Anne Clark “Joined Up Writing”

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私は、このAnne Clarkなるアーティストは全然知らなくて、ほぼ海外通販のついでにジャケ買いしたものです。なので、少し調べてみました。
 Anne Clarkは、スポークン・ワードの先駆者でもある英国の詩人で、「歌う」ことはしたことがなくて、いつも音楽に「言葉を乗せる」だけです。そして、彼女のキャリアは、1980年初頭に、ニュー・ウェーブ・ムーブメントと共に始まって、特にDavid Harrowのシンセ曲とで、ヒットチャートに入っています。また、彼女は、Vini Reilly, John Foxx, Martyn Batesともコラボしています。彼女は、オーケストラ等のバックでもスポークン・ワードをやりますが、エレクトロニックやテクノ、更に言えばアヴァンギャルドのバックでもやっています。もう少し詳しく書きますね。Anne Clarkは、1960年5月に英国ロンドン生まれで、カトリックの母とプロテスタントの父と1人の兄の元で育ってます。兄の影響で、スポークン・ワードを集め始め、16歳で高校をドロップアウトします。その後、色んな仕事をやって生活していましたが、レコード屋の店員をやっていた時に、丁度パンク・ムーブメントがロンドンで巻き起こり、彼女はバッチリハマってしまいます。そこで、Warehouse Theaterと関わりを持ち、やがて、Paul WellerやLinton Kwesi Johnson, French & Saunders, The Durutti Column, Ben Wattらと交流を持つことになります。それで、彼女は、音楽と作詞で色々試し始め、Richard Strangeの”Caberat Futura”で、Depeche Modeと共に初めてステージに立ちます。また、彼女は、Paul Wellerと”Riot Stories”で協力することになりますが、メジャーレーベルとの契約の際に、サインが出来ないようにされたことでもめています。しかし、1982年に、彼女は、ファースト・アルバム”The Sitting Room”をリリースし、1983年のアルバムトップ100で11位となり、続くアルバム”Changing Places (1083年作)”、”Joined Up Writing (1984年作)”, “Hopeless Cases (1987年)”で、彼女は、Warehouseから多大な貢献を得ることなります。それは、キーボーディストDavid Harrowが彼女の作品全てに音楽を付けてくれることでした。こうして、彼女は、David Harrowの全面的なバックアップを受けて、1980年代〜1990年代を過ごすことなります。この時期の代表曲が、 "Sleeper in Metropolis," "Our Darkness”や "Wallies”で、特に”Our Darkness”は、2003年に、Benny Benassiがサンプリングして、"Love is Gonna Save Us"としてヒット曲となり、Clarkのこの原曲は、FACT誌によると、ベスト・インダストリアル・レコード20に入る、所謂プロト・ハウスのレコードと評しています。その後、彼女は米国進出も計画していたようですが、Virgin Recordsの米国マネージャーRichard Bransonが了承しなかったので、彼女は米国進出は諦めています。しかしながら、欧州、特に独逸ではカルト的人気があったそうです。1985年には、John Foxxとコラボして、アルバム”Pressure Points”をリリース、この中の”Heaven”は欧州でヒットします。その後、1987年には、彼女は、Tov RamstadとIda Baalsrudと共同作業を行う為に、3年間、ノルウェーに行っています。そうして、1991年に、SPV Recordsから、Charlie Morgaとのコラボ・アルバム”Unstill Life”を出しています。まだまだ逸話はあるのですが、取り敢えず、ここら辺までにしておきます。
 今回のアルバムは、先述のように、Warehouseからの貢献もあって作製されたアルバムで、バックの演奏を固めるのは、David Harrow (Kbd, E-Perc, Sax, Clarinet, Vo [B1-B3]), Virginia Astley (Kbd, Vo[A1-A3]), Jo Wells (Clarinet, Kbd, Vo [A1-A3]), Anne Stephenson (Vln [A1-A3]), Nick Pretzel (Drs, E-Perc [A1-A3])で、作曲は、David Harrow (作曲 [A3-B3}), Virginia Astley (作曲 [A1, A2])の2人によるものです。両面3曲ずつとちょっと収録曲が少な目で、ミニアルバムの扱いですが、彼女の3枚目のアルバムとなります。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。

★A1 “Nothing At All” (2:27)は、英詞なのかな?ツボを得たリズム隊に、ピアノとヴァイオリンと言うバックで、割とハキハキと単語を発声する、やや短い曲です。
★A2 “Weltschmerz” (3:32)も、割と生楽器(マーチングDrsとヴァイオリン等)を中心にバックが支えてすこーしだけトラッドな味付けも。
★A3 “Killing Time” (4:42)は、ややスローテンポのリズム隊と弦楽器のドローンをバックに、Anneの割と単元切りなVo(スポークン・ワーズだから)が切羽詰まったように乗る曲だが、途中からエナジーがやや爆発気味になります。変調コーラスもグー!
★B1 “True Love Tales” (5:01)は、低音ドローンと軽やかなDrsに、簡素なシンセのリフから成る曲で、力強いAnneのスポークン・ワーズが発声されます。後半の詩の反復に合わせて、クラリネットも入ってきます。
★B2 “Self Destruct” (9:53)は、ノリの良いDrsとSynth-Bに、シンセのリフとAnneの確固たる意思を持った発声から成る曲で、間奏にはクラリネット・ソロ、更にヴァイオリンのリフも被ってきて、更に音は分厚くなりますが、やがてフェイドアウトしていきます。
★B3 “Our Darkness” (5:18)は、ジェット機の発着音にカッコ良いシーケンスが加り、更に強烈なDrsのキックが入ってきて、まるでプロパガンダのようなAnneの強烈なスポークン・ワーズが乗り、サビではコーラスと共に力強く、また、間奏のSaxやシンセもも聴かせてくれます。

 実は、私はスポークン・ワードから成る作品も聴いたことがなかったので、先ず感じたのが、ナチのゲッペルスのような言葉に「念」を込めて、ハキハキと発声するプロパガンダのような印象でした(まぁ、内容は全然違いますが)。多分、英語がもっと聴き取れるともっと楽しめたのではないかとも思います。しかしながら、歌うでは無く、言霊を発すると言うVoスタイルの面白さに触れられたのは良かったです。まぁ曲はHarrowとAstleyが書いているので、非英語圏で日本人ほ私は、どちらかと言うと、曲の方に関心がいきましたが、2人の曲調の差異も感じられて、楽しめました!

https://youtu.be/uY9O7byj2Sw?si=JS7YnZtOCyGCAqvp

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