次元/村岡実とニュー・ディメンション・グループ

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当然CD化など望むべくもないレコード。もしも実現するとしたら外国のレーベルによってでしょう。レオン・ラッセルの「鬼火」でもその演奏が聴こえる、尺八の第一人者による現代邦楽とも呼ぶべき野心作です。フリージャズ、前衛音楽、サイケデリック、エクスペリメンタル、どんな呼称も可能な極めてイマジネイティブなアルバムで、いつものように「テイク・ファイブ」とか「ハーレム・ノクターン」的なイージーリスニング企画BGM物とはわけがちがいます。この人はそちら方面の量産が印象としては強いのですが、参加している邦楽奏者とのインタープレイは当然ジャズの方法論も用いていますが、しかしそれだけにとどまらずに詞の朗読なども配し、リーダーの村岡は自身の演奏をメインに据えていないことが明白な、あくまでグループとしての作品づくりに意を払っている点がとてもクールです。こういうレコードが日常的に発売されていた時代の豊かさをつくづく痛感するのでした。

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