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The New Blockaders & Xtematic “Degenerative Themes”
またまた、来ましたよー。今度は、英国The New Blockaders (以下TNBと表記)とクロアチアのXtematicのコラボレーション・アルバム”Degenerative Themes”です。TNBに関しては、既にバイオグラフィーは書いてありますので、ここでは、コラボ相手のXtemaricのバイオグラフィーについて少し書いておきます。一言で言うと、Xtematicとは、Marko Jovićのソロノイズ・ユニットとのことで、2011年に宣言を発表して、彼の芸術活動を開始しています。Jović自身は、テクノ、ブレイクビーツ、ドラムンベース、トランス、ハードコア、インダストリアルなどの色々な電子音楽を聴いて、活動を始めています。そんな中で、彼は16歳の時に、ハーシュノイズやエクスペリメンタル、ダークアンビエント、ハーシュノイズ・ウォール、グリッチなんかを聴いて、実際の活動に影響を受け、特に、Diazepa.Mと言う即興・ノイズ・実験系アーティストに大いに影響を受けています。Jovićの最初のハーシュノイズ作品は、Shit Noise Recordsからリリースされており、その数日後には、彼の実験ノイズ・アンビエント作品も、Adrien Millerと共に、Itsu Jitsuレーベルから出ています。その後、数年経って、彼は他の同様のノイズ・アーティストとコンタクトを取るようになり、様々なコラボを行なって、テープやCD/CDR、フロッピーディスク、レコード、配信等の形式で、その結果を発表してきました。そんな中で、彼は、Xtematicとして、一つのアイデアやコンセプトに捉われずに、様々なスタイルでの作品を作り、インダストリアル・カルチャーや明暗の対比こそが、彼の最も興味のあるテーマです。そして、Pain JerkやGovernment Alpha, Genocide Organ等は、彼に大きな衝撃を与えてきましたが、また、その中でも、彼は、TNBやTorturing Nurse, The Haters, Richard Ramirezらとコラボ作を作ってきています。それは、音だけに留まらず、写真やビデオ、グラフィック・デザインに関しても同様であったとのことです。Discogsで確認すると、Xtematicとしては、2021年まではリリースを確認出来ますが、その後の活動は良く分かりません。
と言うのが、Xtematicの略歴になります。それで、今回は、Jović自身が大いに影響を受けた英国TNBとのコラボ作品となる訳ですが、両面共3曲ずつ収録されて、合計6曲(全曲”Theme”I〜VIと記載されています)となる訳ですが、どちらが最終ミックスをしたとかどちらの音源を使ったとかの情報はクレジットには記載がありませんので、実際のコラボがどのように行われたのかは不明です。と断った上で、各曲についてご紹介していくことにします。
★A1 “Part I”は、重い金属塊を引き摺るような音に、リバーブの効いた電子音(かな?)が絡んでくるヘビーな金属音響ノイズで、恐らく後者にはサンプラーの使用やテープ操作も施されているようです。
★A2 “Part II”も、キーキーと軋む金属音で始まり、ヘビーな金属音と歪んだ電子音のミクスチャーから成る曲で、段々と重積されるノイズ音源が、時に崩れたり、時に聳え立ったりして、破壊と再構築が交互に進みますが、収録時間は短いです。
★A3 “Part III”は、缶詰のような金属音が増幅されながらも、不明瞭な電子ノイズや潰された金属音がカットイン/カットアウトするカッコ良い曲です。
★B1 “Part IV”では、リバーブの掛かったザラついた金属音が引き摺り回され、それに更に、金属音や具体音、更には電子音などが、ガチャガチャともつれて込んで、絡んみ合って、「生き物」のように蠢いています。
★B2 “Part III”でも、不明瞭な金属音に、歪みまくった電子音や具体音が上乗せされていき、ヘビーで激しいブラウン運動の様相を呈しています。後半には「メタルの悲鳴」も聴取できますが、やはりサンプラー等も使用されていますね。
★B3 “Part VI”も、潰されていく金属音と変調された具体音等がガッツリと絡み合い、巨大な「鋼的胸像」となる小曲です。
明確なクレジットの記載はないですが、多分、TNB側は音源を提供しているだけで、ミックスや再構築はXtematic側が全て行なっているようです。その出来は、1990年代の初期Macronymphaを想起させるような、歪んでグシャグシャに潰された音響ノイズで、何ともヘビーな仕上がりになっています。また、音圧的にも、緩急が付けられており、押しては退くように音が配置されていますので、単にダダ漏れのハーシュノイズ・ウォールと言う訳ではないです。寧ろ、頭脳派ノイズですが、かと言って、アンビエントな要素は皆無ですので、ハーシュノイズ・ファンの方は安心して下さい。本作品では、Xtematicの手腕が遺憾無く発揮されており、聴き応えも充分です。差し詰、ドゥーム・メタル・ジャンク・ノイズでしようか?メタル・ジャンク・ノイズ・ファンの方は、勿論、初期Macronymphaのファンの方にも大推薦ですよ❗️
*本作品はYouTubeにも上がっていなかったので、TNBのライブ動画とXtematicの単独動画を貼っておきます。
[TNB live in Berlin, Mar.31, 2012]
https://youtu.be/i1sCwqGqOu4?si=4ClHcOO31CatxY1_
[Xtematic “Nu: tral “]
https://youtu.be/myW1CYQlE5I?si=82zd0LOkSV0hN-ON
[Xtematic “Another Way of Wisdom”]
https://youtu.be/JvrXhcptukk?si=-rlDksi7YqE9Se7z
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