「天本英世の世界」 死神博士/ドクター・フー/ウルトラQ 反骨の名優が語る日本人論

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得難い個性派だった名優、天本英世氏は一般的には「死神博士」役が有名なのかもしれませんが、当然他にも、そのキャリアと実力からたくさんの映画、テレビに出演していました。「キングコングの逆襲」でのドクター・フーやウルトラQ「あけてくれ!」での作家・友野健二などは痛烈な印象を残す役柄でした。まさに唯一無二の存在感。
そんな天本氏の、若き日の従軍経験から抱き始めた日本と日本人への激烈を極める批判・反駁が99トラックにわたって展開されるスポークン・ワード・アルバムが本作です。実体験から導きだされた日本人論は、俳優としての語り口の巧さも手伝って、圧倒的な訴求力。当然、世代的にも性根が座っており、戦後生まれの観念論だけに終始する反日思想などとは雲泥の差、体感に裏打ちされた彼の言葉の説得力。有無を言わせぬ迫力です。ただ憂国の国士かといえば、そうではなく(笑)ひたすら日本人の馬鹿さ加減をストレートにあげつらう、だからこそ痛快なのですが。また一方では、スペインへの熱い憧憬も語り、何曲かはアカペラでスペインの歌も披露しています。戦後日本人への幻滅、泥臭く人間臭いスペイン人への眼差し。今度こそ彼はスペインの地に産まれ全く新しい人生を歩んでいると思わずにはいられません。

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