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I'm the only one around/kan mikami
で、これがその傀儡イカサマ楽曲をアルバム・タイトルに据えた一枚で、しばらく前にアメリカでアナログ発売されたものです。オリジナルは日本国でのインディーズCDのみで1990年前後に出たのだったか、とにかく実売数は数百枚にも達しなかったはずです。オリジナル発売元のレーベルが崩壊し、権利をアメリカのアンダーグラウンド・レーベルが獲得した結果、これも「全米発売」笑されたという運びですが、アイダホやニューハンプシャーやユタや、その他どこでもいいですけれど、こういうものを買って持っている者など誰一人いやしませんて大笑い。せいぜい都市部のカルト・マイナー物好きな若者が、多く見積もっても数十人くらいでしょうかね、所有者は。だいたい日本語で歌っているレコードを、流行りのシティーポップでもないのに外人が購入するわけもありません。まあ、セールスなど別にどうでもいいのですけれども。若い頃自分が書いた楽曲が、アメリカでレコード化されたという事実に対しても20,30代であれば、欣喜雀躍の態だったかもしれません。しかし加齢とは、歓喜も感激も著しく摩滅させるものなのですな。感情の起伏は死者の心電図のように、いかなる変動もしませんでした。
アングラ・フォーク LP、アルバム 普通揖斐是方
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「ウイザウト・ユー」の「ニルソン・シュミルソン」 米盤の別ジャケット ニルソンの謎のカウンターフィット盤
米国の地方都市にあるシアーズなんかの巨大ショッピングセンターでは、肉や牛乳をいれたカートの中に、ペリー・コモかなんかのカットアウト99セントのLPを何枚か放り込んでいたおばさんなどを見かけたことがあります。40年以上前の話で恐縮ですが。その時、「レコード」という物への考え方、扱い方のあまりの違いを垣間見た気がし、さらにいえばラジオ局の数も含め米国人にとっての音楽と日常の関係が、いかに日本と異なるかを思い知りました。当時はまだ当地のレコード店にも8トラックのカートリッジテープなども山ほど売られておりました。多くはありませんが、アメリカでは、大メジャー・レーベルからでているれっきとした大ヒット・アルバムが、実にわけのわからない胡散臭いジャケット(当然アーティスト写真などない場合が多い)で販売されているのは知っていました。しかし、まさかあのRCAが売りまくって、グラミー賞ヒットの、あまりにも有名な「シュミルソン」が、こんなジャケットのレコードでも存在していたとは驚きました。ジムとイギーとヴィンス・テイラーを念頭に、宇宙から落ちてきた異星人ロックヒーローとしてのキャラクター、ボウイの「ジギー・スターダスト」に対抗し(?)同じレーベル・メイトであるハリー・ニルソンは、「アーリー・イン・ザ・モーニング」を唄っているくらいで、早朝、起き抜けに冷蔵庫をあさりに来たよれよれのナイトガウンを羽織った生活者として、シュッとした元銀行員の雰囲気をかなぐりすて、別キャラクター「シュミルソン」に変貌、イギリスで出会った素行の良くない笑ロックンローラーたちと、ロック・ミュージシャン然とした境地に突入、「ウイザウト・ユー」の大ヒットでいよいよ全盛期を迎えました。それが1971年。それは衆知の事実です。しかし、ニュージャージー州にあるメロディー・レコーディングスは、こんなジャケットでその名盤を(4曲は必殺ですが、ニルソンにはもっと良い名盤あり)買ってから10日以内なら返品可能みたいなことを書いて、写真の通りのレーベルで、米国内で販売していたわけです。音は特段の難もなく、ごく一般的なレベルでのクオリティーで、RCA原盤との大きな差異はありません。そこで、私が知りたいのは、このレコードがいつ頃どの程度流通し、他のアルバム、他のアーティストでもこうした例は珍しくないものなのか否か、なのですが。お詳しい方がいらしたら是非ともご教示ください。こうした例は今まで米国のカートリッジの世界でしか知らなかったものですから。
ロック LP、アルバム メロディー・レコーディングス揖斐是方
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KAK/KAK アメリカン・サイケデリック・ロックの名作 1969年
一曲目はカンの「コネクション」を思い出さずにいられない、あちらは何年でしたか、どちらが早いのでしょうか「アンリミテッド・エディション」に入っているムーニーの。二曲目のイントロはクレヨラの「ハリケーン・ファイター・プレーン」を想起させるし、B面一曲目の雰囲気はモビー・グレイプだし、こう書くとあたかもこのバンドはオリジナリティー、絶対性に欠けるような印象を持たれるかもしれません。しかし、本質はその対極にあり、サイケデリック・ロックとして極めて優れた内容と音楽性を持つ名盤だと思います。クイックシルバーメッセンジャーサービスのファンなら直ちに納得していただけるのではないか、どこまでも澄み切った青空の中を縦横に駆け巡りながら上昇し大気圏外にまで突き抜けていくような、透徹したギターの音色、このクリアネスこそカクの身上。これが唯一のアルバムで終わったことが残念な非常にユニークかつ貴重なバンドでした。空中に舞うタンバリンも印象的なアートワークも相俟って、サイケデリック・ロック史に今も鮮烈な存在感を示す一枚でしょう。カントリー調のA面と、キャッチーなリフ、弾きまくりのギターが圧倒的なB面がむしろ逆にするべきだったと確信する米プロモ・シングルもありました。
サイケデリックロック LP, Album エピック揖斐是方
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マスクド・マローダーズ 仮面の略奪者たち ディラン・ジャガー・ビートルズ イカサマ・スーパー・セッション
昔はよく「スーパー・グループ」なる夢の顔合わせによるスーパー・セッションのアルバムが発売されては話題になったものです。半世紀かそれ以上前の話ですが。1970年の春に日本でも発売された本盤もその流行におおいに便乗した企画でした。プロデューサーにアル・クーパー、リンゴ・スター以外の三人のビートルズにボブ・ディランやミックジャガーが参加しているという触れ込みの「今世紀最大の話題盤」だったようです。笑。聴いてみると涙ぐましいモノマネ大会が炸裂しているのですが、やはり古き佳き時代の奇盤として好事家だけが思い出す類のものでしょう。一曲目の「アイ・キャント・ゲット・ノー・ヌーキー」なんて、ジャガーの芸風といい、常になり続けるマラカスといい、パロディー・ナンバーとしては秀逸。これはリプリーズからの発売でしたが、キャピトルなどもこういう怪しげなアルバムをそこそこ出していたりして、インターネットなき時代の、商魂たくましいなんでもありの世界は面白いものです。このハンドの正体はクリーンラインズ・アンド・ゴッドラインズ・スキッフル・バンドというアメリカのバンドで、現在では個々のミュージシャン名まであきらかになっています。
ロック CD woonded bird揖斐是方
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OAR / Alexander SKIP Spence (1969)
オンタリオ州から両親とともにベイエリアへ移住したのが1959年。まずはクイックシルバー、次にジェファーソン、そしてモビー・グレープへと在籍歴があるミュージシャンです。サイケデリック、アシッド・ロックなどというわかったようなわかんないようなジャンルの中では鬼才と語られる人物で、名盤とされているこの米オリジナル盤もかなりのレア盤のようです。肝心の内容は、一曲を除いてそんなに際立ったものでもなく、平均的な当時のアメリカン・フォーク・ロックの趣きなんですが、聴いているうちにやはりどこか変だと、麻薬だか酒だか、酩酊と朦朧に任せて勢いで創ったなと笑、思えなくもない。1968年7月、モビー・グレイプのレコーディング・セッション中に彼はバンド・メンバーに斧をもって襲い掛かり、当然医療刑務所へ。同年12月、一人でさまざまな楽器を奏でた本作を録音という運びです。1969年のリリースですが、これは当時のCBSでのワースト売り上げを記録したそうです。たしかにシド・バレットとの類似性は指摘できる作風で、本人のドラッグ耽溺からくる狂気も共通項として挙げられるでしょう。1999年4月、肺がんにより没。皮肉なことにほぼ同時期、ロバート・プラント、トム・ウェイツらによる本作へのトリビュート盤がリリースされました。
ロック LP, Album CBS揖斐是方
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サイコ・キラー/トーキング・ヘッズ 米国プロモーション用シングル盤
エルヴィス・コステロがそうであるように、デビッド・バーンもまた「パンク」なるカテゴリーからは大きく逸脱した才能を有するアーティストでしょう。トーキング・ヘッズ後期から末期には、およそパンクとはかけはなれた名曲を発表するわけですが、この曲はあまりに有名な初期の代表曲。79年に入手しました。アコースティック・ヴァージョンも収録され、ピクチャー・スリーブがあることは購入の決め手になったのは言うまでもありません。ジャケットに写る男とはサイコ・キラー本人で、そのシャツには被害者の血染めの掌紋がついているのだと気づくまでには、どういうわけか大変な時間がかかりましたが笑。「ストップ・メイキング・センス」でのバーンのソロによるヴァージョンもとても面白かったのですが、やはりここでの、ティナ・ウェイマスの不穏なベースから始まる不安定かつ神経症的なスタジオ・ヴァージョンは素晴らしい。ニューヨーク・パンクを代表する一曲でしょう。#talkingheads
ロック 7" Single サイア揖斐是方
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A VERY STONEY EVENING / CROSBY-NASH
「何これ?修学旅行?」常連客と話していた店主・藤原夫人は、学生服で現れた田舎の高校生を、あからさまに嘲笑したものです。70年代中頃、そんな客はお呼びじゃなかったんですな新宿レコードは。非常に肩身の狭い思いをしながら、その時に買ったのが、当時米国発売されて間もない「ウィンド・オン・ザ・ウォーター」でした。クロズビー・アンド・ナッシュのセカンドです。当初は嫌いではなかったものの、次第に「鯨を救え」のトーンが鼻についてきて手放しました。勿論それはその後の、暗愚な日本人に救鯨の大切さを教示するための有難い「ローリング・ココナッツ・レビュー」の恥辱(笑)につながっていくわけです。そしてクロズビー・アンド・ナッシュに関してはファーストと、ここにあげた二作があれば十分ではないかとの結論に至りました。やはり70年代に入手した海賊盤「ア・ベリー・ストーニー・イヴニング」はタイトル通り、クロズビーのぶっ飛びぶりがうるさいのですが、選曲・歌と演奏・音質どれもが素晴らしいアルバムです。以前に所有していたのはもっと気の利いたジャケットでした。そして後年、このブートレッグが名作なのはご本人達も知るところとなったのでしょう、「アナザー・ストーニー」と銘打って、ほとんど同じ選曲からなる類似ライブ盤を公式リリース。先に評判をとった海賊盤の存在があり、それに対抗する形で公式盤があとから出るというパターンは昔からありました。これもその一例でしょう。 ただし、厳密にいえばオリジナルの二枚組海賊盤のほうがやや選曲面で勝ります。#csn&y #davidcrosby #grahamnash
ロック LP, Album CD TMOQ揖斐是方
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ハリスン、ジャガー、クラプトン、ジョプリン、リード、ザッパ、レノンらのインタビュー・ボックス・セット
ヴィレッジ・ヴォイスのロック・ジャーナリスト、ハワード・スミスによるインタビューをCD化したボックス・セットです。2013年に限定500部でリリースされました。バッジやインタビュー当時のノートのレプリカ、数葉の写真、カセットなども同梱されておりますが、面白いのは小野洋子のTシャツをスミスが穿いている一枚。ここにこれをわざわざ入れた意図が、なんとも微妙です。収録されたミュージシャンの名前は写真の通りなのですが、とにかく時代がベストであり、従ってメンツが凄すぎます。#mickjagger #georgeharisson #loureed #frankzappa #joecocker #janisjoplin #ericclapton #johnlennon #yokoono
インタビュー CD 私家盤揖斐是方
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『スペイスド』 ソフト・マシーンの『カーニヴァル・オブ・ライト』か。
1,2,5,6,7,などどれも好きなアルバムですが、個人的にベストなのがこの妙なデザインのジャケットによる本盤です。すでにエアーズの姿はなく、ヒューとブライアンの二人のホッパーと、ラトリッジ、ワイアットによる四人編成での1969年録音。ラウンドハウスで行われた「スペイスド」というタイトルのマルチ・メディア・ショウの為に録音した長時間の演奏を編集したテープ・ミュージックです。イベントでは彼らの生演奏はなく、この音楽が流されたためにライブを期待していたファンには不評だったとか。本来のソフト・マシーンの音楽よりも、はるかにチャンス・ミュージック寄りのアプローチです。そして、こういうものを聴くと、やっぱり1966年末の同種のイベントの為に創られた前衛作品で、十数分に及ぶ、「アンソロジー」には収録されなかった、初期ザッパからの影響も指摘される、あの「カーニヴァル・オブ・ライト」の全貌がどうしても気になるのです。ソフト・マシーンのがこうしてリリースされたのだから、ビートルズのも、というわけにはいかないか・・#beatles #softmachine
サイケデリックロック 音楽CD CUNEIFORM揖斐是方
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27クラブ DOWN ON US DVD+VHS ジャニス・ジョプリンの命日記念 ジミ・ヘンドリックス
低予算・情けなさ満載の1989年の米映画。27クラブでお馴染みの三人がいずれも謀殺という仮説にのっとって 製作された作品です。写真右が一応オフィシャルでリリースされたと思しきビデオ・テープ、左が本日が命日のジョプリンの曲に寄せて改題したブートレッグDVDです。そっくりさんというにはほど遠い俳優が三人のジェイを演じているのですが、劇中で楽曲を使用できるはずもなく、イカニモそれ風につくられた12曲のオリジナルナンバーが鳴り響きます笑。これが実に哀しい。最初の二人はなくなってしまうのですが、3人目は棺を封印して死を偽装し、スペインかどこかにまんまと逃亡するいう筋がきです。30余年ほど前は、こういうロマンで遊べた時代でした。#jimihendrix #Janisjoplin #27club
ロック DVD VHSビデオテープ unicorn video揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 #2
ファーストのジャケット・レプリカです。故人が最後に聴いたのはこのB面だったとか。出来過ぎた話ですが、存在そのものがフィクションのような人物でした。#oliverstone #valkilmer
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方
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第51回蜥蜴忌 オリヴァー・ストーン映画の小道具 WAITING FOR THE SUN
68年の三作目です。但し盤は入っておらず裏のデザインもオリジナルと同じシングル・ジャケット。表題曲はバンドの友人であるカメラマンとシンガー、ギタリストの三者で作詞・作曲の件で揉めて、結果的に本作には収録されなかったということです。そのエクスキューズとして、そのカメラマンにジャケット写真撮影を依頼したようですが。#valkilmer #megryan #oliverstone
ロック映画の小道具 LP, Albumのジャケット・レプリカ 高かったのは確かです揖斐是方
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covers girl/Bebe Buell
スティーブン・タイラーとの間に出来た娘の女優、リヴ・タイラーをトッド・ラングレンに育てさせたのでお馴染みのモデルがライノから1981年にリリースした4曲入りの12インチ盤。タイトル通りのカバー集でバカラックやボウイ、トム・ペティの曲を。プロデューサーはリック・デリンジャーとリック・オケイセック。カーズのメンバーが演奏に参加。#トッドラングレン #リックデリンジャー #スティーブンタイラー #リヴタイラー
ロック 12インチ ライノ揖斐是方
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生誕80年 NILSSON 'THE TRUE ONE' Pandemonium Shadow Show 1967 Promo Box ハリー・ニルソン
存命ならば本日で満80歳となったハリー・ニルソンのファースト・アルバム、これはそのプロモーション用のボックス・セットです。期待の新人、ニルソンに対して、RCAレーベルが非常に強力なバックアップでプロモーション活動を行った証明でしょう。内容はステッカー、バッヂ、ゴム風船二種、プロモ・ポスター、ファンクラブ・カード、宣材写真、プレス・リリースなどが、ブラック・レーベルのファースト・アルバムのモノラル盤とともにセットされています。また、幸運にもこのコピーには本人のサインと署名入りの手紙も入っていました。アメリカの一人ビートルズによるサージャントペパーへの回答として、素晴らしい出来を示すサイケ・ポップ・アルバムですが、あれほどビートルズ四人からの賞賛を得て、しかも友人・仕事仲間として絶大な信頼を置かれていたアーティストであるにもかかわらず、早すぎた死とともに過小評価が残念でなりません。#beatles #yardbirds #bs&t #philspector #ringostarr #johnlennon #アナログレコード #プロモーション用 #サイン入り #psychedelicrock
ロック LP Box set RCA揖斐是方
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狂った一頁/衣笠貞之助 川端康成(1926)
頭脳警察もパフォーマンスに使用した大正15年の日本映画、その米国盤ブルーレイです。字幕のないサイレントでモノクロ・71分。原作・脚本は川端康成、撮影助手に円谷英二。ドイツ映画「カリガリ博士」に対抗しうる日本初のフリークアウト・アヴァンギャルド映画で、狂人たちがうごめく精神病院が舞台、とにかく気持ち悪いです。夢野久作「ドグラマグラ」を彷彿とさせ、まるであの小説のイメージビデオクリップ集かの印象。昨今のホラー映画などとは全く次元が違い、こちらは娯楽映画として作られたのではなく、完全にアヴァンギャルド・アートとしての実験映画なので、そういうつもりで見るわけですが、それでも次々と現れては消える面妖で禍禍しい人物描写のインパクトや、映画全体から漂う妖気が尋常ではありません。#blu-ray #サイレント映画 #頭脳警察 #衣笠貞之助 #川端康成 #円谷英二
実験映画 ブルーレイ フリッカー・アレイ揖斐是方