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鉱物標本 キャストライト(Chiastolite)
別名:空晶石、Crusite、Lapis Crucifer、Macle、Maltesite、Cross-stone
産地:中国
双晶になった薄紅色のアンダルサイト(紅柱石)の隙間をグラファイトのインクルージョンが埋めることで、黒の十字模様が断面に現れる鉱物。分類としてはアンダルサイトの変種になる。
アンダルサイトには同じ化学組成ながら、結晶構造の異なる鉱物が存在し、高圧条件ではカイヤナイト(藍晶石)が、高温条件ではシリマナイト(珪線石)が生成される。
アンダルサイト(キャストライト)の場合は低圧(400MPa以下)および中温(約300℃~650℃)の条件で粘土質堆積物がマグマの貫入による接触変成作用を受けて出来た泥質紅柱石ホルンフェルス中に生成する。さらに双晶生成時に堆積物中の有機物を由来とするグラファイトをインクルージョンとして取り込むとキャストライトとなる。
この鉱物に関する最初の記述はスペインのフランシスコ会宣教師であり、古生物学者でもあったJosé Torrubiaが1754年に出版したスペインで最初の古生物学論文とされる"Aparato para la Historia Natural Española"(直訳すると『スペインの博物学のための装置』)に記されたもので、イラストとともに載せられていたそうである。
"Chiastolite" の名前はグラファイトのインクルージョンによる十字の模様に因んで、ギリシャ語で「直交する線」を意味する "chiastos" から命名された。
その十字模様からキリスト教では守護石とされたこともあり、ラピス・クルシファーやクロスストーン、マルテサイト(マルタ石)などの『十字架』に因んだ別名も付けられている。
本標本は2021年5月にミネラルマルシェで購入した研磨品。