Lizzy Mercier Descloux “Press Color”

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Lizzy Mercier Descloux (リジー・メルシェー・デクルー)を覚えている方はいらっしゃるでしようか?元々、Rosa Yemenと言うバンドで1枚シングルを出して、その後、ソロ活動で、NYCのNo Wave Movementに巻き込まれて、一部のリスナーには話題になった仏人女性アーティストです。今回は、No Waveとも関係の深いレーベルZE Recordsから出たファースト・アルバム”Press Color”をご紹介します。先ずは彼女のバイオグラフィーを書いておきます。Mercier Desclouxは仏Lyonに住んでいましたが、10代の時に、恋人のMichel Estebanと共に、パンクムーブメントの活動拠点になる店Harry Coverや雑誌Rock Newsの立ち上げの手伝いをしています。そうして、彼女は、1975年にNYCを訪れた時に、Patti SmithとRichard Hellと親交を深めることになります。このことは彼女の最初の著書Desiderataに記載されています。そうして、彼女とEstebanは1977年にNYCに移住し、後にZE Recordsを立ち上げるMichael Zilkhaとも会っています。それて、Mercier Desclouxは、ギタリストのD.J. Barnes (Didier Esteban)とパフォーマンス・デュオRosa Yemenをやり始め、1978年に、ZE Recordsから、セルフタイトルのミニLPを出しています。その翌年1979年に彼女は、ソロとしてデビューアルバム”Press Color”をZE Recordsよりリリースしています。この作品では、彼女自身もギターを自己流で弾き、No Waveシーンの中で、ミニマリストとして彼女自身を表現しています。この作品では、ファンク・リズムの中で、違うハーモニーと合わせて、単一のラインを演奏することに集中していましたが、レコードの売り上げは芳しくなく、米国や欧州のツアーをしています。その時に、Island RecordsのChris Blackwellが、バハマのNassauでのセッションを提案し、Compass Point All StarsのエンジニアSteven Stanleyとkeyboard奏者Wally Badarouと一緒に曲を書いて、セルフ・プロデュースをしたセカンド・アルバム”Mambo Nassau”をリリースします。このアルバムは、アート・ロックやファンク、ソウルと同様にアフリカの音楽にも影響された内容でしたが、米国ではそれ程売れませんでしたが、彼女は仏のCBS Recordsとコンタクトを取ることをは成功します。そうして、彼女は仏に戻ると、2枚のシングルを出し、アフリカにも旅行して、Sowetoの音楽に基づいたアルバム”Mais où Sont Passées les Gazelles?" を1984年にリリース、仏ではヒットします。その後も、プロデューサーにAdam Kidronを迎えて、アルバム”Zulu Rock”をリリースします。同様にKidronのプロデュースで、1986年にもアルバム”One for the Soul “をリリース、このアルバムは、ジャズ・トランペット奏者Chet Bakerと共にブラジルで録音されています。その後も、元MarsのMark Cunninghamと一緒に、1988年に、ロンドンで録音されたアルバム”Suspense”をリリースしています。この時期には、彼女は、女優、映像作家、詩作にも取り組んでいます。1990年代中盤になると、彼女はコスタリカに移住し、自身の絵画や出版予定の無い小説を書いたりしています。しかしながら、2003年に、彼女は卵巣癌と結腸癌と診断され、それが元で翌年他界してしまいます。それで、ZE RecordsのレーベルメイトであったCristinaは、2004年のアルバム”Sleep It Off to Mercier Descloux”を再びリリースし、Mercier Desclouxに歌を捧げています。また、Estebanも、レーベルLight in the Atticを設立し、幾つかの録音物の再発をしています。
 ザッと、Lizzy Mercier Desclouxのバイオグラフィーはこのようになりますが、今回は、彼女のファーストアルバム”Press Color”を紹介します。録音には、Lizzy Mercier Descloux (Vo, G, B, Perc)の他に、D.J. Banes (G, B, Perc, Back-Vo), Erik Elliasson (G, B, Kbd), Jimmy Young (Drs, Perc)が参加しています。なお、Banes, Elliasson, Mercier Desclouxの3人で、プロデュースしています。両面とも4曲が収録されています。では、各曲を紹介していきましょう。

★A1 “Jim On The Move” (2:29)は、タイトルを何度もリズミックに歌っている内に終わってしまうファンクな曲で、リズム隊は基本ファンキーですが、Gはややフリーキーですね。
★A2 “Aya Mood 3.5” (2:50)も、ファンク調なのですが、2本のGが程良く絡み合うインスト曲です。GにThe Contortionsっぼさをちょっとだけ感じるのは、私だけ?
★A3 “Torso Corso” (1:48)は、無調オルガンも加わったミニマルな小曲で、上下するベースラインとG、それにMercier DesclouxのVoが良いアクセントです!終わり方がカッコ良い。
★A4 “Wawa” (2:18)も、The Contortionsを彷彿とさせるファンク調で、バネのあるインスト曲です。ノリはよく、踊れるNo Wave!とも言えましょう。
★B1 “Fire” (5:11)は、James Brownの曲のカバーで、Gには結構エフェクターが掛けてありますが、割とちゃんとファンクしていますし、ちょっと覚めたMercier DesclouxのVoもやんちゃな感じで良い。Saxも入っていますが、誰が吹いているの?
★B2 “Mission Impossible”もTV番組「スパイ大作戦」カバーで、ピアノとオルガンを使ったラウンジ調〜ラテン調に編曲してあります。面白い!踊れる5拍子のインスト曲!
★B3 “No Golden Throat” (2:38)は、ジャマイカンで、ゆったりした曲ですが、レゲエまでは行っていません。活き活きしたMercier DesclouxのVoが良い!そのバックで仄かに雑踏の音が流れています。
★B4 “Tumour” (2:57)は、ウィスパーなMercier DesclouxのVoと指を鳴らしてのリズムで始まる、やや怪しい感じのジャジーな曲で、Bはフェイク・ジャズみたいですが、Gは割とフリーキーです。

 全体的に、曲が短めで、収録曲もそんなに多くないので、何度も聴きたくなるアルバムです。それに、ZE色みたいなちょっとアヴァンな味付けが適度で、それがまた「食欲」を刺激します❗️カバー曲の選曲も良いです。なので、見つけたら、即ゲットですよ❗️

[full album]
https://youtu.be/qIYsjvDspLk?si=fvWtZrTZz8jTm54X

[オマケ: B1 “Fire” on Frech TV show]
https://youtu.be/QEDDK0XLGfw?si=K__GeKsxXgVew6zG

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