「ウイザウト・ユー」の「ニルソン・シュミルソン」 米盤の別ジャケット ニルソンの謎のカウンターフィット盤

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米国の地方都市にあるシアーズなんかの巨大ショッピングセンターでは、肉や牛乳をいれたカートの中に、ペリー・コモかなんかのカットアウト99セントのLPを何枚か放り込んでいたおばさんなどを見かけたことがあります。40年以上前の話で恐縮ですが。その時、「レコード」という物への考え方、扱い方のあまりの違いを垣間見た気がし、さらにいえばラジオ局の数も含め米国人にとっての音楽と日常の関係が、いかに日本と異なるかを思い知りました。当時はまだ当地のレコード店にも8トラックのカートリッジテープなども山ほど売られておりました。多くはありませんが、アメリカでは、大メジャー・レーベルからでているれっきとした大ヒット・アルバムが、実にわけのわからない胡散臭いジャケット(当然アーティスト写真などない場合が多い)で販売されているのは知っていました。しかし、まさかあのRCAが売りまくって、グラミー賞ヒットの、あまりにも有名な「シュミルソン」が、こんなジャケットのレコードでも存在していたとは驚きました。ジムとイギーとヴィンス・テイラーを念頭に、宇宙から落ちてきた異星人ロックヒーローとしてのキャラクター、ボウイの「ジギー・スターダスト」に対抗し(?)同じレーベル・メイトであるハリー・ニルソンは、「アーリー・イン・ザ・モーニング」を唄っているくらいで、早朝、起き抜けに冷蔵庫をあさりに来たよれよれのナイトガウンを羽織った生活者として、シュッとした元銀行員の雰囲気をかなぐりすて、別キャラクター「シュミルソン」に変貌、イギリスで出会った素行の良くない笑ロックンローラーたちと、ロック・ミュージシャン然とした境地に突入、「ウイザウト・ユー」の大ヒットでいよいよ全盛期を迎えました。それが1971年。それは衆知の事実です。しかし、ニュージャージー州にあるメロディー・レコーディングスは、こんなジャケットでその名盤を(4曲は必殺ですが、ニルソンにはもっと良い名盤あり)買ってから10日以内なら返品可能みたいなことを書いて、写真の通りのレーベルで、米国内で販売していたわけです。音は特段の難もなく、ごく一般的なレベルでのクオリティーで、RCA原盤との大きな差異はありません。そこで、私が知りたいのは、このレコードがいつ頃どの程度流通し、他のアルバム、他のアーティストでもこうした例は珍しくないものなのか否か、なのですが。お詳しい方がいらしたら是非ともご教示ください。こうした例は今まで米国のカートリッジの世界でしか知らなかったものですから。

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