Merzbow “Cloud Cock 00 Grand”

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Merzbow、誰もが知る「ノイズ・ミュージック」の先駆者、秋田昌美氏のノイズ・プロジェクトであります。今までも、紹介してきましたが、今回は、自身のレーベルからの初のCDとしてリリースされた”Cloud Cock 00 Grand”のレコードでの再発盤(2LPs)を紹介したいと思います。ここで、個人的なことを言わせてもらうと、1990年代のチープ・エレクトロニクスで爆音ハーシュ・ノイズを量産していた頃も良いのですが、やはり、私はそれ以前の何か分からない/得体の知れない音をひたすら紡いでいた頃の音楽(=ノイズ・ミュージック)が大好きです。その意味で、今回、取り上げた”Cloud Cock 00 Grand”は元のCDが1990年作と言うこともあって、丁度、過渡期で面白いのでは?と思い、購入しました。元のCDとは、曲順が若干違っています。それと、これのオリジナルの作品では、初めてマスターにDATを使ったとのことです。既に、この作品の前に、50枚組CDボックス”Merzbox”にて、一度リマスターはされているのですが、それとは別に、2021年に秋田氏によってリマスターされています。バイオグラフィーは以前に書いたものを参考にして下さい。
では、本作品”Cloud Cock 00 Grand”の最新リマスター盤を紹介してみたいと思います。
A “Brain Forest For Metal Acoustic Concrete”は、1990年1月9日に録音され、同年4月17にミックスされた曲で、正しく、初期のアッセンブラージュ的な具体音やアコースティックな楽器音の組合せとカットアップ的手法や逆回転などのスタジオ・テクニックをフルに活かした予測不可能な音楽となっています。
B “Spinnozaamen”は、1989年10月23日と12月8日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲で、捻れるような音(ノイズ)や電子音(多分、フィードバック音?)とカットアップの手法やテープ操作が施されたメリハリのある音楽になっています。A面よりもややハーシュな要素を感じますが、最後に「環境楽器」の音で、この曲を締めますね。
C1 “Autopussy Go No Go”は、1989年10月19日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲で、忙しないノイズのOn/Offから成るループと宇宙へ飛び出しそうな音/ノイズとドラムのキック音も僅かに聴こえてきます。しかし、秋田氏の言語感覚は冴えていますね(Autopsy「病理解剖」とPussy「女性器」を合体させるだなんて!)。
C2 “Postfix”は、1988年12月14日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲ですが、オリジナルには、これと対になる”Modular”なる曲が収められていました。この曲もアコースティックな「環境楽器」やグニャグニャのテープ音の残涙やエフェクターの発振音などが、ランダムにミックスされており、位置によってはシンセらしき音も聴き取れます。
D “Spinnozaamen (Another Mix)”は1989年10月23日と12月8日に録音され、2019年にミックスし直された曲(ヴァージョン)で、B面とはまた異なった感触の仕上がりになっています。確かに、ガタガタとしたカットアップ的なミックスやフィードバック音と思われる電子音やFound Metalsの音等も聴取され、過剰な情報量のノイズ断片が複雑にミックスされています。
 いやはや、たっぷり堪能しました❗️特に、この時期に特徴的なアコースティックな音の電子的に処理された音とが突拍子も無く繋げられており、その構造の複雑さと「音楽」としての体裁がしっかり感じられるところが、やはり良いですね!なので、ハーシュ・ノイズを放出するMerzbowしか知らない方は、是非ともこの時期の録音物を聴くことをお勧めします‼️しかも、演奏・録音・ミックス・マスタリングを秋田氏一人でやっているところにも注目して欲しいですね。

[Merzbow boiler room live Tokyo]
https://youtu.be/fR_8gpJCT4I?si=1wtD_QcdLFx8b5Nh

[original full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nmDUaYKHgc4Arxs9cV0UTui5esufva6-g&si=NDCb0V5PJFzizRoR

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