Portray Heads “s/t”

0

Portray Headsと聞いて、ピーンと来るリスナーさんはよっぽどのマニアか?四国出身者/在住の方かもしれませんね。今回は、そんなマニアックな日本のニュー・ウェーブ/シンセ・ウェーブ黎明期に四国に咲いた徒花Portray Headsのセルフ・タイトルのアルバムをご紹介します。先ず、バイオグラフィーを簡単にご紹介しておきます。このバンドは、1984年に四国愛媛県松山市で、冨田徹(Toru Tomita)の呼びかけで、土井幹治(Mikiharu Doi)と徳永あゆみ (Ayumi Tokunaga)によって結成されています。彼等は直ぐに十数曲を作り、その中から2曲を選んで、7㌅ソノシート・シングル”Elaborate Dummy”をカゲロウ・レコードより1985年5月にリリースしています。しかしながら、リリース直後に、徳永が脱退し、バンドは新ヴォーカルを探します。このアルバムには入っていませんが、朝倉満代(Mitsuyo Asakura)もヴォーカルで在籍していたようです。その結果、越智由美(Yumi Ochi)が新ヴォーカリストとして加わります。彼女のヴォーカルは力強く深かったので、バンドにはよくマッチしていました。それで、トリオは、19864月に”Oratorio”を録音、今度は自身のレーベルLabel Land 4thから、1986年12月に、カセット・フォーマットと7㌅シングル・フォーマットと言う2種類でリリースしています。しかしながら、彼等が活動していた松山市は保守的であったので、このような新しいタイプの音楽に理解がなく、殆どライブをやるチャンスはなく、その為、バンド内でもトラブルの原因になっていました。そんなこともあって、バンドは直ぐに解散してしまいます。その後のメンバーの活動は不明ですが、こうして長い年月を経て、セルフ・コンピ・アルバムが米国のレーベルからリリースされたのは、何かの縁と言うか報われたのではないでしょうか?一応、紹介の前に、メンバーと担当楽器を列挙したおきます。冨田徹 (Electronics, Synth, B, Perc), 土井幹治 (Electronics, Synth, Kbd, Tapes), 徳永あゆみ(Vo [A1, A2, B1, B2, B3, C1, C2, C3], Perc, Sax), 越智由美 (Vo [A3, A4, A5, D1, D2, D3])に加えて、オキウラ・タツユキ (Drs, Drumurator)です。録音は1984年〜1986年の間に、松山市のStudio LEADで、TEAC 8-Track Open Reel Recorderを使って行われています。楽器は、Roland, Korg, Casioのシンセを使っており、Roland MSQ-100でシーケンスを組んでいました。A4ではRoland S-50 Samplerも用いられています。それでは内容を紹介していきます。
生ドラムも使っていると思うのですが、全部打ち込みなんだろうか?結構、急襲系の切羽詰まったような曲が多いですが、まあ王道のシンセウェーブだと思います。また徳永さんの越智さんのヴォーカル・スタイルは似てはいるのですが、越智さんの方がより伸び伸びと力強く歌っている印象ですね。A3やA4なんかは多分ドラムマシンとシーケンスするベースラインがはっきり分かります。しかしながら、全体を覆っていらのは、陽キャではなく、ダークな雰囲気ですね。そう言う意味では、シンセ・ウェーブと言うより、今で言うダーク・ウェーブに近いですね。それと、シーケンス以外の上物のシンセは恐らく手弾きでしょう。この頃になると、デジタル・シンセが出回ってきた時代でしょうか?そんな音が聴こえますね。そこら辺の使い方がやや中途半端なようにも感じますが。そうは言っても、曲の完成度は高く、1980年代中期に咲いた徒花の如く、素晴らしいダーク・ウェーブなので、ゴスやダーク・ウェーブに興味のある方は是非とも聴いてみて下さい‼️あと、B1のような少しアラビックなメロディの曲も捨てがたいですね。それと、LP2でのデモ・ヴァージョンとの比較も興味深いです。

LP1
A1 “Elaborate Dummy”
A2 “Watch Your Scope!”
A3 “夢を夢に”
A4 “浮かぶ · 迷う · 漂う”
A5 “Industrial Eye”
B1 “舞い上がれ”
B2 “操り人形”
B3 “Generation Storm”
LP2
C1 “Industrial Eye (Demo)”
C2 “Burning Light”
C3 “浮遊体”
D1 “夢を夢に (Demo)”
D2 “舞い上がれ ’86”
D3 “浮かぶ · 迷う · 漂う (Demo)”

“Industrial Eye” (single version)
https://youtu.be/QKBY9aRnPpY?si=H1JfgRvxAO89uHWx

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kd0NgX5elsAkSCcKlS6B5XcyvaGQJhCvc&si=bbkqNPnUz_2CqalO

#PortrayHeads #SelfTitle #MinimalWave #BitterLakeRecordings #Mid-1980 #MatuyamaCity #SynthWave #Minimal #Synthesizers #FemaleVocal #ToruTomita #MikiharuDoi #AyumiTokunaga #YumiOchi #ElaborateDummy

Default
  • File

    4AD

    2023/09/22 - 編集済み

    日本ではシングルしか出てないのに、こんなコンピが外国でリリースされるのが不思議です。
    他にも海外でリリースされたコンピレーションありますよね。
    DIASTEREOMERなんて、PORTRAY HEADSと同じくらいレアなシングルしか出してなかったのに コンピレーションLPリリースされましたね。

    返信する
    • File

      Dr K2

      2023/09/24

      多分、1980年代の音楽が各地で発掘されていることに関係して、再発されているのでしよう。
      Diastereomerについては、私は全然知りませんでした。

      返信する