「レオナルドの小部屋」~ウフツィ美術館 ダビンチの間

初版 2024/01/31 12:03

改訂 2024/03/23 19:23

ボッティチェリと並ぶウフツィ美術館の目玉、レオナルドの展示室に行きました。

レオナルドが20代前半に描いた『受胎告知』。「未完の帝王」レオナルドの数少ない完成作の一つです。この美術館での展示は驚くほどモダンでシンプルな額装ですね。

横長の絵ですが、背景はレオナルド特有の幽玄な風景。天使の後ろ側とマリアの左側(向かって右側)が辺縁となる安定した三角構図です。

レオナルドが光輪を描くのは大変珍しいのですが、それだけ初期の作ということでしょうか。これから「マリアに受胎を告知する天使」がマリアより緊張して見えるのが興味深いです。

若く美しい穏やかなマリア。驚愕や動揺の表情は見られません。おなかのあたりが何となくふっくらして見えます。ややハリのある青い布の質感が素晴らしいです。この絵を見ていると、夫のヨゼフはこの後いったいどんな気持ちで生きていたのだろうかと思ってしまいます。

『東方三博士の礼拝』~ 6年を掛けて修復し、古いニスと汚れが取り除かれてレオナルドの筆致が見違えるようにはっきりしています。

これが修復前ですから、劇的に明るくなったことが分かります。

画面右下、20代後半のレオナルドと言われる青年。

このヴェロッキオ作のダビデ像も「レオナルドがモデル」と言われていますから、やはり彼はイケメンだったのでしょうね。

どの作品も流石にダビンチという見事な出来栄えです。人物の顔が多少類型的になっているきらいはありますが、それでも正確なデッサン、ダイナミックな構図、素晴らしいです。

ヴェロッキオ作『キリストの洗礼』。レオナルドの作ではないのに、彼の描いた左の天使でこれだけ有名な絵になりました。私にはどうしてもヴェロッキオの描いたイエスに気品が感じられないのが残念に思われます。

背景はやはりレオナルドが描いたものと思われます。

うっとりした表情でイエスを見つめる天使ですが、私にはこの天使に見詰められるほどのイエスにはどうしても見えないのです。「受胎告知」のマリアと同じ、天使の青い衣装のヒダが実に正確に描かれています。

こちらはルーブルにある彼のドレープのデッサン。やはり並外れた技量です。

しかし私の見たダビンチの中では(「モナリザ」を含め)、ダントツでこの作品が印象に残っています。

それがこの、ロンドン・ナショナルギャラリーにある「聖アンナと聖母子と洗礼者聖ヨハネ」。大変薄暗い展示室に置かれ、弱い光が作品をほのかに照らしており、ここだけが別世界のようでした。これは炭で描かれた下絵ということもあり、保存の為このような展示になっているようです。しかしそのせいか、それこそ岩窟の中でこの三世代の聖家族をひっそり見つめているような気持ちにさせられます。特に子供を慈しむマリアの表情は神々しいほど美しく、息をのむような思いで見ていました。「祭礼に詰めかける群衆のように、フィレンツェの老若男女が二日間にわたってこの作品を見物にやってきた」と言い伝えに私はとても納得できました。この作品を見る為だけにナショナルギャラリーに行く価値があると思います。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    Jason1208

    2024/01/31 - 編集済み

    ウフィツィ美術館入口(2005年)

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      グリーン参る

      2024/01/31

      入口のダビデ像、見ていません(涙)。

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