The Wolfgang Press “Unremembered Remembered”

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今回は、あの通好みのRema-Remaやその後のMassのメンバーが、1983年に立ち上げたバンドThe Wolfgang Pressを紹介します。Rema-RemaとMassについては、既にバイオグラフィーは書いてありますので、そちらをご参照下さい。Massを立ち上げた、元Rema-RemaのMichael Allen (Vo,B)とMark Cox (Kbd)は、たった1年の活動後、1981年に、The Wolfgang Pressを立ち上げ、2人でファースト・アルバム”The Burden of Mules”を4ADからリリースし、音楽誌からは「ダークで不協和音。それにポストパンクに残っていた薄暗さを怒りと緊張感で作り上げた作品」とか「気難しい面と激烈な面の境界でのセルフ・パロディ」とか言われています。この時に、ゲストで、Dif JuzのRichard ThomasやIn CameraのDavid Steiner及びAndrew Gray (G, Perc)が参加していますが、これを機にGrayはThe Wolfgang Pressに加入しています。そうして、彼等は、3枚のEP “Scarecrow”, “Water”, “Sweatbox”をRobin Guthrieのプロデュースでリリースしますが、割と好評でした。1986年には、The Wolfgang Pressとしてのファースト・アルバム”Standing Up Straight”を4ADからリリースしますが、このアルバムはインダストリアルとクラシックの強力な融合を試みています。音楽誌からは「実に挑戦的で容赦ないアルバムだ」と評されています。その後、1988年に、セカンド・アルバム”Bird Wood Cage”をリリース。音楽誌からは、「今回はダンス・ミュージックやファンクの要素を取り入れ始めた、最も重要なアルバムだ」と評されています。このアルバムの前にEP “Big Sex”がリリースされており、このアルバムのコンセプトを解き明かす鍵になっています。1991年にサード・アルバム”Queer”をリリースしますが、このアルバムは、1989年のDe La Soulのファースト・アルバム”3 Feet High and Rising”を聴いたことがキッカケになって作られました。つまり、よりファンク調で、よりポップな曲が多く、また、メンバーは皆が色んな楽器を演奏し、更にゲストとして参加したThrowing MusesのLeslie Langston (B)が殆どの曲で演奏しています。その後、1992年5月に、シングル"A Girl Like You"をリリースしますが、これが世界的ヒットとなり、ビルボードのモダンロック・チャートで2位になっています。その後、バンドは、自分達のスタジオを買い取り、2年間かけて作成したアルバム”Funky Little Demons”を1995年にリリースしています。音楽誌は、「このアルバムを全うなダンス・ミュージック・アルバムであり、彼等はもう一つの’White Post-New Wave Soulバンドだ」と評しており、実際、1995年2月の英国アルバムチャートでは、1週間75位を取っていました。しかしながら、このアルバムのリリース直後に、Coxがバンドを脱退し、残ったAllenとGrayは2人で米国ツアーを敢行しています。それで、2001年に、セルフ・コンピ・アルバム”Everything Is Beautiful (A Retrospective 1983–1995)”をリリースします。それで、Coxが脱退した後に、The Wolfgang Pressは、AllenとGrayのデュオになりますが、2020年のRecord Store Dayに合わせて、本作品でもある未発表曲6曲から成るミニ・アルバム”Unremembered Remembered”をリリースしており、これが最後のスタジオ・アルバムになります。The Wolfgang Pressの流れほここまでになります。
それでは、ラスト・アルバムでもある本作品”Unremembered Remembered”について紹介していきます。先述のように、Michael AllenとAndrew Grayのデュオで作成されたデモ音源6曲入りミニ・アルバムです(7曲目もあったようですが、アルバムに合わないと言う理由で収録されていません)。1995年10月〜1996年3月に、A1-A3はLondonのLimehouseにあったRewのアパートで、B1-B3はLondonのLimehouseにあったAndrew Greyのアパートで録音されたデモ音源で、全て未発表曲から成っています。それでは、各曲について紹介していきます。
A1 “You Say You Love Me”は重目のリズムと独特のシーケンスを含むシンセ音の組合せから来るソウルフルなノリが、結構カッコ良いです。A2 “God Let It Shine On”もボトムの低いリズムとエレピやシンセの音に、飄々としたヴォーカルが乗るノリの良い曲になっています。ギターのリフもフリーキーでカッコ良いです。A3 “My Mother Told Me”はノリの良いテンポで突き進む曲で、ギターのカッティングやシンセの使い方が上手くで、敢えて言えば、Stereo Totalのようなシャレ乙な雰囲気すら感じますね。ハツラツとしたヴォーカルもグーです!
では、B面に行きます。B1 “Black Hole Star”は重いキックですが、ギラギラしたギターと軟らかいシンセに、呟くようなヴォーカルから成るホワイト・ソウルな曲です。B2 “Liar”では、シンセ・ベースとブレイク・コア的ドラムマシンとが曲をしっかり支えており、そこに語りに近いヴォーカルが乗っています。流石に今風ですね。B3 “Miss H.I.V.”はウネウネしたシンセベースが印象的なややダウンテンポな曲で、やはり語りかけるようなヴォーカルが特徴的です。
どちらかと言うと、A面はよりポップ・ミュージック寄りの曲で、B面はよりダンス・ミュージック寄りの曲かなと思いますが、今、聴き直してみると、想像以上に、The Wolfgang Pressの聴き易さやダンサブルな面が見られて、4ADでもこのような音楽を扱うのか⁈とビックリしました。ある意味、Stereo Total(こちらは最もスカスカですが)にも似ていますね。また、ジャケもカッコ良く、お得なミニ・アルバムですね。なので、未聴の方は一度、固定概念を取り払って聴いてみては如何でしようか‼️

“Christianity” single (1995)
https://youtu.be/OTI-7e7oEBM

[full mini-album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lNNiRAnHtGsSzxYvsv-19mYSmsOczV5XQ

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