Gaziano & Girlingの黒(ボックスカーフ)

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21世紀の英国靴の象徴とも言える同ブランドが、既製品を投入した2006年に早速購入した一足。内羽根式キャップトウの様式美を踏まえた上でのダイナミックな造形だけでなく、当時注目が集まり始めたイタリア・イルチア社のボックスカーフをいち早くアッパーに用いていた点も魅力的だった。他のタンナーのそれに比べ、パキッとした光沢とやや紫寄りの濃い口の色味、そして薄さの割にしっかりとハリのある表情。フィット感を意識した緩急あるシェイプやビスポーク的要素をふんだんに盛り込んだディテールと、この革質とがぴったり融合している。一時操業停止に追い込まれたイルチア社だが、近年再起を遂げた。イタリアのタンナーらしいこんな「色気のある革」を、まだまだ期待せずにはいられない。

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