザラついたギターの音色と切羽詰まったヴォーカルがグーです。B1 “Anti-Socialist”は、またドラムマシンを使っていますが、その為か結構印象が変わります。B2 “It's Easier...”は、またまた生ドラムで乗り切る曲で、米国っぽい部分とJoy Divisionっぽい部分のブレンドが良い塩梅です。B3 “My Head”やB4 “Death Of A Salesman”はドラムマシンのビートが心地良いです。B5 “In Your Mind”では枯れたギターの音色が沁みますね。B6 “Statistic”はドラムマシンで、どこと無くコード進行がJoy Divisionっぽいんですが、アレンジで明るくしているように感じます。B7 “Mother And Child”は、生ドラムと猪突猛進な曲ですが、サビのところはカッコ良いし、途中のブレイクでハッとさせられます。 次にLP2ですが、先述のように、ファースト・アルバムの前に録音したデモ音源集のような位置付けで、曲も、LP1と重複するものもあります。また、Edwards以外に、Tim Gilibrideも参加しているようです。C1 “Statistic”, D2 “The Quite Man”, D3 “Anti-Socialist”, D4 “Mary Jane”はそれぞれ、B6, A2, B2, A4のデモ・ヴァージョンです。C2 “Too Many”はドラムマシンと生スネアで色を付けたインスト曲で、心地良いです。C3 “The Entrepreneur”は結構、ゴリゴリにギターを弾いて、ロックしている曲。C4 “Innocent”は、ドラムマシンを使いながら、ギターとヴォーカルの掛け合いが面白い曲。C5 “Last Call”はギターから始まる曲で、生ドラムを使ったスロー・バラード調です。唯一、コーラスのある曲。C6 “Roughneck”もギターで始まる元気一杯なインスト曲で、最後フェイドアウトします。D1 “Indiana”はライブ録音なのか?残響がカッコ良いインスト曲です! D2, D3, D4はデモ・ヴァージョンなのですが、録音場所の残響からか、結構印象が変わりますね。D5 “Rut”もドラムマシン使用で、何やら中近東風な雰囲気があるようなインスト曲。D6 “Waste”はまるでポストパンクな曲で、ドラムマシンも生ドラムも無しです。D7 “Back Away”は隠しトラックかな?ドラムマシンの逆回転にギタードローンが乗っかる結構、実験的な曲で、ビックリです。 と言う訳で、一通り、聴いてみましたが、初め、ジャケ写やデータでソロで全部やっているとかを見てて(何となくカントリー&ウエスタンの弾き語りなんかを勝手に想像していました)、ん〜これはあんまり面白くないかもなぁと思っていたのですが、予想を裏切って、ドラムマシンや生ドラムとギターとベースそしてヴォーカルでここまで面白い音楽が出来るとは❗️とビックリしました。やはり米国地下音楽界は侮れませんね。My Dad Is Dead自体は何枚もアルバムを出していますが、この再発盤は絶対聴いた方が良いですよ‼️さあ、レッツらゴー! LP1 A2 “The Quiet Man” https://youtu.be/u-dCtEIvxWU?si=rIcAHMNtOhiPAroW [LP1 ”...And He's Not Gonna Take It Anymore” full album “] https://youtu.be/tDQYvfDuvFI [LP1 & LP2のBandcampのURLを貼っておきます] https://mydadisdead.bandcamp.com/album/and-hes-not-gonna-take-it-anymore-expanded-edition #MyDadIsDead #AndHesNotGonnaTakeItAnymore #ScatRecords #St.ValentineRecords #USUnderground #MarkEdwards #SoloProject #Reissue #CassetteAlbum #Remastering #PostPunk #IndieRock #TimGilibride #DrumMachine #Drums #Guitar #Bass #Vocal
Indie Rock / Post Punk Scat Records (St. Valentine Records) 2000円Dr K2
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Aroma Di Amore “De Sfeer Van Grote Dagen”
またまた来ました!ベルギーのニューウェーブの極みAroma Di Amoreの12㌅EPです! Aroma Di Amoreは、1982年に、Elvis PeetersとLo MeulenとFred Angstをコアメンバーとして結成されたカルト的人気のバンドで、40年間も活動し、2022年に解散しています。バイオグラフィーは前回、書きましたので、そちらをご参照ください。今回は、1985年にリリースされた彼等の3枚目のEPで、この時のメンバーは、Elvis Peeters (Vo, Clarinet), Lo Meulen (B, Kalimba), Fred Angst (G, Rototoms), Andrea Smits (Organ, Synth), Frits Frats (Sax, Whistle, Mouth Organ)の5人組で、A面B面共、3曲ずつ収録されています。ライブの動画とかを観ると、やはり生ドラムじゃないですね。今回もまた、独特なフラマン語のヴォーカルと1980年代ニューウェーブ全開のサウンドから成りますが、サックスがやや強調されているように思います。A1 “Hoofd In De Supermarkt”やA2 “Plaatsje Onder De Zon”, A3 “De Aarzel”のA面曲は、図太いリズムに、安っぽいオルガンとサックスの効いたニューウェーブの良いとこ取りした3曲で、特にA1はギターのカッティングが秀逸です。また、A2のリズムはまるでJoy Divisionなのですが、オルガンの音とリフが安っぽくて、全くアレンジが違う所がニクいです。B面に移ります。B1 “El Macho”は、ガラッと変わって、スローテンポで、物憂げなヴォーカルとギターのリフに単調なリズムと言う、どちらかと言うとJoy Division風のダークな曲です。B2 “Overleven”は硬く重目のリズムに煽るようなヴォーカルが、何処となくPublic Image Limitedのアルバム”The Flowers of Romance”を想起させてくれます。B3 “Moeder Gaat Neer”はこれまた意外にもアコギとヴォーカルと言う弾き語りで、サックスが良い味を出しています。ちょっとだけスパニッシュな感じもありますね。と言う訳で、ちょっと曲数は少な目ですが、楽しめました。A面はニューウェーブ路線の発展型で、B面はポスト・パンクで、意外な一面を見せてくれました。と言うか、彼等は矢張り、ちゃんと流行をリサーチして、自分達の音楽に昇華させていますね。1980年代のベルギーのニューウェーブ/ポスト・パンクに興味がある方は聴いてみて下さい❗️ https://youtu.be/EqQpjF9zcrM #AromaDiAmore #DeSfeerVanGroteDagen #OnderStroomRecords #PlayItAgainSamRecords #Reissue #Belgium #NewWave #PostPunk #12InchEP #1985 #ElvisPeeters #LoMeulen #FredAngst #AndreaSmits #FritsFrats #BelgianCultBand
NEW WAVE / Post Punk OnderStroom Records (Play It Again Sam Records) 2000円Dr K2
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Yachts “s/t”
このバンドYachts(「ヨッツ」と発音。ヨットの複数形ね)のこと、知ってる人いる? と言う訳で、今回、紹介するのは英国のYachtsです。これ、CDでは持っていたんだけど、LPがヤフオクに出てたので、思わず購入してしまいました。そんな彼等のバイオグラフィーを書いておきます。Yachtsの前身のバンドAlbert Dock或いはAlbert and the Cod Warriorsは1977年4月にリバプールのアートスクールの学生によって結成されてあり、Sex Pistolsのサポートもやっていたようです。この時のメンバーは、Bob Bellis (Drs ,Vo), John (J.J.) Campbell (Vo), Henry Priestman (Vo, Kbd), Martin Watson (G, Vo)、そしてMartin Dempsey (B, Vo)でしたが、BassはRay "Chopper" Cooperに、そしてMick Shiner に、最後にGlyn Havardで落ち着きました。最初のライブはElvis Costelloのサポートでした。そんなCostelloのススメもあって、バンドはStiff Recordsと契約し、1977年にシングル”Suffice To Say”をWill Birchのプロデュースでリリースします。音楽雑誌では「パンク以上に元気が良い」とは批評されましたか、「”I Love You So Much”だけを歌っているくそみたいな音楽だ」とも批評されています。そして1978年に2枚のシングルをリリースしますが、1978年にVoのJ.J.が脱退します。それで、CostelloやNick Loweと一緒に、Radar Recordsに移籍します。同年10月にYachtsはRadar Recordsから最初のシングル"Look Back in Love (Not in Anger)"をリリースします。この曲は1960年代のTeddy and the Pandasの曲のカバーです。バンドはJohn Peelのラジオ番組BCC Radio 1に2回出演しています。次に、バンドはLPを出す為にNYCで、プロデューサーにRichard Gottehrerを迎えて、録音をしていますが、マスターテープが税関で没収されたことがあって、直ぐにLPがリリース出来なかったようです。その為、取り戻す間の繋ぎとして、シングル”Love You, Love You”をリリースしています。そうしてやっと出たのが、本作“Yachts”です。メディアもこのアルバムに関しては、「馬鹿げたバンド名にも関わらず、収録曲はグレートだと言い切れる」と好評でした。バンドはJoe JacksonやThe Whoと英国ツアーな米国ツアーを行なった後にセカンド・アルバム”Without Radar”をMartin Rushentのプロデュースで1980年にリリースしますが、メディアではこの作品も好評だったようです(私は未聴)。これら2つのアルバムはPolydorによって米国で発売されてますが、ファースト・アルバムの方は若干曲順を変えたりして、アルバムタイトルも”S.O.S.”と変えてリリースされています。1980年にMartin Dempseyが脱退して、J.J.もインディーバンドIt’s Immortalのヘルプをやっていたり、Henry PriestmanもYachtsとBette Bright & The illuminationsとを掛け持ちしていたりで、1981年にYachtsは解散してしまいます。 それで本作品の内容についてですが、全体的にかなり猛烈な勢いで弾けるパワーポップです。逆に言えば、「パワーポップとは何ぞや?」と言われたら、「このアルバムを聴け!これがパワーポップだ!」と堂々と言える程の理想型ですね。私が何故このバンドを知ったかと言うと、ロックマガジンの増刊号で”Nodern Music”と言うレコードやバンドのカタログ本があって、それに載っていて、気になっていたんですよ。特に4ピースとバンドでキーボードが入っているのがビビビっときましたね。それで聴いてみたら、凄い勢いがあって、かつメロディとコーラスのコンビネーションが完璧で、どハマりしましたね。裏ジャケで、ギターもキーボードもジャンプしているのもカッコ良かったです。あと、プロデュース力だとも思うんですが、ドラムがタイトなので、全体的に音がタイトに聴こえるんですよ。まあ、皆さん、パワーポップを聴きたいと思ったら、このアルバムを聴いて下さい❗️ “Love You, Love You” https://youtu.be/-RD2abmljW8 “Mantovani's Hits” https://youtu.be/GlF3Gv437xI #Yachts #FirstAlbum #RadarRecords #PowerPop #NewWave #Liverpool #YachtingTypes #Box202 #LoveYouLoveYou #BobBellis #HenryPriestman #MartinWatson #MartinDempsey #John(J.J.)Campbell
Power Pop / New Wave Radar Records 2000円Dr K2
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Gunjogacrayon “s/t”
君は「群青色のクレヨン」即ちGunjogacrayonを覚えているか❗️日本のポストパンクはパンクと一緒に始まった訳ですが、最初から、No waveとしてバンド形態を取っていたのは、グンジョーガクレヨンでしたね。メンバーは園田游 (Vo, Reed), 組原正 (G), 大森フミオ (electronics), 前田隆 (B)及び宮原篤志 (Dr)の5人組で、現在は大森さんが抜けて、園田さんが準メンバーのような感じで活動しています。彼等のデビューミニアルバムが本作品になります。因みにドラムの宮原さんは、東京ロッカーズのMr. Kiteのメンバーでした(正直、これは驚きましたね)。この時代は流血や汚物などのパフォーマンスが盛んでしたが、Voの園田さんが、多人数の吐いたゲロを飲むと言うパフォーマンスをしたとかの記事をとあるロック雑誌に書いたら,ものの見事に掲載中止になったとか。グンジョガクレヨンはこれまでに3枚のアルバムを出していますが、本作はそれ以外の12㌅EP(ミニアルバム)で、最初の録音物です。なお、ダブ・ミックスに坂本龍一さんが参加しており、そのことも、本作品が注目された要因ではないでしょうか。なお最新作が2016年に出ているのですが、これには夭逝した.esのサックス奏者橋本孝之くんも参加しています。 それで本作品ですが、ダルなリズムセクションと「パンク界のデレク・ベイリー」の異名をとる組原さんのフリーキーなギターが時にはヘビーなリフを、時には痙攣するようなノイズギターでかき鳴らされ、その隙間に大森さんのエレクトロニクスや園田さんのヴォイスやサックスが徘徊する、至極の5曲が収められています。因みに、昨今のグンジョーガクレヨンでは更に自由な組原さんのギター、最早打楽器と化した前田さんのベース、より自由に叩きまくる宮本さんのドラムと言うトリオになつていますが、本作品では、やや聴き易い印象もあります。しかしながら、初期のこの編成での曲群も緊張感に満ち溢れています。今からでも遅くないので、未聴の方はこの異形のロックを聴いてみて! https://youtu.be/u9Ixath9w8k #Gunjogacrayon #グンジョガクレヨン #PassRecords #Improvisation #Rock #FirstAlbum #DereBailey
Avant-garde Rock PASS Records 2000円Dr K2
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Tangerine Dream “Rubycon”
とうとうやってきました、独逸のプログレの生き字引Tangerine Dreamです❗️今回、取り上げるのは彼等の7枚目のスタジオアルバム(サントラは除く) ”Rubycon”です。私はそんなに詳しくはないし、もっと良く知っている方も沢山いらっしゃると思いますので、ここで私が解説する必要もないかも知れませんが、好例ですので、少しだけバイオグラフィーを。Tangerine DreamはEdgar Froeseを中心に1969年に結成されたクラウトロック或いはプログレッシヴ・ロック・バンドです、Edgarはその前にThe Onesと言うバンドォ1962年からやっていましたが、スペインでシュールレアリストのSalvador Dalíに会ってから、より実験的な音楽を追求すべく、バンドを解散、新たにConrad SchnitzlerとKlaus SchulzeとのトリオでTangerine Dreamを1968年(1969年とも?)に結成し、1970年にファーストアルバム”Electronic Meditation” を発表。このアルバムは言う程、電子的にはなく、電子的処理を施されたG, Organ, Cello, Flute, Dr等によるFree musicであった。その後、ConradとKrauseは脱退。EdgarはChristopher Franke(Agitation FreeのDr)とSteve Schroyderをスカウトしましたが、Steveはその後Peter Baumannと交代。この頃から、現代音楽家のThomas Kessler の影響で、急速に電子音楽化していき、1971年の”Alpha Centauri”から1973年の”Atem”は難解な音楽ながらも、高い評価を受けています。この頃から世界的に知られるようになります。そして、1974年作”Phaedra”や1975年作”Rubycon”をリリース。最初期のポップミュージック的作品と評価されています。しかし、1976年作”Stratosphere”でリズム、ハーモニー、メロディと言う伝統的音楽に回帰した為、ファンを困惑させています。1977年に米国のWilliam Friedkin監督の「恐怖の報酬 (“Sorcerer”)」のサントラを発表、その後、1980年代は、この手の映画のサントラが多くなってきました。ライブも盛んにやっており、演奏を繰り返すことで曲を練り上げていく「半即興」と言う手法を取っています。1987年にChristopher Frankeが脱退。1990年にEdgarの息子Jerome Froeseが加入。しばらく父子で活動していましたが、その後、Jeromeも脱退。2011年に日本人ヴァイオリニストHoshiko Yamaneが加入。2015年1月20日、主宰のEdgarがウィーンにて肺塞栓症で死去。しかし,残ったメンバー(Thorsten Quaeschning, Ulrich Schnauss, Hoshiko Yamane, Paul Frick)でグループを続けていき、今でも活動しています。少々長くなってすいません。 それで本作品”Rubycon”ですが、片面1曲づつ長尺の曲が収められおり、時折出てくるシーケンスやゆったりした優しい電子音同士が絡まっていくと言う,この時期の典型的楽曲になっています。そして、電子音による半即興が組曲風に奏でられており、長尺でも飽きませんね。Tangerine Dreamに対する、私のイメージもこの頃の音楽であり、また極上のアンビエンスであると言えますね(最近のは聴いていないので、なんとも言えませんが)。これまた、仏のHeldonとかとは違った電子音に対するアプローチですね。シンセはEMSみたいですね。アルバム通して聴くと、最後にはうっとりしてしまう音楽なので、未聴の方はその極楽感も是非味わってみてください。 A “Rubycon (Part One)” (17:18) B “Rubycon (Part Two)” (17:35) https://youtu.be/jd6XL_IOS3I?si=_UHlBJaOSX5-uQP5 #TangerineDream #Rubycon #VirginRecords #EdgarFroese #PeterBaumann #ChristopherFranke #Electronic #Synthesizers #Ambient #Krautrock #ProgressiveRock
Progressive Rock / Krautrock / Electronic Virgin Records 2000円Dr K2
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Heldon “Heldon IV: Agneta Nilsson"
やっと入手しました、仏Heldon(エルドン)の4枚目のアルバム”Heldon IV: Agneta Nilsson”です。ここら辺の事情って、私は詳しく無いのですが、本作品は、Heldonの首謀者Richard Pinhas(リシャール・ピナス)の殆どソロのような体裁になっています。Heldonのバイオグラフィーについては前回書きましたので、ここでは極々簡単に。サン=ドニ大学の哲学者Gilles Deleuze (ジル・ドゥルーズ)の学科の生徒であったRichard Pinhasが、Schizo名義をやめて、Heldonとして1974年に結成したグループで、彼以外は流動的なグループです。他のメンバーが流動的とは言え、Richardがいる限りには、誰が聴いてもHeldonと分かる動的平衡を保ったグループと言えるでしよう。そしてその特徴は、常に電子音楽とロックのフォーマットの融合を試みていたと言えるでしよう。また、RichardがHeldonを始めるに当たって、Robert Fripp& Brian Enoの”No Pussyfooting”や同じ仏プログレ・バンドMagmaの一連の作品やあり方或いはPhillip Glassのミニマリズムも参考にしていますが、Heldonはミニマルで力強い電子音と極度に増幅されたギターで、プログレッシヴなインスト・ロックのオリジネーターと言えるでしょう。Heldon自体は1979年に解散していますが、2000年に限定で再結成。またRichardが近年、最後と言われる来日ツアーをしたのも記憶に新しいと思います。 それで本作品ですが,1曲を除き、Richardがギターとエレクトロニクスで参加しており、他のメンバーとしてはPhilibert Rossi (Mellotron), Coco Roussel (Perc & Dr), Alain Bellaiche (B), Patrick Gauthier (mini-moog synth)及びGeorge Grunblatt (Mellotron)と言う顔ぶれです。A-4”Interlude: Bassong”はMichal Ettori (G)とGerard Prevost (B)のデュオの演奏が収録されています。まだ、リズミックと言う訳では無いですが、兎に角、Moogと思われるシンセのシーケンスが心地よい。特にB-1”Perspective IV”での‘Moogi-le-Moog‘ 名義でのRichardの、Fripp調の唸るようなギターとの絡みや一点して伸びやかな旋律も瑞々しくて素晴らしい。そんな心地よいテンションに包まれた電子音楽を触れてみては如何ですか? https://youtu.be/PRjn-Tooa68 #Heldon #HeldonIV #AgnetaNilsson #AuralExplorer #RichardPinhas #ProgressiveRock #Electronics #Moog #Synthesizers #Guitar #Mellotron #PhilibertRossi #CocoRoussel #AlainBellaiche #PatrickGauthier #GeorgeGrunblatt #MichalEttori #GerardPrevost
Progressive Rock Aural Explorer 2000円Dr K2
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Emerson, Lake & Palmer “Tarkus”
珍しくプログレの紹介です。今回は皆んな知ってるEmerson, Lake & Palmer (ELP)の作品”Tarkus”です。このバンドも私が紹介する必要も無い程、有名ですが、まあ、極々簡単にバイオグラフィーを書いておきます。メンバーはKieth Emerson (Kbd, Synth), Greg Lake (Vo, B, G)とCarl Palmer (Dr)のキーボード・トリオで,結成は1970年です。各人が、それぞれ当時、有名であったグループから参加していることからスーパーグループと呼ばれていました。Kiethは元The Nice、Greg Lakeは元King Crimsonで、元々はこの2人がコアとなって,Atomic RoosterのCarl Palmerをスカウトして、 1970年に結成されています。それまで、ロックの世界ではギターがメインの楽器と考えられていましたが、ELPはその既成概念を崩すかの様に、パーカッシブなオルガン演奏とリズム隊で、先鋒を切り、多くのキーボード・トリオの見本になります。それと、それまでは、多くのキーボード奏者はシンセサイザーは実際にライブで演奏する楽器とは考えられておらず、宅録の為の機材と考えられており、またミュージック・コンクレートなどでしか使われないものとの認識していましたが、Gregの提案で、KiethはMoogシンセの導入を試み、画期的な演奏方法を開発、ロック・バンドにおけるシンササイザーの位置を獲得させる先駆となりました。特に、リボン・コントローラーを用いた奏法などは特徴的です。また、オルガンをギターアンプに繋いだり、オルガンで持続音を出す為に、鍵盤にナイフを刺したりと、魅せる演出も開発しています。そして、彼等は1970年にファーストアルバムを発表。その後、セカンドアルバムである本作品をリリース、本格的にシンセを導入したロックアルバムとして、高い評価を受け、メロディ・メイカー誌で首位を獲得しています。翌年、ライブ録音されていた「展覧会の絵」がサードアルバムとしてリリースされ、英国・欧州ツアーや米国ツアーもこなしています。1974年に一時ELPとしての活動を停止し、Kiethはソロ&GregとCarlの形でアルバム「ELP四部作」を1977年にリリースしていますが、1980年2月にELPは正式に解散を表明します。その後、各人はソロ活動を開始。2010年7月15日に一夜限りの再結成ライブが行われますが、その後、2016年3月にKiethが、同年12月にGregが癌で死亡してしまいます。ザッとこの様な経歴となります。 それで,本作品”Tarkus”ですが、このアルバムはKiethのパーカッシブてややダーティなオルガンの演奏と唸りまくるMoogシンセがかっこ良いのは勿論ですが、Gregのベースが骨太で,変拍子も含めて、ずば抜けたグルーヴを出していることも特筆すべき特徴だと思います。特にA面全部を使って組曲風にアレンジされたタイトル曲はカッコいいです。ここら辺のキーボードの演奏は、意外とThe StranglersのDave Greenfield等にも影響を与えている様にも思えます(勿論、タイプは違いますが)。B面ではKiethのホンキートンクなピアノ演奏も聴ける曲”Are You Ready, Eddy?”もありますが、小曲が6曲収められています。その為か、B面はよく言えば「ヴァラエティに飛んでる」とも、悪く言えば「散漫な印象」とも言えますね。個人的にはこのアルバムはA面推しですね。久しぶりに聴きましたが、このような音楽がメジャーだったシーンがあったのか!と感慨深いものがありますね。皆さんも、もし興味がありましたら、聴いてみて下さい。 https://youtu.be/WKNOlDtZluU #ELP #KiethEmerson #GragLake #CarlPalmer #Tarkus #ProgressiveRock #MoogSynthesizer #KeyboardTrio
Progressive Rock ATLANTIC Records 2000円Dr K2
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David Thomas & The Pedestrians “The Sound of the Sand and the Other Songs of the Pedestrian”
ここでも何度か紹介してきた米国Pere UbuのヴォーカリストDavid Thomasの初のソロアルバムが、本作品です。世界一「悲しい」歌を歌う彼が、Pere Ubuで英国/欧州ツアーをやった時に、当時、イケイケだったRough TradeのオーナーGeoff Travisの勧めで、ソロ作を作ってみたとのこと。Pedestrians(「通行人」の意: このネーミングなんかは同時代のレジデンツにも通じるのでは?)は、Richard Thompson, Anton Fire(Feelies/元Lounge Lizards), Philip Moxham(Young Marble Giants), Eddie Thompson(のちにTan-Tanと名乗る), Allen Revenstine (Pere Ubu), Chris Cutler(Art Bears/Henry Cow), John Greaves, Mayo Thompson (Red Crayola /Pere Ubu), Paul Hamann, Ralph Carney (Tin Huey, Swollen Monkeys), Scott Krause(Pere Ubu), Alan Greene(元Pere Ubu)の錚々たるメンバーです。元々のコンセプトは、歌/歌詞から作ってみたいと言うことです。当然、Pere UbuのVoの彼としては、自由に歌詞を書き、それに沿うように音を付けていくのは、やってみたいことだったとは想像できます。彼は、その巨体やアクションに似合わず、非常に繊細かつネジくれた表現をするアーティストであり、本作でもその節回しなど健在ですが、その内容はPere Ubu以上に難解で予測不能なアヴァン・ロックの様相を呈しています(実は、本作の文章を書き出すまで、3日間聴いてきましたが、中々、その意図が汲み辛かった)。また、 Voのアルバムなのに、インストの曲があったりとか、ちょっと偏屈なところもありますね。あと、英語がもっと分かれば、歌詞とかのニュアンスも分かりやすいかもしれません。なので、万人にはお勧めできませんが、彼の「素」のキャリアを体験する為には聴いておいた方がいいでしょう。因みに私のは見本盤でした。 アルバム単位のが無かったので、ライブ音源を。 https://youtu.be/HE8M5GHgJII #DavidThomas #Pedestrians #PereUbu #RoughTrade #Avant-Rock #Soloalbum
Alternative, Post Punk Rough Trade 2000円Dr K2