Javier Segura “El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”

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これまた、謎物件です。今回は、Javier Seguraのアルバム“El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”です。まあ、タイトルからスパニッシュだとは思いますし、1976-1978と言うことから、発掘過去音源とは分かるのですが、何故、これを購入したのかはサッパリ分かりません。なので、少し調べてみました。このJavier Seguraは、1955年にSanta Cruz de Tenerifeで生まれたスペイン人で、Pedro MartínezとPedro Valverdeと共にサイケ・バンドHuellasを結成して、1973年にセルフ・タイトルのアルバムを1枚出して、それ以外にシングルを4枚出しています。しかし、それも1974年までで、それ以降はどうなったかは不明、恐らく解散しているのでしょう。その後、Seguraは宅録でのソロ活動をしていたようで、その中から、1976年〜1978年までの未発表音源を集めたのが、本作品であります。それは別として、正式には、1983年にセルフ・タイトルのファーストアルバムをJaja Records(このレーベルはスペインのカナリア諸島のロック/ポップスだけをリリースしている)からリリースし、その後も、1986年にセカンド”Nostalgia De Lo Humano”を、1989年にサード”Lamento Bereber”を同レーベルから出しています。そうして、4枚目のアルバム”¡Levantate!”を2006年にDiscos Necesariosからリリースしており、本作品は、2022年に5枚目のアルバムとして、Passat Continuからリリースしています。Seguraはソロとしてはこのような経歴になるのですが、このアルバムを出したPassat Continuと言うレーベルは、Modern Obscure Musicの主宰者Pedro VianとDavid G. Balaschが共同で運営を行なっており、その第1弾が、実はJavier Seguraのアルバム”El Sol Desde Oriente (Selected & Unreleased Recordings 1980-1990)”だったんです。この作品には、ミニマルなリズム・ボックスに、民族音楽的土着的感と先鋭的なシンセが強烈な"Jardín Marroquí”や、トライバルな"El Aborigen Parte 1”, 壮大なネイチャー・アンビエント"La Advertencia”等が収録されています。また、Optimo Musicからリリースされた第四世界のアンビエント・コンピ・アルバム”Miracle Steps: Music From The Fourth World 1983-2017”にも、Seguraの曲が1曲収録されており、彼は、1980年代のスペインの実験音楽/ニューウェーブから成るMadrid Sceneにおける重要人物と認識されています。ソロ活動とは別に、Seguraは、Mandi CapoteとのデュオArte Modernoとしても活動していたようで、1982年にシングルをJaja Recordsより出しており、その後、音沙汰無かったのですが、Minimal Waveなアルバム”Musica Cabeza”をCDフォーマットで2015年にLos '80 Pasan Facturaから出しています(正式にはLPフォーマットで、2018年にDomesticaからリリースされたものらしいです)。

 以上が、Javier Seguraの活動遍歴なのですが、寡作の為、今まで余り知られていなかったアーティストで、しかも第四世界での活動の為、漸く、我々の耳にも届いた感があります。本作品は1970年代(1976-1978年)に、彼が宅録した音源をリマスターしてのアルバムですので、貴重な記録だと考えられます。彼の機材は、TASCAMのオープンリール4トラック・レコーダー2台, Flute, Sax, 鉄琴, Piano, Vln, Harp, Sun Raも愛用のヴィンテージ・シンセCrumar DS-2で、それらを駆使して、手作り電子音楽で曲を録音していた模様です。そして両面4曲ずつ収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。
★A1 “1, 2, 3 Secuencias”は、得体の知れない動物の声とピヨピヨした音や物音系Percから、エコーの効いたヴァイオリン(?)/人声(?)へと移行、更に鳴き声のような音がエコーの中で、舞い上がり、そして消え去ります。
★A2 “Andrea Ex 1”は、空き缶等の物音系Percによるジャンクなアンサンブルです。時々、シンセらしき低音やアシッドな電子音も聞こえてきます。自発的音楽!
★A3 “Andrea Ex 2”は、オペラ的声音や色んな声/歌声の混合物が生成されていますが、時々、電子音らしき音もエコーに乗って襲来してきます。最後には蠢くシンセ音も聴取出来ます。
★A4 “Andrea Ex 3”でも、物音系Percと縦笛や変な声そして電子音、これらがどれを貶す訳でもなく、等しく鳴らされます。延長する時間を体感できますね。
★B1 “El Mencey Loco”は、オペラのテープやSaxと持続電子音等が闇鍋の如くごった煮の曲で、深いエコーが掛けられており、更にゴチャゴチャに!
★B2 “El Ser Y El Tiempo”は、深いエコーの掛かった人声やオペラ音声に、物音系ノイズやガチャガチャした音が乗ってきて、混沌を生成しています。
★B3 “Meditación. El Sueño Ante El Espejo”では、チャルメラっぽい管楽器と物音系Perc、深いエコー処理の正体不明音が、最終的にはSaxや鉄琴に取って代わられます。Sacher-Perzっぽい?
★B4 “Para Piano”は、突然の爆発音とフリーキーなハープ音で始まり、何だか仰々しい雰囲気が渦を巻き、やがて残響音に収束していきます。劇的/激的!

 面白い!まるで、LAFMSを1人でやっているような緩いアヴァンな音楽です。そんなに、シンセとかも前面には出てきていないし、またビートもない。ただただ鳴りたいように鳴らす。弾きたいように弾く。そんな副交感神経系を刺激して、肩の力を抜いて、頭を空っぽにしてくれる音楽です。如何にも宅録だなあと思いますが、もし、LAFMSとかが好きなリスナーさんであれば、この作品は「買い」ですよ❗️個人的には、それ程、アンビエンスは感じませんでした。エコーの掛け方なんかは、寧ろ、初期MBっぽい?

B2 “El Ser Y El Tiempo”
https://youtu.be/JgjHRqACvMM?si=q7DUALle7ecBloSb

[Bamdcampでfull album注文可]
https://passatcontinu.bandcamp.com/album/el-ser-y-el-tiempo-1976-1978

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