Alu “Die Vertreibung Der Zeit”

0

Alu、それはNeue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)のファンなら、一度は聴いたことがあるバンドです。ちょっと前に、英国AttritionとのスプリットCDをPeripheral Minimalから再発したことで知った方もいるのではないでしようか? 今回、マニアックなセレクションで再発盤を出している独レーベルBureau Bより、Aluのセルフ・コンピ・アルバム“Die Vertreibung Der Zeit”を入手しましたので、紹介したいと思います。先ず、彼等のバイオグラフィーを書いておきます。実は彼等は、クラウトロック・バンドであったSandが解散して、1979年に新たに出来たバンドで、その時のメンバーは、Ludwig Papenberg (G, Kbd, Drum Machine)とJohannes Vester (Vo, Kbd)のデュオ形態でした。そうして、1981年に、Nadja Molt (Vo)が加入し、ライブ・バンドになります。とは言っても、1981年に自身のレーベルDer Letzte Schrei !からリリースした彼等の最初の7㌅シングル”Bitte Warten Sie!” (ここにはNadjaは参加していない)や後にリリースされたデュオ時代(1980年)のスタジオ音源から成るアルバム”Autismenschen”とは、全く違う音楽をライブでは演奏していました。その頃は、NDWと言うよりも、Nocturnal EmissionsやCabaret Voltaire等のインダストリアル・シーンと関わっており、ある意味、BerlinのCold Waveであったようです。そんな訳で、Nadja加入後はAlu IIと言うべき変化があったようで、その頃にライブ・アルバム” Störfaktor I - Alu's Riskantes Experiment 31.7.81 Im Risiko”を1981年に、”Licht”を1982年にリリースしています。そして、1982年前に、Papenbergが脱退しており、その後は、Johannes VesterとNadja Mortのデュオになり、Alu IIIとして活動していきます。この頃はシンセとドラムマシンとヴォーカルの即興演奏だったらしく、1983年にライブ・カセット作品”Geistige Erneuerung”を出しています。また同年にスタジオ・アルバム”Ungesunde Traumbilder”と先述のAtrittionとのスプリット・アルバム”Attrition/Alu”の2枚のアルバムも出しています。これらのアルバムが、Aluの最後のスタジオ・アルバムとなり、1986年に、HumburgのFabriekでのライブが最後となります。大体のAluの流れはこんな感じです。では、本アルバムの各曲を紹介していきましょう。
A1 “Der Schänder Ist Unterwegs”は、如何にもAluとも言えるちょいインダストリアルなマシンリズムにNadjaの巫女的ヴォーカルが絡んでくる曲です。
A2 “Ich Mag Mich”では、ギターの低音部の刻みと不明瞭なシンセから始まりますが、途中で急にアップテンポのマシンリズムに変わり、呪文のようなヘロヘロのNadjaのヴォーカルが出てきます。そうして、ベース・シーケンスに再び移行します。何だか統合失調症のような曲展開です。
A3 “Funkturm”では、ミニマルでぶっ太いベースシンセとややユーモラスなマシンリズムで、そこにVesterの切迫したヴォーカルが斬り込んできます。これは初期の曲でしようか?
A4 “Vendetta”でも、ややユーモラスなベース・シーケンスを中心としたモコモコしたリズムから成る、割とNDW的な曲ですが、Nadjaの(ウィスパー、時に叫び声のような)ヴォーカルが入り込んできて、延々と続きます。
B1 “Sie Kriegt Alles Was Sie Will”では、単調なシンセのパルスと、それにまとわりつく電子音から始まりますが、やがて太いベース・シンセとキック音が入り込み、更にVesterのヴォーカルも加わり、より曲っぽくなっていきます。これも初期の曲でしょう。
B2 “Mein Verlor'nes Glück”は、結構カッコ良いマシンリズムと虚なNadjaのヴォーカルから成る夢遊病のような曲です。勿論、ミニマル!
B3 “Aludome”も、またモコモコしたユーモラスなリズムに、シンセ・ベースとキーボードがバックを固め、それ程上手くはないが味のあるVesterのヴォーカルが乗ってくる、どこか牧歌的な曲です。
B4 “Jetzt Ein Bisschen Liebe”は、機材的にも大躍進が見られ、カッコ良いバックのリズムやシンセのリフとNadjaの朗々としたヴォーカルが聴取出来る曲です。
 先述のように、Aluは3つの時期に分けられますが、各時期の曲がバランスよく収録されていますね。なので、Aluの魅力を存分に味わえますね(でも、本当は2枚組にして欲しかった!)。それと、B4以外のNadjaのスタイルは一種のシャーマン的な雰囲気が強いのもよく分かりました。そう言う意味では、Aluはリチュアル・インダストリアルだったのかも。そうすると初期の曲は典型的NDWであったようにも思えて、Nadjaの存在がAluの個性に大きく寄与したと確信しました❗️NDWに興味のあるリスナーさんは絶対聴いた方が良い一枚ですよ‼️

[first single] ”Bitte Warten Sie!”
https://youtu.be/EDDG9QH_DgM?si=QOrgMzFwJ_ywXdKr

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kNO_GJ5kP2F-aV9bxbCa6cmx3q9nRA_D8&si=to1mG00SWwrLasc0

#Alu #DieVertreibungDerZeit #BureauB #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SelfCompilationAlbum #ElectroPop #ColdWave #Berlin #Experimental #Industrial #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #Sand #Krautrock #JohannesVester #NadjaMort #LudwigPapenberg

Default