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Z’ev “Production And Decay Of Spacial Relations”
漸く、入手しました!Z’evのファースト・アルバムです。実は、私はこのアルバムの存在については良く知りませんでした。と言うよりも、このアルバムの存在について気に留めたことがありませんでした。ある時に、ヤフオクで出品されているのを見て、調べた時に、漸く、これがZ’evのファース・アルバムだと認識し、Z’evファンとしては、やはり手元に持っておくべきだろうと競り落としました。と言うのが、入手経緯です。
Z’evのバイオグラフィーについては、前回、書きましたので、そちらの方をご参考にして下さい。本作品に関しては、蘭ロッテルダムのBacklashスタジオで、たった2日間(1981年5月12-13日)で、録音・ミックスが為されたZ’ev名義の最初のアルバムとなります(因みに、曲名は、如何にも、最初期にはSound PoetryをやっていたZ’evらしい付け方だと思います)。それでは各曲についてご紹介していきましょう。
◼️May 12 1981
★A1 “Vuur Uur 1e” (4:30)は、結構大きなメタル・スクラップを自在に叩く/操った音から成る曲で、リバーブが効いていて、素晴らしい残響音が感じられます。
★A2 “Op Zoom 1e” (3:43)は、一定のパタンを形成する正体不明のJunk Percの合奏から成る曲で、以降のZ’evのメタパー奏者のイメージとは少々異なる感じがします。
★A3 “Op Zoom 2e” (3:59)は、メタパーの連打に太鼓のアクセントから成る曲で、「長崎くんち」のような喧騒さを体現しています。このパートは寧ろ後期のZ’evを予感させる曲だと思います。
★A4 “Vuur Uur 2e” (4:48)は、やはり、深いリバーブの中での巨大なメタル・スクラップを用いた演奏から成る曲で、リバーブ音に埋もれるような音像が堪らないです。
◼️May 13 1981
★B1 “Zuid/Zuid Oost” (4:12)は、一転、プリミティブな土俗的リズムを奏でるJunk Percの合奏から成る曲ですが、微妙なズレやパンの振りに、音響的意味合いを持たせているようです。
★B2 “Vers Licht” (4:47)は、またまた、オイル缶とかを鎖で繋げて、引き摺り回したり、振り回したりするパフォーマンスのサウンドを多重録音したと思われる曲で、初期のZ’evの「生」パフォーマンスを想起します。
★B3 “Ook Uit” (7:43)は、アンプ・ノイズのような不安定ながら繰り返す持続音的ノイズ(どうもトレモロを使っているらしい)を中心に、メタルらしき音(コンタクトマイクで拾っている?)やその他のノイズ音を塗した曲ですが、逆回転なんかも使っていそうで、そこら辺も曖昧になってきます。
ファースト・アルバムの時点で、Z’evは、単なるメタル・パーカッショニストではなく、その他の色んなアイデアを既に持っており、それを一部、具現化したのが、本作品ではないでしょうか? 先ず、本作品を聴いてみると、メタパーの演奏とかの前に、ミックスの「妙」がビンビンに感じられますし、またテープ操作等も使っているようです。彼は、ノイズ・リスナーからも多大な支持を得ていますが、この頃の彼の中では、打楽器(メタル・スクラップやJunk Perc)等を用いたパフォーマンスの言う行為が「詩作」であったのではなかったのかと、本作品を聴くとそのように想像してしまいます。音自体の面白さも去ることながら、その音の向こう側を感じ取ると、彼が単に卓越したパーカッショニストではないように思えるのです。たった2日で全てを終えた短時間作業ではありましたが、録音すると言う作業に、他のミュージシャンとは異なる「何か」を感じざるを得ません。そんなプリミティブな香りのするZ’evのファースト・アルバムは、その後の彼の活動の道標となっていると思われますので、是非Z’evファンの方は体験してみて下さい!
https://youtu.be/I4gDyJRLmZg?si=WIaVTTUi3WHxxbIP
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