グエル邸~イスラムの香り

初版 2023/01/20 16:50

改訂 2023/11/01 10:04

2018年にバルセロナに行きました。ご存知の通りバルセロナにはガウディ設計の建築物が沢山あります。これからご紹介するグエル邸はガウディ初期の名作ですが、サグラダファミリアを始め、カサ・ミラ、カサ・バトリォなどといった作品と比べると、地味でさほど知られていないかもしれません。ただ写真から伝わってくるグエル邸は、イスラムの流れを汲んだ厳かな邸宅で私を惹きつけました。設計から完成までに至った彼の新築例はとても少なく、その意味でも貴重な作品だと思われます。家内はここにはあまり興味がなさそうでしたが、私があまりに熱心に推すため、仕方なく付いてきた感じでした。

建物は旧市街の細い路地に面しており、敷地は狭いです。ただこの建物は高さがあり、その高さがこの作品の価値を上げることになったと思っています。

正面ファザードの二つのアーチとそれを覆う鉄製の扉。中央のオブジェは上から不死鳥、兜、カタルーニャの旗で、その下が守衛室の窓になります。非常に手間の掛った精巧なオブジェですが、職人技のなせる業ですね。

フロアマップです。それにしても個人宅で6階建というのも凄いですね。

入口入ってすぐ、中二階に上がる階段ですが、順路として地下室を先に見ることになっており、ここにはまだ上がりません。

これは馬車が地下の厩舎に降りていくスロープです。

最初に見るのは地下の馬車置場。いわば当時の駐車場です。この21本ある円柱が建物全体を支えています。

広大な馬車置き場。まるでローマの遺跡のようですね。左に見えるのは玄関ホールから地下に降りる人用の螺旋階段。

柱には丸いものと四角いものの2種類があります。

さていよいよメインホールに向かいます。階段を上って入口を振り返ったところ。奥の光を通してブラインド状に見える部分が、2枚目の画像に見える鉄格子です。「マジックミラー」のように、中からは外が見えるのに外から内は見えづらい仕組みになっています。これはプライバシー保護の意味からも大変優れた構造だと思います。

玄関ホールと馬車置き場を隔てる扉。

玄関ホールから昇ってきた後、メインホール手前の中二階です。この階段からメインの二階に上がっていきます。

ホールの照明と格子天井。日本の格天井より一段と「押しの強い」感じです。

ホール階から吹き抜けの天井を臨みます。天井の高さは16メートル。プラネタリウムのようですね。

メインホールにある礼拝堂の黄金の扉。

上階からその扉を見たところです。ゲストがこのフロアに来た際は扉を閉めたとのことでした。

メインフロアにある食堂。ここには入ることは出来ず、窓越しの撮影です。

暖炉の上にある木製のレリーフ。凝った寄木作りになっています。シャンデリアもきれいです。

一方こちらは上階のグエル家の居間。ここは家族の寛ぎの場所として利用されたそうです。

暖炉の上はハンガリーの「聖エルジェベートの肖像画」。

寝室階から見上げたホール上の天井です。トルコのアヤソフイア大聖堂にヒントを得たとのことですが、光が差し込んでパンテオンアルハンブラ宮殿の「二姉妹の間」の天井が合わさったかのよう。まるで星空の下にいるようで本当に素晴らしいです。この天井を見るためだけにここを訪れても十分価値があります。アーチの間からパイプオルガンが見えますが、個人宅にこの楽器が置かれているのを見たことがありません。

格子状の天井。イスラム建築を思わせる雰囲気で、後年の天衣無縫のガウディの建築とは隔世の感があります。

これはムデハル様式のトレド駅天井ですが、グエル邸の天井の雰囲気と似ています。

「失われた歩みのサロン」。なぜこの名称で呼ばれているのか、未だに不明だそうです。

家財には凝った彫刻が至る所に。

メインホールの装飾です。

応接サロンのステンドグラス。

寝室奥のステンドグラス。中央は擦りガラスになっており、とても美しいです。

メインフロアにあるプライベートサロン。グエル氏の娘さんたちがピアノを弾くこともありました。

ポーチ部分。ここも楽しい装飾です。

ビリヤード室です。この家ほどの規模ならこれがあっても全く驚きません(笑)。

屋上に上るとまたガウディならではの煙突万華鏡。それにしても彼の煙突装飾への情熱はすごいです。

屋上からは旧市街の美しい町並みが一望できます。

私自身はここを訪れて本当に良かったと思いました。素晴らしい傑作だと思います。家内も「行って良かった」と言ってくれたので一安心しました!

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    fanta

    2023/03/03 - 編集済み

    かつてはイスラムの勢力下にあったスペインなので、、
    その名残りが見てとれるんですね~興味深いです。

    格子状の天井、パズルピースを合わせたような…
    まさにイスラムの雰囲気ですね😁
    屋上・煙突のポップさにガウディらしさを感じます♪

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      グリーン参る

      2023/03/04

      fantaさん、
      コメントありがとうございます。おっしゃるとおりスペインでは至る所にイスラムの名残をみることができます。グエル邸の天井はまさにイスラムそのものですね。
      アンダルシアの海岸からはアフリカ大陸がすぐそこに見えています。シエラネバダ山脈は「アフリカ大陸がヨーロッパ大陸にぶつかって、その圧力で大地が盛り上がったもの」とのことですので、両者はいつも密接な関係のある土地なのでしょうね。

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    tomonakaazu

    2023/10/31 - 編集済み

    街並みに紛れているグエル邸。
    こんなに奥深い内装と、地下の厩まで見学できるとは知りませんでした!!本当にローマ遺跡みたいな柱の太さ(地上6階を支えるのだから、当然でしたね)に驚嘆 & 小さなアヤソフィアが家屋内にあったなんて。

    むか〜しにバルセロナに行った時に、なにを見落としたのかを知り、またバルセロナに行きたくなりましたーー。

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      グリーン参る

      2023/11/01

      tomonakaazuさん
      コメントありがとうございます。グエル邸、今一つ知名度は低いですが必見かと思います。後年のガウディの建築は、こうしたきっちりとしたデザインを経たうえで成立したのだと私は理解しました。

      毎年姿を変えるサグラダファミリアも魅力的ですが、このバルセロナの大聖堂も立派でした。

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