Joji Yuasa (湯浅譲二) “Aoi-No-Ue (葵の上)”

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現代音楽〜実験音楽の伝道師 井部治氏が運営するEdition Omega Pointより復刻されたのが、今回、ご紹介する日本の現代音楽の至宝 湯浅譲二氏の「葵の上」です。湯浅譲二氏の略歴は皆さんも良く知っているとは思いますが,簡単に紹介します。湯浅氏は慶應義塾大学医学部を中退後、作曲の道に進み、実験工房で武満徹らと電子音楽や自分の実験音楽の作製に励んでいました。その後、カリフォルニア大学サン・ディエゴ校で教鞭を取っています。また、その頃から、UPICやMusic-Nと言った電子音楽機器/ソフトを用いた作品で「電子音楽の開祖」とも言われています。その後、上記大学の教授、日大藝術学部客員教授、桐朋学園大学特任教授を経て、カリフォルニア大学サン・ディエゴ校名誉教授、国際現代音楽協会 (ISCM) 名誉会員。慶應義塾大学アート・センター顧問所員になっています。華々しい経歴でかつ作曲した作品もべらぼうに多いのですが、その中で、復刻されたのが、A面「葵の上」(1961年作: 黛敏郎氏の同名作品とは異なる)とB面”My Blue Sky (No.1)”(1975年作)です。「葵の上」は草月アートセンターで作製されたもので、一言で言うと能の謡いを電子変調させた曲となります。ただ、まだテープ音楽や電子音楽のハード的な面での未知な部分も大きかったので、色々と細かい作業が施された曲と言えましょう。勿論、ホワイトノイズも細かーく使われています。また録音されたテープにも細かーい処理が施されています。そう言えば、この前、モデュラー・シンセのイベントがあった時に、能の謳いをサンプリングしていたアーティストを拝見しましたが、やはり、どこか「日本的な」リチュアルな演奏になっていました。一方、B 面”My Blue Sky (No.1)”はNHK電子音楽スタジオで作製されており、サイン波や矩形波は使われていますが、お得意のホワイトノイズは使われていません。クリックする短い電子音と間(無音部分)の空き方と空間の使い方が素晴らしく、単純な曲なのに、聴くものに適度な緊張を強いる作品となっています。まあ、このような現代音楽或いは実験音楽は、そのコンセプトを知る楽しさと聞こえてくる音楽自体の楽しさとがあって、この種の音楽はその両方を楽締めるかどうかなんだと思います。なので、気楽に聴いていくと言うのも「有り」なんだとも言えるでしょう。皆さんも是非,この手の音楽を楽しんで下さい。因みに、このLPは150枚限定です。

[YouTubeにはないので、NHK音楽スタジオの紹介を]
https://youtu.be/VfFZBNh9tdM

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