赤谷のコンペイトウ砒/自然ヒ素

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福井県赤谷での採取品。
ミステリー小説を始めとする創作において殺人の手法として度々登場する有毒元素、ヒ素からなる元素鉱物です。

こちらは突起だらけのユニークな外観から『金平糖石』の名で親しまれている標本です。
ヒ素の針状結晶が集合して球体となったもので、内部ではその一本一本が放射状に伸びているとのこと。

このような形状は世界的にも類を見ず、自然砒という鉱物は通常、不定形な塊状で産出することがほとんどです。
そのためかコンペイトウ型は相当珍しいらしく、海外の鉱物専門書においても特筆すべき標本として紹介される程であります。

それ故に珍品好きとしては手中に収めておきたいと思う石でありますが、鉱物と言えどやはり毒は毒。
表面には『砒華』という三酸化二ヒ素の二次鉱物、すなわち猛毒が生じており、不用意に扱えば知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまう恐れがあります。

ですからヒ素や水銀の鉱物と相対する際は慎重になるべきなのでしょう。

綺麗な花には棘がある。
綺麗な石にも棘がある。
そのことを忘れずに、地球に咲くこの美しい華々とお付き合いして行きたいものです。

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