Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Schubkraft”

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ついつい、買ってしまうんです。今回は、Conrad Schnitzler先生とPharmakustikとのコラボ作品3部作の最終作品”Schubkraft”です(2016年作第1部”Kontraktion”、2018作第2部”Extruder”があります)。Schnitzler先生については、これまでも色々書いてきましたので、ここでは、Phamakustikのバイオグラフィーを補足しておきます。PhamakustikことSiegmar Fricke氏は、1981年辺りから活動を始めた独逸の実験音楽家で、元々は、短波ラジオとアコースティックな音を用いた作品を作製しており、丁度、ミュージック・コンクレートとポスト・インダストリアルの間に位置して、世界的なカセット・カルチャー・シーンで活躍しています。それで、Siegmar氏は自身のレーベルBestattungsinstitutを運営し、1985年〜1993年の時期に、実験音楽から、EBM、エレクトロ、テクノ、アンビエントまでを取り扱っており、その後、ネット・レーベルに移行しています。2009年より、彼のソロユニットとしてPhamakustikを名乗り始め、また2013年からは、ポップな音楽をやる為に、Dieter Mausonとのコラボ・ユニットDelta-Sleep-Inducing Peptideを立ち上げています。それで、Pharmakustikでは、一種の音響学的研究や音に関するリサーチ或いはアコースティックな音の断片の再統合などを行い、極めて電子的て抽象的なレイヤーを作り出していたとのことです。
そんな2人がコラボして作り上げた内の第3作目が、本アルバム”Schubkraft (「推進力」の意)”になります。クレジットによると、このシリーズは、1986年11月〜1987年7月にBerlinのSchnitzler先生のスタジオで行われた未発表音源を順次発表しているようです。2人が用いた楽器は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm-Player, Digital Delay, Ibanez MultiEffector, Radio, Yamaha CS-5となっており、アルバムは、両面1曲ずつの長尺の曲から成ります。両面とも、もう涙がちょちょ切れる位、素晴らしい曲です!A面は、スペーシーなシンセと、Esplendor Geometricoのように駆動するリズムマシンの絡みから成り、まるで「電子界を走る銀河鉄道999」のようです。結構、リズム音が強調されたミックスになっています。最後で、リズム・パートが無くなってからは、お互いの電子音が自由に絡まり合って、程良い緊張感を出していまし、ディレイが効いていて、宇宙へ飛んで行きそうです。一方、B面は、リズムマシンは使っているものの、ロング・ディレイを掛けたシンセ音が瞑想音楽のように響き渡り、一瞬、1980年代のM.B.サウンドがフラッシュバックします (Fricke氏は復活後のM.B.ともコラボしていますね)。時間軸が曲がってしまった世界で音楽を聴いているようです。B面の最後には、何故か、ラジオの音声と不気味な電子音との狂宴に移行し、不穏な空気感で終わります。両者とも、電子音や実験音楽をベースに活動している/していたので、本作品のような素晴らしいコラボ作品が出来たのだと思います。ミックスはFricke氏によって、2019年に行われていますので、その為、Fricke色がやや強く出ているのかもしれませんね。これを聴いたら、第1部と第2部も欲しくなりました。全ての電子音楽ファンに必聴です‼️

[trailerのみ]
https://youtu.be/9VZn8_z4lYc

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