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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Extrudee”
遂に、Conrad Schnitzler先生とPharmakustikことSiegmar Fricke氏のコラボ3連作の第2弾”Extruder (押出機)”を紹介します。これで2人の3連作の紹介は終わります。これも元々は、1986年11月に、BerlinのSchnitzler先生のスタジオで、2人が録音した音源を元にして、1976-2017年の間に、Fricke氏がリフレッシュ後、再構築したトラックからなります。2人が使った機材は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm-Player, Digital Delay, Ibanez MultiEffector, Radio, Yamaha CS-5で、以前、紹介した第3弾”Schubkraft”と同じです。なお、2人のバイオグラフィーは既に書いてありますので、それぞれ以前の文章をご参照ください。内容的には、A面3曲、B面2曲が収録されています。では、各曲について紹介していきたいと思います。 A1 “Kontaktmechanik”は、タイトル通り、マシンリズムが強調された曲で、そこにウニョウニョとしたシンセ音が絡みついていきますが、その内、シンセ音のみになります。このような傾向の曲は、この3連作で共通する傾向がありますので、ひょっとしたら、Fricke氏の好みかも知れませんね。A2 “Extruder”では、いきなり、独逸語のナレーションから始まり、ホワイトノイズによるビートと、これまたウニョウニョしたシンセ音がのたうち回っています。その背景には、初期M.B.のような、ディレイの効いた電子音を聴くことが可能です。A3 “Abrasion Métallique”は、ディレイ/エコーを効かせた電子音が宇宙に広がっていく様を描いたような曲です。リズムボックスの音も使われていますが、ビート感は無いです。 それではB面にいきます。B1 ”Umspulung”では、生物と機械のハイブリッドが演奏しているようで、「脈拍(=パルス)」はあるのですが、明瞭なビートはありません。また、音自体にはほのかなユーモアを感じます。B2 “Doppelwelle”もウニョウニョしたシンセ音から始まり、エフェクトを掛けたマシンリズムに置換されていきます。この曲にも何故かユーモラスな要素を感じます。 纏めますと、少しユーモアのある電子音がのたうち回る傾向が目立ち、初期M.B.との共通性もあるようで、ここら辺のミックスはFricke氏の好みなのかなあ?と思います。その「ユーモア」の成分は多分Schnitzler先生によるものだと思います。なので、このユーモアとシリアスの混合物がこのアルバムの特徴だと思います。 [trailer] https://youtu.be/fgTqnOg69uo #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Extruder #Rotorelief #CollaborationAlbum #第2弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986年録音 #2016-2017年再構築 #LimitedEditions #400部
Electronic Music / Experimental Rotorelief 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Kontraktion”
買っちゃいました!Conrad Schnitzler先生とPharmakustikことSiegmar Fricke氏のコラボ作品3連作の第1弾”Kontraktion (収縮)”です(因みに前回、紹介した”Schubkraft”は第3弾です)。このお2人のバイオグラフィーについては、前回やそれ以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、この3連作は、第1弾”Kontraktion”が2016年に出て、第2弾”Extruder”が2018年、そして第3弾”Schubkraft”が2012年に出ています。因みに、このシリーズは通常盤が限定400枚で、クリア盤が100枚限定となっています。まあ、これらの音源は、1986年11月〜1987年7月に、BerlinのLeberstrasseにあったConrad Schnitzler Studioで録音されており、その際、使用した楽器は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm Player. Digital Delay, Emax Sampler, Farfisa Organ, Magnetophoneと記載されています。この時の音源を、Fricke氏が、2014年12月(2011年にSchnitzler先生は亡くなっています)に、自身のスタジオPharmakustik Studioで、リフレッシュして再構築した曲から成っているのが、本作品です。それで、A面2曲、B面3曲が収められています。それでは、各曲について詳細を紹介していきます。 A1 “Kontraktion (Phase 1)”は、ホワイトノイズによるリズムで導かれて、何か機械の中にいるような不思議な電子音(機械内の環境音)で出来ています。A2 “Kontraktion (Phase 2)”では、ディレイを効かせたシンセ音がやがて、のたうち回るように暴れ始めるユニークな曲になっています。 では、B面にいきます。B1 “Electric Transmission”では駆動力のあるリズムマシンを中心に、飛び道具的にシンセ音やラジオ音(?)が挿入されます。B2 “Chromit”は、ホワイトノイズを伴う強迫的低音シンセのドローン・パルスによって構成される曲で、アンビエント風ではありますが、アンビエントではないです。B3 “Werkstoff”では、変態的なシーケンスを中心に、ドローンが聴こえてきますが、やがて、ゲーセンのような環境音になってしまいます。 とまあ、今回も中々、面白い音楽になっていますが、マシンリズムは控えめで、全体的に掴みどころの無い抽象的な音楽に仕上がっています。プリミティブと言うと聞こえは良いですが、本当に個性的な音楽は、「言葉」に出来ない位、抽象的になるんだろうなと確信しました。これは、Fricke氏のミックスによるところもあるとは思いますが、元々の音源がそもそも掴みどころの無い抽象性を持っていたのではないかとも思います。そんな2人の時空を越えたコラボ作品を一度は体験してみてはどうでしょうか❓通常盤でも400枚限定ですので、見つけたら、即ゲットですよ! [trailer] https://youtu.be/_9zQpGMVwGk #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Kontraktion #Rotorelief #CollaborationAlbum #第1弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986-1987年録音 #2014年再構築 #LimitedEditions #400部
Electronic Music / Experimental Rotorelief 不明Dr K2
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Urbain Autopsy “Inonu”
仏産インダストリアル・バンドUrbain Autopsyを紹介します。このバンドも全然知らなかったので、初め、シンセ・ウェーブ系かなと勘違いしていました。なので、先ずは、Urbain Autopsyについて調べてみましたが、中々情報が得られませんでした。得られた情報から、このUrbain Autopsyは、Chris P.ことChristophe Mielle, Pascal Verh, Sha 261ことJosé Vinciのトリオで、1986年に最初のカセット作品”Autopsies” (後に、この作品もLP再発されています)をリリースしており、1988年に最後の作品をリリースしています。また、後にセルフ・コンピ”1984 - 1987”を出しています。彼等は、地元の伝説的パンクロック・グループ Metal Urbain は勿論、Throbbing Gristle, Suicide, Joy Division, Bauhaus といった英米のバンドからの影響を受けながらも、ネガティブ・パワー全開のパワー・エレクトロニクス~ インダストリアル・ミュージックのスタイルで得体の知れないサウンドを作製していたのが伝説となっており、仏地下音楽界のカルト・バンドとして近年、注目されています。それで、Urbain Autopsyは、1983年にParisで結成され、1989年に解散しています。本作品のオリジナルは、Sha 261が運営していたTears Compilationsから2本組カセットとしてリリースされていたものを、Rotoliefが2枚組LPとして再発したものです。この作品は、創設メンバーによる最後の作品であり、これまでのリリースとは異なる4部構成のコンセプト・アルバムとなっており、インダストリアル・サウンドで「独裁国家」と「抑圧された民衆」の物語を展開しているそうです(仏語はよく分からないです。すまん!)。確かに、各面には以下のような副題が付いています。LP1A面”ACTE I ou les vingt jours de septembre”, LP1B面”ACTE II R. BLAVDO & L. DUBCEK Consulosiks”, LP2C面”ACTE III ou le fratricide”, LP2D面”ACTE IV ou INONU « Le Renouveau »”と記載されていますので、何らかのコンセプトがあるものと想像出来ますが、私は仏語は読めないので、意味は不明です。しかも、各面、8〜12曲もの短い曲が詰め込まれており、それらには曲名が全て付いており、各面の場面場面を表しているようです。それで、内容なのですが、割と、リズミックな曲が多いなあと言う印象でした。LP1では、ディレイが掛かって歪んだヴォーカルはパワ・エレっぽく、リズムマシンも使っており、そこにシンセ音が切れ込んできます。リズムパタンとか音色がどことなく、初期のEsplendor Geometrico (E.G.)やDe Fabriekに似ているような曲もありますね。シーケンスと組み合わせると、SPKっぽく聴こえます。誰が何を担当しているか?は謎ですが、音的にはオールド・ファンは好きそうです。総じて、初期E.G.っぽい音作りをしています。ただ、何かしらのユーモアみたいなものも感じられ、そこら辺が、個性かな?と思います。一方、LP2では、主に生ドラムとギターやシンセ、曲によってはヴォーカルやループ、テープなども組み合わさって、躍動的な印象が強いです。なので、こちらは、E.G.と言うよりも実験的(ノイズ)ロックと言うべきですね。まあ確かにリズムマシンやメタパーも使っているのですが、やはりロック色が強いです。そう考えると、LP1でもLP2でも、あらゆる手法が用いられていて、引き出しが多いバンドと感心してしまいます。あと、リマスターしていないのか、音がそんなに良くなくて、カセット・クオリティであるのが、また彼等の音楽に合っていますね。 個人的には、久しぶりにヒットだったアルバムですので、今でも遅くはないので、購入して聴いてみましょう‼️ このアルバムはYouTubeに上がっていなかったの、1987年のライブ動画を貼っておきます https://youtu.be/MYq-TL8Wz4I あと、Bandcampの”1984-1987”も貼っておきますので参考にして下さい。 https://cameleonrecords.bandcamp.com/album/urbain-autopsy-1984-1987 #UrbainAutopsy #Inuno #Rotorelief #TearsCompilations #Reissue #DoubleLPs #Industrial #ColdWave #FrenchUnderground #Cult #RhythmMachine #Synthesizers #Vocals #ChrisP. #PascalVerh #Sha261 #EsplendorGeometrico #NoiseRock
Industrial / Cold Wave Rotorelief 4530円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Schubkraft”
ついつい、買ってしまうんです。今回は、Conrad Schnitzler先生とPharmakustikとのコラボ作品3部作の最終作品”Schubkraft”です(2016年作第1部”Kontraktion”、2018作第2部”Extruder”があります)。Schnitzler先生については、これまでも色々書いてきましたので、ここでは、Phamakustikのバイオグラフィーを補足しておきます。PhamakustikことSiegmar Fricke氏は、1981年辺りから活動を始めた独逸の実験音楽家で、元々は、短波ラジオとアコースティックな音を用いた作品を作製しており、丁度、ミュージック・コンクレートとポスト・インダストリアルの間に位置して、世界的なカセット・カルチャー・シーンで活躍しています。それで、Siegmar氏は自身のレーベルBestattungsinstitutを運営し、1985年〜1993年の時期に、実験音楽から、EBM、エレクトロ、テクノ、アンビエントまでを取り扱っており、その後、ネット・レーベルに移行しています。2009年より、彼のソロユニットとしてPhamakustikを名乗り始め、また2013年からは、ポップな音楽をやる為に、Dieter Mausonとのコラボ・ユニットDelta-Sleep-Inducing Peptideを立ち上げています。それで、Pharmakustikでは、一種の音響学的研究や音に関するリサーチ或いはアコースティックな音の断片の再統合などを行い、極めて電子的て抽象的なレイヤーを作り出していたとのことです。 そんな2人がコラボして作り上げた内の第3作目が、本アルバム”Schubkraft (「推進力」の意)”になります。クレジットによると、このシリーズは、1986年11月〜1987年7月にBerlinのSchnitzler先生のスタジオで行われた未発表音源を順次発表しているようです。2人が用いた楽器は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm-Player, Digital Delay, Ibanez MultiEffector, Radio, Yamaha CS-5となっており、アルバムは、両面1曲ずつの長尺の曲から成ります。両面とも、もう涙がちょちょ切れる位、素晴らしい曲です!A面は、スペーシーなシンセと、Esplendor Geometricoのように駆動するリズムマシンの絡みから成り、まるで「電子界を走る銀河鉄道999」のようです。結構、リズム音が強調されたミックスになっています。最後で、リズム・パートが無くなってからは、お互いの電子音が自由に絡まり合って、程良い緊張感を出していまし、ディレイが効いていて、宇宙へ飛んで行きそうです。一方、B面は、リズムマシンは使っているものの、ロング・ディレイを掛けたシンセ音が瞑想音楽のように響き渡り、一瞬、1980年代のM.B.サウンドがフラッシュバックします (Fricke氏は復活後のM.B.ともコラボしていますね)。時間軸が曲がってしまった世界で音楽を聴いているようです。B面の最後には、何故か、ラジオの音声と不気味な電子音との狂宴に移行し、不穏な空気感で終わります。両者とも、電子音や実験音楽をベースに活動している/していたので、本作品のような素晴らしいコラボ作品が出来たのだと思います。ミックスはFricke氏によって、2019年に行われていますので、その為、Fricke色がやや強く出ているのかもしれませんね。これを聴いたら、第1部と第2部も欲しくなりました。全ての電子音楽ファンに必聴です‼️ [trailerのみ] https://youtu.be/9VZn8_z4lYc #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Schubkraft #Rotorelief #CollaborationAlbum #第3弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986年-1987年録音 #2016-2017年再構築 #LimitedEdition #500部
Electronic music Rotorelief 2100円Dr K2
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M.B. “Neuro Habitat”
M.B.ことMaurizio Bianchi。宅録ノイズ(宅録インダストリアル)としては最初のアーティストの一人だと思います。私がK2名義でノイズをやろうと思ったきっかけになったアーティストで、名前のイニシャルからのユニット名も彼に倣った。彼のバイオグラフィーは既に書いてますし、また私より詳しい方もいると思いますので、バイオグラフィーは省略しますが、少しだけ。彼は、Tangerine DreamやConrad Schnitzler或いはT.G.に影響を受けて、1979年8月にSacher-Pelz名義でカセット作品を出していましたが、1980年にM.B.と名乗る様になりました。それ以前には伊の音楽雑誌に記事を書いてたそうです。当時は世界多発的にインダストリアル・ミュージックやノイズ・ミュージックが勃興してましたが、それらの多くはメール・アート/ミュージックのネットワークに大きく依存してました。私がM.B.に興味を持ったのは、Fool’s Mateで秋田昌美さんが書いていた「世界の音楽」でのM.B.の紹介文でした。電子音(シンセ)、個人、メールアート、ノイズ・ミュージック、彼の活動の全てに引き寄せられました。特にカセット作品を使っていたこと、そして、de-composition (脱作曲)とrecreate (再構築)。彼は一度作って作品にしたものを、更に加工して別の作品にすると言う手法を用いています。私は今でも自分の曲にはde-composedと付けています。そんな状況の中で、1982年に自身のレーベルMectpyo Soundsからリリースしたのが、この”Neuro Habitat”です(「神経の住処」とでも言うんでしょうか?)。この作品も、そうですが、何度もCDやらLPで再発されています。今回、紹介するのは、BrumeのChristian Renouがリマスターした作品で、多分、一番新しいものじゃないですかね。A面が”Möder Unter Uns”で、ここではChristianはリマスタリングだけではなく、リミックスもしています。B面は”Neuro Habitat”で両面とも長尺の曲が1曲づつ納められています。なので、A面はオリジナルのトラックとは異なっていますし、この作品自体が200部限定なんですよね。それで内容なんですが、B面のタイトル曲は、M.B.お得意のディレイを効かせた電子音の曼荼羅で、中心になるシンセ音とそのディレイ音とが絡み合って、時間感覚の麻痺を誘うような音作りになっています。そしてかなりダウナーです。一方、リミックスもされたA面は単に電子音とディレイ効果と言うよりも、サンプリングによるコラージュやループなどのより複雑な音響処理が為されており、聴き応え充分な仕上がりになっています。どちらかと言うと「Brume plays M.B.」と言う風情でしようか。このトラックに関しては、BrumeことChristianの天才的音響的技術で原曲を更に”recreate”していると思いますよ。こちらは所々にM.B.っぽさもありますが、寧ろフラットな感じです。なので、マニアの皆さん、このリマスタリング盤も持っていた方が良いですよ❗️ Rotireliefヴァージョンは無かったので、オリジナルを。但し、聴く時にはある種の覚悟を持って! https://youtu.be/GKS1Rcm7eH0 #M.B. #MaurizioBianchi #NeuroHabitat #Rotorelief #MectopyoSounds #Remastering #Remix #ChristianRenou #Industrial #NoiseMusic #Electronics #Synthesizer #Delay
Noise, Industrial Rotorelief 2728円Dr K2