Ditterich von Euler-Donnersperg “Knüllungen, Wulstungen, Klumpungen”

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Ditterich von Euler-Donnersperg (「ディートリッヒ・フォン・オイラー・ドナーズペルク」と発音?: 本名Ulrich Rehberg)は、知る人ぞ知る独逸地下音楽シーンのコネクターです。この人物は、1980年代初頭に、T.G., SPK, Asmus Tietchens, The Hafler Trioなどの初期作品をリリースしていたレーベルWalter Ulbricht SchallfolienのオーナーDr. Kurt Eulerのことなんです。特に、彼はSPKの名作”Auto-Da-Fé”のプロデューサーUli Rehbergとしても知られるレジェンドで、ポスト・インダストリアル界の偉才でもあった訳です。それで、彼がDitterich von Euler-Donnerspergと名乗って、自らの音楽活動をする場合には、何十年にも及ぶ音響研究と電子音響調査の結果として作品化するとのことで、その多くの作品は欧州・英国地下音楽シーンの重要なグループやアーティストとのスプリットと言う形でリリースされていることが多いようです。例を挙げれば、Max Goldt, Column One, Kommissar Hjuler, Wataru Kasahara, Felix Kubin等です。正しく、地下音楽のコネクターですね。また、John Duncan, Thomas Köner, Column Oneともコラボを続けており、Werkwund名義でも活動していますが、このユニットについてはFelix Kubinとのデュオのことだとの噂もあります。彼は、Ditterich von Euler-Donnersperg名義のアイデアを1987年に思い付いていますが、先述のように何十年も研究して、漸く、1998年になって、スポークン・ワードによる限定7㌅レコードを毎年のようにリリースしてきたことで、その名が知られるようになったとのことです(私はその7㌅レコードは未聴)。そんな重要人物の単独作品の第二弾が本作品“Knüllungen, Wulstungen, Klumpungen”と言う訳です。しかしながら、この作品に収められている曲は、彼が1980年〜1982年に既に録音されていたもので、2021年リリースの際に若干の手直しなどもされたようですが、全くの新録ではないです。では、早速、内容を紹介していきましょう。
A1 “Geierberg”は、声と思しき音を加工・変調し、更に、ゆったりとした電子音やフィールド録音等と組み合わせた意欲的な音楽実験曲です。
A2 “Sterben Sie Bitte!”は、低音ドローンの抑制的な構成から成る曲ですが、途中のプレイクが良いスパイスです。正に燻銀!
A3 “Und”は、唐突にガチャガチャとした変調ジャンク音で始まる曲で、フィールド録音らしき打撃音が、初期のスイスSchimpfluch-Gruppeっぽいです。
A4 “Ist Kein Jammer In Der Welt”は、一転、フィールド録音から成るアンビエンスなサウンドスケープで、時に薄ら聴こえるテープのスロー再生のような声に侘び寂びを感じますね。
B1 “Wahres Gegen Nichtwahres”では、唸るような変調フィールド録音に、不気味な笑い声(嘲笑)とが混在・融合していき、聴く者を不安にさせますが、ある意味、独逸実験地下音楽の系譜を色濃く引き継いでいます。
B2 “Die Schläferfalle”では、薄らとした淡いドローン音に、不明瞭なフィールド録音が加わり、都市郊外の「逢魔が刻」の風景のようです。
B3 “Vom Ende Der Zeit”も、規則的で金属質なフィールド録音が続く中、キリキリとした神経直撃音や様々な声が加わっていき、正に人間の本性を抉っているような曲です。終わり方も秀逸!
 と言う訳で、本作品は、極上の実験地下音楽に仕上がっていますが、これが、既に40年前に録音されていたと言う点で、作者のDitterich von Euler-DonnerspergことUli Rehbergの才能と推眼に驚かされます❗️多分、1980年代初頭の独逸人らしいバックボーンもあったのでしょうが、それにしても完成度は高いので、その辺りに興味のあるリスナーさんには必聴です‼️

[live動画: 2005年]
https://youtu.be/2JzvtEo3xPw?si=Fr1U1vevExCTYhsX

[参考までにNostalgie De La Boueからデジタル・リリースされた”quelquechose II”のBandcampのURLを貼っておきます]
https://nostalgiedelaboue.bandcamp.com/album/quelquechose-ii

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