D川のちがい石/プラジオクレース

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高温石英探しの傍らに見つけた珍品。

二つの結晶が互い違いになる格好で結合成長した『カルルスバット式双晶』と呼ばれる形態の長石です。

"カルルスバット"とは中欧チェコ共和国に実在する地名のことで、当該地域で産出する長石にこの形式の結晶が多く見られたことに因み用いられているものです。

このタイプの双晶は当然ながら日本国内でも産出があるのですが、その中でも特に有名なのが長野県上田市の『ちがい石』。
これは中性長石の結晶がX字型に交差している大変珍しいもので、かの高僧「空海」ゆかりの石として古くから存在が知られていました。
https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=4398&seq=0

そんな奇石を彷彿とさせるこちらの結晶。
風化が進んでいるため角が落ち透明感もすっかり失われていますが、この形状は紛うことなきカルルスバット式双晶。

これまで拾った長石のほとんどが欠片ばかりだったものですから不意に現れた珍石に思わず面食らってしまいました。
それに普通の単結晶よりも構造的に脆いであろう双晶が、川の流れに運ばれてもなおバラバラにならずに原型を留めていることにも驚きでありました。

紫外線に対する反応もあり、今までの長石と打って変わって薄緑色の蛍光を放ちます。
https://muuseo.com/tezzarite/items/95
https://muuseo.com/tezzarite/items/106

D川の斜長石/プラジオクレース
高温石英探しの傍らに見つけた謎の石。 https://muuseo.com/tezzarite/diaries/22 ひとまず手頃な劈開片をサンプルとして分析に出していたのですがその結果が判明しました。 その正体は地殻の質量の約半数を占めるとされるケイ酸塩鉱物「長石」。 それらの中でもナトリウムに富む「曹長石」と、カルシウムに富む「灰長石」の固溶体、すなわち『ラブラドライト/曹灰長石』であることが分かりました。 長石は世界中どこにでも分布する鉱物であり、当然ながら我が国でも多く産出が報告されています。 しかし国産の曹灰長石でこれほどクリアな巨晶は見たことが無かったため大変驚きました。 研磨用の原石としても申し分ない、なかなかの透明度であると思います。 極めつけは紫外線による赤色蛍光。 角度によっては強烈なルビー色に染まるため、これは当初とても衝撃的でした。 一般的に知られているラブラドライトと違い、油膜のような光沢「ラブラドレッセンス」はまったく現れません。 その点で言えば素の状態だと面白みのない石として受け止められるかもしれません。 しかし自分自身が見出した石となれば贔屓したくなるもの。 そして何よりこちらには蛍光性という華がありますので、他のラブラドライトに引けを取らないギミック持ちであると思います。 https://muuseo.com/tezzarite/items/99 https://muuseo.com/tezzarite/items/106
https://muuseo.com/tezzarite/items/95

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