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MATソフビシリーズ アリブンタ(1期)
近年、ソフビの高騰が止まらない。
物価の高騰に加え、SNSの普及に伴うコレクター層の拡大など様々な要因があるだろうが、ヴィンテージ、インディーズ問わず、数年前なら手に入ったあのソフビがもう手の届かないところにあるという現象は筆者ならず皆さんも経験したことがあるだろう。
ソフビはもはや玩具ではなく、日常を彩る立体のアートになった…なってしまったと言える。
そのような話題になると必ず上がるのが「転売」というワードだ。
定価で購入した商品を高額で売って利を取る行為だが、近年ではその目標がソフビにまで及んできている。実際に転売を紹介するサイトにはいつもフィギュアが掲載されているのが現状だ。
今回紹介するアリブンタもそんな転売と切っても離せない一体になった。
メディコムトイが昨年に発表した新ブランドM.A.T(MONSTER ART TOY)の「怪獣大決戦シリーズ」その第三弾として発売された全世界待望の完全新作アリブンタ。
抽選の狭き門をくぐり、運良く手にすることができた。
運営側も転売対策として、抽選に際しインスタグラムのアカウントを要求するなど、あらゆる方法で本当に欲しい人の手元に届くような工夫を施していた。
だが、そう言った運営の努力虚しく、アリブンタが手元に届いたその日のうちにオークションサイトには沢山のアリブンタが転売されていた。
一方でX(旧Twitter)には、抽選に外れ落胆するファンの投稿も多く見れた。
抽選という完全確率とはいえ、正規の値段で手に入れられないファンがいたことと高額で転売されていたこと、その両方を目の当たりにし、やりきれない気持ちになった。
資本主義の社会において、転売が無くなることはないのは事実。
こんな時代だからこそ、転売や物価の高騰といかに上手く付き合っていくかというのが今後のソフビ収集の課題になっていくのだろう。
納得できる価格と納得できる状態を自分の中で落とし込み、ソフビとの出会いを焦らず長い目で見ていくことが大切だと思う。
さて、新年早々からネガティブな話題になってしまったが、前置きはこの辺に、完全新作のアリブンタを見ていこう。
開封してすぐ、その迫力と高級感に驚いた。
全高約265mm。大怪獣シリーズのアリブンタ並のサイズ感と眩いメタリック塗装、丸みのある造形美。どれをとっても高級感が溢れ出す。これがインディーズソフビ。もはや玩具というよりアート作品だ。近年の人気も頷ける。
デフォルメされているがアリブンタのリアルな特徴を要所に取り込んでおり、見るたびに新しい発見がある。
ブルーとピンクを主軸にした塗装は本当に美しい。
色の超獣アリブンタ。その良さを最大限に引き出しているカラーリング。サイケデリックな塗装は凝視注意。見続けるとまるで異次元空間に引き摺り込まれそうになるぞ!
ブルマァクなどのレトロソフビと比較しても、塗装に重みがある。特に顔と蛇腹の黄色は強烈だ。
サイドの羽のグラデーションもとても綺麗だ。蛇腹の黄色からピンク、ブルーに変わる様が海に沈む夕陽のようでとても美しい。
賛否両論のある目に関してだが、私もサンプル画像が出た際に、期待していた昆虫の目ではなく、可愛らしい目になっていたことには少し違和感を感じていた。
しかし、手に持って見ると黒目にハイライトが光るあの可愛らしい目こそ、このソフビの世界観にマッチしていることがわかる。
しかしながら一方で、緑の目に横線一本のお馴染みの目で作られていた世界線があったらどうなっていたんだろうと今でも夢にみるので、是非、アリブンタ(2期)があるなら、昆虫特有の原作忠実な目にして欲しいというのが初詣での願い事だ。
価値の高騰が進み、今や金持ちの嗜みとなりつつあるソフビ。
悲しいかな、ソフビを嗜むというよりはその資産的価値を所有していることが良しという時代になってきている気がする。
価値の先にあるソフビの趣に気付いた時、ソフビとの向き合い方はもっと面白くなるはずだ。
以上。今回は真面目なお話です。
補足として、今回筆者がそうだったのだが、手作業があるソフビ製造において、塗装剥げなどの不良品は付きものだということは知っておいて欲しい。
その上で、正規ルートでの購入でないと不良品の交換ができないという点に気をつけてほしい。
転売品を高い値で買った挙句、不良品だとしたらそれこそ立ち直れないだろう。
そういったリスクも含めて「良い」付き合いが大事である。