The Cramps “…Off The Bone”

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The Cramps。曲は良く知ってるようで、意外とレコードで持っていないバンドの一つです。かく言う私もレコードは本作品しか持っていないのですよ。と言う訳で、先ずはThe Crampsのバイオグラフィーについて調べてみました。The Crampsとは、夫婦でもあるLux Interior (本名Erick Purkhiser)とPoison Ivy (本名Kristy Wallace)を中心に、1976年から2009年までアクティブに活動して、Psychobilly (サイコビリー)の大本になった米国のバンドで、彼等2人以外は頻繁にメンバー・チェンジをしています。1972年に、InteriorとIvyは、米国CAのサクラメントで出会い、お互いに共通の趣味・嗜好やレコード・コレクション等から、バンドThe Crampsを結成しようとします。ステージ名については、Interiorは自動車の広告から取って、Ivyは、彼女が夢で見たロールシャッハ・テストから取って、最初は、Poison Ivy Rorschachと名乗っていました。それで翌年1973年にOhio州Akronに移り、1975年にNYCに移ってきて、CBGB等のライブハウスで、The RamonesやBlondie等のNYパンク・シーンに飛び込んでいます。最初のラインナップは、Poison Ivy Rorschach (G), Lux Interior (Vo)に加えて、Bryan Gregory (G)と彼の姉妹のPam "Balam" (Drs)から構成されていました。しかしながら、短期間の内にDrsが2回代わっており、後にNervous Rexに加入するMiriam Linnaに代わり、その後1977年9月には、Electric EelsのNick Knox (Drs)に代わっています。それで、1970年代末から、彼等は、リハーサルの場をThe Fleshtonesとシェアし、CBGBやMax’s Kansas Cityに定期的に出演するようになります。1977年には、MemphisのスタジオでAlex Chiltonプロデュースで2枚のシングルを出し、その後、I.R.S.Recordsと契約しています。それで、The Policeのサポートアクトとして、初の英国ツアーも敢行。1978年6月には、カリフォルニア州立精神病院で患者の前でフリーコンサートを行い、その様子をCAのTarget Videoが撮影しており、後に”Live at Napa State Mental Hospital”としてリリースされます。その後、再び東海岸へと戻り、New Jersey の1940年代風スイング・クラブに出たりして、NYCでシングル2枚分を録音しており、これらは、1979年に出たEP”Gravest Hits”で再録されて出ています。一方、Chiltonは、Memphisに彼等を呼び寄せ、ファースト・アルバム”Songs the Lord Taught Us”を制作しています。1980年になると、彼等は西海岸LAに居を移し、そこで、The Gun ClubのKid Congo Powers (G)を誘って、セカンド・アルバム”Psychedelic Jungle”を制作しますが、レーベル側と揉めてしまい、その時にNYのペパーミント・ラウンジでのライブを録音したアルバム”Smell of Female”も含めて、1983年までは何もリリース出来なくなりました。そんなこともあってが、Kid Congo Powersは段々疎遠になっていき、代わりにKnoxの従兄弟でThe Pagansに居たMike MetoffがセカンドGとなりました。ただ、ライブ要員としてだけです。それで、The Crampsは、大々的な英国ツアーを1984年に行ない、ハマースミスでのショー4公演をソールドアウトさせています。その時に録音した "Thee Most Exalted Potentate of Love"と"You Got Good Taste"は、ラジオ番組The Midsummer Night's Tube 1984で放送され、先述のアルバム”Smell of Female”は、英国アルバムチャートも74位まで上がります。そして、1985年には、ホラー映画”The Return of the Living Dead”に、”Surfin' Dead"と言う曲を提供しますが、ここでは、Ivyは、Gと共にBもプレイしており、1986年作アルバム”A Date With Elvis”でも彼女が弾いていたのですが、どうもしっくり来ない為、アルバムのプロモーション・ツアーの時に、正式なベーシストとしてJennifer "Fur" Dixonを加入させています。そうして行った英国ツアーは、どこもソールドアウトで、大成功でしたが、米国では、録音物をちゃんと出してくれるレコード会社を見つけるのが難しかったみたいです。彼等のシングル"Can Your Pussy Do the Dog?"は、英シングルチャートに初めて入っています。その後、1986年にやっと、Satan's Cheerleadersに在籍していたCandy del Marがパーマネントなベーシストとして加入しています。彼女のプレイは、ライブアルバム”RockinnReelininAucklandNewZealandxxx”で初めて聴くことができます。その後1990年には、スタジオ・アルバム”Stay Sick”をリリースし、1990年2月の英国アルバムチャートで62位になっています。ただ、Candy del Mar (B)とKnox (Drs)は1991年に脱退してしまいます。しかし、シングル"Bikini Girls with Machine Guns"は英国トップ40に入り、ヒットしています。The Crampsは、1990年代〜2000年代に多くのシングルやアルバムを色々なレーベルから出していますが、1994年に、Warner Brothers傘下のThe Medicine Labelと契約し、初期のMax’s Kansas Cityでのライブ音源を500枚限定の12㌅EPでリリースすると告知しています。同年1月初旬には、CBGBでシークレット・ライブも行なっています。そして1994年に、Conan O'Brienが司会の米国TV番組Late NightでTVデビューしています。曲は”Ultra Twist”です。1995年には、シリーズもののTV番組Beverly Hills, 90210に出演し、ハロウィンのエピソード"Gypsies, Cramps and Fleas"を語り、"Mean Machine"と"Strange Love"の2曲を演奏しています。The Crampsはそうしてロックの殿堂入りを果たしますが、その時に、Interorはボロボロのバスドラを頭に被ったまま、ライブをしています。しかしながら、2001年1月10日に、オリジナルのセカンド・ギタリストBryan Gregoryが、心臓発作の為、49歳の若さで他界します。The Crampsは、2002年に、最後のアルバム”Fiends Of Dope Island”を自身のレーベルVengeance Recordsから出しています。2006年夏には、最後の欧州ツアーをやっており、その年の11月4日に行ったArizinaのTempeでのライブが最後となりました。そうして、2009年2月4日に、Lux Interiorは、大動脈瘤破裂で突然死を遂げてしまい、The Crampsは解散となります。

 大体の流れは以上のようになります。それで、本作品は、英国のIllegal Recordsが既出の曲を集めたセルフ・コンピ・アルバムであり、参加メンバーは、Lux Interior (Vo), Poison Ivy (G), Bryan Gregory (G), Congo Powers (G), Nick Knox (Drs)となっていますが、GregoryとCongo Powersとは重なっていないです(B4-B8はCongo Powers参加)。しかも何故かベースレス(その理由は良く分かりません)。内容は、A面7曲/B面8曲となっており、彼等の初期の名曲揃いの選曲となっています。それでは、本作”…Off The Bone”の各曲を紹介していきます。
★A1 “Human Fly”は、もう彼等の代表曲と言うか古典曲ですね。グレッチをロカビリー風に弾くIvyとファズGのGregoryの対比が面白い!ベースレスなんだよね。
★A2 “The Way I Walk”も、有名な曲!ロッケンローな雰囲気とヴードゥーの呪文をプレスリーが歌っているようなLux InteriorのVo、もう痺れるねー!
★A3 “Domino”も、プレスリーのゾンビのようなLuxのVoとIvyのG、堪りませんね。如何にもアメコミ的な音楽です。KnoxのDrsもドコドコしていて良い。
★A4 “Surfin' Bird”は、アップテンポな代表曲で、InteriorのVoは、今にもパンツ下ろしてそうな感じで、プレスリーに失礼だよと突っ込みたくなる!間奏での2本のGの捩れ具合、グチャグチャ具合もサイコー!
★A5 “Lonesome Town”は、静かめの曲で、2本のGが興味深いし、意外にまともに歌い上げるInterorも珍しい。ただ、不穏な瞬間は見え隠れする。
★A6 “Garbageman”も、代表曲!IvyのグレッチとGregoryのファズGの組合せはいつもサイコーだし、間奏の激烈なGソロもカッコ良い。それにしても、このリフはカッコ良すぎる!
★A7 “Fever”は、一転、怪しげで、如何にもアメコミ的不気味さとか静けさを醸し出してますね。InteriorのVoは、まるで熱病にうなされているような感じ!?
★B1 “Drug Train”も、如何にもThe Cramps的なロッケンローですね。バックに入ってくる乱チキ騒ぎ的SEも良い具合です。
★B2 “Love Me”は、ややアップテンポなロッケンローで、変な「間」のブレイクが何とも言えず、The Crampsっぽい!最後がまたくどい?
★B3 “I Can't Hardly Stand It”も代表曲で、Ivyのリフに、Interior のプレスリー顔負けの歌い方には中毒性がありますね。こんな罰当たりなVoは他には皆無!
★B4 “Goo Goo Muck”も、有名な曲で、何となく夏を感じることの出来る曲ですが、多分、IvyのGリフがそう感じさせるのでしょう! InteriorのSE的アジも良い!
★B5 “She Said”では、口の中に脱脂綿一杯詰めたようなInteriorの白痴的Voはいつ聴いてもサイテーでサイコー! アップテンポなパックの演奏もサイコー!
★B6 “The Crusher”もヘビーでご機嫌なロッケンローの代表曲。これを聴くと、The Crampsを教えてくれたいつも友人K君を思い出すなぁ。
★B7 “Save It”も、Interorの馬鹿馬鹿しい程のやり過ぎなVoとIvyのGのリフとか、やっぱり一番しっくりくるなぁ。Congo Powersの変なGソロもカッコ良い!ブレイクの呼吸は何?
★B8 “New Kind Of Kick”は、似非ヴードゥーな雰囲気が最高のロッケンローな曲です。間奏のGソロが、また痺れるぅー!

 まあ、このレコードはThe Crampsの良いとこばっかり集めたアルバムですので、皆んな、絶対聴いたことあると思いますよ、しかもどの曲もカッコ良い!痺れまくりじゃないですか❗️1980年代初頭に初めて聴いた時は、プレスリーのモノマネか?とも思ったのですが、ステージングやライブパフォーマンスを観て、これは只者ではないな!と感じました。そう言えば、1990年代に、故)田野さんに誘われて、The Crampsの来日公演を川崎クラブチッタに観に行ったのも良い体験でした。そんな訳で、このアルバム、聴いてみますか? 

A1 “Human Fly” (2:12)
A2 “The Way I Walk” (2:38)
A3 “Domino” (3:05)
A4 “Surfin' Bird” (5:03)
A5 “Lonesome Town” (2:55)
A6 “Garbageman” (3:32)
A7 “Fever” (4:16)
B1 “Drug Train” (2:33)
B2 “Love Me” (1:57)
B3 “I Can't Hardly Stand It” (2:39)
B4 “Goo Goo Muck” (3:02)
B5 “She Said” (3:11)
B6 “The Crusher” (1:48)
B7 “Save It” (3:01)
B8 “New Kind Of Kick” (3:28)

https://youtu.be/6tXtPPmggdw?si=_iw_ZN8yGF_teo_1

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