ブルマァクの復刻怪獣シリーズ アリブンタ(2011)

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2011年某日、アフガニスタン紛争も一旦の落ち着きを見せてきたころ、残党の武装勢力が中東の密林の奥地でゲリラ活動を行なっているという情報がキャンプに入った。
白羽の矢が立ったのはまもなく米国へ帰国予定であった我々、第72レンジャー連隊であった。
密林へ派遣され調査を進めた我々だが、密林には一発の銃声も響かない。
それどころか鳥や動物の声もあまり聴こえない。
やけに静かだった。
密林に入って3日目の朝、我々は凄まじい数の白骨遺体を発見した。その数と何らかの戦闘を行った形跡から密林に身を潜めていた武装勢力のものであるのは明白であった。我々はその異様な光景に恐れおののいた。
我々がその場を立ち去ろうとした次の瞬間、ジャングルに甲高い音が鳴り響いた。続いて木が倒れる轟音。
間も無くして我々の目の前に巨大な緑の影が現れた。全長20メートル、ジャングルの木々にカモフラージュした深い緑の身体。
赤く光る目は我々の姿を捉えていた。
そのおそるべき姿と同じものを私は在学中、ある文献で見たことがある。40年前、東京にも現れたそいつの名は

「ARIBUNTA」

まるでB級モンスター映画の出だしだが、今回のアリブンタはまさに密林のモンスターパニック映画にでも登場しそうな見た目をしている。

今回ご紹介するアリブンタは前回紹介した復刻版ブルマァク アリブンタと同じ型のものである。
2011年にブルマァクショップで受注生産された通販限定商品だ。
故に普通の復刻版に比べて流通量が少ない。
通常サイズのブルマァクアリブンタは当時ものを含めて3タイプ存在するが、カラーリングがダントツでかっこいい。
存在を知って以来、とても手に入れたいと思っていたアリブンタの一体だ。
社会人になりたてで手に入った時はとても嬉しかったのを覚えている。
「大人の力」を行使した瞬間である。

前回の復刻版アリブンタはクトゥルフ神話を思わせるなど奇怪な怖さがあったが、今回のアリブンタは純粋なモンスターらしい猟奇的な怖さがある。
大きな特徴は目だ。
闇夜に浮かぶ赤い目はこれまでのアリブンタにはないカラーリングでアリブンタの持つ猟奇性を最大限に引き出している。
本編のアリブンタも赤い目をしていたら今よりもトラウマ超獣になっていたに違いない。
緑、黄、茶色のカラーリングも独特だ。
派手さが特徴のアリブンタのカラーリングに自然の色を取り入れたのは面白い。
おそらくギロン人が密かに育てていたが解き放ち忘れたもう一体がジャングルの環境に適応し、迷彩色に進化した個体なのだろう。
ひょっとすると超獣に改造される前の原種という可能性も否定できない。
まさにアナザーアリブンタだ。
全体的に復刻版アリブンタよりも塗装が重厚だ。さすが受注生産、気合が入っている。

一つのキャラクターのグッズを色々買い並べるのはとても楽しい。
しかし、同時になんで同じものを買わなければいけないのか?と疑問に感じることも時にある。
だが、並べてみると一つ一つの造形やカラーリングが違っているのが分かる。
時に独特すぎて受け入れがたいカラーリングの推しグッズに出会う日が来るかもしれない。
だが、そこで全てを否定せず、自分の中でオリジナルストーリーを作って脳内補完してみるのも一つの手かもしれない。
可能性は無限大に広がるはずだ。

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