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SuKoRa “OEO”
1990年代中盤であろうか、CDが音楽媒体として世界的に普及していた時代に、所謂「無音系」と呼ばれる流れが生まれてきました。まあ、全くの無音では無いのですが、本当に微音のノイズ(グリッチ音や可聴範囲外の音など)が微かに聞こえると言うCD作品がバンバン出てきました。特に、Bernhard Günterが立ち上げた独逸のレーベルTrente Oiseauxが一時期、世界を席巻しています。何故かと言うと、そのの理由として、CDは完全デジタルな媒体なので、完璧な無音を作ることが理論上可能である点がその背景にあると言うこと、それともう一つは当時のノイズ・シーンにおいては、所謂「ジャパノイズ」と呼ばれる大音量のノイズ・ミュージックが台頭していたことに対する反発もあったかと思います。そんな状況の中で、日本にも「無音系」或いは「微音系」と呼ばれるアーティストがいました。それが、キタジマ・タカヨシ氏のソロユニットSuKoRaなんです。当時、ライブなんかにもよく誘っていたりしていましたので、彼のライブも何回も観ていますが、観客の見守る静寂の中、コンタクトマイクとセロハンで「カサッ」とか「チリッ」と言う極小のノイズを時に発すると言うストイックなスタイルに魅せられていましたね。彼は、カセット作品も自主リリースをしていましたが、そんな彼のファースト・アルバム”OEO”が、米国レーベルIgnivomousから出たとの噂を聞いて、早速、購入しました。しかも、LP(ヴァイナル)と言うフォーマットです❗️これにはちょっと驚きました。簡素なDIY的装丁で、謎めいた曲が4曲収められていますが、曲の切れ目は不明瞭です。この場合、確かに微音ではありますが、レコード針とレコード盤の間に生じるヒス音がどうしてもバックに入り込んでしまいます。そうすると、この作品はレコード針と盤との摩擦音を聴いているのか?それとも録音された人為的微音を聴くべきなのか?がよく分からなくなってきます。キタジマ君に、その感想を伝えたら、「いや〜なんか煮詰まっちゃって!」と恥ずかしそうに答えてくれました。個人的には、その言葉の意味が当時はよく分からなかったのですが、今回、聴き直してみて、何となくその意味が分かったように思えます。その後、私が東京を去ったので、疎遠になってしまいましたが、2011年まではリリースが続いていたみたいです。彼の「微音系ノイズ」は、それが完全な無音環境では無い(デジタルな空間ではない)と言う意味で、当時の他国の「無音系」ノイズとは一線を画すようにも思えます。もし、もう一度会うことができたならば、その真意を聞いてみたいですね。因みに国内では、同年に佐々木敦氏のレーベルMemeからもCD作品”Tower”をリリースしています(私は未聴)ので、そこら辺との相違についても聴いてみたいです。なので、もし、SuKoRaの作品を聴くことがあれば、そんな聴取環境のことも頭の片隅に置いて聴いてみて下さい❗️
A面 “YOY”~”OOE”
https://youtu.be/Uj59qgiYFlc
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オマハルゲ
2023/03/17 - 編集済み不勉強なので微音系ノイズというジャンルは初耳です。ジョン・ケージの「4分33秒」を思い出しました。
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Dr K2
2023/03/18ジョン・ケージの”4分33秒”は演奏者が何もしないことで、人々のざわめきや他の音が音楽として成り立つと言うコンセプトだと思うのですが、元々「微音系/無音系ノイズ」と言うのはデジタル空間が完全に「無音」になることから出発していますので、コンセプトのベクトルは真逆なのかもしれないですね。
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オマハルゲ
2023/03/18なるほど。納得しました。
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