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Technoise / Hyware “System” / “Cathexis”
これは懐かしい!Technoise (これはユニット名ね!)とHywareのスプリット12㌅EPです。ただ、この盤はクラブ用なのか、その前に出ていたセルフ・タイトルの2枚組CDからのシングル・カットとなっています。入手したのは輸入盤屋で買ったのか?それとも交換で貰ったのかもあやふやなんですが、恐らく交換して貰ったのかも知れませんね。それで、この2つのユニットなのですが、どちらも蘭のアーティストRadboud Mensのソロ・ユニットで、Technoiseはその名の通り、リズミックなノイズ(所謂テクノイズ)に特化したユニットであり、Hywareは轟音電子ノイズ(所謂、ハーシュ・ノイズ)に特化したユニットと言う訳です。先ず、それぞれのユニットについて紹介していきますね。Radboud Mensは、1988年から自作のノイズ・マシンを作り始めており、1990年代初頭には、コンタクト・マイクを犬用のブラシに取り付け、それを使って、レコードをスクラッチしたり、割ったりして録った音(=ノイズ)を壊れたラジカセでブーストして、録音をしていました。そんな中で、Technoiseとしては、壊れたタンテを使って、リズミックなノイズを作ることに成功し、1994年に、これらの録音物は2枚組CDとして、英国のレーベルi-Recordsからリリースされています。その片一方がHywareとなります。HywareはMensの録音したものの内、リズムの無いハーシュ・ノイズになってしまった作品を集めて、提示するユニットです。また、彼は、個人名義でもライブ・パフォーマンスをやっており、その経歴はTechnoiseやHywareよりもずっと長く続いています。それと、当時、彼から聞いた話しでは、1990年代の蘭(或いは欧州)の地下音楽シーンは、StaalPlaatが幅を利かせており、その為、静かな音響派ノイズやラップトップ・ノイズが席巻して、所謂、ハーシュ・ノイズとかテクノイズと言った「うるさいノイズ」を蘭でやっているのは彼くらいしか居なかったのだとか。まあ、確かに、外から見ていてもそんな風には思えましたね。しかしながら、2000年代以降は、Radboud Mens名義で活動し、歳のせいなのか?周りの環境のせいなのか?すっかり静謐な音響派ノイズの作品をリリースしています。そこら辺の変化は是非とも本人に聞いてみたいですね。因みに、先ほど出た2枚組CDは、リスナーがTechnoiseの音とHywareの音をミックスしなければならないとの意図があったようで、そこに、彼のラジカルさが見て取れます。
では、本作品の内容を紹介していきたいと思います。
Technoiseサイドは“System”1曲のみで、確かに、クラブ・ミュージックで聴くことのできるキックとかハイハットの音は聴こえるし、リズムもあります。しかしながら、当時は確かにテクノイズとして認識していたのですが、今、聴くと然程テクノイズっぽくない印象です。どちらかと言うとNONがレコード盤を使ったミニマルな音の実験をやっている感じに近いでしようか。
一方、Hywareサイドは4曲収録されていますが、何も、コンタクト・マイクを使ったLo-Fiでプリミティブなノイズ曲で、確かにうるさいんですが、B2 “Conversion”ではパーツを繋ぎ合わせたり、B3 “D-Coll/Age”ではヴォイスも混じっていたりします。そう言う意味では、如何にも1990年代のノイズを体現しているようにも思えますね。
この作品を聴いて思ったのは、1990年代って、”Japanoise (因みに私はこの言葉は嫌いです)”に代表されるハーシュ・ノイズが、世界から注目を浴びていた時代だったと思いますが、その頃って、割とコンタクト・マイクを使っているアーティストやグループが多かったようにも思います。要するに、小さな微音をコンタクト・マイクで拡大/拡張して、更にそれを歪ませることで、取り敢えず「ノイズ」が出来た時代だったと思うんですよ。今でも、そう言うアプローチはあるかも知れませんが、そんな1990年代のノイズ・ミュージックを通過した耳には、どうしても、コンタクト・マイク独特の音に反応してしまい、何となくレトロな感じがするのも仕方ないのかなあと思ってしまいます。久しぶりに、この作品を聴いて、そんなことを考えてしまいました。しかしながら、過去の遺産を知ること自体は良いことなので、1990年代ノイズ未経験のリスナーさんは是非とも一度は体験してみて下さい❗️また違った感想を抱くかも知れませんね。それがまた楽しみでもありますから。
A1 Technoise “System”
B1 Hyware “Cathexis”
B2 Hyware “Conversion”
B3 Hyware “D-Coll/Age”
B4 Hyware “Untitled 1”
Technoise “System”
https://youtu.be/7F6yeU8mEM8?si=c40bPdA0w13_03RL
Hyware “Fluxus” (本EPには未収録)
https://youtu.be/0Ogm7X5fm3s?si=oNNSEaPX3IQ308jB
[元の2枚組CDのBandcampのURLも貼っておきます]
https://hondindegoot.bandcamp.com/album/technoise-hyware
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