The Fall “This Nation's Saving Grace”

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やっとさ、買えました。そう!The Fallの8枚目のスタジオ・アルバム”This Nation's Saving Grace”です!The Fallのアルバム、今、結構高いんですよ。なので、購入出来たのは、リマスタリングされた再発盤です。The Fallのバイオグラフィーは初期については既に書いてありますが、前回の続きを補足したおきます。1982年3月8日に、名盤”Hex Enduction Hour”をKamera Recordsより出し、その後、同年4月19日には7枚目のシングル”Look, Know”も出しています。そして、同年9月27日には、アルバム”Room To Live”もKamera Recordsよりリリースしていますが、その年末に、Ozツアーでの殴り合いを起こしてしまったことで、Marc Rileyが解雇されています。1983年に、Rough Tradeは、The Fallの9枚目のシングル"The Man Whose Head Expanded"を、同年9月には10枚目のシングル"Kicker Conspiracy"をリリースしています。一方、Kamera Recordsは、1982年にリリース予定だったシングル"Marquis Cha Cha"をレーベル側の資金問題で、1982年末にリリースは差し戻しにしてしまいます。1982年にSmithの米国人ガールフレンド(後に結婚する)Brix SmithことLaura Elise Salengerをギタリストとして加入させます。これによって、バンド・サウンドはよりポップで、オーソドックスな方向へと向き、Brixの影響で見かけも洗練されていきます。そして、同年12月5日に、Rough Trade最後のアルバム”Perverted by Language”をリリースしますが、この作品はBrixが加入した最初のアルバムになります。また、同時に、ライブアルバム”In A Hole”をFlying Nun Recordsからもリリースしています。この頃はBrixの加入によって、The Fallの人気は高まり、R. Dean Taylorの"There's a Ghost in My House" (1987年)やThe Kinksの"Victoria" (1988年) のカバーや自分達の曲"Hey! Luciani" (1986年)や"Hit the North" (1987年)などのシングル、そして、1984年のアルバム”The Wonderful and Frightening World of The Fall”や1985年のアルバム”This Nation's Saving Grace”(本作品です)、1988年のアルバム”Bend Sinister”或いは1988年のアルバム”The Frenz Experiment”を順調にリリースしており、ファンにも評論家にも高評価を受けています。またアルバム”I Am Kurious Oranj”はSmithとダンサーのMichael Clarkによるバレエ曲でもあり、これも好評でした。この頃(1985年頃?)に、Simon RogersがKbdで加入していますが、後に、Marcia Schofieldに代わっています。Paul Hanley (Drs)はThe Fallのワールドツアーでは脱退していましたが、アルバム”This Nation’s Saving Grace”リリース後に、Karl Burnsの代わりにSimon Wolstencroft (Drs)が加入しており、バンドはダブル・ドラムではなくなり、ソロドラム体制になっています。Wolstencroftのドラムは、Burnsに比べて、呑み込みが早くかつファンキーでした。そして、2014年になって、やっとドラムがWolstencroftのアルバム”You Can Drum But You Can't Hide”がリリースされています。今回はここら辺までにしたおきます。
それで、本作品についてご紹介していきますが、先ずはこのアルバムの時のメンバーを紹介しております。この時のメンバーは、Mark E. Smith (Vo, Vln, G), Stephen Hanley (B), Karl Burns (Drs), Simon Rogers (Kbd, A-G, B), Brix Smith (Lead-G, Vo), Craig Scanlon (Rhythm-G)の6人組です。多分、ここら辺りのThe Fallが好きな方は多いと思いますが、本作品での目玉は、B4 “I Am Damo Suzuki”ではないでしょうか?彼等のルーツがいわゆるクラウトロック、特にCanにあることを示す証左なのかな?それでは、各曲をそれぞれ紹介していきます、
A1 “Mansion”は、怪しさ満点のRogerのKbdが冴えてるダークなインストの小曲です。
A2 “Bombast”はノリの良い曲で、HanleyのBがドライブしており、SmithのVoも冴えています。隠し味はやはりRogerのKbdですね。
A3 “Cruisers Creek”は、BrixのGのリフとSmithのVoからいきなり始まる「The Fall」的な曲ですが、無理クリなサビが挿入されています。それでもギターのリフは繰り返されていますが。
A4 “What You Need”もモロThe Fallな曲で、ユーモラスで跳ねるようなベースとScanlonのギター及びRogerのKbdのリフが延々とリフを繰り返す曲で、SmithのVoとコーラスの対比も面白いです。
A5 “Spoilt Victorian Child”は、アップテンポな曲で、少しR&B調ですが、SmithのVoで一気に「The Fall」的なサウンドになってしまいます。途中と最後のブレイクと言うか緩急の付け方も効果的です。
A6 “L.A.”はめちゃくちゃカッコいい曲で、HanleyのベースとRogerのシーケンスにBrixのGのメロディがバッチリです。Smithの呪文のようなVoと女性コーラスが映えています。
 ではB面にいきます。
B1 “Gut Of The Quantifier”はBurnsのドラムとSmithのVoで始まり、タイトなリズム隊とScanlonとBrixのギターが上手く絡んでいます。途中からギター・ノイズが入ってきて終わります。
B2 “My New House”はRogerのアコギで始まりますが、他の楽器が入ってくると、一転して「The Fall」節になってしまうマジックな曲です。あのSmithの裏返ってしまうVoも堪能できますよ。
B3 “Paintwork”でもRogerのアコギがたっぷりと聴けますが、途中で、ちょっとした仕掛けがしてあります(これは聴いてのお楽しみ)。ベースやギターが入ってくると途端にいつもの「The Fall」節になってしまい、反復する曲で盛り上がりますが、Kbdが良い味出していますね。
B4 “I Am Damo Suzuki”は問題作ですね。しっとり始まったかと思ったら、激しいドラムが挿入、再び、落ち着いたと思ったら、またドラムが挿入され、SmithのVoは曲のタイトルを連呼しています。SmithにとってDamo鈴木は憧れだったのかな?
B5 “To Nkroachment: Yarbles”は、独独のベースラインとSmithのヴァイオリンもVoも聴ける小曲です。
 総じて、The Fallの一番脂に乗っていた時期のアルバムなので、ハズレはないです。まあ、結局は、Damo鈴木との関係はよく分かりませんでしたが、The Fallの「反復」と言うのは、乱暴な言い方をすれば、Canのハンマービートを楽曲に取り入れて、ほんの2パターンで曲の演奏を押し切ると言うことでは?と思いました。また、その為には、Hanleyのベース・ラインが、メリハリを付ける時に非常に重要なんだと確信しました。そこら辺が好きな方は是非聴いてみて下さい‼️損はしませんよ❗️

https://youtu.be/K-lCxdxRsF0?si=u-iUlLYOmpEi6lla

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