Holger Hiller “s/t”

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後にPalais Schaumburgの最初のVo/Gとなり、その後、ソロでサンプラーをメインに使った実験電子音楽の天才と言われるようになったHolger Hillerの最初のリリースが、この7㌅EPなんです。多分、Palais Schaumburg結成前に、自分達の溜まり場でジャムっていたり、セッションしたりしていたものを録音しており、そこからセレクトしたテイクをこの時期に発表しているのではないかと想像します。本EPでは、芸大時代の同級生Walter Thielsch(後にPalais Schaumburgの2代目Voとなります)の他にChris Lunchがサポートで参加しています。Christian Lunch、本名Christian Gregory Ingleで、米国人シンセ・パンク・アーティストで、1979年には、既に米国Fish Ranch Recordsより、Christian Lunch名義で7㌅シングル”Product”を出しています。実は、この人物、Jello Biafraとも関係があって、Dead Kennedysの初の欧州ツアーの時に、Eric BoucherことBiafraとRay PepperellことEast Bay Rayと英国The SoundのAdrian Borland及びMorgan Fisherと一緒にThe Witch Trialsとして、12-㌅Maxi-Single(内容はダーク・ウェーブです)をロンドンで録音しており、それが、1981年にZick ZackとAlternative TentaclesとNew Roseからリリースされているという所で、何となく繋がっているのではないかと想像させられますね。多分その時のZick Zackを通して、本作品にも参加しているのではないでしょうか。まあ、それは置いておいて、本作品をリリースしたレーベルWarning Recordsは後のATA TAKです。と言うことを踏まえて、本作品の各曲を紹介していきましょう。7㌅で45回転なのですが、A面3曲/B面2曲が収録されています。

★A1 “Ich Kann Nicht Mehr Warten”は、DrsにBらしき音と不穏なシンセのメロディ及びGから成るインストの小曲です。
★A2 “Ein Ganz Normaler Kuss”は、不明瞭な電子音リズムにHillerの語るようなVoが乗る曲で、途中でヘンテコな電子リズムになったりします。
★A3 “Dingdonggefühl”は、直線的DrsのビートにフリーキーなGとシンセに合わせて、Hillerが呪文のように歌っています。そのバックでは叫び声なんかも。Voとかにはリバーブ処理も後からしてあるようです。
★B1 “Herzmuskel”では、単調なリズムマシンと金物Percに合わせて、ピアノやHillerのVoや幽霊のようなシンセ音が聴こえてきます。なお、この曲はPalais Schaumburgの持ち歌にもなっています。
★B2 “R In S/W”は、レジデンツっぽいシンセのメロディを持ったチープなテクノポップ風インスト曲で、Hillerのルーツの一端が窺い知れます。

 短い時間に、Holger Hillerの若かりし頃の音楽性を見事に現している内容になっていると思います。特に、B2はモロThe Residentsで、思わずニヤリとさせられました。それにも増して、他の曲もルーズでありながらもアイデアに溢れていて、興味深かったです。今となっては、本EPは、歴史的価値としての要素の方が大きいかもしれませんが、これを聴いて、また新たな発見がある可能性もありますので、気になる方は是非、聴いてみて下さい!因みに、ジャケは2種類あるみたいです。

https://youtu.be/9t3oD09-DVI?si=pGYaorpGn6VNEeR-

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