V.A. “4 In 1 Volume 5”

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もう、何度も紹介しているベルギーのInsane Music関連のバンド、Bene Gesserit, M.A.L., Human Flesh, I Screamの4バンドをコンパイルしたコンピ第五弾が、この作品となります。この”4 In 1”シリーズは元々、Insane Musicの首謀者Alain Neffeが1982年に始めたコンピ・シリーズで、もっと出ているのかと思っていたら、Volume 5までしか出ていなかったみたいです。当時は、カセットで出ていたのですが、LPになったり、CDになったりしてフォーマットは違っていましたが、Volume 3が、30年振りにリリースされており、このVolume 5が最新盤となります。以前にも”Insane Box”で書きましたが、上記4バンド中3バンドが、Alain Neffe絡みであり、彼が異なるコンセプトで演り分けているバンドなんです。簡単に各バンドを紹介しておきます。Bene Gesseritは、B. GholaことAlain Neffeとその妻Benedict G.ことNadine Balから成る夫婦デュオで、最も長く続いている歌物の実験ポップ・ユニットです。M.A.L.はDaniel Malempréのソロユニットで、実験的な音楽をやっていましたが、ここではガラッと変わって民俗音楽的アプローチをしています。Human Fleshは、Alain Neffeのソロユニットで、友人達から音源を提供してもらい、ミックスする手法で音源を制作するのをコンセプトとした実験色の強い音楽をやっています。I Screamも、Alain Neffeが、1972年〜1978年の間に、2台の古いオープンリール・テープマシン(要するにピンポン録音)にて、宅録していた極初期のソロユニットです。なので、この中では、最もリリース数が少なく、謎深いです。なお、CDには各バンドに1曲ずつボーナス・トラック (Bene Gesserit “Silicone Valley (Of The Dolls)”, M.A.L. “Trinity Will Kill Again !“, Human Flesh “Continuum“, I Scream “(Maybe) I'm Slowly Going Insane”)が付いています。
それでは、LP収録の各曲についてご紹介していきましょう。
◼️A1-A4 Bene Gesserit
録音は、2012年夏に、Neffeの自宅で行われており、知っての通り、B. Ghola (All Instruments, Effects)とBenedict G (Vo, Words)の2人です。
★A1 “Ceci N'est Pas Une Chanson” (2:35)は、擬似民族音楽的ミニマル電子音楽から成る曲ですが、宇宙音らしきシンセやVoには過剰エフェクトが掛けられており、ほぼインスト曲です。
★A2 “Les Fourmis” (3:00)は、アコギのイントロから、やはり、ウッドBらしき音に沿って擬似民族音楽的リズムに、シアトリカルなVoが語るように歌う曲で、途中のシンセ音が良い塩梅です。
★A3 “Half Hysterical Mid Tempo Sort Of Rock” (2:45)は、ノリの良いリズムに、多層化したオペラ的Voが乗る曲で、ドライブするBがカッコ良いです。
★A4 “Who Stole Our Pride ?” (3:05)は、教会のオルガンの調べに乗って、抑制されていますが故に表情豊かなVoから成る曲で、マシンリズムが入ってくると更に迫力がアップします。

◼️A5-A7 M.A.L.
録音は、2014-2015年にMalempréの自宅で行われており、楽器はオウドやインディアン・フルート, シタール等の民俗楽器の他にも、GやB及びSynthそれにリズムマシン等も使われており、ハイブリットな音源から成ります
★A5 “Turkish Morning” (3:20)は、タイトル通り、Muslimgauzeとはまた違った似非中東音楽風の曲で、打楽器をメインにして、それにGや笛及びホーンらしき音が加わって、こう言うのが好きな人には堪らないですね。
★A6 “The Azure Buddah” (2:50)も、基本、リズムマシンや打楽器とGによる似非中東ポップスみたいな曲です。この曲でもGを弾きまくってます。
★A7 “Indian Song” (3:10)も、タブラ等の打楽器とGらしき弦楽器から成る似非中東ポップス風の曲で、クリーンなGと歪んだGを上手く使い分けています。

◼️B1-B4 Human Flesh
録音は1980年代後半〜1990年代前半にNeffeの自宅で行われており、Lena Torgrimaen (Vo), Xavier (Vo), Malempré (G), Neffe (Piano, Sampler, Loop, Strings Organ, Synth, Harp)が参加しています。
★B1 “Nattsvermer Drømmer Kneler” (1:35)は、不安定なピアノの調べに、やや興奮気味な変調Voから成る小曲です。歌詞はノルウェー語みたいです。
★B2 “I'll Take Your Left Hand, Don't Be Afraid (Ballad With A Limpid Sky Over The Head)” (2:50)では、通奏低音にXavierのダイレクトな語り口VoとそのバックにもサンプリングされたVo、そして、いつしかオーケストレーションへ。
★B3 “Météorites” (1:50)では、ゆったりした曲で、Gの音色やチェンバロ風のKbdが優雅に響きます。
★B4 “Monotopi (For Sharon Tate)” (3:20)では、Gのボロンポロンしたアルペジオとハープに合わせて、ノルウェー語のVoが煽るように聞こえますが、何やら悲しげな音楽です。

◼️B5-B6 I Scream
録音は1975年頃で、Neffeの寝室で、Sony TC630 2トラックのオーブンリールで多重録音されており、Neffeは、Roland SH-1000 Synth, Elka Strings, Welson RhythmBoxを使用しています。
★B5 “Saved By The Synth” (5:00)は、上昇していくシンセのパルス音に、波のようなストリングス・シンセが絡む壮大な曲で、初期のタンジェリン・ドリームのような電子音系クラウトロックに近い音感触ですね。
★B6 “Electronic Fascination” (6:30)でも、エコーの効いたシンセ音が自在に飛び回り、そこに硬い電子音が挟まって、やがて混沌となり、更にリズムボックスやストリングス・シンセが入ってくると、思わずそのスケール感が半端ないと感じますね。良きかな。

 1980年代に、この”4 In 1”シリーズを知った時には、中々良いコンピだなぁと感心したものですが、本作品のように何十年の差があるにも関わらず、上記4ユニットの曲を1つに封印しても、それ程違和感はなく、楽しめました。特に、I Screamは音源が少ないので、聴き応えがありましたね。これはベルギーの地下音楽を一端を知るには、非常に良い作品ですので、是非とも体験してみて下さい❗️

クレジット曲順
A1 Bene Gesserit “Ceci N'est Pas Une Chanson” (2:35)
A2 Bene Gesserit “Les Fourmis” (3:00)
A3 Bene Gesserit “Half Hysterical Mid Tempo Sort Of Rock” (2:45)
A4 Bene Gesserit “Who Stole Our Pride ?” (3:05)
A5 M.A.L. “Turkish Morning” (3:20)
A6 M.A.L. “The Azure Buddah” (2:50)
A7 M.A.L. “Indian Song” (3:10)
B1 Human Flesh “Nattsvermer Drømmer Kneler” (1:35)
B2 Human Flesh “I'll Take Your Left Hand, Don't Be Afraid (Ballad With A Limpid Sky Over The Head)” (2:50)
B3 Human Fleshl “Météorites” (1:50)
B4 Human Flesh “Monotopi (For Sharon Tate)” (3:20)
B5 I Scream “Saved By The Synth” (5:00)
B6 I Scream “Electronic Fascination” (6:30)

https://youtu.be/4bksBTCEvcI?si=Z13Z5_uBrWbPdKFx

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