DEO “s/t”

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実は、このバンドDEOについては、何も知らないまま、購入しています。と言うのも、海外から通販で購入する時、送料が高いので、適当に同じ店舗から他に何か欲しいものをついでに購入する癖がありますので、それでほぼジャケ買い/視聴買いをしてしまったモノの一つが、このDEOの唯一のアルバムなのです。なので、このバンドについて少し調べてみました。正式なメンバーは、Harald Hoffmann (Vo, Kbd; ハラルド・ホフマン), Kurt Hein (B, Vo; クルト・ハイン), Andreas Pasieka (G, Vo; アンドレアス・パジーカ), Christoph Aengenheyster (Drs; クリストフ・エンゲンヘイスター)で、今回は、Ernst Müller (Kbd [A3, A5, A6]; エルンスト・ミューラー)もゲスト参加しています。1980年に、独ルール地方のOberhausenにて結成されています。それで、電子音楽の御大Klaus Schulzeが電子音楽をやっている若手の為に設立したレーベルInnovative Communicationから、1981年に、セルフ・タイトルの12インチ・ミニ・アルバムを出しており、それが本作品となります。この作品は、「ルール地方への地獄のドライブ」と評され、賞賛されていたようです。その後、バンドは、ギターをもう少し強調したソリッドなサウンドになっていったようです。Deoのメンバーは、皆、職業ミュージシャンではなく、本職を持っています。Harald Hoffmannは写真家、Andreas Pasiekaは社会教育学を学んでおり、Christoph Aengenheysteは言語学を学んでおり、後に加入するKlaus Kranzは電気技術士でもありました。1982年の雑誌Bravoのインタビューでは、「自分達は思ったことをストレートに言いますし、別に自分達は、音楽産業のやり方に沿って、音楽をやっている訳ではありませんが、自分達の音楽を聴いて、皆んなが何かしらを感じたり、考えてくれたりすれば嬉しいですね。」と語っています。実際に、DEOは、その通りに機知と発言を慎重に行っていたので、充分説得力がありました。1982年に、DEOは、たった1枚のアルバムと1枚のシングルを出した後に、Kurt Heinが脱退し、代わりにKlaus Kranzが加入したものの、1983年には解散しています。その後、HoffmannとPasiekaは、翌年1984年に、Sigh Systemを結成し、英詞で歌っており、アルバムとニューウェーブでディスコティックなポップミュージックのシングル数枚をリリースしています。そして、後になって、本アルバムに収録されている曲”Exakt Neutral”は、2001年に、Stereo Totalが、彼らのアルバム”Musique Automatique”でカバーしています。その理由と言うのも、Stereo Totalのヴォーカリストが、偶々、パリの中古レコード屋で、DEOのレコードを見つけて、その曲が気に入ったからだとか。
 調べた範囲では、DEOの略歴は以上のようで、比較的短命なバンドであったようです。本作品は、Deoの唯一のアルバム(正確にはミニアルバム)で、両面とも6曲ずつ収録されていて、45回転盤です。それでは、各曲について紹介していきましょう。

★A1 “Exakt Neutral” (3:56)は、聴き覚えのある曲で、シンセが雰囲気作りに一役買っており、引き攣り気味のGがカッコ良いですね。
★A2 “Bequem” (4:35)は、Synth-BとミドルテンポのDrsに、呪文のような、余り精気の無いVoが乗る淡々とした曲で、やがてシンセやGも入ってきます。何となくDAFっぽい?
★A3 “Killerautomat” (2:56)は、Fischer-ZのようなシンセとBで始まり、その内に凝ったシンセ音やコーラスワークとメインVoとDrsでちゃんとしたポップミュージックになります。
★A4 “Traum” (2:38)は、割と強力なリズム隊に、Voとシンセが乗ってくる曲で、間奏は力強いですね。後半にはGのカッティングも。
★A5 “Deodorant (2:17)は、陽性のレゲエ風のリズムに乗って、Voがハキハキ歌っている曲で、サビのGのポイントが高いです。
★A6 “Peepshow” (3:46)は、リズム隊がミニマルなノリの曲で、間奏のGソロは聴きモノです。Voは複数人なのかな? Bのリフがちょっとだけヒカシューの”パイク”に似ているようです。
★B1 “Ruhrgebiet” (2:06)は、性急なビートの効いた曲で、サビに面白いアレンジが施されています。間奏のGはカッコ良いです。
★、B2 “Angesagt” (2:01)も、ビートが効いた曲で、青春ニューウェーブ的な曲調の為か、今にも走り出しそうです。間奏のGはやはりカッコ良いです。
★B3 “Let's Go West” (3:15)は、ちょっと落ち着いた曲で、サビのコーラスワークがグッときます。またバックのシンセも良いポイントです。
★B4 “Andre Welten” (3:23)は、ゆったりしたテンポで、ファットなBと切羽詰まったようなVoが、SE的シンセと共に乗る曲ですが、間奏部分ではノリが良くなりますが、ハルメンズっぽい?
★B5 “Vorbei” (3:16)は、スパイ映画のようなBのリフを中心に、細かく刻むGとVoが乗ってくる曲で、怪し気な雰囲気一杯です。
★B6 “Neonlicht” (2:30)でも、レゲエ風のリズム隊に、GのリフとVoがよくマッチしています。時に聴こえるシンセも良いアクセントになっています。

 凄く個性的か?と言われると、必ずしもそうではないのですが、程良く色んな音楽を吸収して出来た音楽なのだろうと思います。なので、佳作ばかりで、大ヒットしそうな曲が思い当たらないようにも思えます。しかし、興味深かったのは、日本のニューウェーブ・バンドの曲との共通点があったことで、そう言うところは、場所に関わらず、あり得るモノなのだなぁと感心しました。他のNDWよりも毒気を抜いた感じがして、当時は目立たなかったんだろうなぁと。上手く振る舞えば、大化けしたかもと思いますが、解散しているので、ちょっと惜しいですね。皆さんもどうですか?

A1 “Exakt Neutral” (3:56)
https://youtu.be/t4kJSoy4NY8?si=3coupADHPOXwFJxE

[full album & others / 曲順はアルバムと違います]
https://youtube.com/playlist?list=PLLvdvodyj3fKdbjQpckHZx1TaToWaUH2E&si=GLlbsS1pFrwwPJ-N

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