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V.A. “391 | Selezione 1”
伊Spittle Recordsが放つ、1980年代伊地下音楽への航海Voyage Through The Deep 80s Underground In Italyシリーズの第一弾が、”391 | Selezione 1”です。そもそも、この391プロジェクトは、1983年に始まっています。伊の奥地の何もない街Ascoli Picenoから来た2人のティーンエイジャーPierpaolo De IulisとGianlorenzo Giovannozziが、伊の地下音楽をスナップショット的に集めたコンピ・カセットをやろうとした計画のことなんだそうです。そのタイトルは、Francis Picabiaが編集していた雑誌”New York Dada”と同様にして、伊の端っこの方の地方都市別に存在する○○ウェーブとかポスト・パンクのバンドの音楽を集める意図で、当時のイタリア・フリンジ・ミュージック・シーンを地域別にまとめてみて、その地図を作ろうとした目的も含まれていました。多分、彼等は、1977年のパンクの勃興以降に芽吹いた新しい音楽/ロックのアイデンティティを最も明確に表せられるじゃないかと考えた訳です。いざやってみると、膨大な数の音源が集まったのは良かったのですが、計画自体は1985年に頓挫してしまいます。その直前に、丁度、Marche地方とUmbria地方の分から成る最初の2巻分はリリースされていました。そうしている内に、Spittle Recordsの新しいシリーズと一緒に、彼等2人がやったプロジェクトを上手く結び付けられないかとの提案があり、それで、2人は、30年以上経って、まだ未発表の伊のディープな地下音楽を掘り返すべく、391プロジェクトを再開したと言うことで、今回、LP2枚分の音源をリリースすることができたと言う訳です。
ちょっと、前置きが長くなりましたが、それぞれの内容について紹介していきたいと思います。今回は、”Selezione 1”収録分です。
A1 The Gam Ones “Take Me Soon“ : VeniceのLivorno地区で1983年に結成されたバンドで、メンバーは、Fabrizio Marinari 'J. Inox' (Vo), Stefano 'Steve' Lunardi (G), Rolando 'Roli' Calabrò (B), Sergio Adami (Drs), Mirco Pacini (Perc)。Livornoで活動。1984年の曲で、ダンサブルなポストパンク調の伸びのあります。
A2 VCO “Radiomad“ : VeniceのMestre地区のNew Waveで、Gianni Visnadi (Electronics, G, Objects)とMassimo Zennard (Kbd, Synth, Vo), Pippo Monad (B)のトリオ。VeneziaのMestre地区で活動。1981年の曲で、リズムボックスにスラップ奏法のベースの組合せから成り、こちらもダンサブルです。ラジオ音やシンセ音を使っているところが一味違うようです。
A3 Next “Living In Tobruk“ : Andrea Bartoli (Drum Machine, Programming)とGiulio Curiel (Synth, Programming, Vo)のデュオでTriesteで活動。1984年の曲で、1984年の未発表曲で、ピコってるドリーミーなテクノポップです。最初期のDepeche Modeっぽい。
A4 Reverie “The Only Tam-Tam In Town“ : Marcello Luce (Synth, Programming, Vo), Ivan Calligari (Synth), Vladimiro Duna (Vo)のトリオで、Bresciaで活動。1986年の曲ですが、こちらは硬派なビートが効いたEBM的なシンセウェーブです。ヴォーカルスタイルを含めて、少しHuman Leagueっぽいかな?
A5 Shaming Borsalino “Dea No” : Vincenzo Vasi (Vo, B, B-Synth, Drum Programming, Lyrics), Piero Mambelli (Programming, Lead G, Kbd), Roberto Bucci (Rhythm G), Valerio Vasi (Perc)の4人組で、Riminiで活動。1986年の未発表曲で、ミディアムテンポで、じっくり聴かせる良質なポップミュージックです。
B1 XIF “Your Game“ : Ugo Solenghi (Vo, Lyrics), Ivan Cattaned (Electronics), Valter Cattaned (Electronics)のトリオで、Parmaで活動。1989年の曲。リズムもシンセで作り込んでいると思われる、ちょっと変わったシンセウェーブで、「数学的」な曲。ヴォーカルも語り口調です。
B2 Centro Uh! “Japanese Match (抜粋)” : Angelo Pretolani (Vo, Drum Machine, Lyrics), Roberto Rossini (Kbd, Vo), Marco Canepa (Kbd, Tapes, Sound Engineering)のトリオで、Genovaで活動。1981年作。逆回転ヴォイスから始まり、ホワイトノイズとアジテーション調のヴォーカルの絡みへ、更にパーカッションとシンセの絡みへとなる、やや実験的な曲です。出来れば全部聴きたかった。
B3 Catene Della Cresima “Zilpha Marsch” : Massimo Braghieri (Kbd, Programming)とAlberto Callegari (B, G, Programming)のデュオで、Piacenzaで活動。1987年の曲です。Braghieriは、現在、彼はLondonを拠点にDJやプロデューサーとして活躍しています。ここでの曲は、ポップと言うよりもインダストリアルのように重めのリズムと変調ヴォーカルが特徴的です。
B4 Celery Price “Tra Il Mare E la Notte“ :メンバーは、Francesco Pirro (Kbd, Programming), Graziano Marchetti (B), Marco Sabatini (Vo), Mauro Pettirossi (Kbd)の4人組でOsimoで活動。1988年の曲で、ゆったりと流れるようなアンビエント色が強いシンセ音ですが、後半はビートもあって、スポークン・ワード的ヴォーカルとマッチしています。この時期になると、リズムはヒップポップ調ですね。
と言う訳で、Selezione 1の方を聞いてきましたが、驚いたのは、どれも音が良いと言うこと。まあマスタリングにもよるのでしようが、こんな良い音で、当時の音楽を聴くことができるのには感謝です。多分、音源を集めていた2人の趣味もあるとは思いますが、バンドらしい感じの曲が少なく、宅録派(実際にはライブもやっていたんでしようが)の曲が多かったのは、個人的には楽しめました。こう言う企画が世界で行われて、再評価されることを強く望みます‼️
A1 The Gam Ones の他の曲”Wild Game
https://youtu.be/Jd3sLr5eAzg
Bandcampのリンクも貼っておきます
https://spittlerecords.bandcamp.com/album/391-selezione-1
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